トップのちゃぶ台返し

 

「記者の質問に対して担当者が答えていたのに、トップがひっくり返すことがありますよね。これってどうなんでしょうか?」

ある会社の広報担当者さんのご質問です。担当者さんからするとストレスがかかる場面でもあります。

私も記者発表会の質疑応答で、そういう場面に何度か遭遇しました。

最近では、タニタの谷田千里社長です。今年3月8日に行われた会見で、記者から値段について突っ込んだ質問を受けたときのこと。担当者さんは「〇〇〇円位を考えています」と回答し、記者が「その値段は、ターゲットのお客さんを考えると、高すぎるのでは」と質問した時、谷田社長は「本当はまだ決まっていません」とあっさりひっくり返してしまったのです。

また昨年3月、ファストリテイリングの柳井社長もそうでした。新しく出来たユニクロの有明物流センターでの記者会見。物流センター内部は公開されませんでした。記者の「物流センターはいつ公開するのか?どんな整備をするのか?」という質問に対して、担当者さんが「具体的には答えられない」と回答したところ、突然マイクを手に取った柳井社長は「現状、人海戦術でやっている。上手くテクノロジーを使っていない。見せられる状況ではない」と言い切ってしまったのです。

スタッフの方は、ご自身が与えられた責任範囲の中でしか答えることはできません。一方でトップは会社の全責任を持っています。トップしか答えられないことも多いのです。そして場合によっては、全体のバランスを見て前言撤回・ちゃぶ台返しも必要になるのです。

 

 

 

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お洒落じゃないトップでも、ココさえ押さえればイケてるトップに!

 

「今度の記者会見、どんな服で出てもらったらいいのか…。ウチのトップおしゃれにまったく興味がなくて困っています」

ある広報担当者さんがおっしゃっていました。

それでは今回、とても素晴らしいトップファッションの社長さんをご紹介しましょう。

それは、タニタの谷田千里社長です。谷田社長は、ヒット映画「体脂肪計タニタの社員食堂」でも有名になった、ちょっと気弱な副社長役のモデルにもなった方。

2018年3月8日、「『タニタカフェ』の事業展開に関する記者発表会」で谷田社長のプレゼンを取材したときのことです。谷田社長は、タニタの「カロリズム」身につけて登場しました。カロリズムとは、身につけるだけで1日の消費カロリーなどを知ることができる活動量計です。

谷田社長は、雑誌の取材であろうと、会見であとろうと、どんなときでもカロリズムをつけています。谷田社長といえば、「ネクタイの横にカロリズムを付けている姿」がトレードマークになっているほどです。もしカロリズムと知らなかったとしても、ネクタイの横という目立つところにつけているので、「一体何をつけているんだろう」と、とても気になります。

谷田社長は、カロリズムを身につけることで「常に改善点を探っている」のだそうです。これは、トップの製品に対する真摯な姿勢を感じさせてとても素晴らしいことですが、もっと良いことがあります。

それは、メディアに出る機会が格段に多いトップ自ら身につけることで、強力なトップセールスになるということです。

この究極の姿が、自社製品の仮装です。

ヤッホーブルーイングの井手直行社長は、自社製品「よなよなエール」のTシャツをいつも着用していますが、会見ではよなよなエールの仮装をして登場します。3年前に取材したときなどは、「月面画報」という新製品のユニークなキャラクターに扮しての登場で、聴衆の度肝を抜きました。

井手社長のプレゼンは、派手な仮装をして一見自己主張が強いように見えますが、違います。体を張って、命懸けで純粋に製品のPRをしているのです。プレゼンの全てが「ワンテーマ」であるということが素晴らしいのです。

例えば、「ジャジャジャジャーン!」で有名な、ベートーヴェンの「運命」をフリフリのフリルのついたブラウスで指揮したらおかしいですよね?基本的に黒のタキシードであるのは、作品を活かすためなのです。舞台に出てお客さんに伝えるということは、究極、主役は「コンテンツ」「作品」であるべきなのです。

プレゼンも同じです。

もちろん、最新ファッションで登場することも良いのですが、まず最初に「会見で何を伝えたいか」を考え抜いてから、内容を活かすためのファッションを決めるのがベストです。

谷田社長の会見記事詳細は「月刊 広報会議 6月号」の4〜5ページにも掲載されています。もしご興味ありましたらご覧ください。

 

 

 

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「低い声で話せ」。でも高田明さん、甲高いですよ?

「『リーダーは低い声が良い』というのは分かりました。ジャパネットたかたの高田明さんは大丈夫なんですか?」

私が、「リーダーは低い声で話すことで、安心感、信頼感、説得力が格段に上がる」と話した講演後によくいただく質問です。

独特の甲高い声で話す、テレビショッピング名物MCと言えば、ジャパネットたかたの高田明さんです。

じつは高田さん、経営者として、社内では物静かで低い声で話しています。2015年1月16日の社長引退記者会見でも、テレビショッピングとは別人のような低く落ち着いた声で話していたのが印象的でした。

 

今、日本経済新聞「私の履歴書」で、高田明さんが連載しています。4月16日掲載の第16回で高田さんはこう書いています。

甲高い声でしゃべる私のスタイルは、ラジオのころから兆候があったらしいが、テレビではさらにキーが上がった。『この商品を伝えたい』と思うと、自然にあのテンションになる。普段の私の話し声は低い方だから、いつも初対面の人に『テレビのときと全然違う』と驚かれる

