「かっこいいプレゼン」をする方法

「社長は、かっこよくなくてもいいです。でも、せめてかっこ悪くなければ…」

企業の広報担当者さんから、こんな切実なご相談を受けることがよくあります。

お気持ちよく分かります。なぜなら、多くのトップは「自分は会社を代表して見られている」ということを意識していないからです。

でも、この「かっこいい」、「かっこ悪い」って何なのでしょうか。今日は、トップ広報にとっての「かっこよさ」について考えてみたいと思います。

2017年1月12日、蒸気でパンを焼くトースターで有名になった、バルミューダの寺尾玄社長が、新しい炊飯器の発表会を行うということで取材に行ってきたときのことです。

司会者から紹介されると、聴衆席からワイルドにあごひげを生やしカジュアルなジーンズ姿の長身の男性がスッと立ち上がりました。この男性こそ寺尾社長。そして、勢いよく肩を揺らしながら闊歩してきたかと思うと、会場フロアから長い足をのばし一気に壇上にのし上がったのです。そして、会場を睥睨する目の鋭さは、まるで獲物を狙うハンターの目。圧倒的なオーラを放って会場の空気を呑んでいました。

しかし、プレゼンが始まると、製品開発での失敗談を自虐的に一人芝居したり、炊飯器のプレゼンにもかかわらず体験から気づきを得た「カレー論」を恥ずかしがらずに滔々と語ったり、自らをさらけだしています。

私はそのとき、ある一つのシーンをイメージしました。

ロックコンサート。

寺尾社長は元ロックシンガーという異色の経歴も持ち主だったのです。服装から言葉からすべて自由に、自分の言いたいことを伝えるプレゼンスタイルは、過激で独白的なロックの演奏や歌詞と相通じるものがあります。寺尾社長の破天荒な生き様を見るようで強烈に印象に残りました。

ただ、この「かっこよさ」は、人生をかけて作り込んできた寺尾社長だけの世界です。それは例えてみれば鍾乳洞のようなもの。石灰を含んだ地下水が、長い年月ポタポタとしたたりおちて鍾乳洞が作られます。トップのパーソナルブランドもこの鍾乳洞と同じです。したたり落ちる一滴一滴の石灰水が人生経験なのです。寺尾社長の強いパーソナルブランドは、鍾乳洞のように人生を積み重ねていった結果なのです。

こうなると誰も真似をすることはできません

そして、もう一つ素晴らしいことがあります。寺尾社長のかっこよさは、バルミューダのおしゃれでエッジの効いた独自のブランドデザインと一致していたのです。

トップのパーソナルブランドは、企業ブランドの体現であるべきなのです。

「こんなこと自分には難しい」と思われるかもしれませんが、違います。

私のところにいらしたお客様でとても「かっこいい」方がいました。自らの人生の失敗や挫折を「かっこつけずに」深い洞察力で語るスタイルは心に染みいり、お帰りになった後もその余韻は鳴り響いていました。でも、そのスタイルは絶対に真似できません。なぜなら、プレゼンを「生き様そのもの」にまで高めているからです。この方でなくてはできないプレゼンなのです。

つまり、どんな方でも、鍾乳洞のように積み重ねられた自らの人生を見つめプレゼンに込めることができれば、誰も代替できない、説得力のある「かっこいい」プレゼンになるのです。

詳しくは、月刊『広報会議4月号』に執筆記事が掲載されています。もしよろしければご覧ください。

笑顔はすべてを癒やす

天才経営者として騒がれていた、あるトップのプレゼンを取材してきたときのことです。

コワモテで、映画俳優としても十分通用しそうな存在感。顔だけでなく経営もすべてロジカルに判断し、冷徹に大胆な改革を行うことでも有名でしたので、「怖そうだな」という印象でした。

プレゼンは低く響く迫力のある声で、資料をまったく見なくてもコンピューターのように正確な数字がスラスラ出てくるあたり、やはり評判通りと感じました。しかし、実際プレゼンを見ているうちに、予想を裏切るようなことが起こりました。

一見、無表情のコワモテにも関わらず、時折「ニコーッ」と良い笑顔がこぼれるのです。

会社は必ずしも経営状況はよくありませんでした。しかしその笑顔は、「こんな時にニヤニヤして不謹慎だ」と感じないものでした。逆に、ピンチの状況で出た笑顔を見て、私は「この方、凄いな」と感じ、思わず引き込まれてしまったのです。

透明感のある笑顔に、そのトップの人格が出ていたからです。

笑顔を見ると、人はなぜか安心します。

そして、笑顔になった本人も、笑うことで心も明るくなり、前向きになります。

「笑顔はすべてを癒やす」のです。

プレゼンは緊張するので、どうしても無表情になりがちです。そんなとき、無理にでもいいので、頑張って笑顔を出してみることです。「心が入ってない笑顔なんて不自然だ」「緊張して笑えるわけない」と思うかもしれませんね。でもそうではありません。笑顔になることで、心もついてくるのです。

「心が先か」、「行動が先か」、と言われれば、躊躇無く「行動が先」です。最初は、心が足りなくとも、行動しているうちに心が後からついてくるのです。笑顔を出しているうちに、聴衆も安心し、自分自身も過度な緊張が和らぎ、リラックスした気持ちになってくるのです。

もしこれからプレゼンがある方は、ぜひ勇気を持って最初の挨拶から笑顔を出してみてください。きっと話しやすい雰囲気でプレゼンが出来ると思います。

応援している人は必ずいる

ある会社の発表会で、有名な社長さんがプレゼンされるということで取材に行ってきたときのことです。

プレゼンが始まると、最初、緊張感からか言葉の合間に余分な「えー」という発音が多く出ていました。「えー」とか「あー」の発音が多いのは、聴衆にとって聞き難いものです。このままではもったいないと思いました。

