No.297 ウクライナ・ゼレンスキー大統領のプレゼン力

2023年7月11日から12日までNATO首脳サミットがリトアニアにて行われました。
サミット一番の注目はウクライナのゼレンスキー大統領のコメントでした。

「闘う政治家」として今や彼のトレードマークともなった、ピッタリしたカーキ色のカットソーで現れたゼレンスキー大統領。
NATO加盟の時期が示されないことを受け、まずは「前例のない馬鹿げた話だ」と強い口調でNATOを批判。強烈なカウンターパンチを放ちました。

しかしトップとの会談後に行われた共同会見では、複数年単位の軍事支援計画や加盟手続きの簡素化も発表されたためか態度は少々軟化。以下のようにのべました。

「ウクライナの人々に大事なのは、NATO加盟の安全保障」
「他の国々は生活の支援をしてくれているが、私たちは生活をする前に生き残らなければならない」

ゼレンスキー大統領のプレゼンのポイントは、どのような状況であっても首尾一貫して「ウクライナ国民の安全」を強調していること。
「なぜ私はこの話をするのか」という大義名分が明確なのです。

人は、誰もが共感する大義名分を聞くと、自分ごとに置き換えて考えるようになり心が動きます。
だから大義名分が明確であれば、多少厳しい言い方をしたとしても受け容れてもらいやすくなるのです。

ゼレンスキー大統領が大義名分を語るもう一つの理由はウクライナ国内の支持率です。
EU加盟、NATO加盟、核再武装は、ゼレンスキーが支持率を上げるための「3本の矢」。

今回のサミットでは矢の一つ「NATO加盟」に向けての努力を国民にアピールする大きなチャンスでもありました。
ゼレンスキー大統領の政治家としてのしたたかさも感じさせたサミットでした。

No.272 手振りで説得力を高めるためのちょっとしたコツ

「人前で話すのが苦手なんですけど、プレゼンすることになっちゃいました。説得力を上げる方法はないですか?」

こんなご相談を受けることがあります。

内容は良く出来ていても、プレゼンでいかにも苦手な感じが出ると、説得力や安心感が大きく落ちてしまい、せっかくのいい内容が聴き手に伝わりません。これはもったいないですよね。

そこで時間をかけず簡単に説得力が上がる方法があります。
それは手振りを使うこと。

手振りの基本は、ろくろを回すような雰囲気で両手を広げて体の前に出すことです。
内容に合わせて手を動かすと良いでしょう。

ただここで多くの人が間違えるポイントがあります。
それは、手を速く動かしすぎないこと。

ほとんどの方は、本番になると話すことに精一杯。手振りにまで気が回りません。この結果、手振りしているのですが、セカセカと雑な動きになっています。

手振りは、ゆっくり動かすことで初めて落ち着きが感じられて、説得力が宿るのです。

参考になるのは歌舞伎や能の動きをイメージすること。でもこれは修練が必要です。
そこでプレゼンに余裕がなくても、ゆっくりと手振りができるようになるコツがあります。

それは、ある程度の重みを感じる容量のペットボトルを持ちながら手振りを練習しておくことです。
ペットボトルを持って手振りを行えば、重量感のある丁寧な動きを感覚的に覚えることができます。
そして今度はペットボトルを外して、その重量感がある手振りを再現して、身体で覚えればOK。

手振り一つで、言葉を超えた世界観が表現できるようになります。

ぜひ次回のプレゼンではお試しください。

No.271 リーダーが自分らしく話せば、メンバーのやる気が引き出される

「我が社の新しいパーパスも決まりました。社員の前でもっとたくさん話そうと思います」

こうお話しされるトップは、もともと話が苦手な方でした。
しかし心機一転して、全国各地の支社を訪れて、積極的に社員に向けてお話することにしたそうです。

パーパスとは、「会社が向かう方向」を示したものです。
トップが何を目指すのかをしっかり語れば、社員のやる気を引き出すこともできます。

ただ、ここで注意していただきたいことがあります。
それは「腹の底から、自分らしく語る」。
上手でなくても、ぜんぜんOKです。
むしろ危険なのは、ムリをしてジョブズ風やTED風に語ることです。

