No.280 人前で声が震える人の対処法

「人前で話すと緊張で声が震えてしまって困ってます」

と、こういうご相談を受けることがあります。

極度な緊張で声が震えることはよくあります。

しかしほとんどの人は話し手の声が震えているのは気にしていません。

話し手は骨伝導で自分の声を聞いています。
骨伝導とは骨を通して内耳に直接振動を送り、脳に音を届けること。
声の震えが脳に直接届き、より強調して聞こえるため気になってしまうのです。

逆に、空気の振動で聞いている聴き手は、話し手ほど震えは聞き取れません。

それに声を美しく響かせるために、わざわざ声を震わせる「ビブラート」という発声方法があるくらいです。
声を震わせながらでも、言うべきことをきちんと伝えれば問題ありません。

ただ、声が震えていると話し手自身が気になって話しにくいものですよね。

声が震えるのは緊張で横隔膜が硬くなっているためです。
事前に横隔膜を鍛える発声法を行っておくと震えにくくなります。
下記の悪代官発声法は、誰でも簡単に横隔膜が使えるようになる発声トレーニングです。

【悪代官発声法】
ステップ1:口を開けてゆっくり息を吸い、口を閉じ、あごを下げ口の中に空間を取ります。

ステップ2:口は閉じながら、手をお腹に当てて「フッフッフッフッ……」と悪代官の気持ちで笑う。お腹が動くのを確認します。

ステップ3:ステップ2の笑顔のまま、越後屋と目配せするつもりで、ゆっくりと「越後屋、(間合い)おぬしも(間合い)悪(ワル)よのぅ~~」と言う。

また本番で声が震えたとしても、途中で呼吸しながら話すように意識すれば極度な震えはなくなっていきます。
ぜひお試しください。

2023/03/01 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.279 オンラインでの印象が良くなる目線の使い方

最近こんな質問を受けました。
「オンラインプレゼンで、カメラを見続けていないと印象が悪いでしょうか?」

今や、オンラインでのプレゼンは当たり前ですね。
オンラインプレゼンでよく見かけるのが、手元のメモを見て視線が下向きのまま話していたり、カメラを真横に置いて話しているので画面上でそっぽを向いて話している人です。

「目は心の窓」と言われます。
カメラ方向に目を向けないと、聴き手と視線が合わず気持ちが伝わりません。
だから確実に印象は悪くなります。

対策は、画面上で見える一番熱心な聴き手のビデオをクリックして、画面上でカメラのそばにドラッグして置くことです。
パソコン上のカメラの近くに、熱心な聴き手がいる状態を作ってしまうのです。

こうすれば、その人とアイコンタクトを取ることで話しやすくなり、リアルさながらのプレゼンになります。話し手がカメラに視線を向けているので、オンラインプレゼンの視聴者全員が、まるで一対一で話をされているように感じます。

ぜひ話す内容は覚えて、カメラの方向を見てお話ししてみてください。
印象は格段によくなりますよ。

2023/02/22 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.278 一流のプレゼンを真似ると、三流になる理由

ある企業の社長交代後に、新社長のプレゼンを見たときのこと。

ハキハキした話し方、派手な身振り手振り、イキイキした表情。
全て先代トップとそっくりのスタイル。
猛練習の跡が感じられます。

しかし、その後の質疑応答では先ほどのエネルギッシュなプレゼンとは別人。
素に戻っていました。

「部下は上司に似る」と言われます。
元上司である社長の影響を受けてしまうことは、仕方ないことかもしれません。
そして「学ぶ」ことは、「真似る」ことでもあります。
「まなび」は、模範となる人を見つけて「まねる」ことから始まります。
「真似る」こと自体は、必ずしも悪いことではありません。

しかし、真似には怖い罠が仕掛けられています。
それは”猿真似”。

プレゼンの達人は、長い年月の試行錯誤と葛藤を経た末に、自分に合ったスタイルを確立しています。
そのスタイルを、資質や生き方・体格も違う人が真似しても、違和感があるのは当然。
「聴き手に刺さるプレゼンをしたい」と思ったら、本来学ぶべきことは単なるスタイルではなく、達人たちの背後にある思想を理解し、身体と心でつかむことです。
それを理解せず、模倣しているだけの人は猿真似の罠にはまってしまうのです。

TEDでは、プレゼンを鍛え抜いた達人たちが、見事なプレゼンをします。
TEDプレゼンのストーリーは、必ず(1)Why I、(2)Why we、(3)Why nowの順番になっています。
TEDにはプレゼンをサポートする事務局がいて、必ずこの流れで語るように指導しているようです。
つまりこれは、TED流の「鉄板プレゼン構成術」ですね。

そこで新任課長になったスズキさんは、新たに部下になったチームメンバーにTED流プレゼンで抱負を語りました。
結果は…、部下たちから「なんか新しい課長、言ってることが抽象的で、よく分からない」とウケが悪かったそうです。