私は一番前の真ん中に座っていましたので、アイコンタクトとあいづちで社長さんを応援することにしました。

すると社長さんは、私と頻繁に視線を合わせてくださるようになり、だんだん話しが滑らかになって、言葉に自信が感じられるようになってきました。そうすると不思議なものです。私の周囲に座っているお客さんも「うん、うん」と、うなずきながら聞くようになっていきました。社長さんは、その後一気に調子を上げられて、本来のパッションあふれる見事なプレゼンをされたのです。

平均からすると、力量十分なプレゼンではあったのですが、聴衆が共に創り上げるという気持ちを持つことで、さらに素晴らしいプレゼンになり、聴衆も楽しむことができます。

例えばカラオケで歌うとき。仲間に手拍子を打ってもらったり、ニコニコと体を歌のリズムに合わせてゆすってもらうと、歌いやすくなりますよね。それと同じです。

随分前のことですが、私は、老人ホームのボランティアに行っていたことがあります。ここでは、ホームのおじいちゃん、おばあちゃん方が主役。「赤とんぼ」や「ふるさと」など、皆さんがよく知っている歌を、目線を合わせ、リズムに合わせて体をゆらしながら歌ってあげると、今まで全く無表情だった皆さん方が、涙を流しながら歌ってくださったことがあり、こちらまで感動してしまった経験があります。

聴衆が冷たかったり、警戒している雰囲気の中では、やはりどんなに舞台慣れていても話しにくいものです。「退屈するのは話し手の責任だ」という厳しい見方もありますし、話し手自身も、「聴衆が退屈しているのは準備不足」と振り返ってみる必要があるかもしれません。

しかし、熱心に聞いてくれているお客さんが、一人でも二人でもいるだけで、本当に話しやすくなるものです。マラソンで言うと、ペースメーカーのような方々です。会場には、熱心に聞いてくださるお客さんが必ずいらっしゃいます。私は、自分のプレゼンのときは、熱心に聞いてくださるお客さんを早く見つけるようにしています。

私が、まだビジネスのプレゼンを始めたばかりの頃。今から比べると未熟であったと思います。でも、そんなときでも熱心に聞いてくださる方はいらっしゃいました。それはどんなに有り難かったことか。今でも鮮明に覚えています。

熱心な聴衆に気がつくことでプレゼンは格段に良くなるのです。

確実にプレゼン満足度があがるアイコンタクト。コツは意外と簡単

先日、コンサルティングを受けているお客様のTさんが、2日連続してプレゼンされたのですが、その時のお話しが、とても興味深いものでした。

「一日目は、薄暗い会場でお客さんの顔がよく見えませんでした。しかも会場は横長でプロジェクターも左右に2台。私はその真ん中で話しました。左右のお客さんは正面の画面を見ているので、私からはアイコンタクトできません。とてもプレゼンが難しい会場でした」

「そこで二日目、レイアウトを変えました。まず客席に照明をつけて、お客さんの顔が見えるようにしました。そして会場を縦長にして、お客さんのプロジェクターへの目線と、私への目線を同一線上にしました」

「講演後のアンケートを見たら、同じ内容を話したのに、一日目より二日目の方が満足度が格段に高かったんですよね。”アイコンタクトをとった方が、説得力が格段に上がるし、話しやすい”ということが良く分かりました

Tさんがおっしゃるように、同じ内容でもアイコンタクトをとるだけで、聞き手の満足度は確実に上がります。しかし一方で、「プレゼンでお客さんとアイコンタクトをとっていますか?」と聞くと、

「お客さんの顔を見たら、あがって頭が真っ白になっちゃいます」
「資料を読むのに手一杯、じっくりお客さんの顔を見たことがない」

とおっしゃる方もとても多いのが現実です。プレゼンで人前に出れば緊張しますし、お客さんと視線を合わせることを意識するのはなかなか難しいかもしれませんね。

そこで、ぜひ憶えていただきたいのが、アイコンタクトを取るコツです。実は意外と簡単ですからぜひ憶えて下さい。

まず話しに入ったら、ターゲットを決めて、その人と目線を合わせることです。必ず熱心に聴いてくださっている人がいるはずなので、その人をターゲットに選びましょう。ターゲットは数分ごとに変えていきますが、あまり短い時間で常に目を動かし続けるのは落ち着きがなく見えてしまうので、避けたほうが良いと考えています。目を据えることを目標にしてください。そしてアイコンタクトをとったら、大勢に話しているという感覚ではなく、ぜひ、その人一人に語りかけているつもりで話してください。

そうすると良いことがあります。まず話し手に落ち着きが感じられるようになります。そして、一人に話しかけるつもりで話すことで話し手に目力が宿り、説得力が上がります。また、聞き手は目線が合うことで、一対一で話しを聴いているように感じるのです。

目は心の窓と言われます。アイコンタクトを行って心を伝えることで、コミュニケーションがとれて、お客さんは自分を受け入れてもらえていると感じるのです。話し手がお客さんとアイコンタクトをとりながら話せば、お客さんは共感し、「ほう!そうなのか!」「もっと聞きたい」と必ず無言のメッセージを返してくれます。話し手と聞き手が真剣勝負のコミュニケーションを行い、その場を創り上げていくのが理想のプレゼンなのです。

ぜひ、勇気を持ってお客さんの顔を見て、アイコンタクトをとってください。そうすることで、お客さんがプレゼンを磨いてくださり、自分自身のプレゼンも必ずレベルアップしていきます。

トッププレゼン、自分の言葉で語ってますか?