なぜなら人の脳は、相手のウソを直観的に見抜く「レゾナンス」という仕組みを持っているからです。
人は「この人、何か偽っているかも…」と無意識に感じた途端、その人の信頼度を一気に下げます。
だから自分らしく、嘘偽りのない態度で話すことが大事なのです。
アメリカの経営学者・ビル・ジョージは、自分を偽らずにありのまま振る舞うリーダーシップを「オーセンティック・リーダーシップ」と名付けています。そして人は自分らしいリーダーに強い絆を感じるのです

大企業の社外取締役も務める成蹊学園・学園長の江川雅子氏は、これからのリーダーに求められる資質や能力について下記のように述べています。

ある会社で社長指名を受けたリーダーが、「社員の心に灯をともしたい」という抱負を述べたのが印象に残っています。以前は、より具体的なスキルや能力がリーダーの条件として挙がることが多かったのですが、このように多様な人々の心を動かすリーダーがますます必要になっています。
(ハーバード・ビジネスレビュー 2022年11月号)

年始から新入社員が入社する4月にかけてのこの時期、トップは社員の前でお話しする機会が多くなります。
また、トップでなくともチームのリーダーをされている方も、目指すべき方向性をメンバーに話さなくてはならない時期です。
ぜひ自分らしく、誠実に、腹の底からお話いただくことを願っています。

No.269 ムリに演じても、ウソはバレる

ある外資系企業の日本トップのプレゼンを見たときのこと。

17世紀貴族の衣装で登場。
大きな身振り手振りに加え、完璧な台詞回し。
まるでシェイクスピアの舞台です。
ご本人がものすごく練習したのが伝わってきます。
でも残念ながら、あまり説得力が感じられませんでした。

このトップのプレゼンが伝わらない大きな原因があります。
プレゼンで語る内容と、ムリめな振る舞いとのギャップが目立ってしまい、何を言いたいかが伝わってこないのです。

一方で10年ほど前、米国で品質問題を起こしたトヨタの豊田章男社長が、米国議会の公聴会で証言したことがありました。
そして公聴会の後、「米国トヨタ」の工場を訪れた豊田社長は、従業員からねぎらいの言葉を受けて男泣きに泣いてしまったのです。
「経営者たるもの人前で涙を流すなんて言語道断」と思われるかも知れません。でもこの涙はトヨタ社員の結束を高めました。

人間の脳は、他者の感情や行動表現を無意識に読み取る共鳴(レゾナンス)という仕組みを持っています。
言ってる内容と現れる態度にギャップがあると、脳内で無意識に違和感を感じてしまって「なんか違う」と思ってしまうのです。
しかし言っている内容と現れる態度が一致していれば、脳内でこのような違和感を感じずに、「この人は本音で話している」と感じるのです。

つまり本心を偽って無理に演じると、聴き手は無意識に「なんかウソくさいなぁ」とわかってしまうのです。

人は、ウソ偽りのない言葉を話すリーダーに対して、強い絆を感じます
プレゼンで説得力を高めたければ、ムリに演じずに自分らしくお話することが大事なのです。

意外と誰もやらない、プレゼン結果を知る最も効果的な方法

プレゼンの後、悩んでいる方がいました。

「今回のプレゼン、絶対良くなかったと思うんです。つまらなそうに聞いている人も多かったし…」

せっかく面白いことを話しているのにウケが悪いと、こう思いたくなってしまうものです。
でも、他人の心の中は、意外とわからないものです。

ある絵画教室で、同じ「赤い」リンゴを描いていたのを見た時に、1人1人まったく違う配色だったことがあります。
人によっては青みがかっていたり、茶色だったり、黄色っぽかったり…。
私が赤く見えているリンゴが、他人も赤く見えているとは限らないようです。
さらに、絵の具のクオリティや、描き手の技術・体調も影響しますので、実際に描かれるリンゴが果たしてその人の頭の中にあるリンゴと本当に同じかどうかも分かりません。どう見えているか科学的に証明する手段もありません。このように、実際に置いてあるリンゴでさえ、人によって見え方が違います。

教育学者の田端健人氏は、「心理学的に他人の内面を知ることは疑問の余地があり、安易に他人の内面を判断することは危険」と警鐘を鳴らしています。
臨床心理学者で心理カウンセラーのロジャーズも、「他人の内面を知ることを確信しているわけではなく、出来るだけ内面を知ろうとする努力目標程度のものでしかない」と言っています。
専門的なトレーニングを積んだ心理カウンセラーでも他人の心は分からないのです。

