トッププレゼンこそ、「自分ごと」で話そう

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あの「お母さんの手作りの味」で有名な大戸屋さん。私もずいぶんお世話になりました。今年、その大戸屋さん、お家騒動でずいぶん社会の注目を浴びていました。その騒動も記憶に新しい11月9日、イイノホールで行われました事業戦略発表会に行ってまいりました。

このような発表会は、大戸屋さんとしては初めてとのこと。最初はお家騒動もあったためかとても緊張感があったようです。やや硬い雰囲気で、1時間ほどプレゼンが続きました。

ただ、このプレゼンの中で、一筋の光を見るような場面がありました。

「月に1〜2回、手作りの感覚を忘れないためにお店に立って、皿洗いや仕込みのアルバイトをしている。今日も『30本のネギをスライスしてきたので手がネギ臭い』」と恥ずかしそうに話す窪田社長の姿に、温かい人間性を感じたのです。そして、それまでは暗く硬直した雰囲気だった会場に、一瞬ホッとするような温かい空気感が漂いました。
その日の夜。テレビ東京のワールドビジネスサテライトで、その窪田社長が作業着で調理場に立つ姿が放映されていました。その愚直そのものの姿には感動を覚えました。

できれば、プレゼンに社長がアルバイトをしている写真を入れるなどしてこのエピソードを組み込みこんだり、アルバイトのときの作業着姿でエプロンと三角巾をして登壇すれば、より強く思いが伝わったのではないかと感じました。こうすることで窪田社長はプレゼンを「自分ごと」として話せるし、より共感も得られるはずです。

危機管理で会見する際の鉄則があります。それは「悪いことは悪い」と認め、憶測は廃し、事実をもとに語ること。窪田社長はこの基本はきっちりと出来ていました。

一昨年、トヨタの役員が禁止薬物を使用していたときの謝罪会見では、社長の豊田さんが「彼女(役員)は家族のようなもの」と発言しました。これもまた、トヨタの社風が感じられて、かえって好感度があがった場面でした。

同じように、今回、窪田社長は、「窪田社長でなくては語れない、窪田社長の人間性が感じられるお話し」をされている場面で、報道とは違う窪田社長の人間を感じました。

そこから人の心は動いていくのではないでしょうか。

プレゼンで忘れがちなことですが、実は、「パーソナリティは最高の戦略」なのです。

月刊『広報会議1月号』に、大戸屋ホールディングス窪田社長の「プレゼン力診断」を掲載いただきました。電子版も公開されていますので、よろしければご覧ください。

電子版はこちら→お家騒動で注目、大戸屋HDの窪田社長のプレゼン分析 「創業家」への思いは届くか