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今は全く運転しませんが、10年前までほんの少し車に乗っていたことがあります。高速道路で、独特の低い車体がバックミラーに映ったかと思うと、あっという間に抜いていく車がポルシェでした。

そのポルシェ、2016年12月20日に新型パナメーラ発表会でポルシェ・ジャパン、七五三木(しめぎ)敏幸社長のプレゼンがあるということで取材に行って参りました。

場所は、恵比寿ガーデンプレイスの中にある、ミシュラン三つ星を10年間獲得し続けているフレンチレストラン、「ジョエル・ロブション」です。
ジョエル・ロブションの建物はヨーロッパのお城をイメージして建てられています。発表会が始まると、お城をバックに迫力あるエンジン音を響かせてポルシェが乗り入れてきました。すると、タキシードに、18世紀仮面舞踏会のような仮面を被った一人の紳士が運転席から降り立ちます。紳士がゆっくり仮面をとると…なんと七五三木社長だったのです。

なんと華やかな登場シーン。

七五三木社長は、「ポルシェ・ジャパン、七五三木ではなく、今宵はシャトー・パナメーラの城主、七五三木です」と名乗り、プレゼンが始まりました。

「この世で嫉妬ほど多種多様なものはない。そうです、私はこの車に嫉妬しています。これほど完成度の高いものがこの世にあるのか?私もこうありたかった」

「機能と美しさ、これを具現化している地球上にこれ以上のものはあるでしょうか?そうです。パナメーラです。それがその具現化です…」

かなり練習されたと思います。さながらシェイクスピアのような美しい台詞を、表現力たっぷりに身振り手振りを使い、プロンプターも見ないで間違えずに話し続けておられました。声も、息を混ぜながらホスピタリティを感じさせるトーンで「城主」という役柄にぴったり。これだけ演じられるトップも珍しいでしょう。
更に、シャトー・ロブションというロケーションを活かした18世紀ヨーロッパの仮面舞踏会のような演出も雰囲気抜群。さすがポルシェと思わされました。

しかし、一つだけ気になることがありました。

それは、せっかく覚えて話していたのに、なぜか社長のパッションが伝わってこないもどかしさを感じたのです。

シェイクスピアを演じるプロの役者は、長い台詞を完璧に覚え、自分の中で完全に消化した上で、自分ごととして語るからこそ、お客さんの心を揺さぶる演技ができます。これはトップ経営者といえども真似できません。

しかし、トップ経営者しかできないことがあります。

それはトップが腹の底から自分の言葉で、会社のビジョンや戦略を市場に生々しく語り、伝えることです。

だから、トップのプレゼンに説得力を持たせるためには、「自分ごと」として話し、言葉に魂を吹き込むこと。そうしたトップの情熱が、メディアを通して社会に伝わり、市場が動くのです。パッションは熱量で伝わります。

今回の会見で、七五三木社長は「城主」を演じ、「私」という主語は、ポルシェ・ジャパンのトップではなく「城主」でした。完璧に演じるほど、トップしか語り得ない「自分ごと」から離れてしまい、強いメッセージ力が伝わりにくくなってしまったのです。これだけの表現力やテクニックを持ち合わせ、もしご自身の言葉で話していたなら、格段に高い説得力を発揮できたと思います。今度は、ぜひトップご自身の言葉で語るプレゼンも聞いてみたいと思いました。

しかし、「自分の言葉」とは、組織の代表として話すとき、もしかしたら意外と忘れがちなことかもしれませんね。

これは、トップだけではなく、どんなビジネスマンでも同じです。
 少しくらいゴツゴツしていても良いと思います。自分の言葉で語ることです。そうすることで説得力が格段に増していくのです

詳しくは、月刊『広報会議3月号』に執筆記事が掲載されています。もしよろしければご覧ください。

沈黙の時間を増やすと深いプレゼンができる理由

カラオケ

 

「この人、ここをよくするとグッとプレゼンで聞き手とのコミュニケーションがよくなるのになぁ」と感じる点があります。

これは「間合い」を取ることです。

間合いがとれないとどうなるでしょう。

・一気にまくしたてるように話してしまい、落ち着き無く聞こえ、話しが分かり難い
・「あー」とか「えー」などの余分な言葉を挟んでしまいやすくなり、聞き難く、決断力に欠けて聞こえる

などがあげられます。

不慣れな人ほど緊張などからあせってしまい、矢継ぎ早に言葉を繰り出してしまいますので、間合いがとれないのです。終わってみれば、間合いを意識する余裕などなかったというのが現実だと思います。

だからと言って、ただ単に間合いだけとろうとすると、「間が抜けてしまう」ケースも多く見られます。

「そんなの初心者では難しいよ」と思われるかもしれません。じつは、大抵の皆さんは,間合いを上手にとれるだけの素質をもっています。

カラオケのときを思い出してみてください。

例えば、「与作」。

「トントントン〜 トントントン〜♪ ジャジャン、ジャジャン、ジャジャン、ジャジャン、ジャジャジャジャジャジャジャジャン!