つまり、いくら考えても、それだけでは人がどのように考えているかはわからないのです。

ではどうするか? 簡単な方法があります。それはアンケートをとること。
「なんだ、そんなことか」と思うかもしれませんが、実際には多くの方々はプレゼンの際にアンケートをとっていません。
冒頭で悩んでいた方もアンケートをとっていませんでした。

アンケートをとれば、聴き手の反応が分かり、余計な心配ごとも減ります。足りなかったところは次回に活かすこともできるのです。
プレゼンを控えている方は、ぜひ今度はアンケートを取ってみて下さい。
必ず何か発見があるはずです。

人に教えれば、プレゼンは上手くなる

一生懸命プレゼンの練習をしている。
でも、なかなか上手くならない。
こんなお悩みを抱えている方は多いと思います。

短期間で圧倒的な成果を上げる方法があります。
人に「教える(説明する)」こと。

「人に教える」のは、教えるプロだけの仕事ではありません。
大人なら誰でも「経験」を持っています。
その経験を他人に教える機会があれば、学びが深まり成長が加速します。

私はコンサルタントという仕事上、人に教える行為をします。
でも一方的に教えているだけでは成果は上がりません。
特に自分の技術、能力、価値観を超える問題に直面したときがポイントです。
この状況を乗り越えるには、自分の経験を総動員しても不十分なことがあります。
こんな時は、「お客さんの経験」も総動員します。
お客さんの声に耳を傾け、なんとか新しい解決策を”ひねり出す”のです。
そしてこんな時は、無事しのいで「あ〜良かった」で終わってはいけません。
この結果から学びが得られれば、自分の専門性は大きく進化していきます。

「省察的実践」の概念を提唱した哲学者、ドナルド・A・ショーンはこう述べています。
「現場で実践する専門家の専門性とは、現場の実践のなかに存在する『知と省察』それ自体にある」

持っている「知」を総動員させて相手に説明し、「省察」で振り返って形(言語化)にする。そのプロセスを繰り返すことで、大人の成長は圧倒的な成果を上げることができます。

「自分なんかまだまだ力不足で恥ずかしい」
…なんて思わずに、自分の経験を活かして人に教えてみることです。

まずはプレゼンで困っている新入社員さんや同僚にアドバイスしたりすることから始めてみてはいかがでしょうか?

早口を改善する方法

「ワタシ、早口なんです。プレゼンで緊張しちゃうと、もっと早口になるんです。どうすればいいでしょう?」

こんなご質問をいただきました。

早口の方には共通点があります。まず頭の回転が速い。だから言葉が加速しやすくなります。
しかし早口だと言葉が不明瞭になって、さらに話しの展開が早過ぎるので、聴き手は話しについて行けなくなります。
良いことを話しても、早口で伝わらないのはとても残念ですよね。

そこで早口を改善するために、3つの方法をご紹介します。

(1)まず、しっかり息を吸いましょう
話す前に、まずしっかりと息を吸いましょう。
早口になるのは、文章のワンフレーズを話すための息が足りなくなってしまい、息が続いている途中で慌てて文章を終わらせてしまうからです。

これはプールで10メートル息継ぎ無しで泳ぐことを想像すればわかります。息が足りなければ急いで泳ぐ必要がありますよね。途中で息切れしたら続かなくなります。でも息が足りていれば、ゆっくり泳いでも大丈夫ですよね。

話し方も同じです。しっかり吸ってから話し始めれば、早口にする必要がなくなって、ゆっくり話しやすくなります。意識して大きく呼吸するようにしましょう。

(2)言葉を区切りましょう
早口になっているときは、間合いがなくなっています。間合いがとれないと、スピードはどんどん加速します。
こんなときは、言葉を区切って話します。ブレーキ効果で早口が改善します。

たとえば「先端技術」という言葉。普段言えていても、早口が加速すれば言えなくなります。そこで「先端、技術」、または「先、端、技術」というように短く区切りながら話します。区切ることでブレーキが利き、ゆっくり話せるようになります。