TEDのように不特定多数の場で大きな夢を語る場合、この話し方は訴求力抜群です。
でもTED流は、必ずしも万能ではありません。
本来、新任課長のスズキさんが新メンバーの前で語るべきことは、(1)会社は何を目指しているか、(2)自分たちのチームがやるべきことは何か、(3)自分はメンバーにどんな貢献ができるか、を、自分の持ち味を活かして、誠実に語ることなのです。

一流のプレゼンを真似るだけでは、単なる猿まねになって相手に「何か嘘くさい」と思われて伝わりません。必要なことはTPOにあわせて、自分らしさを活かし、誠実に聴き手が求めていることを語ることなのです。

2023/02/15 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.277 リーダーのメッセージでメンバーのやる気が変わる理由

このように悩んでいるリーダーの方は多くおられます。

「私が話すと、なんかみんな退屈そうにしているんです。メンバーがやる気になってくれるようなメッセージを届けて、もっと盛り上げたいんですけどね。どうすればいいんでしょうか」

「人の行動は、環境で80%決まる」と言われています。多くの人は、他者の影響を受けながら生きています。そもそも人は、組織や社会的なルールに同調して動きやすいものなのです。

不祥事が起こるのも、このためです。
もし会社組織の行動が悪い方へ向かうと、社員はその行動に同調してしまうのです。

視点を変えると、この同調的行動を上手く使えば組織を良くしていくことができます。
人が同調的に行動しやすいのならば、誰かが良い行動をしたり、良い環境を整えれば、組織は良くなっていきます。

「割れ窓理論」をご存じでしょうか?

家屋の割れた窓ガラスを放置する地域では「誰もこの地域に関心を払っていない」というサインになり、やがて他の窓も壊され、犯罪が多発しやすなる、という理論です。

1980年代に犯罪多発地域だったニューヨーク市はこの理論を応用して、落書きや違法駐車などを徹底的に取締り、治安を回復しました。
街が整えられていることで、「ニューヨーク市は犯罪に関心を払っている」というメッセージになり、悪い行動をする人は減り、犯罪も減ったのです。

また人は「威光模倣」を行います。

尊敬する上司に、いつの間にか部下が話し方や行動、服装まで似てきてしまうということがありませんか。
人は、信頼し、自分に対して権威を持つ人が成功した行動を模倣するのです。

「組織がなかなか良くならない」と嘆くリーダーは少なくありません。

まずはリーダーが率先して理想的な態度を示すことです。
そしてそのような態度を伝える上で、プレゼンは最適です。
リーダーが態度や考えを伝えるための強い影響力を持っているからです。

次回のメンバーの前でのプレゼンは、手を抜かずに、「皆にこうあってほしい」という姿を考え、自らきっちりと語ってみてはいかがでしょうか?
メッセージに影響されてメンバーのやる気が変わっていくはずです。

2023/02/08 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.276 プレゼンが、型どおりでは相手に伝わらない理由

プレゼンには様々な「型」があります。
古くはプレゼンテーションZen。最近はTEDなどです。でも、本当に型どおりやっていれば上手くいくのでしょうか?

私が、ある企業のインナーコミュニケーション向上のためにコンサルティングで入ったときのこと。
広報担当者さんは「トップのメッセージで社員のやる気が上がらなくて困ってます」とおっしゃいます。
そこで過去に収録したトップのプレゼンを見ると、社員の前で部下の書いた台本を正確に読み上げています。

コンサルティングで、トップに聞きました。
「そもそも、なんでこのやり方でやっているのですか?」

トップはこうお答えになりました。
「うちの会社は今までずっとこのやり方でやってきたから…」

代々受け継がれてきた型に対してまったく違和感を持たずやっていたのです。
でも、これで社員のやる気はなかなか出ませんよね。

そこで、やり方を見直しました。
コンサルティングではトップと話し合いながら、「社員にどんなメッセージを伝えたいのか」をシンプルに構成。
そして本番では台本は見ず、トップ自身の言葉で話すことにしました。

すると地味ではありますが、トツトツとした語り口からトップの実直な人柄が醸し出されて、じんわりと伝わってきます。
話しを聞いた社員の方々から「社長の言葉を聞いてやる気になった」という感想がたくさん届きました。

トップは型を破ることができたのです。

「守破離」という言葉があります。
「型どおりこなす」ということは、大事なことかもしれません。
でも、もしその型が自分のタイプとミスマッチであれば、うまくいかないのは当たり前のことですよね。
その型が本当に正しいのか、一度疑問を持ってみることが、さらなるご自身の成長につながるのです。

2023/02/01 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.275「伝える=人が動く」ために必要なこと

言葉やプレゼンで人に何かを「伝える」のは、人を動かすためです。

人は何かを伝えるときは必ず目的があります。
たとえば「聴き手に行動や考え方、気持ちを、良い方向に変えてほしい」
その思いを言葉や身振りに託して伝えます。

その結果、相手が動いてくれることが「伝える」ことです。
いくらジョブスばりの立派なプレゼンテクニックで話しても、相手がスルーされたら、「伝える」目的は達成されません。

では具体的にどうすれば伝えることができるのでしょうか?

大事なことは、話し手が「なぜそれをしなければならないのか」という大義名分を語ることです。
聴き手は「なぜ自分がそれをしなければならないのか」という大義名分を聞くと、自分ごとに置き換えて考えるようになり、動きます。

「日経ビジネス」2023年1月23号にパナソニックHD社長兼グループCEO楠見雄規氏のインタビューで、楠見さんが米テスラ社の社員さんの言葉を紹介していましたのでご紹介します。

社長就任後に(イーロン・マスク氏と)オンラインで2、3回やり取りしたときのことです。マスク氏が会議に入ってくる前に、社員と少し話す時があった。そのとき「私たちはお金も稼がないといけないが、地球を救うためにやっているのだ」と言うのです。素晴らしい。感動的でした。

社員さんはイーロン・マスク氏の言葉を受けて会社がなぜあるかを腹落ちしているのです。

その人の大義名分は、人の心を動かします。

マスク氏のような大きなスケールでなくともまったく構いません。
「困っているお客さんの力になろうよ」
「この地域の人たちを助けたいんだ」
こんな身の丈のことでもいいのです。

皆さんも、ご自身なりの大義名分を考えて言葉にしてみることをおすすめします。

2023/01/25 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.274 広報の言うことを聞かないトップ。どうする?

「社長がものすごく話しが下手。プレゼンの練習もしない。改善しましょうと提案しても変えてくれない。どうにかできないでしょうか?」

広報担当者さんのよくあるお悩みです。

特に難しいのは、トップご本人に自覚が全くない場合です。
恥ずかしいと思っているのは周囲だけ。
本人は「これでいい。そこそこイケてるよ」と思っている。変える気はサラサラありません。
結果、広報担当者が何を言おうが、全く聞く耳持たず、なのです。
部下の話を全く聞かないから、こうなってしまうのです。

こんな聞く耳持たずのトップを変えることなんて、できるのでしょうか?
一つだけ確実に変えられる方法があります。

実はこんなトップでも、必ず言うことを聞く相手がいます。
まずは大株主。次に社外取締役です。

なぜか社長が素直に彼らの話を聞くのかと言うと、大株主と社外取締役は、社長の人事権を持っているからです。
社長は毎年の決算のたびに、株主から会社の経営を任せてOKかを判断され、社長に指名されます。

でも大株主が細かいところまで経営の状態をいちいちチェックするのって、大変ですよね。
そこで株主から経営のチェックを任される(委託される)のが、社外取締役なのです。

どんなに威張っている部長さんでも、自分の人事権を持っている上司の役員さんに怒られたら、素直に言うことを聞きますよね。
社長と大株主や社外取締役の関係も、これとまったく同じです。

ただ広報担当者が大株主に直接お話しして相談するのは、あまり現実的ではありません。
そこで現実的なコンタクトは、社外取締役になります。

2021年改訂の東証「CGコード」によれば、独立社外取締役は「社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべき」「ステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させること」とありますし、会社の風土を変える機能も期待されています。

実際に私がご支援させていただいた企業様でも、社外取締役から『社長の話し方が良くないのでなんとかしてください』という意見が上がりコンサルティングをご依頼いただいたトップも何名かいらっしゃいます。

社長の行動を変えてほしければ、まず「トップが言うことを聞く人を使う」ことが大事なのです。

ただ広報担当者が社外取締役に相談したことを社長に気づかれると、相談した担当者はとても怒られるかもしれません。
ですのでこの手段は、絶体絶命な時に最後の手段としてとっておきましょう。

2023/01/18 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.271 リーダーが自分らしく話せば、メンバーのやる気が引き出される

「我が社の新しいパーパスも決まりました。社員の前でもっとたくさん話そうと思います」

こうお話しされるトップは、もともと話が苦手な方でした。
しかし心機一転して、全国各地の支社を訪れて、積極的に社員に向けてお話することにしたそうです。

パーパスとは、「会社が向かう方向」を示したものです。
トップが何を目指すのかをしっかり語れば、社員のやる気を引き出すこともできます。

ただ、ここで注意していただきたいことがあります。
それは「腹の底から、自分らしく語る」。
上手でなくても、ぜんぜんOKです。
むしろ危険なのは、ムリをしてジョブズ風やTED風に語ることです。

なぜなら人の脳は、相手のウソを直観的に見抜く「レゾナンス」という仕組みを持っているからです。
人は「この人、何か偽っているかも…」と無意識に感じた途端、その人の信頼度を一気に下げます。
だから自分らしく、嘘偽りのない態度で話すことが大事なのです。
アメリカの経営学者・ビル・ジョージは、自分を偽らずにありのまま振る舞うリーダーシップを「オーセンティック・リーダーシップ」と名付けています。そして人は自分らしいリーダーに強い絆を感じるのです

大企業の社外取締役も務める成蹊学園・学園長の江川雅子氏は、これからのリーダーに求められる資質や能力について下記のように述べています。

ある会社で社長指名を受けたリーダーが、「社員の心に灯をともしたい」という抱負を述べたのが印象に残っています。以前は、より具体的なスキルや能力がリーダーの条件として挙がることが多かったのですが、このように多様な人々の心を動かすリーダーがますます必要になっています。
(ハーバード・ビジネスレビュー 2022年11月号)

年始から新入社員が入社する4月にかけてのこの時期、トップは社員の前でお話しする機会が多くなります。
また、トップでなくともチームのリーダーをされている方も、目指すべき方向性をメンバーに話さなくてはならない時期です。
ぜひ自分らしく、誠実に、腹の底からお話いただくことを願っています。

No.270 祝・テレビ東京 「CHANGE MAKER U-18」優勝!

12/18(日)放映のテレビ東京「CHANGE MAKERU-18~未来を変える高校生 日本一決定戦~2022」で、全国250の高校からプレゼン大会を勝ち抜いた高校生5チームの決勝戦が行われました。

私はこのうち、長野県「ショコラうさぎの三つ子」チームをご支援しましたが、このチームが見事、優勝しました。
内容の深みも含めて、優勝にふさわしい見事なプレゼンだったと思います。

今回テレビ東京から「支援して欲しい」とご依頼をいただいた時に、私が自分に課したミッションは「チームの思いを形にすること」でした。

決勝戦まで勝ち抜いたチームなので、素晴らしいコンテンツです。
しかしチームのプレゼン資料を見て、「もっとその思いを強く表現できるはず」と思いました。
そこで指導では、チームメンバーの思いを言葉にすることに力を注ぎ、限られた時間の中したが、かなりの時間を使いました。

プレゼンは話し方のテクニックも大事です。
一方で、「自分の思い」をいかに言葉にして伝えるかは、より大事です。
いくら話し方が素晴らしくても、語っている内容がイマイチだったら、プレゼンは成功しません。
そして「思いを言葉にすること」は、簡単なようでいて意外に難しいものです。
最後は私も一緒になって、高校生3人と私の4人全員で頭に汗をかきました。
おかげで素晴らしい内容になったと思います。

プレゼンでは、思いを言葉にして聴き手に伝え、聴き手の行動につなげることが成功の秘訣です。
今回、「高校生も社会人も経営者も、全く同じ」ということを身をもって体験したのは、大きな学びでした。

プレゼンでは、話し方の練習の前に、思いを言葉にするための時間を十分にとることをおすすめします。

今回は「ショコラうさぎの三つ子」チームの皆さん、優勝おめでとうございました!

↑真ん中の3人が「ショコラうさぎの三つ子」チームの皆さんです。

↑いつも皆さんにお伝えしている「悪代官発声法」をしています。
スタジオがどよめいていました…(汗)

番組動画は、1月15日までこちらで配信いただいています。
CHANGE MAKER U-18~未来を変える高校生 日本一決定戦~ 2022

2022/12/20 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.269 ムリに演じても、ウソはバレる

ある外資系企業の日本トップのプレゼンを見たときのこと。

17世紀貴族の衣装で登場。
大きな身振り手振りに加え、完璧な台詞回し。
まるでシェイクスピアの舞台です。
ご本人がものすごく練習したのが伝わってきます。
でも残念ながら、あまり説得力が感じられませんでした。

このトップのプレゼンが伝わらない大きな原因があります。
プレゼンで語る内容と、ムリめな振る舞いとのギャップが目立ってしまい、何を言いたいかが伝わってこないのです。

一方で10年ほど前、米国で品質問題を起こしたトヨタの豊田章男社長が、米国議会の公聴会で証言したことがありました。
そして公聴会の後、「米国トヨタ」の工場を訪れた豊田社長は、従業員からねぎらいの言葉を受けて男泣きに泣いてしまったのです。
「経営者たるもの人前で涙を流すなんて言語道断」と思われるかも知れません。でもこの涙はトヨタ社員の結束を高めました。

人間の脳は、他者の感情や行動表現を無意識に読み取る共鳴(レゾナンス)という仕組みを持っています。
言ってる内容と現れる態度にギャップがあると、脳内で無意識に違和感を感じてしまって「なんか違う」と思ってしまうのです。
しかし言っている内容と現れる態度が一致していれば、脳内でこのような違和感を感じずに、「この人は本音で話している」と感じるのです。