のところで次の歌詞、

「与作〜 与作〜 もう、日が暮れる〜♪」

を、聴き手と一緒に想像しながら心と体を盛り上げていきますね。

このとき、音楽と関係なく、目線が落ち着きなくキョロキョロしていたり、資料を確認してうつむいている人は誰もいません。大抵は、宙を見据えたり、目を徐々に「カッ!」と見開いたり、聴衆とノリノリでアイコンタクトしながら気持ちを高揚させていますね。

そうです、この感覚です。

物言わぬ聴き手とのコミュニケーションは、間合いをとることによってこそ双方向に深くなるのです

実は日本人は間合いをとることが上手です。相撲の間合い、歌舞伎の間合い、お能の間合い、俳句の間合いなど、すべて間合いの文化です。動いていないとき、言葉を発していないときに深い意味を込めることができるのです。「阿吽の呼吸」とも言いますね。日本人は、間合いを血の中に持っているとも言えます。

それに、間合いがとれると、間合いから聴衆が内容を租借する時間の余裕ができて、説得力も上がります
ぜひ間合いをとる時間を増やしてみるように意識してみてくださいね。

パッションは熱伝導

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子どもの頃、友だちとの集まりで欠かせないおやつといえば、「イケイケどんどん、湖池屋、ポテトチ〜ップス♪」のCMで有名な、湖池屋さんのポテトチップス。これさえあればみんなご機嫌で、パリパリほおばりながら何時間でもおしゃべりしていたものです。

この湖池屋さんが新社長、佐藤章さんを迎え、「新生・湖池屋」としての第一弾「プライドポテト」の発表会を行うということで、2016年11月30日、会場の椿山荘まで行って参りました。

佐藤社長は、かつてキリンビバレッジのマーケティング部長時代、缶コーヒー「FIRE」を企画し大ヒット商品に育て上げた日本では最高峰のマーケティング・プロフェッショナルです。

当時、「FIRE」を経営会議で提案すると、
「ぜったい許さん」
「『FIRE』なんてガソリンじゃあるまいしそんなネーミングありえない」
「シルバーのパッケージも色気がない」
と総スカンを食らいました。

そこで佐藤さんは、ネーミングは麒麟珈琲、色は青にして、日本人歌手を広告キャラクターにし再提案したら社長さんが大喜び。しかし、そこで終わらないのが佐藤さんの凄さです。「『FIRE』と『麒麟珈琲』両方を実際にモニター調査するので支持が多かった方を商品化しましょう」と社長さんに掛け合ったのだそうです。すると、結果は8対2で「FIRE」の圧勝でした。

「FIRE」の企画を通した佐藤さんの気迫とマーケター魂には度肝を抜かれます。

私は、この”FIRE伝説”を知っていたので、佐藤さんがどんなプレゼンをするのか、ワクワクドキドキしながら開始を待っていました。

始まってみたら、なんと最初の3分で心を完全に鷲づかみにされてしまったのです。

それは、冒頭に出てきた「新スローガン」のチャート。

「イケイケGOGO!」
新しいほうへ イケイケ
難しいほうへ イケイケ
面白いほうへ イケイケ

たった3行でシンプルに美しくデザインされた印象的な言葉は力に満ちて、それぞれが韻を踏んでリズム感があり、一度聞いたら絶対に忘れられません。

3つともマーケティング戦略そのもの。マーケティングの佐藤さんらしい内容で素晴らしいと思いました。

「新しいほうへ イケイケ」は、イノベーション。
「難しいほうへ イケイケ」は、チャレンジと差別化戦略。
「面白いほうへ イケイケ」は、モチベーション3.0、働き方改革。

よく考え抜かれている言葉から一瞬で深みが伝わり、思わず唸ってしまいました。

そして、燃えるようなパッションで語っている姿を見て、毎日の仕事に汗水たらしているビジネスパーソンの熱量そのものを感じました。最前列からよく見ると、佐藤さんは感動のためか目が潤んでいます。私も、「うん、うん」と頷きながら聞いていました。その熱量は会場全体にも広がり、隣の席の記者もいつの間にか大きく頷きながら聞いています。パッションは「熱伝導」でこそ伝わるのです。

「日々の仕事が透けてみえてくる」
これこそが、ビジネスパーソンのプレゼンの神髄ではないかと思います。これはどんなにプレゼンの本を読んでも書いていない、その人だけ強みの世界です。

感動的なビジネスのプレゼンとは、ロジックだけでもダメですし、ただパッションで押すだけでもダメです。佐藤さんの場合、パッションと理論の両輪ががっちりとかみ合っているから、もう鬼に金棒です。

新社長としての初戦。緊張もされたでしょう。しかし、気迫のこもったプレゼンにノックアウトされ、幸せな気持ちで帰路につきました。

月刊『広報会議2月号』に取材した記事が掲載されています。

電子版はこちら→「トップマーケター渾身のプレゼン」に感服!湖池屋・佐藤章社長を分析

プレゼンは、緊張してもいいんです

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「プレゼンはすごく緊張するから話したくない」

そうおっしゃる方、とても多くいらっしゃいます。確かに、緊張するのはあまり気持ちの良いものではありませんよね。

ただ、ごく稀にですが、「なんだか今日は緊張せずに、リラックスして出来そうだ。」と思った本番。必ずと言っていいほど、思ったより上手くいかないのです。以前より不思議に感じていました。

そもそも、なぜ人は緊張するのでしょうか?

人間が緊張するとアドレナリンというホルモンが出て交感神経を興奮させるため、呼吸が多くなり、血圧が上がって、食欲も出なくなる状態になります。手も冷たくなります。
これは、狩に行って獣が現れたとき、戦争に行って戦うとき、戦うための全てのエネルギーを集中させるためで、呼吸を増やして酸素を送り込み、血管を収縮させて攻撃されたときの出血をおさえるのだそうです。
緊張は、人類が大昔から生きるか死ぬかのときに、自分の力を引き出して生き抜いてきた生命の知恵とも言われています。

つまり、緊張しているということは、必ずしも悪いことではなく、人間が自分の眠っている力を発揮させようとする前向きな反応だったというわけです。

それが分かってから、緊張してきてもあまり慌てなくなりました。「スイッチが入ってきたな。準備は段取り良く進んでいる。」と思うようにしています。そうすると、練習しているときより本番で緊張しているほうが、上手くいくようになりました。

私が心がけていることは、3つあります。

1 緊張したときに、自分がどんな状態になるか、知っていること
2 集中しようと無理をして自分を追い込まないこと
3 「これをすると気分が良い」、または、「これをすると上手くいく」ということを一つ以上する