(3)録音して確認しましょう
ゆっくり話しているつもりでも、いつのまにか早口になっていることは多いものです。だから録音して確認してみましょう。今のスマホは録音機能がありますので、カンタンです。実際に会議やプレゼンを録音して自分の声を聞いてみると、想像以上に早口であることが分かります。客観的に早口を認識できれば、改善もしやすくなります。

早口は伝わり難いので損をしがちです。ぜひ落ち着いてゆっくり話す習慣をつけたいものですね。

「緊張で相手の目を見られません」というご相談

「緊張して、相手と目線をあわせられません。つい逸らしてしまう癖があります。どうすれば良いでしょうか」

こんな質問をいただきました。

一対一の対話に限らず、プレゼンでも聴き手と目線を合わせてコミュニケーションしていくことは大事なことです。

しかし一方で、目を逸らすことは一概に悪いこととは限りません。

「目力」という言葉があるように、人の目には力が宿っています。だから相手の目をジッと見るのは、実は疲れることなのです。

私は、目を逸らさずジッと凝視してくる人に圧を感じてしまって、とても疲れたことがあります。凝視せずに、適度に目を逸らしながら会話できるほうがお互い自然にふるまえますよね。これはプレゼンでも同じです。

問題は、目の逸らし方と頻度です。常に目線がキョロキョロしていると落ち着きが感じられずに、聴き手からの信頼が得られません。そこで、相手の目ではなく、少しずらした部分(相手の耳の横や鼻先など)を見て話して、大事な部分だけ目を合わせていくような工夫をすることで、話しやすくなり、相手も聞きやすくなります。

そんな緊張で目線を逸らす癖のある方にとって、本当はオンラインはとても楽なのです。
相手の力が宿っている目を見ずに、カメラのレンズを見て話せばいいわけで、意外に話しやすいものです。
実は緊張する人ほど、オンラインの方が力を発揮しやすいかもしれませんね。

聞き取りにくい苗字を、確実に伝える方法

初対面のとき、苗字を聞き取ってもらえないと困ることがありますよね。先日もこんな質問がありました。

『私の苗字は「可知(かち)」というんですが…。名乗ってもたいてい聞き取ってもらえません。「アチさんですね」とか「カジさん?」とか言われます。どうすれば正しく聞き取ってもらえるでしょうか』

この「苗字を聞き取ってもらえない問題」、2つの解決策があります。

①名乗るときに解説しながら自己紹介する

『可能性の「可」に、「知識」の知で、「可知」です。よく珍しい苗字だねと言われますが、「可能性ある知識」で覚えて下さい」

というように、説明を工夫すると覚えてもらえます。

② 区切って発音すると明瞭に聞き取ることができます

『か』は子音の『k』、『ち』は『ch』とイ母音が鳴りにくいため、『かち』は聞き取り難い組み合わせです。そこで、

『か・ち・です』

というように、『か』と『ち』に小さなアクセントをつけながら、区切って発音すれば確実に聞き取ってもらえます。

他にも苗字を聞き取ってもらえない方は、この2つを組み合わせながら自己紹介すると、確実に伝わるようになりますよ。

経営塾PRIMEの講師を務めてまいりました

昨日は、経営塾PRIME「100年企業戦略メンバーズ会員限定 勉強会」にて『明日から使える「心を動かす」トッププレゼンテーション』というテーマでお話してまいりました。

心を打つトップのプレゼンとは、心を動かす言葉や所作に加えて、個人の特性を生かしながらお話することがとても大事です。
この日は経営者限定の勉強会でしたので、ステークホルダーの心を動かし行動に向かわせるための実践的スキルについてお伝えいたしました。

人は聴き手に「良い行動をしてほしい」と考え思いを託して伝え、聴き手が心を動かされれば「なるほど,そうしよう!」と思い行動します。
いくらリーダーが上手に話しても、聴き手がスルーしていたら意味ないですよね。
聴き手の心を動かし良い行動に向かわせることが、リーダーの役目です。

そこで今回は、
①WHYから語り、人を動かす
②個性を活かして、共感を得る
③話術と態度
④トップの企業ブランディング
の4点について、「明日から使える」実用性の高い内容でお話してきました。