 

高田さんは迫力のある激しい口調で怒ったりもするそうです。

高田社長の本「社長、辞めます!ジャパネットたかた激闘365日の舞台裏」(日経BP社)の中で印象深い事が書いてありました。

現社長でもある息子さんの旭人さんが、

「高田社長と何度も激しくぶつかりあった。社員の前でも平気でやった」

という言葉に対して、インタビュアーが「高田社長が激しく言う姿が想像できません」と言うと、

「社員はみんな想像できますよ(笑)」

と答えます。

物静かな語り口調と、社員の前で激しく言う姿。そして、テレビショッピングの甲高い声。どれも同じ高田明さんです。

高田さんは、テレビのバラエティ向けとトップとしての声を自然に使い分けていました。それは、ビジネスの修羅場や、厳しい交渉、マネージメントの経験を積んで、自己の様々な可能性を探求した結果なのです。

 

 

 

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「全員会見」でワンチームにまとまった、セールスオンデマンドの発表会

 

「ウチの社長、存在感がないんです。いるのかいないのかわからないし…。ハッキリしないし…。社長らしく、強いリーダーシップをもって話してほしいのですが…」

広報担当者さんから、こんなご相談がありました。

「サラリーマン金太郎」のように強烈なカリスマタイプのリーダーならば、確かに強いリーダーシップを発揮します。外資系企業トップにはそんな方が多いですよね。しかし、リーダーシップは、それだけではないのです。

2018年1月24日、セールス・オンデマンド株式会社の「窓掃除ロボット 新製品発表会」で、室﨑 肇社長のプレゼンを取材してまいりました。

これほど自然体の社長はなかなか見たことがありません。身振り手振りもなく、まっすぐに脱力した立ち姿。それで淡々と語ります。まったくインパクトがないのです。

しかし「凄い」と思ったことがありました。

一切資料を見ず、すべて自分の言葉で語っているのです。当たり前のように思えますが、世の中では原稿がないと話せないトップはとても多いのが現実。商品に関するテクニカルな言葉も、完全に自分の中で消化して話しているのが伝わってきます。

実は室﨑社長は、一見地味な、本格派なのです。

そしてこの日、最も印象深かったことがありました。

小野寺英幸事業本部本部長が、エネルギッシュなプレゼンを行い大活躍。質疑応答でも社長を横にしてほとんどの質問に答えていました。室崎社長は、「俺を差し置いて」などとは微塵も感じさせず、むしろ自然体でそれを見ているのです。また、司会も社員が上手に担当、パートナーである韓国RF社のリ・スンボク社長も心のこもった見事な日本語で挨拶を行いました。

会場にいた社員とパートナー全員がイキイキと活躍する「全員会見」でした。

日本型と欧米型のリーダーの違いはエゴマネジメントなのかもしれません。強力なリーダーシップで組織を統轄する欧米型リーダーは、「自分はこういう考えだ」という強い自我(=エゴ)が求められます。しかしエゴが強すぎると、部下の良さを殺してしまうこともあります。こうなると組織の力は引き出せません。

しかし、室﨑社長のようなリーダーは、そのような強い自我はあまり感じられません。そのかわり自分の存在感を消して社員の積極性を引き出す「引き立て力」を持っています。

反面、このようなリーダーシップは物足りなさも残ります。それは明確なビジョンが見えにくいこと。会社のビジョンはトップしか語れないことです。

引き立て力によりチームの力を引き出し、そのスタイルは残しつつ、明確なビジョンも語れるようになれば、更に会社は成長していくのではないか、と感じた会見でした。

 

 

 

 

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トップの大ボラと大ウソは、正反対

 

「うちのトップ、取材のとき気持ち良くなってついつい大ボラを吹いてしまうんです。いくら”オフレコ”と断っても、言ったことは記事に出てしまいます。どうすればいいのか…」

ある企業の広報担当者さんが困り顔でご相談に来られました。
「大ボラ」と「大ウソ」…。一見似ているようで、実は違います。

3月27日に、カルビーの松本晃会長が突然の退任を発表しました。

昨年5月、その松本会長がアリババと提携して越境EC事業の発表会を実施。発表会を取材させていただいたときのことです。

「(中国でフルグラを)1000億(売る)ってやつ。もともとホラ吹きですから、ホラ吹いてまして」

と、”松本節”が炸裂していました。

質疑応答でも、

「今、国内500億、海外1000億、まだホラの段階でして。『ホラは2〜3年すると夢に変わってそのうち現実になる』」

と発言したときは、隣に座っていたアリババ株式会社のCEOが苦笑い。また、

「ついでにホラを吹いてしまうと、究極のフルグラ販売地域は北米だと思ってます」

と言い、アリババのCEOもさすがに「えっ?」という目線で松本会長のほうを思わず見ていました。カルビーのフルグラ事業本部本部長さんは、急にご自分の肩を揉み始め、辛そうなお気持ちが伝わってきました。

後日、メディア各社の記事を確認。案の定、「ホラ」の部分はカット。「目標1000億円」という見出しのオンパレード。メディアとの会見では「オフレコ」はありません。たとえ「ホラ」と断っても、事実として報道されます。メディアはニュースバリューが大きい話題をいつも探しているのです。

実は松本会長は、確信犯。取り上げられるのを狙ってホラを吹いていたのです。

悟りをひらいた僧侶のような表情で、両腕をブランと脱力して立ちながら、「のしっ、のしっ」とゴルフのスタンスをとるようなポーズで話す松本会長。その姿は、「あしたのジョー」の主人公、矢吹ジョーが試合中にとる”ノーガード”を彷彿とさせ、リラックスしながらも、まったくスキのないプレゼン姿でした。

松本会長は、プロ経営者です。カルビー会長兼CEOに就任。カルビーを一気に成長させました。 だから結果がすべて。結果を出すことを最重要視する現実主義です。

松本会長は、「なんでもあり」の人でした。

ちなみに『ホラを吹く』で有名なのが、『ホラ吹き三兄弟』と呼ばれている日本電産の永守重信会長、ファーストリテイリングの柳井正社長、そしてソフトバンクグループの孫正義社長です。

もちろんウソはダメです。不祥事の際に、実は自分は知っていたのに「知らなかった」というトップがいます。これは誤魔化すための大ウソ。目的は自分の保身です。

しかし大ボラは違います。誤魔化しではありません。自分の保身ではなく、自分を追い込むために、大ボラを吹いているのです。

言い換えれば、大ボラとは「大きなビジョン」。
だからホラは、大きければ大きいほど良いのです。

 

 

 

 

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ウチのダジャレ社長に困っています

 

「社長がダジャレやオヤジギャグの連発で困っています。正直やめてほしいんです。これっていいんでしょうか?」

広報担当者さんからご相談をいただきました。

ダジャレ好きな方は、呼吸するようにダジャレをおっしゃるので、なかなか止められないものですよね。

ダジャレのマイナス点は…
・ウケないと場が冷え切ってしまう
・ウケるまで繰り返す人が多い。さらに場が凍ってしまう
・ダジャレが一人歩きして、本来伝えるべきメッセージが伝わらない

広報さんは頭が痛いですね。

一方で本来、ダジャレは良いことも多いのです。

まずトップの楽しい人柄がにじみ出て、共感が高まります。

以前、「ダジャレ知事」として有名な平井伸治・鳥取県知事のプレゼンを取材したときのこと。

「鳥取にはスタバはないけど、日本一のスナバがある」

何となく覚えている方もおられるのではないでしょうか?
平井知事就任後、鳥取県の知名度はかなり上がっています。

取材したプレゼンでは、
「鳥取県はほっこり県です」
「鳥取の女性はおっとりジェンヌ」

ゲストで元タカラジェンヌの遼河はるひさんに鳥取移住を勧めながら、

「はるひさんが鳥取に”はいる日”」

…など、平井知事がダジャレやジョークを言うたびに会場は笑いで包ました。こんな笑いの多い会見は見たことがありません。

「らっきょうを一日に4つ食べると病気にならないんです。私が言うとウソに聞こえますが、みのもんたさんが言ったので間違いないです」

と自虐的とも言えるジョークで一歩引きながら特産品を売り込むスタイルも板についていました。

注目は囲み取材。メディアがさかんに知事に「ダジャレを言わせよう」「ダジャレを引きだそう」と質問していたのが印象に残りました。残念だったのは、囲みでは調子がいまひとつだったようで、ありきたりの答えしかできず、ダジャレが出なかったのです。平井知事は、相当準備してダジャレを言うタイプのようです。

いまやメディアは、知事の面白いダジャレを待っています。その『お約束』を果たすから、記事になるのです

「平井知事=ダジャレ」というパーソナルブランドが確立しているのです。

「ブランドは、鍾乳洞である」という言葉をご存じでしょうか。石灰を含んだ地下水が、数千年から数万年という長い年月をかけて一滴ずつ滴り、鍾乳石が作られ、大きな鍾乳洞になります。ブランドもこの鍾乳洞と同じです。一滴一滴の石灰水の積み重ねで鍾乳石が出来るように、一つ一つの顧客満足の積み重ねでブランドが出来上がります。

「お約束を果たす」という顧客満足を時間をかけて蓄積することで、強いブランドが作られて、広まっていきます。「鳥取県の平井知事=ダジャレ知事」という強いブランドは、ダジャレを通じて、一つ一つの顧客満足を地道に積み重ねていった結果なのです。

センスの良いダジャレは、強烈な印象を植え付け、人に記憶されます。たとえば、受験で覚えにくい言葉をダジャレで記憶した経験はありませんか?メッセージとダジャレを上手く組み合わせると、市場に記憶され、爆発的な訴求力を発揮するのです。

ダジャレを言うのはとても良いことです。ただ、一過性で終わらせないこと。そしてダジャレのセンスを磨くこと。徹底的にダジャレという「お約束」を蓄積していくことで、トップのメッセージも高まります。

ですので広報は、ダジャレ好きのトップを止める必要はありません。むしろもっとセンスの良いダジャレを言ってお客様に人柄を印象づけるように、トップを鍛えてあげることが必要なのです。

 

 

 

 

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「トップはカッコつける必要はない」と実感した、ファミマ澤田社長の会見

 

