2023年7月11日から12日までNATO首脳サミットがリトアニアにて行われました。
サミット一番の注目はウクライナのゼレンスキー大統領のコメントでした。
「闘う政治家」として今や彼のトレードマークともなった、ピッタリしたカーキ色のカットソーで現れたゼレンスキー大統領。
NATO加盟の時期が示されないことを受け、まずは「前例のない馬鹿げた話だ」と強い口調でNATOを批判。強烈なカウンターパンチを放ちました。
しかしトップとの会談後に行われた共同会見では、複数年単位の軍事支援計画や加盟手続きの簡素化も発表されたためか態度は少々軟化。以下のようにのべました。
「ウクライナの人々に大事なのは、NATO加盟の安全保障」
「他の国々は生活の支援をしてくれているが、私たちは生活をする前に生き残らなければならない」
ゼレンスキー大統領のプレゼンのポイントは、どのような状況であっても首尾一貫して「ウクライナ国民の安全」を強調していること。
「なぜ私はこの話をするのか」という大義名分が明確なのです。
人は、誰もが共感する大義名分を聞くと、自分ごとに置き換えて考えるようになり心が動きます。
だから大義名分が明確であれば、多少厳しい言い方をしたとしても受け容れてもらいやすくなるのです。
ゼレンスキー大統領が大義名分を語るもう一つの理由はウクライナ国内の支持率です。
EU加盟、NATO加盟、核再武装は、ゼレンスキーが支持率を上げるための「3本の矢」。
今回のサミットでは矢の一つ「NATO加盟」に向けての努力を国民にアピールする大きなチャンスでもありました。
ゼレンスキー大統領の政治家としてのしたたかさも感じさせたサミットでした。