少人数限定でしたが、多くの方にお申し込みいただきましてありがとうございました。

ビジネスパーソンは、AKB指原さんの伝え方を学ぼう

「伝え方の技法」で重要なのは「再現性」です。
世の中には天性の伝える力で人を感動させる人がいますが、こんな人たちの伝え方は、私たちのような一般人には真似できません。でも、再現性があれば、誰でも学ぶことができますよね。

そこで今回は、少しの努力で誰でも真似ができる伝え方をご紹介します。

指原莉乃さんは、他にも可愛いくて歌のうまい子が大勢いるAKBの中で、何度も総選挙1位選ばれ、芸能界でもタモリ、秋元康、松本人志などの大御所に気に入られ、更に活躍の幅を広げています。そのような指原さんが抜きんでている理由は、聴き手の心を動かし、行動変容を促す「伝え方上手」のスキルにあります。

「伝え方上手」のスキルには、ポイントが3点あります。

【その1】なぜこの話しをするか「大義名分」が明確
【その2】聴き手が期待していて自分しか語れない言葉の見極め
【その3】自分らしく伝える

指原さんのAKB48第7回選抜総選挙 (2015)のスピーチを例に挙げて説明しましょう。→リンク

【その1】なぜこの話しをするか「大義名分」が明確

指原さんは、第7回AKB48総選挙の冒頭、『「自信がある、1位になりたい」と言っていたものの、昨晩一人になった時、もし1位じゃなかった時、ワイドショーにどうやって取り上げてもらおうとか、いろいろ考えた』と語っていました。女王として1位にならなければいけない大義名分が明確ですよね。

【その2】聴き手が期待していて自分しか語れない言葉の見極め

さらに指原さんが上手いのは、相手が期待していて、自分しか語れない言葉の見極めです。この総選挙では、それを「落ちこぼれ」という言葉で伝えました。

「私は落ちこぼれです。選ばれた人間ではありません。全国の落ちこぼれのみなさん、私の1位を、どうか自信に変えてください」

指原さんは、AKBの中で落ちこぼれでした。だからファンに「落ちこぼれの指原さんを育てて1位にしたのは、同じ落ちこぼれの自分たち」という自尊心を持たせるように語っています。指原さんはファンが何を期待しているかを見極めて、「落ちこぼれ」という言葉で語りかけ、ファンの心を動かしました。

【その3】自分らしく伝える

そしてこの二つとも、格好つけずに自分の弱さをさらけ出し
ながら、自分らしく語っています。

こうして見ると、指原さんの「伝え方上手」の3ポイントは完璧ですよね。

この指原さんの伝え方のスキルは、ビジネスでもとても参考になります。

次回のプレゼンは、ぜひ「伝え方上手」の3ポイントで考えてみてください。

 

 

 

最恐の「プレゼンで頭真っ白状態」。どうするか?

世の中で「プレゼンで頭真っ白」ほど怖いモノは、そうそうはないでしょう。

頭真っ白で固まってしまうと、次の言葉が出なくなります。そういうときにムリに話すと、話がアッチの方向へ行って二度と戻らず、止まらなくなることもあります。かく言う私も何度か経験しました。怖いですね。

たとえてみると、これは溺れている状態です。溺れているときにジタバタあがくと、ますます沈むだけ。プレゼンでは救命員が来てくれることもありません。

そこで、いざというときの対処法を覚えておけば安心です。
対処法は3ステップあります。

【ステップ1】まず、水を飲む

驚いたときに「ヒィッ!」と変な声が出てしまうことありませんか?「頭真っ白」はこれと同じ状態になっています。人は緊張すると喉頭が上がります。喉頭周辺の筋肉が硬くなり、声が上ずってくるのです。

そういう時は、まず水を「ごっくん」と飲みます。クスリやビールをゴクッと飲むのと同じ要領です。これで喉頭が下がり、声が楽に出るようになります。また水を飲んで息を吸えば少しは落ち着きます。

いざというときのために、プレゼンでは必ず水を用意しましょう。

【ステップ2】そして、2回呼吸する

頭真っ白状態になると、呼吸がしにくくなります。呼吸をつかさどる横隔膜という筋肉が固まってしまい動きにくくなるためです。

ですので、息を2回吸います。1回では足りません。まず1回軽く吸う。そしてもう1回しっかり吸うこと。これで横隔膜が反応し、呼吸がしやすくなります。呼吸が出来るようになれば、自分のリズムを取り戻しやすくなります。