「社長が社員の前で話しても、いまひとつ盛り上がらないんですよね」

広報さんからこんなご相談をよく受けます。社内コミュニケーションも広報の大事なお仕事ですね。

トップのプレゼンが、周囲の行動も変えていくことに気がついた会見がありました。ファミリーマート澤田社長のプレゼンです。

昨年、ファミリーマート新戦略発表会を取材をしたときのこと。「月刊 広報会議」の記事でも書きましたが、澤田社長のものすごい熱量の高さに圧倒されました。

会見で印象的だったのが、社員さんたちの明るさです。緊張しがちな会見場ですが、皆さんの表情がイキイキとしていました。
もう一つ、他の会見とは大きく違う点がありました。

囲み取材です。

通常のトップ囲み取材では、あらゆる事態に備えて隣に担当者がつきます。しかし澤田社長は、一人だけ。記者の質問に、しっかりとした声で、自分の言葉で答えていました。自分が分からない質問には、周囲の担当者を大きな声で「おーい!分かる?」と呼びます。その勢いに記者が大勢集まって囲み取材は大盛況。囲み後も、名刺交換に長蛇の列でした。澤田社長と同じ空気を吸っているだけで、元気になるような会見でした。

なぜ、澤田社長がここまで人を元気にさせるのか。その答えが、澤田社長が出演した11月放映の「カンブリア宮殿」(テレビ東京)にありました。

村上龍さんが、澤田さんが伊藤忠からユニクロに転職した時のことを聞いたときのこと。澤田社長は、

「リクルートに登録し、ご紹介いただいてユニクロに転職した。ヘッドハンティングでも何でもない。一介のサラリーマンなので、どこに行ったらいいのか分からない。マンションを買ったばかりで、借金もあった」

と正直に答えました。

村上さんは、「リクルートですか…こんな経営者は初めて」と驚きを隠しませんでした。

澤田社長は、自分の足で地方の店舗を回り、スタッフ一人一人の手を握って声をかけていました。宮城県の端にある店舗オーナーさんは少し涙ぐみ、「感動した。社長がこんな北の果てまで来るなんて初めてのこと」と言っていました。

なんと澤田社長は、社長就任前の3ヶ月間、ご自身が店舗のスタッフ研修も受けています。

澤田社長の徹底した現場へのコミットメントと同時に、裃を脱ぎ、「自分はこれ以上でもこれ以下でもない」というありのままの姿を、率直に、格好をつけずにさらけだしているのです。

どんなに凄いトップであっても「私たちと同じビジネスパーソンなんだ」ということが強く感じられました。

こういうリーダーに人はついていくのではないでしょうか。

澤田社長を見ていて、プレゼンでは格好つける必要などない、と感じました。人生をかけてきたトップが、ありのままの姿を素直に表現すれば、人は感動し、良き方向に行動を変えていきます。これが格好つけないトップ広報の理想型なのだと確信しました。

ファミマ・澤田社長の「カンブリア宮殿」動画は、3/31まで無料視聴可能です。

 

 

 

 

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3月7日、「朝活広報会議〜関西の陣」で講演しました

 

3月7日、「朝活広報会議〜関西の陣」で講演しました。

「朝活広報」の講演はこれで2回目。1回目は東京、今回は大阪でした。早朝から40名がご参加。

「プレゼン力を鍛えよう」というテーマで、トップ会見を取材した実例から学び、すぐに使えるテクニックやボイストレーニングのワークショップなども行いました。「とても参考になった」「実務につながるヒントとなった」「理解しやすかった」等のご意見を多数いただきました。

関西の方々はコミュニケーションのフットワークが軽やかですね。ご意見や質問など、積極的に手があがりさすがと思いました。

とても話しやすく、素晴らしい時間でした。ありがとうございました。

 

 

 

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トップも人間だから、間違ってもいい

 

トップのフォローは広報の大切なお仕事。
広報にとって、会見でのトップの発言や一挙手一投足はとても気になるところですよね。

今年1月11日、「東京タワーリニューアル発表記者会見」で日本電波塔、前田伸社長のプレゼンを取材にしたときのこと。

スタッフの皆様の前田社長への気配りが際立っていました。責任者と思われる方は、社長プレゼンや質疑応答で一言一句に頷いていましたし、囲み取材ではフォローのコメントも入れていました。きっと常に近くにいる担当の方なのでしょう。

一方で、背後に立っている社員お二人も、目を見開き緊張感いっぱいの表情。緊張感が伝わったのか、記者の皆さんも徐々に静かになりました。

周囲がトップをサポートするのは良いことですが、一方で前田社長がとても慎重にお話ししたり、質疑応答で慎重に手元の答えを確認しながら読み上げている様子を見ていると、トップがもう少し自由に話せるような配慮をしても良かったのでは、と思いました。実際に囲み取材でご自身の言葉で話されているときは、とても良い表情で言葉もイキイキしていましたし、別の質問で何も見ないで答えた時は、やっと少し笑顔を見せてくれて、聞き手としてもホッとしました。前田社長は自然に話せば強みが出てくる方と感じました。

間違いを言うのはよくありませんが、トップに「間違ってはダメ」というプレッシャーをかけるのもよくありませんよね。「人間なんだから多少間違っても良いじゃないか」というくらいの余裕を持ったほうが、結果は上手くいくことが多いものです。

さらに詳しくは、「月刊 広報会議 4月号」プレゼン力診断に執筆した記事が掲載されています。もしよろしければご覧下さい。

 

