ブログ「次世代トッププレゼン」
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No.284 良い資料を作るコツは、まず始めること

「発表資料が上手く作れない」
「内容の台本が書けない」
こうお悩みの方は多いかと思います。
世の中には上手なプレゼン資料が作れるようになるハウツー本が溢れています。
「メッセージは短くシンプルに」
「図表やグラフを入れすぎない」
「文字は大きく」
「結論から始める」
「なるほど」と思うものばかりです。
でも、これでいい資料が作れるかというと、それは全く別問題。
以前は、私もこれらの本を読みましたがなかなか上達しませんでした。
ではどうすれば良いのでしょうか。
それは、まず作業し始めることです。
多くの人は「時間がないし、速くパワポ資料を作らないと」と思いがちです。
でもこれではまずうまくいきません。
まずは始めるべきは、手書きのラフから。
必ずしも順番通り考える必要はありません。
冒頭のアイデアが出なければ、やりやすいところから始めれば良いのです。
これは文章を書く方法と同じです。
文章を書く究極のコツを、英語学者で評論家の渡部昇一氏はこう言います。
「とにかく書き始めることだ。構想しているようなことは一枚目を書いたとたん飛び散ってしまうこともよくある」
渡部氏は「書き始めるだけ」とおっしゃいます。
あれこれ構想している段階と、書き始める段階は、別次元というわけです。
作業を始める前に、考えを巡らせるばかりで時間が経ってしまう方、多いのではないでしょうか?
資料の一枚目を書き始めるまでが最も難しいのではないかと思います。
資料づくりが上手くなる究極のコツは、「まず思い切って、手書きで始めてしまうこと」。
最難関を乗り越えて手書きのラフで1枚目が書ければ半分以上は書けたようなものです。
まず、アウトプット。
これが大事なのです。
クックパッドで美味しい餃子の作り方を眺めているだけでは、美味しい餃子が作れませんよね。
まず実際に餃子を作ってみることです。これとまったく同じです。
資料作りのハウツー本を見ても、なかなか上手くなりません。
まずは、作業し始めましょう。
No.283 時間をかけても良いプレゼン資料にならない理由

プレゼン資料を拝見して「いま一つだな」と感じる時があります。
一方で「これはいいプレゼン資料だ!」と思うこともあります。そんな資料は、話し手自身が時間をかけて作っていると
いうことが分かります。
ただ単に時間をかければよいわけではないので、注意が必要です。
英語学者で評論家の渡部昇一氏は、「知的時間で押さえておきたいことは、脳の働きと時間の関係です」と言います。
渡部氏は、英国の詩人・コールリッジの名詩「クラブ・カーン」が未完に終わっている理由を事例にあげて説明しています。
未完に終わっている理由は、コールリッジが作詞を始めて50行目にさしかかった時に突然の訪問者があったためです。客の対応をした後、コールリッジは机に戻りましたが、二度と詩のイメージが戻らず、51行目以降が書かれることはありませんでした。
渡部氏は「脳の働きと時間の関係は溶鉱炉と同じだ」と言います。
溶鉱炉は一度火を消すと大変なので火を消さないようにするといいますが、知的作業も同じで、頭のエンジンが暖まるのに約一、二時間、それからもう二、三時間中断されることなくその仕事を続けると、頭はますます冴えてきて、その仕事にとりかかった時には予想もしなかった展開や思いがけぬ閃きが次から次へと生まれてきます。このフィニッシュの頃が知的作業の最高の時間なのですが、その時間を引き連れてくるためには、絶対に途中で中断しないことなのです。
最も知的生産性が上がりやすい時間は、開始してから2時間以降です。
身体を使うような作業であれば、確かに休憩も良いでしょう。しかし頭のエンジンが暖まる前に知的作業をやめては、知的生産性は上がりません。本当の実力が発揮できるゴールデンタイムは1~2時間後。そこまで待てるか否かがカギです。
まとまった時間をとるのは難しいかもしれませんね。でも中断が入りにくい朝の時間帯であれば、ある程度の時間を確保することは可能です。こうして知的生産性を上げることができます。
つまり単に集中力が高くても、あるいは時間をかけるだけでも、知的生産性は高まりません。まずまとまった時間を確保し、中断せずに作業を続けることで、知的作業効率が上がって良いアウトプットにつながるのです。
よいプレゼン資料づくりに必要なのは、このような時間を創出することです。
これは話す練習をする以上にプレゼンの成功につながります。
プレゼンを控えている方はぜひ「中断しないまとまり時間」を確保して作成されることをおすすめします。
No.282 良いホラは、命を救うこともある