【ステップ3】そして、メモを見る

ステップ1と2の対応で自分を取り戻せることが多いのですが、どうしてもダメな場合は最後の手段。メモを見ます。メモは浮き輪です。溺れている自分に浮き輪を投げてあげましょう。しかしメモと台本は違いますので、要注意。動揺している時に文字ギッシリの台本をみても、読むべき場所を見つけるのは困難を極めます。

そこで、予め内容を箇条書きにしたメモを用意します。箇条書きならば、読むべき場所をすぐに探し出せます。

メモを見て話すときは、できるだけ堂々と話しましょう。オドオドして話すと、聴き手が心配になります。いかにも最初から準備していたように、ゆっくりとメモを取り出して話すように心がけてください。

「V-Value」にインタビュー記事『経営者のためのプレゼンの極意』を掲載いただきました

ボルテックス様の広報誌「V-Value」にインタビュー記事『経営者のためのプレゼンの極意」を掲載いただきました。

緊張は相手の心を動かすことができることや、緊張しながらも自分らしくお話することの大切さを語っています。

経営塾 第9回『オンラインでも「伝わる」プレゼン技術』の講師を務めてまいりました

ボルテックス様主催『経営塾 第9回』にて、『オンラインでも「伝わる」プレゼン技術 心を動かすトッププレゼンテーション』というテーマでお話してまいりました。
300名以上の申し込みをいただきましてありがとうございました。

「オンラインでは伝わらない」と考えておられる方も多いかと思います。
しかし昨今はオンラインでのコミュニケーションがうまくいかないとビジネス自体が成り立たなくなってきているのが現状。
オンラインならではのお悩みに答えつつ、オンラインでも自分らしくお話して、最高のパフォーマンスを発揮する方法をお伝えしてきました。

オンラインプレゼンの成功は最初の1分で決まる

ある企業のオンライン会見の冒頭で、社長さんが事業報告を延々と15分間話していました。

「大企業との提携」というビッグニュースが発表されたのは会見の後半。「もったいない」と感じました。
もし冒頭に大型発表をすればニュースにも取り上げられやすくなり、訴求力が高くなるからです。

オンラインは最初が肝心です。
リアルだと退屈でも席を立たずに聞いていますが、オンラインだと「興味がない」と判断すれば簡単に離脱してしまいます。

興味を持って聞いてもらうには「美味しいネタ」から始めることです。

今週発行の「週刊東洋経済」の特集「デジタル仕事術」で、クロスリバーの越川慎司社長がこんな経験を紹介しておられます。

「300以上のウェビナーの支援をしてきた。…参加者の反応とウェビナー後の購買状況などをデータ分析した。すると、参加者は、約1時間のウェビナーのうち、最初の1分と最後の5分のパートの記憶率が高いことがわかった。それ以外のパートは聞き流していた」

このように実際のデータを見ても、「最初に美味しいネタ」がとても大事なことがわかります。

美味しいネタとは「顧客の聞きたいことで、話し手しか話せないこと」。
それを冒頭で1分以内で話すことです。

最後の5分は質疑応答。質疑応答では、聴き手は興味があることを聞いています。記憶率も高まりますよね。

でも最初の1分で聞いてもらえないと、なかなか最後まで聞いてもらえません。
まずは最初の1分で「美味しいネタ」からお話ししましょう。

 

 

完璧に人間そっくりな読み上げソフトが、緊張して話す人に敵わない理由

入力文字読み上げソフトVOICEPEAKが話題になっています。

このソフト、凄いです。
動画で実際に文章を読み上げている様子をご覧になれますので、ぜひご覧下さい。
完全に人間の声にしか聞こえない上に、感情(楽しさ、幸せ、怒り、悲しみ)の度合いもコントロールできます。
今後、ユーチューバーなど、様々な可能性を期待できる技術ですね。
「情報を読み上げするだけのプレゼンテーションなら、このVOICEPEAKの方が聞きやすい」とさえ思えました。

では、プレゼンは音声読み上げソフトに任せればいいのでしょうか?
実際に動画で、全く読み間違えない完璧な声を聞いて感じたのは、読み上げソフトでは心が動かないことです。
これはなぜでしょうか?