つまり本心を偽って無理に演じると、聴き手は無意識に「なんかウソくさいなぁ」とわかってしまうのです。

人は、ウソ偽りのない言葉を話すリーダーに対して、強い絆を感じます
プレゼンで説得力を高めたければ、ムリに演じずに自分らしくお話することが大事なのです。

No.268 緊張しても、必ず本番プレゼンで上手く話せる方法

こんなお悩みを抱えている方、多いかと思います。
「本番で緊張する。失敗するかもって不安」

そもそもここ一番の本番で「緊張するな」という方がムリというもの。
ただ、緊張のために伝えるべき内容が伝わらないのは、とても残念です。

緊張しても上手く話すための一番効果の高い方法は、「自分のリハーサルをスマホで録画して、見ること」です。緊張で失敗する方は、この「録画して見る」⇒「確認して改善する」ことをやっていません
これで、自分のプレゼンを客観的に認識することが目的です。

私の経験では、録画するとほとんどの方が「意外と緊張して見えないですね」「それほど悪くないような気がする」とおっしゃいます。

スマホ録画の目的は、「それほど悪くない」と認識することです。これで人前で話す恐怖がかなり減らせます。
これは「認知行動療法」とも呼ばれる方法です。

録画すると、他にも良いことがあります。
自分が気がつかなかった、改善すべき点が見つかることです。

たとえば「滑舌が悪い」と思っていたのに、録画を見ると、実際には早口で滑舌が悪くなっていることが分かったりします。この場合はゆっくり話せば滑舌の問題は即解決です。

また「自分は低くてダンディな声が強み」と思っていたけど、じつは甲高い声だったりすることもよくあります。

次のプレゼンでは、ぜひご自分でリハーサルしてスマホ録画してみてください。
圧倒的な改善効果を発揮します。

2022/12/07 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.267 自分でページ送りすれば、話しやすくなる理由

パワーポイントを使ったプレゼンで、ページ送り操作をスタッフに任せる方が多くおられます。
私も他の方にページ送りをしていただいた経験があります。

しかし微妙なズレが気になってリズムに乗れず、上手く話すことができませんでした。
このようにページ送りを他人に任せると、タイミングが微妙にずれて流れがギクシャクし、聴き手も違和感を感じます。
話し手がページ送りする方が、説得力が高まります。

また、ページ送りのタイミングで送り手に「次、お願いします」と言う方もおられます。ただこれはプレゼン内容と無関係な言葉なので、聴き手にとってノイズです。

自分でページ送りしてプレゼンすれば、ジャストタイミングで次ページに行けるので話しやすくなり、良いリズムで話せるため聴き手も聞きやすく、説得力が高まるのです。

しかしどうしてもスタッフにページ送りをお願いしなければいけないケースがあるでしょう。
この場合、ページの送り手にめくるタイミングを書いたシナリオとパワポ資料を予めお渡しし、実際に声に出して読みながら、送るタイミングを練習してもらうことで、上記の問題は最小限に減らすことができます。話し手と同じ気持ちになってもらうことが、良いページ送りをするために必要不可欠なのです。

2022/11/30 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.266 弱みを隠さず堂々と見せれば人の心が動く理由

年末年始は、人前で話す機会も増えてきますね。
でも、「一生懸命話しているのになかなか聞いてもらえない」とお悩みの方も多いかと思います。

そこでぜひ参考にしていただきたいスピーチがあります。
『代々木アニメーション学院 2022年度入学式』での江頭2:50さんのスピーチです。

手紙をゴツゴツと読み上げています。
お世辞にも上手な話し方ではありません。
しかしYouTubeコメントでは絶賛の嵐です。

「素晴らしい。大感動」「胸が熱くなった」「泣ける」「かっこよすぎ!」

江頭2:50さんの話が人の心を動かす大きな理由は、この一言です。

「自分の弱みや恥をさらけだしている」

海外で半裸になって逮捕され、嫌いな芸人ランキングでは9年連続1位。大好きな女性にフラれたことなど、真剣な表情で語っています。
普通だったら、隠したいことですよね。

「共感されたければ、聴き手の目線まで下げろ」とよく言われます。
しかし江頭2:50さんは、これでもかと言わんばかりに大きく下げているのです。
だから、この最後のメッセージが生きてくるのです。

99人が馬鹿にしたって1人が応援してくれるならそれでいいじゃないか。
夢をおいかけたら必ず壁にぶつかる。
辛くなったら俺を見ろ!

江頭2:50さんが共感されたのは、入学生の人たちに寄り添った上で、自分の弱みを語っているからです。

注意していただきたいのは「ただ自分の弱みを語ればいいわけではない」ということ。
聴き手は必ず何かに悩んでいます。その悩みに寄り添う形で、自分の弱みを語ることが大切なのです。

人前でお話する機会のある方は、ぜひあなたの弱みの棚卸しをしてみてください。
あなたの弱みを、聴き手目線で堂々と語ることで、驚くほど相手に伝わるかも知れません。

2022/11/23 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

一瞬で記憶される方法

「”難しくて分かりにくい”とよく言われる」
「話が長くなりがち。よく時間をオーバーしてしまう」

こんなお悩み、よく伺います。

実はこれ、そんなに悪いことではありません。
話が長くなるのは、伝えたい事や話したいことがたくさんある証拠。
「難しくて分かりにくい」のも、思いが強過ぎて、ついつい哲学的に語ってしまいがちだからです。

でも、話が長くて分かりにくいと、聴き手に伝わりませんよね。

このようなタイプの方は「メタファー」を使うことです。
メタファーとは「たとえ話」のこと。
「たとえば、こういうこと」というように、誰でも分かるような例で説明するのです。

パナソニック創業者・松下幸之助さんは、ご自身の経営を「ダム(式)経営」と名付けていました。
川の水を満々と貯めるダムは、雨が降らなくても水を供給できます。
つまり「ダム(式)経営」とは、万が一のためにキャッシュをダムの水のように蓄えておくことの大切さを表現しているのです。
でも「常に余裕を持って万が一のために使えるキャッシュを持っておく経営をしなければいけませんよ」というとちょっと分かりにくいですよね。
でも「ダムのように経営しましょう」と言えば、小学生でも一瞬でわかります。

ソフトバンクの孫正義さんも上手にメタファーを使って話します。
2022年8月に行われた決算説明会でも、2022年4〜6月期連結決算で過去最大の赤字を計上したことを「三方ケ原の戦い」で武田信玄に敗れた徳川家康が慢心の戒めに描かせたとされる「しかみ像」を見せながら、反省の弁を伝えていました。

メタファーは、複雑な話を一言で伝え、確実に記憶に残すための武器になります
話が長くて難しくなりがちな人は、ぜひご自分なりのメタファーを考えてみることをおすすめします。

2022/11/09 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

野田元総理の追悼演説が見事だった理由

10月25日、国会にて立憲民主党の野田佳彦元首相が安倍元総理の追悼演説を行いました。

持ち前の低く響く重量感のある声を活かした見事な演説でした。
しかしこの演説で素晴らしいのは、話術ではありません。
考え抜かれた明確な「バリューポロポジション」があったことです。

バリュープロポジションとは

・お客様が求めていて、
・他の人が提供できないけど、
・自分だけが提供できる価値のこと。

自分が話したいことだけ話しても、聴き手が求めていないことならば、誰も聴いてくれません。
たとえ聴き手が求めていることでも、他の人でも語れる内容なら、聴き手は聞き流します。

しかし、その人しか語れない、聴き手が知りたいことならば、聴き手は必ず身を乗り出して聴いてくれます。
人前で話す場合、バリュープロポジションは、3つの質問で考えます。

〔三つの質問〕
1.聴き手が知りたいことは何か?
2.ライバルが語れることは何か?

3.自分しか語れないことは何か?

この演説では、野田氏は「安倍氏は『仇のような政敵』」と評したうえで、こんな話しを語りました

・安倍総理の親任式で、選挙で敗れた自分が前総理として同室になった控え室で、安倍氏の方から歩み寄り、重苦しい雰囲気を変えてくれた

・総理公邸の一室で密かに会ったとき、「(陛下の生前退位に向けた環境整備で)国論を二分することのないよう、立法府の総意を作るべきだ」と意見が一致し、立場の違いを乗り越え、政治家として国家のあるべき姿を論じ合えるのではないかと期待を持った

・遊説の際に「総理大臣たるには胆力が必要だ。途中でお腹が痛くなってはダメだ」と言ってしまった。謝罪が叶わなかった

どれも誰もが知り得ない、しかし聴き手が知りたかったこと。こんな話しを、野田氏はご自身の経験から存分に語っていました。

野田氏の演説は、見事にバリュープロポジションを組み立てていることがわかります。

〔野田佳彦氏のバリュープロポジション〕
1.聴き手が知りたいことは何か?:政敵・安倍氏との関係をいかに語るか?
2.ライバルが語れることは何か?:安倍氏の負の側面を語る(モリカケ問題など)
3.野田氏が語れることは何か?:野田氏の目線から見た仇敵・安倍氏との真剣勝負を語る

【バリュープロポジション】→安倍氏とのライバル関係を昇華し、最大のリスペクトで追悼する

この追悼演説は、野田氏がバリュープロポジションを明確にした上で語ったからこそ、演説終盤の「言葉と言葉、魂と魂をぶつけ合い、火花散るような真剣勝負を戦いたかった。勝ちっ放しはないでしょう、安倍さん。」という言葉に、ずっしりとした重みが宿ったのだと思います。