大事なことは、必要以上に慌てず状態を受け入れることです。そうすると過度に緊張しすぎずに、ベストな状態に近づくような気がします。そして、緊張していたとしても、それを聴衆に悟られないようにする術も身についていきます。

徹底した準備は必要だと思いますが、それに加えて、いつもベストのパフォーマンスを発揮するために緊張することは大切なことだったのですね。

 

 

トッププレゼンこそ、「自分ごと」で話そう

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あの「お母さんの手作りの味」で有名な大戸屋さん。私もずいぶんお世話になりました。今年、その大戸屋さん、お家騒動でずいぶん社会の注目を浴びていました。その騒動も記憶に新しい11月9日、イイノホールで行われました事業戦略発表会に行ってまいりました。

このような発表会は、大戸屋さんとしては初めてとのこと。最初はお家騒動もあったためかとても緊張感があったようです。やや硬い雰囲気で、1時間ほどプレゼンが続きました。

ただ、このプレゼンの中で、一筋の光を見るような場面がありました。

「月に1〜2回、手作りの感覚を忘れないためにお店に立って、皿洗いや仕込みのアルバイトをしている。今日も『30本のネギをスライスしてきたので手がネギ臭い』」と恥ずかしそうに話す窪田社長の姿に、温かい人間性を感じたのです。そして、それまでは暗く硬直した雰囲気だった会場に、一瞬ホッとするような温かい空気感が漂いました。
その日の夜。テレビ東京のワールドビジネスサテライトで、その窪田社長が作業着で調理場に立つ姿が放映されていました。その愚直そのものの姿には感動を覚えました。

できれば、プレゼンに社長がアルバイトをしている写真を入れるなどしてこのエピソードを組み込みこんだり、アルバイトのときの作業着姿でエプロンと三角巾をして登壇すれば、より強く思いが伝わったのではないかと感じました。こうすることで窪田社長はプレゼンを「自分ごと」として話せるし、より共感も得られるはずです。

危機管理で会見する際の鉄則があります。それは「悪いことは悪い」と認め、憶測は廃し、事実をもとに語ること。窪田社長はこの基本はきっちりと出来ていました。

一昨年、トヨタの役員が禁止薬物を使用していたときの謝罪会見では、社長の豊田さんが「彼女(役員)は家族のようなもの」と発言しました。これもまた、トヨタの社風が感じられて、かえって好感度があがった場面でした。

同じように、今回、窪田社長は、「窪田社長でなくては語れない、窪田社長の人間性が感じられるお話し」をされている場面で、報道とは違う窪田社長の人間を感じました。

そこから人の心は動いていくのではないでしょうか。

プレゼンで忘れがちなことですが、実は、「パーソナリティは最高の戦略」なのです。

月刊『広報会議1月号』に、大戸屋ホールディングス窪田社長の「プレゼン力診断」を掲載いただきました。電子版も公開されていますので、よろしければご覧ください。

電子版はこちら→お家騒動で注目、大戸屋HDの窪田社長のプレゼン分析 「創業家」への思いは届くか

2016年12月19日、宣伝会議様主催「トップ広報講座」で講演してまいりました

2016年12月19日、宣伝会議様が主催された「トップ広報講座」で、「トップ広報の理想形を知る」というテーマで講演とワークショップを行いました。

宣伝会議様の月刊誌「広報会議」で、経営者「プレゼン力診断」を連載させていただいているご縁です。

参加された皆様は、企業の最前線で、経営トップにいかにコーポレートブランディングを表現してもらうかを悩んでいる広報責任者の方々。

トップ広報でありがちなのは、トップの個性をあまり考えずに、一つの形、たとえばスティーブ・ジョブズ風プレゼンを押しつけてしまうことです。でも、これはトップ広報の理想型とは言えません。トップの個性を活かして、トップの強みの土俵で勝負することが大切です。

今回は午前から午後にかけて、実際のトップ広報の実例をご紹介し、講義とワークショップを交えながら、トップ広報であるべき理想型についてお話ししました。

参加された皆様からこのようなご感想をいただきました。

■広報担当者という立場だけでなく、経営者自身としても有用な内容だったと思います。

■実践的、具体的で活用しやすい内容でした。トップ分類、傾向と対策は大変参考になります。

■具体的な対応策を示していただけたので、すぐに実践できると思う。ポイントがまとまっていたのでトップに伝えたい。

■話し方、立ち居振る舞いによる伝わり方の違いを学べた。社長の社内外のプロデュース方法を学べた。

■トップ広報という言葉の理解と重要さを感じる事ができました。

参加された皆様、企画いただいた宣伝会議の皆様、ありがとうございました。

 

 

なんとかしたい、あがり症

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講演後の質問で多いのが、「ドキドキして仕方ないんですけど…」「人前に出ると硬くなってしまい思うように話せない」という、あがり症に関するものです。

どんな人でも大なり小なり緊張するものです。緊張しない方が逆に問題です。ただ、緊張のために大事なプレゼンで実力が発揮できないのは、話したご本人はもちろんのこと、聴衆にとっても残念なことですね。

今回は、この「何とかしたい、あがり症」についてご紹介します。

こう言うと「まさか〜」と驚かれるのですが、実は私も、あがり症です。

そのため、音大出身にもかかわらず、子どもの頃から人前でピアノを弾くのが苦痛でした。ピアノは特に大変です。ピアノは音が多く、しかも全て暗譜という決まりがあり、楽譜を舞台に持ち込めません。すべて記憶して一人で20分〜30分は弾き続けなくてはいけないのです。アドリブも出来ません。そして、お客さんの8割が曲に詳しい人ばかりで、ちょっとカスったり、音を外しただけでもすぐに分かってしまいます。間違えたときの、瞬時に起こる「あ〜あ…」という空気感は、正面を向いていなくても強く感じてしまうほどです。

ただでさえあがり症の上、このプレッシャーは、大変厳しいものでした。

ですから、子どものときから「このあがり症を何とかできないものか」と、何十年も考え、工夫し続けてきたのです。「聴衆をカボチャと思え」とか、「手に『人』と書いて飲め」とか、「縁起かつぎ」とか、ありとあらゆるものを試しました。よくある「ぜったい治るあがり症」とか、「スポーツで実力を発揮するメンタルづくり」などの本もたくさん読みました。

…しかし全然効きませんでした。

ただ、長い年月、人前でもがき苦しみ、涙ぐましい工夫し続けるうちに、自分なりに少しずつ、緊張への対処方法が分かってきたのです。
そして、このピアノでの緊張対策は、プレゼンにも簡単に応用できるものでした。

今日は「あがり症対策」の第一弾として、緊張を克服し、実力を発揮するための、プレゼンの練習方法のポイントをお伝えいたしましょう。

緊張が激しい人ほど、リハーサル回数を重ねておけば心配ありません。
しかし、どうしても忙しいというのであれば、前の日に一回でも良いので通してスマホで録画し、自分で見て確認しましょう。約束しますが、本番でガタガタになることはありません。極度に緊張するという方の多くは、この録画の確認をしていないのです。

ただ、リハーサルをしていても、やはり怖いものです

乗り越えるための大事なポイントがあります。緊張には、ピークというものがあります。最初から最後まで、常に強いレベルで緊張し続けるということはありません。

緊張が最高潮に達するのはどこかでしょうか。

それはプレゼン冒頭です。

本番で、最初の3分を確実に乗り切ることです

だから、他がそれほど上手に出来なくとも、最初の3分だけは、何度も何度も練習しておきましょう。10回続けて完璧に話せるまで練習しておくことです。

この3分を失敗すると、取り戻すのは最後まで困難を極めます。

逆に言うと、この3分さえ成功させれば、全体はほぼ成功すると言っても良いと思います。

最初の3分を何とか乗り越えれば、その後は少しずつ極度な緊張からは解放され、緊張が心地よい集中力に変わっていくことが感じられるようになっていきます。

2016年12月7日「ITmedia エグゼクティブ勉強会」で講演してまいりました

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2016年12月7日、「ITmedia エグゼクティブ勉強会」で講演してまいりました。

「ITmedia エグゼクティブ勉強会」でお話しするのは、4回目となります。複数回ご参加の方が何名もいらっしゃって、継続して聞いてくださっていることをとても嬉しく思いました。

第一回は「横隔膜を鍛える発声の基礎」から始まり、第二回は「信頼感、説得力のある低い声の出し方」、第三回は「プレゼン力はコミュニケーション力」をお伝えし、そして今回新たに、「個性に合わせたプレゼンの方法」をお話ししました。

参加された皆様からは、このようなご感想をいただきました。

・社内の教育の講師を担当する時があり、今日お教えいただいたことを役立てて、少しでも伝わるように話したいと思います。

・自分のペースでプレゼンが出来る、していい、という事がわかって良かった。

・近日中にプレゼンを行う予定があります。早速実践してみます。

・これからの会議とか、プレゼンでなくても役立つ場面は多いと思います。大変良かったです。

・プレゼン、スピーチだけではなく、コミュニケーションの基本が学べた。

・気をつけるべきポイントが明快にまとまっていて役立った。

皆様、ありがとうございました。

「勝つプレゼン」とは

昨日のアメリカ大統領選。結果はトランプ大統領の誕生となりました。

なぜヒラリーではなく、トランプが勝ったのか?その理由を「アドタイ」(AdverTimes)に、昨日の結果発表直後17時、速報記事で書きました。

貧富の差が激しくなり、多くの人々は変革を求めていました。

ヒラリーは、変革を必要としているほとんどの米国民に対して、その答えを最後まで出すことが出来ませんでした。

一方、米国民は、言っていることは筋が通らないように見えても、どんな人でも分かるシンプルな言葉を腹の底から信じて話しているトランプに心を動かされました。
強く信じているからこそ、その言葉には魂が宿り、伝わります。

本当に信じている人の言葉は、正しいか間違っているかを越えてくるのです。

「勝つプレゼン」の大きなヒントがここにあります。

プレゼンの最大の目的は何か?
それは、プレゼンを聞いた人たちの行動が変わることです。

トランプの言葉は有無を言わさず人々の行動を変え、そして今、米国と世界の未来さえも変えようとしています。

詳しくは下記リンク先をご覧ください。

アドタイ(AdverTimes):【速報】コミュニケーション視点で読み解く、米・大統領選ーープレゼン術編「人の心を動かした感情とシンプルな言葉」

記者会見での意外な盲点「カウンターチェアの座り方」攻略法

月刊『広報会議12月号』に、「プレゼン力診断」を掲載いただきました。
「プレゼン力診断」は、経営者やPRパーソンのプレゼン力を、声、表情、身振り、ファッションなどから診断するコーナーです。

12月号はスカイマーク 佐山展生会長です。

2016年9月14日、スカイマーク格納庫(東京都大田区羽田空港)にて開催されました「スカイマーク×ネスレ日本 共同プロジェクト発表会」に行ってまいりました。

2015年、経営破綻したスカイマークの支援に名乗りを上げたのが、投資ファンド代表だった佐山氏でした。その後会長に就任し、搭乗率80%、今期、4月〜7月は92%近くに来ており、これは業界トップクラス。誰もが「スカイマークはもうだめだ」と思っていた中、ここまで業績を上げてきたところ、経営者として見事だったと思います。

今回はカウンターチェアの座り方が気になりました。

質疑応答でカウンターチェアを使っていました。このカウンターチェア、美しく座っている方はなかなか少ないものです

ちょっとしたコツがあり、片足を中段ステップにかけて、もう片足はのばして座るとスマートに見えます。ネスレの高岡社長は美しく座っていました。

しかし佐山会長は、質疑応答で堂々とカウンターチェア中段に両足を乗せて座っていました。聴衆に対して膝を大きく広げる座り方はエレガントさに欠けますし、あまりお勧めできるものではありません。しかしなぜか、その姿は、軍配団扇を持った戦国武将を思わせて「勝負師の佐山さんらしいな」と感じてしまいました。すべての方にお勧めはできませんが、佐山会長ならアリなのかな、と思わせる迫力があり、ご紹介させていただきました。

厳しい状況を乗り越えて来られている社員さんたちも、明るく活き活きとした雰囲気でふるまっていたのが印象的でした。今後の発展が楽しみです。

詳しくは月刊『広報会議12月号』をご覧ください。

電子版はこちら→プレゼンから香り立つ品の良さ…スカイマーク・佐山展生会長のプレゼン分析「戦国武将のような冷静さ」

プレゼンのページ送り、なぜ人に任せてはいけないのか?

『広報会議11月号』に「第24回プレゼン力診断」連載記事掲載いただきました

連載第24回の11月号は、BMWのペーター・クロンシュナーブル社長です。(記事の電子版はこちらです→月刊『広報会議11月号』

今回のプレゼンは、ページ送りは他のスタッフの方がされていました。プレゼン資料のページ送りをご自分でされないトップが意外に多いものです。

ページ送りをスタッフに任せるトップのプレゼンは、大抵間合いが足りません。じつは、送る方にも技術が必要なのです

ページ送りは話すタイミングとデリケートにつながっています。

これは、演奏の「譜めくり」と同じだからです。

ピアニストの横について譜めくりをしている人を「譜めくりスト」と言います。この譜めくりスト、楽譜が読めるだけではダメなんです。ピアニストは、自分が今弾いているところではなく、数小節先を確認しながら弾いています。譜面をめくるタイミングは、ジャストでもだめですし、早すぎてもダメなのです。譜めくりストは、あたかも自分が弾いているような気持ちで絶妙なタイミングを見計らってめくらなければ、ピアニストが調子を崩してしまい良い演奏にはなりません。だから、調子を崩したくないピアニストは、自分で譜面をめくる人も多いのです。

プレゼンは譜めくりと違い、便利なポインターもありますので、自分で送るようにするほうが自分の呼吸で間合いもとれて良いプレゼンになります。

 

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8月31日 広報会議「朝活広報会議」にて講演しました

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「朝活広報会議」にて『vol.13~プレゼン力を鍛えよう』というテーマで講演してまいりました。

「朝活広報会議」は、朝の8時15分より開始の講演会です。たくさんの方々にご参加いただき、また早朝にもかかわらず遠方から参加くださった方もいらっしゃいました。有り難いですね。

取材の実例から得た学びと、すぐに使えるテクニックまでお伝えしました。出勤前の爽やかな時間でもありますので、ボイストレーニングを皆さんと一緒に行い、元気になっていただけたと思います。

皆様、朝早くからありがとうございました。

7月21日 宣伝会議様 「トップ広報講座」にて講演してまいりました

2016年7月21日、宣伝会議様が主催「トップ広報講座」で、「トップ広報の理想形を知る」というテーマで講演とワークショップを行いました。

トッププのプレゼンスタイルにはいくつかのタイプがあります。そして各タイプには傾向と対策があります。ありがちな間違いは、本来持っているものとは違う
タイプを無理矢理演じさせてしまうことです。会社のブランディングとトップのパーソナル・ブランディングが一致したとき、その企業は大きく伸びていくのです。今回は、トップがどのようにしてコープレートブランディングを体現していくかを中心にお話しさせていただきました。

皆様より以下の感想をいただきました。

・声の出し方、伝え方、目線など、体の動かし方について大変勉強になりました。自分自身でも役立てたいです。

・具体的アドバイスに納得感があった。お話しのスタイルに自信を感じ、説得力があった。

・説明が事例もあり具体的でとても分かりやすかった。改善方法もすぐに実践できることをあげていただき、参考になった。時間の使い方もスムーズでした。

・分かりやすい導入方実践、ちょっとしたコツやポイントがうまく盛り込まれていて、あっという間の3時間でした。”低さ”がポイントである点、言われてみて初めて気がつき納得!でした。

・うかがった内容がすべて新鮮でわかりやすく、先生ご自身の立ち居振る舞いすべてから表現されていたので学ぶ点が多かったです。

・これまでの講師とはひと味違うプロの講師である。より具体的であった。実践的であった。

・トップの話し方、身振りなどから受ける印象が、その企業(広報)に大きく影響するのだと改めて感じた。パーソナルブランドと起業のブランドイメージが一致しているという所はお印象的だった。また自分の役割について分からされたように思える。

参加された皆様、ありがとうございました。

スーツのボタン、留めるの?留めないの?

数多くの会見やプレゼンの取材で、男性がスーツのボタンを留めずに話しているのをよく見かけます。

また、就活生が、スーツのボタンをしっかり全部留めているのを見て、あらら?と思うこともよくあります。

 

■タキシードについて

タキシードのボタンは、留めてはいけません。
全部はずしてください。
(ただしモーニングの場合は留めます)

ある団体でボタンを留めておられたので、「ボタンは留めないのですよ」と言いましたら「失礼になる」と言っておられた方がいたので、あまり知られていないことなのでしょうね。

結婚式の新郎でも、ボタンを留めている方を見かけたことがあります。
式場関係者の方も意外とご存知ない方が多いのかもしれません。

舞台に立つときに、ただ上手であれば良いというものではありません。
お客さんの前に出るからには、ある程度のマナーが必要ですし、見た目も大事です。

 

■ビジネス・スーツについて

これと同じように、ビジネス・スーツのボタンも留め方があります。

2つボタンでも3つボタンでも一番下ははずして着ます。

基本的に一番下のボタンは留めるものではないのです。

ただ、座るときは、全部はずして開けてください
スーツの型がくずれてしまうからです。
そして、(面倒かもしれませんが)立つときはまたボタンをかけます。

立つときはかけて、座るときは開ける、これが基本です。
パネルディスカッションなど舞台で椅子に腰掛けるシーンがある場合、舞台に出てくるときはボタンは留めて、座るときははずします。
そして、終わったら、ボタンを留めてから立ち上がります。
事前にわかっていても、アガっているとボタンをはずすのを忘れて、留めたまま話し始めてしまうこともよくありますので、ぜひ気をつけてほしいところです。

普段のビジネスシーンでも立っているとき、座っているとき、ボタンに注意すると良いでしょう。
特に、パブリックな場でのプレゼンテーションでは気を遣うことが大事です。

ただ、ボタンに気をとられすぎてまごまごしてしまうとかえって良くありません。事前に、「相手とのアイコンタクトを外さず、ボタンを留めたり、はずしたりできるように練習」しておくと、自信を持ってスマートに出来ると思いますよ。

プレゼンで絶対にはずせないこと

お客様にご説明しなくてはならなかったり、人前でしゃべらなくてはならないとき、上手く話せなくて困ることがありますよね。

これは、自分ではよく分かっていたとしても、頭の中で内容がまとまっていないせいです

こういうときは、あらかじめ自分の話す内容を文章に起こしておく、という作業を行うと上手く話せるようになります。

私は、プレゼンや講演の内容でも、シナリオを文章で起こします。
ラジオなどのシナリオライターと同じようなことを行っているのです。

そうすると、頭の中が整理されますので、間違いや失言がありません。
また、話す内容を迷うことがないので「えー」とか「あー」とか余分な言葉が出なくなりましたし、余裕が出るので、身振り手振り、立ち居振る舞いなどにも気を配れます。

もちろん、当日のお客様の顔を見て、シナリオ通りではないことも話しますし、少し脱線することもありますが、内容を決めておけば安心して話すことが出来ます。
もし、内容を文章に起こしていなかったとしたら、不安で話せないでしょう。

取材を受けるときでも、まず「どんな内容になりますか?」とおたずねし、自分で原稿を書いて記者にあらかじめ送っておいて受けます。嫌がられたことは今までありませんし、逆に喜んでくださる方のほうが多いくらいです。また、原稿に書き起こすことで、頭の中が整理されますので、話しやすくなります。

よく、トップの発言がセンセーショナルに記事に取り上げられて、問題になるケースがあります。
これも、できるだけあらかじめ何を話すか、どこまで話して良いか、どこから話してはだめなのか、あらかじめ準備しておくことがものすごく大事です。

あらかじめ原稿を送れればベストですが、そうでなくとも、自分で普段から文章かする習慣をつけておくと、いざというときに役立つでしょう。

ただ、文章自体がまとまりがなく伝わらない内容ですと困ります。
文章化したら、他人になったつもりで何度も読み返してみると伝わらない場所が自分で分かるようになり、文章の良いトレーニングになります。

ビジネスのスキルとして「伝わる文章を書けること」「言葉で伝えること」が出来るだけで、かなりの仕事は上手くいくと思います。

プレゼンの回数が多くなくてもプレゼン上手な人のやり方

プレゼンは、やはり数をこなすことがレベルアップのためにはとても大事なことです。

ただし、それなりに数をこなしてはいるけれども、あまり上達しない方もいます。

なぜでしょうか?

それは、反省が少ないからです。
それも、ただの反省ではなく、「濃い反省」をしていないからです。

数はそれほどこなしていなくとも、濃い反省をして、新しいチャレンジをしている人は、1回のプレゼンで人の何倍もの学びを得て見事に上達されます。
反省のためにはビデオを録れればベスト。難しければ録音をしておくことをおすすめします。

この「反省」は、一人で行っても良いですが、少ない時間でもっとスピーディに上達したければ、トレーナーや経験豊富な方と一緒に行うのが良いでしょう。

人間は自分だけでは、視野が狭くなります。
また、人は反省において「自分がこうあってほしい」という視点で自分を見てしまいがちだからです。自分の都合の良いようにフィルターがかかってしまうのです。
もちろん、反省しないよりしたほうが良いのですが、そこにもう一人冷静で的確な判断をしてくれる方がいると、より密度の濃い反省ができます。
濃い反省を行うことで、より濃い時間を使うことができます。

私は、自分自身の反省のためにビデオを見ますが、可能な限り信頼できる人にもう一人同席してもらうようにしています。

反省のときに、より濃い反省をしたければ、自分のプレゼン内容だけでなく、できれば、当日お客さんからいただいた意見や反応を検証するようにしましょう。

良いプレゼンのときというのは、質問が活発になります。
この質問のときの、お客さんの話し方や反応を良く見るのです。
アンケートでも分かりますが、そのときの生の反応に本音が隠れています。

私は、プレゼンの反省をするとき、プレゼンの本編よりも質疑応答での反応、やりとり、態度をより慎重に検証します。

ぜひ、録画を録るならば、質疑応答の最後まで記録されるように。
そこに上達のコツが隠れています。