人は何かを伝えようとするとき、「聴き手に行動や考え方、気持ちを、良い方向に変えてほしい」と考えて、言葉や身振りにその思いを託して伝えます。そして本気で伝えようとすればするほど、緊張します。

これは告白と同じです。
ドキドキして緊張しながら「つ…付き合ってください!!」と言われたら「強い想い」が伝わりますよね。
緊張は、人の心を揺さぶり、行動を変えることができるのです。
緊張するのは、人並みはずれた強い想いを持っているからです。緊張するのは当たり前。相手に想いを伝えるためには、緊張していなければいけないのです。

でもこの読み上げソフトで、このような文字を読み上げるとどうでしょうか?
「私はあなたとお付き合いしたいと思っています。付き合っていただけますか?」
伝えたい内容自体は間違いなくスムーズに伝わりますが、「強い想い」は全く伝わりませんよね。
機械(コンピューター)は、目的を持って思いを託すということがありません。だから緊張しないのです。聴き手の心が動きません。

人間が何かを伝えようとするときの緊張こそが、人の心を揺さぶる大きな武器となるのです。

これから新入社員さんが入社してきて会社で話す機会も増えてくる時期。就活でも、面接対策が必要な時期でもあります。

皆さんは、しっかりと緊張して伝えていますか。

 

 

プレゼンの決め手は「決め台詞」…羽生選手の場合

フィギュアスケートの羽生結弦選手、北京五輪で4位入賞。
不調の中で素晴らしいですね。

羽生選手の会見は、ビジネスのプレゼンテーションでもとても参考になります。
羽生選手が、独自の”決め台詞”を持つからです。
今回、フリープログラムで4回転アクセルに挑んだ理由を決め台詞で語っていました。

『僕の中に9歳の自分がいて、アイツが「飛べッ!」てずっと言ってたんですよ』

まるで氷上の哲学者ですね。
羽生選手は、常に考え続けています。だからこんな言葉がほとばしる。
メディアにとっても、羽生選手の決め台詞は「使える」のです。翌朝の新聞の見出しにそのまま使えば、強い訴求力を発揮できる。だからこそ取材の対象になりやすいのです。

この方法、ビジネスプレゼンでも使えます。
多くの方は、プレゼンギリギリまで資料作りに奔走しています。そしてプレゼン本番の『決め台詞』を考えていません。

そこでぜひやってみていただきたいことがあります。
次回のプレゼンでは、資料作りの半分程度の労力で構いませんので、ぜひ『決め台詞」を考えてみていただきたいのです。
もし何らかの『決め台詞』を既に持っている方は、それを磨いてみましょう。

決め台詞を繰り返すことで、聞いた人は他の人にも言いたくなります。
そのうち、「〇〇と言えばこの人」となるとしめたもの。聴き手に記憶されます。そしてビジネスに結びつくかもしれません。

 

羽生選手のプレゼン力については、前回のオリンピック直後にも、『週刊朝日』のインタビューをいただきました。もしよろしければご覧下さい。
「羽生結弦はスピルバーグを超える? 引退後のシナリオ…」

 

「緊張しても話せる面接対策セミナー」でお話させていただきました

2月9日(水)マスナビ様主催の「緊張しても話せる面接対策セミナー」でお話させていただきました。

今回は170名の皆様方にご参加いただきました。積極的にご発表いただきまして本当にありがとうございます。

下記はいただいたご感想の一部です。

「本日は貴重な機会を提供してくださり、誠にありがとうございました。私自身、人前、特に初対面の人と話すことが非常に苦手で、いつも冷や汗をかいているような状況です。また、オンラインでも同様で、とても悩んでおりました。しかし今回の永井様のお話を聞いて、『緊張=悪いこと』ではなく、『緊張=自分の能力以上のパフォーマンスを発揮しようとしているから問題ない!』というマインドにすることが重要だと感じました。まずはこのような心構えで日々のミーティングやプレゼンに臨むことから始めてみようと思います。本日は誠にありがとうございました。」

「”今まで様々な内容のセミナーを受けましたが、今回のセミナーが1番面白く、ためになりました。私は、グループディスカッションや面接で緊張し、手や声が震えてしまうことが多くあり今後の就職活動が心配でした。しかし、今回のセミナーでお話しいただいた、対策方法や気持ちの持ち方などを実践したら、うまくいく気がしました。録画で自分を客観視するという点はすぐにでもトライしてみたいと思います。先生自身のお話の仕方がとても丁寧で聞きやすいセミナーでした。本日は貴重なお話をありがとうございました。”」