イーロン・マスクはこんなミッションを掲げてスペースXという会社を創業して挑戦を続ける経営者です。
「火星に人類を送り込み、人類を救う」
このミッションを聞いたとき、私は「とんでもない大ボラを吹く人が現れた」と思いました。
しかしイーロン・マスクはこのミッションを真剣に追求し続けています。
いまやスペースX社は、NASAの宇宙ミッションには欠かせない会社になりました。
まったくやる気もないのに、ウソをつくのはもちろん論外です。
でも時と場合によっては、本気で信じるのであれば「ホラ」を吹くことは大事なことなのです。
人が動くか動かないか、更に言うと、ビジネスで生き残れるか生き残れないかは、ちょっとしたことで大きく差がつくからです。
ここからご紹介するのは、実際にあったお話しです。
ハンガリー軍の小部隊が、軍事機動演習中にアルプス山脈で猛吹雪にあい遭難してしまいました。隊員たちは死の恐怖に怯えて立ち往生してしまいました。すると1人の隊員が、ポケットから地図を見つけました。
「これで山を降りられる」全員が下山を決意し、行動を始めました。そして地図を見ながら帰り道を見つけ、無事下山に成功したのです。
しかし隊員たちの帰還を待っていた上官は、その地図を見て驚きました。
それは、アルプスの地図ではなく、ピレネー山脈の地図だったのです。
なぜまったく別の地図なのに、彼らは全員助かったのでしょうか。
命の危険が迫るパニック状態の中で地図を見つけて、まず全員がこう思ったのです。
「下山できる」→「よかった、命が助かるぞ」そしてこのストーリーを全員で共有しました。
その結果、下山する行動を開始できました。
こうして具体的な行動を開始した結果、一致団結して危機を脱したのです。
もし下山を決意せずに立ち往生したまま行動しなければ、全員遭難して命は助からなかったでしょう。
これは、社会心理学者カール・ワイクが著書「センスメーキ
ング インオーガニゼーションズ」で紹介したエピソードで
す。
ワイクはこの事例を「センスメーキング理論」で説明してい
ます。
センスメーキング理論は「意味をつくり、共有すれば、チームの方向性が与えられる」という考え方です。ここで必要なのは、皆が納得して共感できる、魅力的な「優れた物語」です。
ワイクはこう述べています。
「『優れた物語』には、正確性があればそれにこしたことはない。しかし正確性は必ずしも必要ではない」
人は感情で動きます。
自分が聞いた物語に共感することで、「単に聞いた話」が「自分ごと」となり、行動に変わるのです。
正確性は必ずしも必要ではないとはいえ「ウソ」は御法度です。
不祥事会見で、知っていても「知らなかった」というトップがいます。これは保身のためにごまかす大ウソですよね。
良いホラは、魅力的な物語で人を動かし、組織を成長させます。皆を幸せにするために、リーダーが自らを追い込み、腹を括らせるものでもあります。良いホラは、大きなビジョンなのです。だからホラは大きければ大きいほど良いのです。
イーロン・マスクほどのホラは難しいかもしれません。しかし「自分は仕事でこんなことを実現したい」という思いは、誰でも持っているはずです。
次のプレゼンではそんな大胆に高い目標を語ってみるのもいいかもしれません。
価値観や理念が「優れた物語」によって共有され、納得されれば、人は共感して行動し始めるのです。
No.281 マスクをつけても表情豊かに伝わる方法

まだまだマスクが取りにくい状況ですよね。
そこで、こんなご質問をいただくことがよくあります。
「対面でマスクを付けたままで、表情豊かに伝えるにはどうしたら良いでしょうか?」
マスクはどうしても声がこもりがちになります。ですので、少し頑張って2割増しに声を前に飛ばすように意識してください。
また、マスクをしても相手の表情が伝わってくる経験をされたことはありませんでしょうか?
そういう方はたいてい表情が豊かです。
つまりマスクをしている時は、ややオーバーな位に表情を作らないと伝わらない、と言うことです。
ですので顔全体の表情筋を鍛えて笑顔のトレーニングをしておけば、マスクをしていても表情が伝わりやすくなります。
今日は直前にするだけでも効果があって誰でも笑顔になれるトレーニングをお伝えしましょう。
【口角アップスペシャル】(1分)
(1)唇をぴったりと閉じ、口角をあげるように笑う。
(2)左右の人差し指を立てて、口角をトントンと軽くたたく
(3)唇の両端に1本ずつストローをくわえ、出来たてのフラペチーノを圧をかけて吸い込むようなつもりで、口角が少し痛くなるくらいに緊張感を持たせる
(4)唇の両端に1センチくらい離して左右の人差し指を立て、口角を持ち上げるイメージで指をゆっくりとあげる。ゆっくり20数える。
これで口角が上がり笑顔が出やすくなります。
さらにマスクをしているときは、表情だけに頼らずに、手振りを加えた表現をするのもオススメです。
No.280 人前で声が震える人の対処法

「人前で話すと緊張で声が震えてしまって困ってます」
と、こういうご相談を受けることがあります。
極度な緊張で声が震えることはよくあります。
しかしほとんどの人は話し手の声が震えているのは気にしていません。
話し手は骨伝導で自分の声を聞いています。
骨伝導とは骨を通して内耳に直接振動を送り、脳に音を届けること。
声の震えが脳に直接届き、より強調して聞こえるため気になってしまうのです。
逆に、空気の振動で聞いている聴き手は、話し手ほど震えは聞き取れません。
それに声を美しく響かせるために、わざわざ声を震わせる「ビブラート」という発声方法があるくらいです。
声を震わせながらでも、言うべきことをきちんと伝えれば問題ありません。
ただ、声が震えていると話し手自身が気になって話しにくいものですよね。
声が震えるのは緊張で横隔膜が硬くなっているためです。
事前に横隔膜を鍛える発声法を行っておくと震えにくくなります。
下記の悪代官発声法は、誰でも簡単に横隔膜が使えるようになる発声トレーニングです。
【悪代官発声法】
ステップ1:口を開けてゆっくり息を吸い、口を閉じ、あごを下げ口の中に空間を取ります。
ステップ2:口は閉じながら、手をお腹に当てて「フッフッフッフッ……」と悪代官の気持ちで笑う。お腹が動くのを確認します。
ステップ3:ステップ2の笑顔のまま、越後屋と目配せするつもりで、ゆっくりと「越後屋、(間合い)おぬしも(間合い)悪(ワル)よのぅ~~」と言う。
また本番で声が震えたとしても、途中で呼吸しながら話すように意識すれば極度な震えはなくなっていきます。
ぜひお試しください。