2022/11/02 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

プレゼンが苦手な人が、一皮むける瞬間

ある新製品発表会でトップがプレゼンをしていたのを見たのですが、1年前と比較して別人のように上手になっていました。
もともと話すのは苦手な方でしたが「一皮むけた」と感じました。

そのトップに話をうかがいました。すると、

「いやぁ〜、この1年間で60回以上も人前で話しました。修羅場でしたよ」

と笑っています。

米国の有名なリーダーシップ研究機関、CCL(Center for Creative
Leadership)では、一皮むけるような仕事経験の特徴を「ハードシップ(修羅場経験)」と表現しています。

経営学者の金井嘉宏氏はこう述べています。

「一皮むけた経験をした人は、その経験を境にひと回り大きな人間、より自分らしいキャリアを磨く人間に変われる。ひと回り大きな人間になるとは、人としての器作りでもある。たとえば『社長の器だった』と言われるか『副社長止まりの器だった』と言われるかの分岐点にもなる」

修羅場が、人の器を一回りも二回りも大きくする。
だから名経営者と言われるような人ほど、修羅場の数が多いのですね。

これは、あらゆる人に共通です。一皮むけた経験は、人を脱皮させ、ひと回り大きな人間にしてくれます。
修羅場の最中は無我夢中で、とても辛いものです。でも、修羅場から逃げずに受け入れれば、人はより強靱に美しく変容することができるのです。

誰しも最初に人前で話すのは、あまり楽しいものではありません。
でもそれも受け入れて何度も話す機会を作ることで、一皮むけていくものなのです。

2022/10/25 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

覚えて話せば、上手くなるし脳も鍛えられる

「ウチの社長、プレゼンのときはいつも台本を読み上げで困っています。
 少しは覚えて自分の言葉で話してほしいんですけど」

広報の方からよく受けるご相談です。

しかし話す側のトップはこう思っています。
「最近、物覚えが悪くなって…。台本見ないと心配だからね」

「人は年齢を重ねると脳の学ぶ力も衰える」と思い込んでいる方が多くおられます。
そのため「もう年だから、ムリ」と考える傾向にあります。
実はこれ、都市伝説です。

脳科学的な見解から述べると、脳に年齢の限界はありません。
ニューヨーク大学医学部神経学臨床教授のE・ゴールドバーグや認知心理学博士のP・マイケロンらは「脳は鍛え続けることができる」と言っています。

専門的な話しをすると、人間の脳は、約1000億個のニューロン(神経細胞)があります。このニューロンの数は変わりません。
しかし脳は、これらニューロンがお互いにネットワークを作ることで機能します。
どのようにネットワークを作るかというと、これらニューロン同士を繋げるシナプスという連結部分を通じて、情報がニューロンからニューロンに伝わります。
頭を使うと、ニューロン同士のつながりが強化されて、ニューロンのネットワークが繋がるわけですね。
このニューロン・ネットワークに繰り返し刺激を与えれば、脳機能は鍛えることができるのです。

たとえば、新たに英語の学習を始めた人は、ニューロン・ネットワークのつながりが強くなり脳が鍛えられます。
でも英語が上手になって楽に話せるようになるとニューロン活動は低下します。この場合は、さらに難しい言葉を話せるようにチャレンジの度合いを上げれば脳は鍛えられるのです。

脳は無限の可能性があるわけです。むしろ「年だから、もうダメ」という諦めに縛られることで、脳の衰えと学ぶ力が低下します。脳は鍛えていなければ衰えていくということですね。

ですから、プレゼンを控えている方は、次回は内容を覚えてお話されてみてはいかがでしょうか。
脳が鍛えられますし、更にプレゼンも上達することができますよ。

2022/10/12 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

プレゼン技術をいくら高めても、説得力は上がりません

ニューヨーク証券取引所で、岸田首相が英語のスピーチを行いました。これに対してある有名コメンテーターがこう発言していました。

「説得力が弱い。プレゼン力を上げないとだめ。中曽根元首相はスピーチのとき分かりやすくフリップボードを使って説得力があった」

このコメンテーターは、パワポ資料の作り方やしゃべり方など、話し手のプレゼン技術の弱さを指摘しています。
では、本当にプレゼン技術を駆使すれば人を説得できるのでしょうか?