「私は声が低いことがコンプレックスでしたが、相手に安心感や『しっかりしている』という印象を与えることができることを知り、自信を持つことができました。また、永井先生ご自身も終始落ち着いたペースで区切りをつけて話されており、1時間お手本を聴くことができたという面でも良かったです。有難うございました。」

「本日は貴重なお時間を頂きありがとうございました。”緊張しないようにする”ではなく、”緊張を生かす”という考え方、非常に勉強になりました。教えて頂いたトレーニングは、面接前のルーティーンとして実践していこうと思います!」

ご質問もたくさん頂戴しております。機会を見まして本コラムでも回答していきたく思います。

皆様の面接が上手くいきますよう、心から応援しております。

オンラインで聞き取れない質問は、聞き直す方が良い理由

オンラインの商談、会議、面接が当たり前の時代になりました。
オンラインで困るのが、Wi-Fiの調子が悪かったりして、質問がうまく聞き取れないこと。
特に相手が目上の人だったり大事なお客様の場合、「聞き直すのは失礼かな」と思いがちです。

そうして質問を聞き取れないまま、前後の流れで推測して、中途半端な答えをしてしまったりします。
これは最悪、「いい加減な人だ」という印象を与えかねません。
オンラインの場合、相手は、こちらがどのように聞こえているか状況を把握できないからです。

相手によっては気を遣ってしまいなかなか聞き直せないものですが、聞き取れない場合は必ず「もう一度お願いできますか?」と聞き直してください。
もう一度言ってもらっても、聞き取れない場合もあります。そのようなときは、「〜〜とおっしゃった後の部分が、分かりません」と具体的に聞いたり、「今のご質問は〜〜という理解でよろしいでしょうか」と確認すると、間違いを避けることができます。

聞き直すことで、実は良いこともあります。
相手は「聞き取れない」と言われると、たいていは恐縮します。これで自分のリズムを作ることもでき、一瞬で楽になります

聞き取れない場合は、勇気を持って聞き直してください。

 

 

謝罪会見後に株価が上がる会見、下がる会見

ここ数年、増える一方の不祥事会見。
メディアから厳しい批判にさらされながら深々と頭を下げている経営者を見ると、いつも胸が痛みます。
決して他人事ではないからです。メディアの前に立つ可能性は低いものの、一般人でも、社内やコミュニティでいきなり同じ立場に立たされる可能性は少なくありません。そして、こんな場面は、ある日突然やって来ます。

世の中の謝罪会見を見ていると、会見後に鎮火する会見と、さらに炎上してしまう会見があることに気がつきます。どこが違うのでしょうか。

ハーバード・ビジネススクール教授・ビル・ジョージらの著書「オーセンティック・リーダーシップ」で、“効果的な謝罪”と“逆効果を招いてしまう謝罪”の違いが最近の研究で明らかになっていると述べられています。

トップが笑みを浮かべて謝罪した企業は、株価の下落が判明しました。謝罪に誠意がないとみなされたからです。
逆に、悲しそうな表情のトップが謝罪した後、株価は上昇していることが明らかになりました。
悲しそうな表情で行った謝罪は、投資家に「この人は誠実だ」と感じさせて、信頼を獲得することができるのです。

また謝罪会見で業績悪化を外部要因のせいにする企業は、自社の力不足を認める企業より2倍多く、それらの企業の財務状況はその後も引き続き悪化していました。逆に、自らの責任を認めた企業の収益状況は上昇に転じているのです。

これらを理解すると、効果的な謝罪には2つのポイントがあることがわかります。

・まず、自分の非を認める。
・そして心から謝罪の意を示す。

孔子は『論語』の中で、「過ちて改めざる。 これを過ちという」と言っています。
誰でも間違いはあります。間違う事が悪いのではありません。間違いを反省せずに改めない事が、間違いなのです。

人間ですから道から外れるのは仕方ありません。
間違いから反省して正しい道に戻ってくること。
そして大切なことは、単に反省して戻ってくるのではなく、改め、成長する、ということなのです。