メガネ選びは、トッププレゼンの一部です

 

最近、あるトップの写真撮影がありました。メガネをかけている方だったので、カメラマンより「メガネを何点か持って来るように」との指示があったのですが、最終的にはメタリック調でシャープなイメージの講演用メガネで撮影に臨みました。

「メガネは顔の一部です」というキャッチコピーがありましたが、トップのメガネ選びはとても大切です。メイクやヘアスタイルよりも、メガネは顔の印象を強く左右します。

メディア取材はもちろんのこと、人前に立つときは常に同じメガネをすることで、強い印象を与えることができます。

理想的なメガネの選び方をしている、と思ったのが、湖池屋の佐藤章社長です。
2016年に湖池屋の取材にうかがったとき、佐藤社長は「ポルシェデザイン」のメガネをかけていました。メタリックでフレームやテンプル(つる)の部分にスリットが入り、スタイリッシュで存在感のあるデザインです。佐藤さんはキリンビバレッジ社長時代からこのポルシェデザインのメガネを愛用しているようです。佐藤さんのようなに仕事でもブランドにこだわる人は、「これ」とブランドを決めたら変えないものなのでしょう。

星野リゾート・星野佳路社長は、10個のメガネを仮面のようにかけかえることで、モードを切り替えるといいます。仕事用メガネも毎年新しくするそうです。星野社長は2010年に「日本メガネベストドレッサー賞」も受賞しているほどメガネにこだわりをお持ちの方。星野社長は、メガネを変化させることがパーソナルブランドイメージにつながっています。

メガネで、相手に与える印象は大きく変わるのです。
「個人的に、このメガネが好き」も大事なこと。その上で、「そのメガネで相手にどのような印象を与えたいか?」も考えて、メガネ選びをしたいところです。

 

 

 

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羽生選手は、物語で人を動かす

 

羽生結弦選手の演技、深みがあって素晴らしかったですね。以前より、羽生選手の会見やインタビューにおけるプレゼン能力の高さには注目してました。

昨日発売の「週刊朝日」で、このテーマで取材を受けました。(p.157です)

羽生選手は”何を語るか”を周到に準備しています。これはビジネスのプレゼンでも参考になります。

羽生選手は、「王者になる」「アクセルは王様のジャンプ」「僕は勝ちたい」といった、羽生選手の生き様や哲学とか反映された「羽生語」を持っています。

これはトップでも同じです。
たとえば日本電産・永守重信会長の場合は、「千切り経営」「家計簿経営」「井戸掘り経営」。
あちこちで繰り返し話すことで、訴求力が高まり、注目されていきます。

羽生選手は、さらに物語を語る高い能力も持っています。自分の言葉で「自分の物語」を人に伝え、人を動かす。リーダーとして大事な資質です。羽生選手が将来その資質を活かせば、引退後も世界的に影響力のある存在になっていくと思います。

本選の陰陽師をイメージする演出も羽生選手らしく素晴らしかったのですが、予選ショートプログラムの演技も羽生選手の良い面を引き出しており秀逸でした。

羽生選手の資質と音楽の内容が、完全に一致しているからです。

音楽は、ショパン作曲、バラード第1番 ト短調 作品23でした。バラードとは「物語」という意味です。映画「戦場のピアニスト」でも、主人公のピアニスト(ユダヤ系ポーランド人)は、ドイツ軍将校の前でこのバラード第一番を弾き、その音楽に感動した将校により命を助けられます。

人は、物語で動く

それがプレゼンの神髄なのです。

 

 

 

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自分の言葉で語る、日本電産・永守さんの社長退任

 

2月15日、日本電産社長の永守重信さんが社長交代の記者会見を開きました。永守さんはCEO兼会長に就任されます。
今や日本電産は2兆円企業に迫る大企業。主な理由は「体力の限界」とのこと。世界中を走り回るのは並大抵の体力では持ちません。

以前より永守さんは素晴らしいプレゼン力の持ち主だと思っていました。腹の底から信じ、自分の言葉で語る姿は、桁外れの説得力。「千切り経営」「家計簿経営」「井戸掘り経営」など、永守さんの経験から来る、永守さんらしいどんな人にでも分かりやすい言葉選びは、皆が共感します。メディアへの訴求力にも繋がっているのです。

質疑応答の場でも、永守さんは自分の土俵から逃げません。株主総会では、ユーモアを交えながら逆に質問したり、反論したりしてすべて直接解答します。いわく、

「『貴重なご意見たまわりました』と生真面目にやったら(株主)が昼寝して終わる。株主との距離をぐっと縮めることも総会の意義だ」

2016年の世界経営者会議で登壇した永守さんを拝見しました。そのとき、

「私は2030年までやります。これはホラではなく約束します。『出来る』と信じて疑わないから。真田丸のお兄ちゃんも90歳まで生きた。ワシ、人間ドックで48歳なんで。気力と体力があれば事業は儲かる」

と言っていました。有言実行の永守さん。あと12年はやっていただけるものと信じています。

日本の経済のためにも、永守さんにはもっともっと活躍していただきたいですね。

 

 

 

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トップは、完全原稿がないと話せない?

ある社内広報担当の方から聞いた話しです。
社内イベントを、ある事業部の課長と企画していた時のこと。

課長「そうだ。冒頭で数分、A常務に話してもらおう」
広報「A常務は完全原稿を用意しないと話さないですよ」
課長「そんなのあり得ないよ。トップは自分の言葉を持っている。話せるよ」
広報「…じゃぁ、もし原稿が必要になったら、お願いしますね」
課長「まぁ、そうなったら、ね。あり得ないけど」

そして二人でA常務に数分のスピーチをお願いに行きました。

A常務「話してもいいよ。で、スピーチ原稿は?」

結局、課長は「あり得ないよ、これ」と言いながら、スピーチの完全原稿を作りました。

しかし本番では、A常務は原稿はほとんど見ずに、自分の言葉で話したのだそうです。

責任範囲が大きい常務ともなれば、事業全体の中で、個別事業の位置づけや意味づけはちゃんと把握できています。一方で常務ともなれば、多くの事業を見ているので細かいレベルまでは把握できていません。だから何も資料がないと困ってしまうのです。

本当に必要なのは、ポイントとなる言葉を書いた箇条書きのメモ程度の参考資料です。
A常務は、完全原稿を用意させた上で、自分なりの言葉に置き換えて話したのです。

しかし現実には、A常務のように完全原稿を消化して、自分の言葉に置き換えて話せるトップは稀です。
実は完全原稿をそのまま読み上げると、どうしても「借り物の言葉」になってしまい、パッションが聞き手に伝わらないので、消化不良になってしまいます。A常務はそのことがわかっていたのでしょう。

ですので、広報担当者がトッププレゼンの準備をする際には、完全原稿ではなく、ポイントの箇条書きだけを用意して、あとはトップの言葉で話してもらうように習慣づけていきたいものです。

 

 

 

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トッププレゼンの世界共通語は、母国語である

 

日本人トップが英語でプレゼンしているのを見かけることがあります。

英語で話す努力をすることは立派なのですが、大抵の方は読み上げるのに必死。まったく気持ちが伝わってきません。

最近、 LINEがバイクシェアサービス「モバイク」との業務提携を発表した会見に取材に行ってまいりました。モバイクは、たった2年でユーザー2億人に成長している世界でも注目の中国企業です。

会見では、モバイク本社のCEO胡瑋煒(フー・ウェイウェイ)さんも来日し、母国語である中国語でプレゼンを行いました。プレゼンが始まるとするどい目つきに一変。脇を締めてまるでボクサーのようなファイティングポーズをとりながら、ポインターを持つ手を振り回して話す姿は洗練されていませんが、得体の知れない迫力です。中国での激烈な競争を勝ち抜いてきた気性の激しさがほとばしっていました。胡さんの、腹の底から信じる強い想いが言葉を超越して響いてきたプレゼンでした。この心の響きこそが「世界共通語」なのです。

日本電産の永守社長は海外のM&A後、現地の会社に行くと社員全員を集めて日本語で話しをします。一生懸命本気で話すと、言葉が分からなくても現地の社員は熱心に耳を傾け、最後は皆で盛り上がるのだそうです。

 

現代は同時通訳レシーバーが用意されているので、中国語が分からなくても意味は通じます。胡さんのプレゼンを聞いて、無理に英語で話す努力をするよりも、トップしかできない中身を磨くことに時間を使うべきだと改めて感じました。

トッププレゼンとは、トップのパッションとビジョンを伝えることなのです。

 

LINEの会見については「広報会議 3月号」『プレゼン力診断』に詳しく書きました。
もしご興味ある方はご覧ください。

 

 

 

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トップのプレゼンが上手くならないのは、仕組みで解決しよう

 

広報さんからのご相談で一番多いのが、これです。

「ウチのトップはプレゼンが下手な上、練習しないでメディアの前に出るので困っています。だらしない会社という印象を与えているかもしれません。なかなか聞いてもらえません。どうすればいいでしょうか」

実際には、プレゼンが上手にならないトップのほとんどは、自分のプレゼンを「そんなに悪くない」と思っています。つまりトップ自身の危機意識がないのです。これでは変えるのが難しいですよね。とはいえ、このまま放置するのも考えものです。

どうすればいいのか?一番大事な点があります。それは、広報担当者自身が、危機意識を高めることです。

広報担当の方に詳しくお話しを聞いてみると、こんなことが多いのです。

「言ってはみたけど反応が鈍いし、言い難いことなので、ついつい後回しになっている」
「意を決して言っても、トップ自身が全然聞いてくれない。結局、一度しか言ってない」

広報担当者ご自身が本気で「これはまずい。解決しなければ」と危機意識を高めない限り、状況は変わりません。
そして危機意識を高めたら、次に、一人で抱え込まずに、少人数のチームを作ること。広報担当者なら広報部長を味方につける。あるいは社長室長と話してみる。そして自分の危機感を共有するのです。少人数チームを作れば、いろいろなアイデアが出てきます。

そして個人ではなく、チームでトップに進言すること。広報さんがトップの説得に成功してプレゼンが良くなるケースは、お一人ではなく、2〜3人のチームを組んで対策を立てていることが多いのです。

実際に私も、トップ、広報部長さん、社長室長さんの3人で会社の方向性をお話しし合って、社長のトッププレゼンをコンサルティングしています。

トップは自身の危機意識を持ってもらうには、説得する広報さんがそれ以上に危機意識を高めることが必要です。そして、一人で抱え込まずにチームで動くこと。仕組みで解決していくのです。

 

 

 

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広報担当者がTVインタビューをクリアするために

 

「今度、テレビ取材で話さなくてはならなくて困っているんです」
というご相談を広報担当者さんから受けました。

テレビ局が企業を取材するときは、広報担当者がインタビューを受けて話すことも多いかと思います。

拝見していて、いつも気になっていることがあります。ほとんどの人が、一生懸命お話ししているのですが、今一つ伝わってこないことが多いのです。

特 に目につくのは、しゃべるのにいっぱいいっぱいで、一文ごとに頭を振ったり、女性だとゆらゆらと無意識に「女子揺れ」してしまっていることです。テレビの 画面だと余計に揺れが目立ってしまい、いかにも余裕がなく不慣れな印象を与えてしまいます。体を揺らさないだけでも落ち着きが出て、得力が上がるはずで す。

しかし、緊張するテレビインタビューです。細かい技術を一つ一つ気をつけている余裕などないのが現実ですよね。
ゆらゆら揺れて話している人は、いろいろ話しているのですが、大抵「コレ伝えたい!」がはっきりしていないのがほとんどです。

そこで、「はっきりしゃべる」「内容を覚えて原稿を見ない」「体を安定させる」など技術的なことが、一気にクリアできる方法があります。

それは、「コレ伝えたい!」をはっきりさせること。

こ の「コレ伝えたい!」が決まり、腹の底からその思いを前面に出せば、否が応でもはっきりしゃべらざるえません。強い想いは決して内容は忘れません。強い気 持ちも入ります。だから体が安定してゆらゆら揺れたりしません。何よりも強いパッションが、言葉に説得力を宿らせるのです。

 

 

 

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「自然体」の川上元ドワンゴ会長のトッププレゼンから感じたこと

先週もお伝えしましたが川上量生さんがドワンゴの会長を退任されました。

11月28日の会見にはユーザーも来場、客席の前半分がユーザー、後ろ半分が記者席という配置になっていて、「ユーザーファースト」の姿勢を前面に押し出していました。

当日、各席にはノートPCを用意して会見をニコニコ生放送で流し、ユーザーとの対話を「見える化」していました。しかし、新サービスが予定通り動かない状態になり、ユーザーの怒りが爆発。「ニコ動」には罵詈雑言の嵐が流れてしまったのです。

そのとき、川上さんは質疑応答も延長し、ユーザーの声を聞き届けようと一生懸命でした。

多くの企業は、今回と同じ状況に陥ったら、トップを守ろうとして、質疑を早めに打ち切ることがほとんどです。この日も、取締役の夏野剛さんが「そろそろ時間ですので…」と切り出しました。しかし川上さんは「いや、続けましょう。全部聞きます」と即座に言い切り、ストップはかけませんでした。もし、ここで打ち切っていたら、顧客は口を閉ざし、黙って離れていくことをよく分かっていたのだと思います。川上さんの姿勢は「ユーザーファースト」を貫きました。

しかし、課題もありました。

川上会長は会社員時代、「どうしてもやりたいゲームがあったので、社長に提案して会社でゲームし放題にした」という根っからのゲーマーです。川上会長にとってユーザーは自分と同じ仲間なのかもしれません。会見で感じたのは、「自分のプライド」を捨てて、仲間に文句を言われながら一生懸命説明している、一人のゲーマーの姿でした。

そのため、話し方も、仲間に言い訳するような「あのー」「えーと」を多用する言葉使いが多くでていました。

どんなときでも自然体で態度を変えないのが川上さんの良いところ。しかし「ユーザーファースト」を優先しすぎ、ユーザーとの距離感が近くなり過ぎる危険性も感じました。結果、ユーザーは言いたい放題。それが増幅されてネット上も大炎上してしまったのです。

公式なトップ会見で、「あのー」「えーと」を多用しすぎると、決断力が弱い印象を与えてしまいます。シンプルな言葉で毅然と話すようにすれば、内容がストレートに伝わり、今回もここまで荒れることはなかったのではないでしょうか?

「いつも自然体」という川上さんの良さを活かしつつ、話し方も変えることで、もっといいトッププレゼンになったように思いました。

 

詳しくは宣伝会議デジタルマガジンにも掲載されています。

「退任したドワンゴ川上会長 あの『炎上』会見のプレゼン分析」

よろしければご覧ください。

 

 

 

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取材3週間後に退任!ドワンゴ川上会長のプレゼンから、感じたこと

 

12月21日、川上量生さんがドワンゴ会長を退任されました。
その3週間前の11月28日。私は川上さんのプレゼンを取材していました。新しいニコニコ動画サービス「ニコニコ(く)」の発表会でした。元々は10月発表予定でしたが、技術的な問題により2ヶ月延期され、この日の会見になったのです。

しかしデモではサービスが上手く動かず、ニコニコ動画ライブ配信では罵詈雑言の嵐。当日来場していたユーザーからも厳しい意見が続出。10分の予定だった質疑応答は、その場で川上さんの判断により延長し、56分にも及びました。

川上さんは平静を保ってはいましたが、最後の「これで発表会を終了したいと思います」という声はかすれ、肩を落とした背中には疲労と寂寥感が感じられました。そして、質疑応答後に予定されていた「エンディング向けデモ配信」は行われず、いつの間にか発表会は終了したのです。

川上さんの、厳しいユーザーの声を最後まで聞き届けた態度は立派でした
しかし今回は、プレゼンの内容以前にとても気になったことがありました。進行と時間管理のマネージメントです。

10月予定の新サービス発表が遅れたこともよくありませんが、当日17時に予定していた開場時間は20分遅れ。質疑応答の延長によって終了時間は20分オーバー。最後に予定していた「エンディング向けデモ配信」も説明なく終了。終了時間を20分超過したためかもしれませんが、予告している以上、中止するならば一言説明が必要でした。

トッププレゼンで大事なことは、「聴衆の人生の貴重な時間を預かっている」という覚悟を話し手が持つことです。
しかし、世のほとんどのトッププレゼンは時間を大きく超過しています。いかに内容が良くても、時間超過はプレゼンの満足度を下げる最大の要因です。逆に余裕を持って短めに終われば、聞き手の満足度は上がります。

今、世の中はもの凄いスピードで変化しています。今や時間は、ヒトモノカネ情報に次ぐ「第5の経営資源」。
時間にルーズだと思われてしまうことは、致命的です。
今回のプレゼンは、時間感覚の緩みがアウトプットにも表れていたような気がしてなりませんでした。

 

川上さんのプレゼンについては「広報会議 2月号」の『プレゼン力診断』に詳しく書きました。
もしご興味ある方はご覧ください。

 

 

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今年最高のトッププレゼンのあの人から学んだこと

残すところ今年もあと4日。
今年も数多くのトップ会見を取材しました。

今日は、今年一番素晴らしかったプレゼンをご紹介します。

広報会議の記事では公開していませんが、私はトッププレゼンを次の6項目で5点満点で採点しています。
(6項目とは「声」「話し方」「表情と目線」「身振り手振り」「ファッション」「コンテンツ」です)

トップの平均値は3点。4点以上になるとかなりの高得点です。

連載4年目の今年、初めての満点のトップが出ました。

ソニーCEOの平井一夫さんです。
全項目で文句のつけようがなく、パーフェクトなプレゼンでした。

実は3年前にも平井さんのプレゼンを見ました。上手でしたが、本来持っている熱いパッションが伝わってこないもどかしさを感じていました。当時はソニーの業績も下降、メディアもソニー内部の方々さえも「ソニーはダメだ」と言い始める状況での社長就任。「あー」とか「えー」とかの言葉も多く出ていて、どこか自信のなさというものが感じられたのを覚えています。

しかし今年取材したプレゼンでは一変。
ご自身が「初挑戦」というテナーサックス演奏、ジョン・カビラ氏とのノリノリトーク、そして、ソニービル最後のおわかれスピーチでは、元々持っている潜在能力を全開にしての鳥肌が立つようなシャウト。

その4ヶ月前、日経フォーラム世界経営者会議でのプレゼンも、世界の著名トップを凌駕していました。フィナンシャル・タイムズの編集長の鋭い質問にも英語で堂々と渡り合い、「ついに日本にもこういう経営者が登場したか」と思わされた経験でした。

ソニーの業績を回復させたという自信が、自然ににじみ出ていました。

この3年間、平井さんは努力し、変化し、進化していたのです。
プレゼンは、日々の仕事での努力、人生の深みがそのまま表れるものだと実感しました。
このような素晴らしい場に立ち会えたことに、大きな幸せを覚えました。

2018年も、さらにものすごいスピードで世の中は変化していくはずです。現状維持ではあっという間に時代に立ち後れます。

変化対応力と進化は、トッププレゼンにも求められているのです。

今年1年間、ありがとうございました。

そして2018年もよろしくお願いいたします。

 

 

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プレゼンスタイルは、TPOで変えるべし

 

ある会見で、外資系企業の日本人トップが、米国人が良く行うポケットに手を突っ込む動作をしていました。でも、途中から違和感に気がついたのでしょう。ポケットから手を出して話していました。本番冒頭は誰もが緊張するので、その人のクセがでやすい場面でもあります。ついつい海外でプレゼンしているときのクセが出てしまったのかもしれませんね。

本来日本では、聴き手に対してラフな印象を与えがちなので、ポケットに手はNGです。

 

外資系企業の外国人トップでも、日本での会見では手をポケットに突っ込んで話す人はほとんどいません。ある米国大手飲料メーカーの外国人トップなどは、舞台に上がる直前、お客さんの座っているフロアと同じ高さから丁寧に会釈し、壇上に上がってからも「高い所からすみません」とでも言うように、もう一度会釈をしていました。日本の「何よりも礼節を重んじる」という文化を彼なりに解釈し、リスペクトしているのが伝わってきました。

一方、ハーバードビジネススクールの日本人教授が、権威あるビジネスフォーラムでポケットに手を突っ込みながら話していたことがありました。このときは、ここが日本であっても、形式は「ハーバード流」で行われていたため、まったく抵抗感なく受け入れることができました。

プレゼンでの身振り手振り立ち居振る舞いは、プレゼンの形式、そして聴き手の文化と、聴き手へのリスペクトの問題が大きく関係します。

「こうすると話しやすいから」「格好良いから」とか、「いつもこれでやっているし」ではなく、「聞き手は誰か」「ここはどこか」をあらかじめ考慮に入れて、プレゼンスタイルを決めるべきなのです。

 

 

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