人は自分が納得しなければ行動しません。
つまり説得とは「(自分が)される」ものです。「(誰かが)する」ものではありません。

たとえば小さな会社で「自動掃除ロボットがほしい」と社長を説得するときのことを考えてみましょう。

「自動掃除ロボットはゴミがよくとれる」「世界最高性能」と言っても、社長は納得しませんよね。「今の掃除機じゃダメなの?」と言われて、そこでおしまいです。

「社長は定時退社を推進していますよね。自動お掃除ロボットにすれば時短になるので、定時退社に貢献できますよ」と言えば、社長は「いいね、買おうよ」と言いたくなります。

聴き手は納得すれば、喜んで行動するということです。

そのためには「大義名分=なぜこれをするのか」、つまり「WHYから話すこと」が何よりも重要なのです。
このWHYがないまま、しゃべり方の技術やパワポ資料の作り方をいくら向上させても、人は納得して行動しないのです。

最近、巷でいわれるようになった「パーパス」も、「会社がなぜ存在するのか」というWHYそのものです。

ユニチャームの高原豪久社長は「パーパスは『腹落ち』だ」と語っています。

もし本当に納得し、共感していたら、社員はパーパスの実現に向けてあらゆる機会を活かして、他者から求められる以上の努力をするはずです。上司に言われたからやるのではなく、みずからがそれを機会としてとらえて挑戦するのです。ですから、リーダーは部下から「説得された」と思われないように、むしろ部下が「納得した」と思えるように、何ができるのかを考えなくてはなりません。パーパスを「腹落ち」させることが何より重要なのです。
(「ハーバード・ビジネスレビュー 2022年6月号」より引用)

リーダーが大義名分である「WHY」から話していくことで、聴き手は「説得され」「納得して」行動し始めるのです。

2022/09/28 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

腹式呼吸で声が良くならない理由

「30分もプレゼンすると、喉が痛くなってしまって…」

こうお悩みの方が多くいらっしゃいます。
しかし喉の負担を少なくしようと、エネルギーを下げてボソボソと話しても印象は悪くなる一方です。
本来、良い発声をしていれば1時間しっかり話していても大丈夫なものです。

一般的には「腹式呼吸のトレーニングをすれば声が良くなる」と言われます。
これは大きな勘違い。
腹式呼吸の練習をしていても、声が良くなることはありません。

声は「横隔膜」を使うことでしか良くなりません。
横隔膜は、肺の下あたりにあるドーム型をした呼吸をつかさどる筋肉です。

横隔膜を使うには、発声時に「おへその下の下腹がパンと張った状態」を常に維持することです。
横隔膜を使って発声していれば、喉に負担がかからなくなり、長時間良い声で話し続けることができます

腹式呼吸では、息をはいたときにお腹をへこましてしまうので、「息をはきながらお腹を張る」ことができません。
また、発声時にお腹をへこませてしまうと、横隔膜が使えないので喉声になり、喉に負担がかかってしまいます。

横隔膜を使って発声するための簡単なトレーニングは、おへその下あたりにエプロンをしっかりまいて、エプロンを張り
返すように話すことです。
酒屋さんのエプロンのように幅広のひもがついてものがベストです。
リハーサルのときにエプロンを捲きながら練習してみるといいと思います。

喉で頑張って声を張り上げても、負担がかかってしまい長続きしません。
横隔膜を使えるようになると、声が良くなり、喉も楽になります。

2022/09/21 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

説得力が弱い女性のプレゼン。やり方を変えると格段に訴求力アップ

「私がプレゼン?! 私なんてとてもとても…。あのぅ、代わりに話してもらえませんか」

こう言ってプレゼンしたがらない女性の方、よくいらっしゃいます。
ただ、これまでの多くの女性のプレゼンを見てきましたが、説得力が上がりにくいことも事実なのです。

原因は「女性特有の謙虚さ」。
謙虚過ぎる態度のため、メッセージが弱まって、伝わり難くくなるのです。

『ハーバード・ビジネスレビュー2022年5月号』に「女性は謙遜し過ぎ」との指摘が書かれていました。

謙遜のあまり表立って行動することなく、むしろ自信を喪失しているのだ。あるいは指導力が足りないと指摘を受け、たえず問題を抱えている。ただでさえ謙虚なのだから、それ以上謙虚になるべきではない。(45ページ)

では、謙虚過ぎる女性はどのようにプレゼンすればよいのでしょうか。

「女性特有の謙虚さ」は、見方を変えると、「聴き手の共感を得やすい」という強みでもあります。
そこでプレゼンでは、ストーリーを工夫することでメッセージ力を上げると、伝わりやすくなります。
共感力を示すためには、「自分しか話すことができない体験談から語り始める」ことをオススメしています。

たとえばある化粧品会社の女性役員からプレゼンのご相談を受けたときのこと。
「お客さんから『お化粧すると気持ちも元気になれる』と言われたことが忘れられない」
という体験をお伺いしました。

そこでこの役員は、プレゼンでもこの体験談から語りました。

自分の体験であれば、安心して話すことができます。カンペも必要ありません。自然と自信がにじみ出て感じられるのです。

最近は多様性が求められ、女性のリーダーも増えています。
ぜひ積極的にプレゼンの場に立ち、自信に満ちた謙虚さで伝えていただきたいと思っています。

2022/09/14 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika