No.316 大きな声では信用されないし、人も動かない理由

「プレゼンでは、低く落ち着いたトーンで話す方が信頼感が上がりますよ」

私がこのように言うと、ほとんどの方はこうおっしゃいます。

「え?そうなんですか。大きな声でハキハキしゃべることが重要だと思っていました」

確かに「小さな声では伝わらないぞ、大声でハキハキ話せ」という人、多いですよね。

でもこれ、大きな間違いなのです。

実際には、プレゼン、面接、会議などでは、落ち着いたトーンで話す方が、話し手の信頼感も上がります。
たとえば、超一流ホテルの従業員も、必ず落ち着いた声でしっかりと話します。
そして落ち着いたトーンで話してくれる人から、聴き手は自分に対する信頼感を感じるのです。

では、大きな声はなぜ良くないのでしょうか。

それは落ち着いた気持ちで話しても、大きな声には自然と感情が宿って聞こえてしまうからです。
ここでいう「感情」とは、「相手を説得しよう」とする気持ちです。
つまり大声からは「相手に自分の思い通り動いてもらおう」とするエゴが伝わってしまうのです。

「あ、この人、私を自分に従わせようとしているな」と思われた瞬間、聴き手は話し手を無意識レベルで信用しなくなります。さらに自分の価値を感じられなくなるので、やる気(内発的動機付け)も失われてしまいます。

今年、夏の甲子園大会で慶應義塾高校野球部を107年ぶり2度目の優勝に導いた森林監督も、同じ事をおっしゃっています。
森林監督は、練習では必ず拡声器を使っています。大声で指導しないためです。

地声で一対一の会話をあえて全員に聞かせようとすると、どうしても怒鳴るよう言い方になってしまい、それでは言葉が選手の中に素直に入っていきません。できるだけ落ち着いた口調で話せて、なおかつ全員に届かせるためには、拡声器はかなり重要なアイテムです。つい強い口調になってしまうこともありますが、できるだけ冷静に伝えることを心がけています。指導者の仕事は「言う」ことではなく「伝える」ことなのです。
(森林貴彦著「ThinkingBaseball―慶應義塾高校が目指す”野球を通じて引き出す価値”」より)

これから来年に向けて人前でお話する機会も増えてくるかと思います。
ぜひ低く落ち着いたトーンで話すことを意識されてみてください。
人が多い場合は、地声に頼らずに、遠慮なくマイクとスピーカーも活用しましょう。

2023/12/28 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika