良いプレゼンかどうかは息を吸ったときに決まる

プレゼンやスピーチが上手な人には共通点があります。

それは「息が吸えている」ということです。

「プレゼンの名人」といわれる方々の動画を良く見ますと、話す前に必ずしっかりと「口から息を吸っています」

「良い呼吸をするためにはまず息をはくことです」という考えもあります。

しかし、今までの経験からすると、息を吸うほうが意識しなければなかなか出来るものではありません。そして、きちんと息を吸うという運動は、エネルギーを使います。
車がガソリンがないと走らないように、息を吸うことは発声するためのエネルギーを補給するようなものです。

「息を吸うなんていつも出来ている。簡単だよ。」と思われるかもしれませんね。

簡単なようでいて、実はきちんと「息の吸い方」が出来ている人は少ないと思います。

息の吸い方は内容にも大きく影響します。
息の吸い方を見れば、次に「どんな声が来るか」「どんな内容の話をするか」予測がつきます。
つまり、思い浮かんだことをを行き当たりばったりで話すのではなく、「あらかじめ何を話すか決めて」、その内容に合わせて息を吸っているということです

声が響かず、良くないスピーチになっている場合のほとんどは息が吸えていません。

「息が吸えていない」というのは、「息の吸い方がよくない」ということです。

「良い息の吸い方」とは、息を吸うときに「横隔膜がしっかり下がっているか」「下腹が張り出しているか」も同時に行います。
そうすることで、良い息が吸えて、呼吸とともに言葉も流れて響くようになります。

息を吸った→話した(息をはく)→息を吸った→話した→・・・・
この繰り返しがスピーチになります。

そして、この循環が上手くいくことが、名人のようなスピーチにつながります。

2016/03/14 | カテゴリー : スピーチ | 投稿者 : nagaichika

スーツのボタン、留めるの?留めないの?

数多くの会見やプレゼンの取材で、男性がスーツのボタンを留めずに話しているのをよく見かけます。

また、就活生が、スーツのボタンをしっかり全部留めているのを見て、あらら?と思うこともよくあります。

 

■タキシードについて

タキシードのボタンは、留めてはいけません。
全部はずしてください。
(ただしモーニングの場合は留めます)

ある団体でボタンを留めておられたので、「ボタンは留めないのですよ」と言いましたら「失礼になる」と言っておられた方がいたので、あまり知られていないことなのでしょうね。

結婚式の新郎でも、ボタンを留めている方を見かけたことがあります。
式場関係者の方も意外とご存知ない方が多いのかもしれません。

舞台に立つときに、ただ上手であれば良いというものではありません。
お客さんの前に出るからには、ある程度のマナーが必要ですし、見た目も大事です。

 

■ビジネス・スーツについて

これと同じように、ビジネス・スーツのボタンも留め方があります。

2つボタンでも3つボタンでも一番下ははずして着ます。

基本的に一番下のボタンは留めるものではないのです。

ただ、座るときは、全部はずして開けてください
スーツの型がくずれてしまうからです。
そして、(面倒かもしれませんが)立つときはまたボタンをかけます。

立つときはかけて、座るときは開ける、これが基本です。
パネルディスカッションなど舞台で椅子に腰掛けるシーンがある場合、舞台に出てくるときはボタンは留めて、座るときははずします。
そして、終わったら、ボタンを留めてから立ち上がります。
事前にわかっていても、アガっているとボタンをはずすのを忘れて、留めたまま話し始めてしまうこともよくありますので、ぜひ気をつけてほしいところです。

普段のビジネスシーンでも立っているとき、座っているとき、ボタンに注意すると良いでしょう。
特に、パブリックな場でのプレゼンテーションでは気を遣うことが大事です。

ただ、ボタンに気をとられすぎてまごまごしてしまうとかえって良くありません。事前に、「相手とのアイコンタクトを外さず、ボタンを留めたり、はずしたりできるように練習」しておくと、自信を持ってスマートに出来ると思いますよ。

プレゼンで絶対にはずせないこと

お客様にご説明しなくてはならなかったり、人前でしゃべらなくてはならないとき、上手く話せなくて困ることがありますよね。

これは、自分ではよく分かっていたとしても、頭の中で内容がまとまっていないせいです

こういうときは、あらかじめ自分の話す内容を文章に起こしておく、という作業を行うと上手く話せるようになります。

私は、プレゼンや講演の内容でも、シナリオを文章で起こします。
ラジオなどのシナリオライターと同じようなことを行っているのです。

そうすると、頭の中が整理されますので、間違いや失言がありません。
また、話す内容を迷うことがないので「えー」とか「あー」とか余分な言葉が出なくなりましたし、余裕が出るので、身振り手振り、立ち居振る舞いなどにも気を配れます。

もちろん、当日のお客様の顔を見て、シナリオ通りではないことも話しますし、少し脱線することもありますが、内容を決めておけば安心して話すことが出来ます。
もし、内容を文章に起こしていなかったとしたら、不安で話せないでしょう。

取材を受けるときでも、まず「どんな内容になりますか?」とおたずねし、自分で原稿を書いて記者にあらかじめ送っておいて受けます。嫌がられたことは今までありませんし、逆に喜んでくださる方のほうが多いくらいです。また、原稿に書き起こすことで、頭の中が整理されますので、話しやすくなります。

よく、トップの発言がセンセーショナルに記事に取り上げられて、問題になるケースがあります。
これも、できるだけあらかじめ何を話すか、どこまで話して良いか、どこから話してはだめなのか、あらかじめ準備しておくことがものすごく大事です。

あらかじめ原稿を送れればベストですが、そうでなくとも、自分で普段から文章かする習慣をつけておくと、いざというときに役立つでしょう。

ただ、文章自体がまとまりがなく伝わらない内容ですと困ります。
文章化したら、他人になったつもりで何度も読み返してみると伝わらない場所が自分で分かるようになり、文章の良いトレーニングになります。

ビジネスのスキルとして「伝わる文章を書けること」「言葉で伝えること」が出来るだけで、かなりの仕事は上手くいくと思います。

プレゼンの回数が多くなくてもプレゼン上手な人のやり方

プレゼンは、やはり数をこなすことがレベルアップのためにはとても大事なことです。

ただし、それなりに数をこなしてはいるけれども、あまり上達しない方もいます。

なぜでしょうか?

それは、反省が少ないからです。
それも、ただの反省ではなく、「濃い反省」をしていないからです。

数はそれほどこなしていなくとも、濃い反省をして、新しいチャレンジをしている人は、1回のプレゼンで人の何倍もの学びを得て見事に上達されます。
反省のためにはビデオを録れればベスト。難しければ録音をしておくことをおすすめします。

この「反省」は、一人で行っても良いですが、少ない時間でもっとスピーディに上達したければ、トレーナーや経験豊富な方と一緒に行うのが良いでしょう。

人間は自分だけでは、視野が狭くなります。
また、人は反省において「自分がこうあってほしい」という視点で自分を見てしまいがちだからです。自分の都合の良いようにフィルターがかかってしまうのです。
もちろん、反省しないよりしたほうが良いのですが、そこにもう一人冷静で的確な判断をしてくれる方がいると、より密度の濃い反省ができます。
濃い反省を行うことで、より濃い時間を使うことができます。

私は、自分自身の反省のためにビデオを見ますが、可能な限り信頼できる人にもう一人同席してもらうようにしています。

反省のときに、より濃い反省をしたければ、自分のプレゼン内容だけでなく、できれば、当日お客さんからいただいた意見や反応を検証するようにしましょう。

良いプレゼンのときというのは、質問が活発になります。
この質問のときの、お客さんの話し方や反応を良く見るのです。
アンケートでも分かりますが、そのときの生の反応に本音が隠れています。

私は、プレゼンの反省をするとき、プレゼンの本編よりも質疑応答での反応、やりとり、態度をより慎重に検証します。

ぜひ、録画を録るならば、質疑応答の最後まで記録されるように。
そこに上達のコツが隠れています。

プレゼン最初の15秒はゴールデンタイム

何事もスタートによって出来の善し悪しが決まります。

これはスポーツでも同じです。
陸上競技のアスリートたちが、何度も繰り返しスタートの練習をしているのを見たことがあります。

また、相撲でも立ち会いで勝負がつきます。

子どもの頃に師事したピアノの先生から、あるアドバイスをいただいたことがあります。
「演奏は出だしで全て決まる。あなたは出だしがだめ。
相撲の立ち合いを見てごらんなさい。
演奏の出だしと似ているから。」

すると立ち合いというのは、すぐに行うのではなく、何度も何度も、水を飲んだり、タオルで汗を拭いたり、身体をたたいたりしながら、時間をかけて気合を高めていくのですね。
そして、対戦相手との呼吸を合わせるのも難しいものです。
「はっけよいのこった!」では相手と呼吸があわないとやり直しをさせられたりします。

それぐらい、出だしの立ち会いに気合いと集中力を高め、勝負をかけているのです。

プレゼンも同じです。

特に、プレゼンの場合は、スタート15秒がゴールデンタイムです。

出だしの15秒は、聴衆が一番興味と関心を持って発表者を見ているところです。
ここでしっかりとお客さんのお気持ちをつかんでおく必要があります。
すべってしまったり、つまらないことを話してしまうと、お客さんの気持ちは離れてしまい、もう取り戻しがききません。

話しの内容を決める上での重要なポイントを申し上げましょう。

あなたの話しを聞きにきている会場のほとんどのお客さんはどんな方々ですか?
お客さんのために何を話すか良く考えてください。
ある一部の方々にだけに向けられた話しであったり、お決まりの挨拶を長々と続けていませんか?

話す内容を深く考え抜き、特にスタートは何度も練習し、本番当日は集中力と気持ちを高めて臨みたいものですね。

プレゼンで歩き回って話さないほうが説得力が増す

海外のCEOで、よく激しく歩き回りながら話す人がいます。
また、その影響か、日本人経営者でもよく歩き回って話す人をよく見かけます。

一般的に、人前で話すとき、歩き回ったほうが活動的なイメージで良いと思われている傾向があるようです。

そして、人は緊張すると、歩き回りたくなるものです。

しかし、あまり動き回ると、落ち着きなくみえますし、感情の浮き沈みが激しいように見えてしまいます。これはもし経営者であれば、あまり良いことではありません。

経営者の場合、話すときは一カ所にとどまり、できるだけ歩き回らない方が、落ち着いて堂々と見え、説得力が増します。

話題が変化したりする場合のみ移動し、移動した先でまた正面を向いて下半身は動かさずに話しましょう。

もし、活動的なイメージを演出したかったら、手振りで表現すると良いと思います。

もちろん、「演台の後ろに立って一度も出てこない」というのよりは、動いても全身を出したほうがメッセージが伝わりますし、聴衆との距離感も近くなりますのでまだマシです。

緊張が最高潮に達してしまい、動かずにはいられない場合は、出来るだけおへその下の下腹に力を込めましょう。
おへその下9センチの場所を中心に、前に張るような気持ちで立つと、まっすぐに凜として立っているように見えますよ。

私は、結構緊張しやすいので、プレゼンの最初の5分くらいは、思い切り下腹に力を込めています。やはり、初めての方々の前で話すのは、最初なかなか空気がなじみません。でも、だいたい5分くらいするとそれほど頑張らなくても自分の空気感で話せるようになります。最初の数分でいかに自分のペースをつかむかが、この日上手くいくかどうかの勝負どころです。

正面を向いてまっすぐ立ち、話すときは下半身は動かず、下腹に重心を持って行く。
これで、声も響くようになるし、立ち姿も良くなり、一石二鳥です。
お試しください。

人から用意された資料でも説得力のあるプレゼンになる方法

企業においては、誰かの用意した資料を読んで説明しなくてはならない場面が多いのではないでしょうか。

お客さんへのプレゼンや、記者会見などで、資料に釘付けで棒読みされている方々をよく拝見します。それは、まったく自分の言葉ではなく、人の考えた文章です。
また、まず普段使われないような、口語体でない言葉もそのまま読み上げてしまうので、自分の中で消化されていないということがよく分かります。

企業の発表会でも、プロの司会者が、台本を持って台本通りに読んでいる場面をよく見かけますが、それは「間違いなく読む」ということが大きな目的で、人に記憶してもらおうとか印象づけようとすることとは正反対です。

 

ビジネスの場においては、間違いなく読むことよりも、いかに説得力や信頼感を持って伝えるかということのほうが大事です。

しかし、用意された台本や資料があれば、それを「つい読みたくなってしまう」というのも人情です。
台本が用意されていれば、「多少アレンジして話していいですよ」と申し上げても、人は必ずそこに頼ってしまいます。
これは、実際行うとまず間違いなくそうなってしまいます。

だから、台本があれば、人とのアイコンタクトもとれなくなりますし、緊張から高い声になり、早口で棒読みしていますので、まず説得力はありません

資料があっても、説得力をもって話すためには2つの方法とコツがあります。

1 覚えればベストです。

ほぼ記憶し、あとは自分の言葉で語ることができれば、断然説得力は上がります。
練習も必要です。企業のトップはぜひやっていただきたいところです。

2 見て話す練習をする

資料の見方もなかなか難しいものです。
「べったり見ないで話しましょう」と言っても、やはり人前に出ると、怖くなってしまい、資料から目が離せなくなります。高い山に鎖場があれば、必死で鎖にしがみついてしまうような状態と似ています。少しでも目を離すと、もう一度見たときに「あれ?どこまで話したっけ?」と自分の読んでいるところが迷子になってしまうことがあります。

なので、目は1秒以内で資料を確認し、それ以外は、聞き手とのアイコンタクトをしながら話す練習をしましょう

世界経営者会議でIBMのロメッティCEOは、資料を用意していましたが、間違ってはいけないような数字だけは1秒以内で見て確認し、あとはアイコンタクトをとって話していました。
見る技術も必要なのです。

この方法は、リハーサルをしましょう。ぶっつけ本番では、絶対に1秒以内で見ることはできません

そして大事なコツがあります。

良く響く低い声でゆっくりと語りかけるように話すこと。

低い声は人間の温かみや、信頼感や安心感を感じさせます。
私が、ビジネスの場で、低い声を使いましょうと言っているのは、ここに理由があります。

甲高い声で資料を読み上げるのでは、無機質で印象に残りません。

ぜひ、落ち着いて、いつもより低い声で話すくらいの気持ちで臨んでみてください。人にはちょうどよく聞こえるでしょう。

発声トレーニングにおける腹式呼吸はやればやるほどダメになる

テレビを見ていましたら、サービス系のお仕事の研修場面が映し出されていました。
ちょうど発声のトレーニングをしていたのですが、お約束の「息を吸って〜、お腹をふくらまして〜、息をはいて〜、お腹をへこませて〜」を行っています。

腹式呼吸としては悪くないのですが、この方法では良い声は出るようにはなりません。
良い声を出そうと思ったら、お腹はへこましてはいけません。
張りっぱなしなのです

他にも、足に力をいれたり、腹筋運動をして頑張ったり、うるさいところで聞こえるように思い切り声を張り上げたりするようなトレーニングも、声帯に力みがいってしまい、良くありません。

声帯とは、なかなか思い通りに動いてくれない場所です。だからこそ無意識に行った間違った法からなかなか抜けられないのです。やればやるほど声帯に悪い癖がついてダメになります。
声帯はとてもデリケートですので、無理矢理大声を出したりすれば、すぐに疲労しますし、聞いているほうからすると、実際声は通らずうるさいだけで良い結果につながりません。

発声をするときは、横隔膜という肺の下にある呼吸をつかさどる筋肉だけが頑張るのであって、他はすべてリラックスさせたいのです。

それをするには、力を入れずに自然にまっすぐに立って、おへその下9センチあたりのお腹を張るだけ。

人は「リラックスしましょう!」と言われても、本当にリラックスさせることは大変難しいのです。
ただ、このへそ下9センチの場所を張るようにすると、横隔膜が使いやすくなり、身体の他の部分がリラックスやすくなります。

最近、大きな冷蔵庫から、巨大なプリンが出てくるCMがありますね?
お皿の上にプリンが乗っていてプルプルとしているあれです。
お腹はお皿で、身体はプリンになっているイメージです。

それを考えると、一般的な発声方法は、本当にいろいろなところが力みすぎていて、わざわざ悪い癖をつけているようなものです。
発声の悪い癖は一度身につくとなかなかとれません。

私も以前は、古い発声方法を習っていました。それが良いとばかりに、ひたすら信じてやっていたのですが、後になって悪い癖をとるのに長い時間かかってしまったのです。
最初からリラックスする発声方法を行っていれば、こんな時間の無駄はなかったと思います。

それでは、本日は、まず一番の基本である良い発声のための呼吸トレーニングをお伝え致しましょう。

この方法を行って、力まず下腹を張る感覚を覚えてくださいね。

プレッシャーのかかる場面だったら、もう少し頑張ってバンッと下腹を張るようにできると、気持ちも安定し、声もよくなって力を発揮できます。

(1)壁に背中をつけて立つ(座ってする場合は背もたれに背中をつけて)

(2)顎を下げて口を開ける。肩を上げずに、下腹を張りながら「はあっ」と大きく息を吸う。
(もしわからなければ誰かに軽く下腹を軽く押してもらい、それを張り返すつもりで行うとよい)

 ☆ポイント:下腹はしっかりと前に出て、さわるとパンと張っている。このとき、下腹を無理に出そうとして壁から背中が離れない 

(3)そのまま息を5秒とめる

 ☆ポイント:下腹は張ったまま。

(4)下腹を張りながら「はーっ!」と一気に息をはく。(そーっとはいてはだめです)

 ☆ポイント:息をはくとき喉で小さく「あ”っ」という言う音がしたら喉でとめているのでよくありません。「喉止め」しないコツは、お腹の頑張りに集中すること。喉の周辺がリラックスしやすくなります。いくら良い呼吸をしていても、「喉止め」をしている限り良い発声はできません。喉で音がしないようになるまで練習すること。
 
(5)(2)~(4)を何回か繰り返す。慣れてくればお腹を押してもらわなくてもできるようになります。息を吸っているときもはいているときも、出来るだけ下腹は「パン」と張った状態を維持するように。

政治家も行っている人の心をとらえる簡単な目線の配り方

ただ綺麗な声、良く通る声、というのはある程度のトレーニングを積めば誰でも出すことが出来ます。しかし、努力してただ良い声を手に入れただけでは、本当に伝えたいことは伝わりません。

ほんの数人からでも、たくさんの人の前でお話しになる場合でも、良い声で行うスピーチとステージさばき・・・つまり、その場の空気を自分の空気で満たす要素が必要になってきます。

私が、皆さんのスピーチで特に気にしていただきたいことの一つに、「目線」の配り方があります。この目線一つで、聴き手に対する説得力は格段に変わってきます。

私は最初、演奏会のステージで学んだのですが、本日は一流の政治家も行っているという、大変簡単な方法をお伝えします。

私が人のスピーチを聴いていて、いつも気になるのは、演台に置かれた原稿や、パソコンを見てしまい、始終目線が伏し目がちになってしまっていることです。これでは、とても良いことをお話しになっていても、自信がなさそうに見えてしまい、本当にもったいないことです。

もし可能ならば演台はなくして、目線は客席に向けてください。

まず出て行くときが肝心です。
「この人はどんな人なんだろう」と聴き手が一番集中力を持ってみている場面だからです。

このとき、自分が歩いてくる方向と対角線上にある一番後ろのお客さんの目をじっと見ます。そこから目を離さない。

そして中央に歩いていくときには少しずつ目線を客席最後方逆サイドの移して行く。そうすると中央に立ったときには、先ほど見ていた人とは反対側の人の目をじっと見つめることになりますね。そしてゆっくりと、最初に見た人の目をもう一度見てください。

この目線の動かし方で、自分を全ての方々に見てもらうことが出来、より堂々として見えます。

そして、話しに入ったら、ある人にターゲットを決めて、その人と目線を合わせることです。最初なれないうちは、熱心そうに聴いてくださっている人がいいですね。
ターゲットは数分ごとに変えていきますが、あまり短い時間で常に目を動かし続けるのは落ち着きがなく見えてしまうので、避けたほうが良いと考えています。
まず、目をすえることを目標にしてください。

そうすると良いことがあります。落ち着きが感じられることはもちろん、聴き手は目線が合うことで、一対一で話しを聴いているような気持ちがするのです。大勢に話しているという感覚ではなく、ぜひ、その人一人に語りかけているつもりで話してください。

上手な講演を聴くと、不思議なことなのですが、大勢の人がいても、まるで常に自分のことをいわれているような、自分一人に語りかけてもらっているような気持ちになり、大変集中できることがありますね。ぜひ聴き手をそういう気持ちにさせてあげてください。

良い声を手に入れることももちろん大事なことなのですが、それを上手に「舞台」に乗せてあげることをしてみるとさらに良い声が生きてきます。

なぜ首を振りながら話すのでしょうか

「黙って動かずに2時間座っていなさい」
と言われて出来る子供はなかなかいません。

これは、大人であっても、ある程度の訓練と強い意志がないと出来ないことです。

人前でのスピーチで、意志を持って「動かない」、また動くときは意味を持って「動く」ということはとても大事なことです。

「なぜ今動いたのですか?」
と聞くと
「なんとなく」
と答える方のほうが圧倒的の多いと思います。

普通は、意識しなければ、無意識に意味なくフラフラ揺れたり、ウロウロ動き回ってしまったりしています。
このほとんどは、「自分のリズムをつくるため」です。
アグレッシブさを感じさせるために激しく動き回って話すスタイルもあるかと思いますが、話し方と個性が連動していない場合が多く、一般的にはあまり成功していません。聴衆は内容よりも、落ち着きのない印象を受けるか、目が回るだけです。
意味のない動きは、自分のためだけであって、聴衆のためではないのです。

そこを、聴衆に対して正面を向き、動かずに姿勢やポーズを決めてみると、圧倒的な説得力が生まれます。
歌舞伎でも見得を切るというのがあります。
そこに特別な存在感が生まれ、聴衆は引き込まれるのです。

スピーチの場合は、首と足は固定し、出来るだけ手振りで表現していくのが、安定感と存在感を感じさせます。
そして、足が動くときは、何かの動作を行うか、内容が変わったときが良いでしょう。
あまりウロウロと動き回ると落ち着きが感じられません。

いざやってみると、簡単なようでいて、実行するのはなかなか難しいことを実感されると思います。そういう方は、動かないで話すと話せなくなってしまうからです。今まで、いかに自分の話のリズムを作るために首をコクコク振っていたり、動き回っていたかということに気がつきます。

聴衆に対して、説得力と存在感を感じさせるために、ぜひ動かないで話してみることをおすすめします。

2015/07/02 | カテゴリー : スピーチ | 投稿者 : nagaichika

「良い声を求めると声は逃げていく」 潜在的に眠っている声を呼び覚ますスペシャル法

声を良くするためのノウハウをお伝えしているのにもかかわらず、あえて逆のことを言います。

人は良い声を求めようとすればするほど、良い声とはかけ離れていきます。

人は、声を求めようとすると無意識にポイントが上へ上へ上がってきてしまうからです。

それは「声=喉」という常識から逃れられないからでしょう。
「良い声を求めると声は逃げていく」 潜在的に眠っている声を呼び覚ますスペシャル法
良い声を出そうと思えば、一にも二にも横隔膜。
横隔膜を使えている感覚をどこまで身につけられるかにかかっています。
他の細かいことは、それほどやらなくても良いと言い切れます。

しかし
「横隔膜を使えているかどうか分からない。」
という方、とても多いと思います。

そこで、あえて横隔膜は意識から外してみましょう。

横隔膜がしっかり使える条件として、発声しているとき「へそ下9センチの場所にある『丹田』という場所が張っていること」があげられます。

普通、意識しなければ、発声して息をはいているとき、下腹はへこんでいきます。
そこを、なんとか抵抗して張ったまま発声するのです。

よく「この人は胆力がある」と言われますね。
この丹田が張っているときこそ、胆力は発揮できます。

声も同じです。
丹田が張って、横隔膜が使いやすくなっているときこそ、どんな人でも声は自然に充実してくるものなのです。
横隔膜によって、皆さんの潜在的に眠っている良い声を呼び覚ますことができるのです。

ただ、横隔膜は、発声のポイントを下げたままにしておくことが大切です。

私も何年もボイストレーニングを行っていますが、やはり気を抜いていると、声を求め始め、ポイントが下腹からどんどん喉に向かって上に上がって行ってしまいます。それほど、人にとって「声=喉」という呪縛から逃れにくいものということを念頭においてください。

こういうときに、喉から意識を外し、一発でポイントを下げて、身体から発声できるようになるスペシャルな方法を何通りか持っています。
そのうちの一つをご紹介しましょう。

「犬の呼吸」→「吠える」という方法が大変有効です。

(1)犬の呼吸を行う
【方法】犬が夏舌を出してハアハアしているときの呼吸をする。肋骨下あたりのお腹がぺこぺこ動いているのを確認する。

(2)動いている場所が分かったら、その場所で、大型犬が吠えるように「ワン!」と吠える。
【コツ】腰のあたりから突き上げるように吠えると上手にできる。「ウ〜、ウ〜(唸る)ウワン!」とすると横隔膜に入りやすい。人間であることを忘れるくらい、本物そっくりに吠えることができるようになるまで何回でも練習してください。

何度か吠えてから、また発声や歌に戻ると全然声の充実度が違い驚きます。
「やっぱり喉に行っていた。ポイントが上がりすぎていたな。」
ということがすぐに確認できます。

2015/06/02 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

滑舌は横隔膜を鍛えることで良くなる

「滑舌がよくない」と気になる方は多く、滑舌を鍛えるために、早口言葉の練習をする方も多いようです。

ところが、せっかく早口言葉の訓練をしたとしても、横隔膜が使えていないと滑舌が良く聞こえるようになりません。

滑舌は主に、子音のさばき方が良いかどうかにかかっています。
子音のさばきは主に横隔膜によって行います。

特に難しいのはハ行。
ハ行はとてもやりにくいものです。

[h]は、他の子音のようにひっかかりがないぶん、横隔膜を特に強く使わなければ発音できないからです。
ただ口先だけで発音していても、流されて聞こえなくなってしまいます。

日本語で「花が散る」と言うのを、[h]が上手く入らないと「穴が散る」と聞こえ、意味が分からなくなります。

日本語だけではありません。
例えばドイツ語の「Herz」(心)。
これも、[h]が横隔膜によってしっかり息を流して発音しなければ正しく聞こえてきません。
(例外もありフランスは[h]を言いません)

ハ行は、横隔膜で息を支えながら時間を操作して発音します。
よっぽど身体(横隔膜)を鍛えていなければ、聞こえないものなのです。

他には、母音を抜いて、息を通しながら発音する[p][t][k][f][s]などの破裂音・摩擦音。「無声音」ともいわれます。
これらのものも、口の中にしっかりと息を通して発音します。

滑舌は、横隔膜を鍛えることによって良くなります。
後は、
①シンプルに口を開ける
②舌を奥に入れないこと
に気をつけてください。

横隔膜を鍛える簡単なトレーニング方法を一つご紹介しましょう。

★★★ 横隔膜ブレス ★★★

(1)横隔膜があるあたり、あばら骨すぐ下(おへそと一番下のあばら骨の間)のお腹に手の平を当てる

ポイント:横隔膜意識のために手を当てます。横隔膜はインナーマッスルで動きます。筋力トレーニングのときに筋肉をつけたい部分を意識すると筋肉の付きが早いですね。それと同じ理論です。

(2)顎を下げて口を開け、思い切り息を吸う

ポイント:このとき肩が上がらないように。お腹が張る感じを手で確認すること。

(3)口を閉じ、頬と鼻の下をぱんぱんに膨らましながら、唇に針一本通るくらいの隙間を開け、チューブにあいた小さな穴から空気がもれるように、圧をかけながら5秒間息をはく。

ポイント:口の前にティッシューをかざすと簡単に吹き飛ぶくらいの呼気です。ここで大事なのは、横隔膜が張っている(支えている)感じを意識することです。腹圧が高まります。

(4)息をはききったら、再び口を開けて1から繰り返す。

ポイント:息をはき切ると慌てて息を吸い込みたくなりますが、それは我慢してゆっくりと大きく吸うこと。慌てると余分なところに力みがきます。
繰り返すと「頭が白くなる」方がいますが、その場合吸う息が足りません。
そうは言っても楽なトレーニングではありませんので、少しキツいくらいが正解です。

(5)これを10回繰り返します。1ヶ月継続すると横隔膜が鍛えられ、滑舌がよくなり、声も通るようになります。

2015/05/02 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

プレゼンで緊張してしまう 緊張しない方法とは

質問で多いのが「人前で緊張してしまう。緊張しない方法を教えてほしい」というものです。

誰でも、人前で話すときは大なり小なり緊張するものです。

じつは、緊張していないほうが問題です。

緊張は楽ではありませんが、プレゼンが成功する秘訣の一つでもあります。

私は、何度人前に立っても緊張します。
前の日など「明日、中止になるといいいのになあ」とついつい不謹慎なことを考えてしまうほどです。
当日も、本番5分前になると、逃げて帰りたくなってしまいます。

そのくらい緊張して丁度良いのです。

ごくたまに「今日はなんだか緊張していないなあ」と感じるときのプレゼンは大抵失敗します。

緊張については、「『なぜ緊張してしまうの?』 でも緊張して良いのです」という記事を書きましたので興味のある方はご覧くだされば幸いです。

緊張するということは、人間が生き残るために戦闘態勢に入ったことを意味するのです。
生きるか死ぬかギリギリのところで能力以上のものを引き出そうとする生命の知恵であり、緊張は人類からの素晴らしいプレゼントなのです。緊張を否定しないことです。

緊張というモンスターを飼い慣らす方法さえ身につければ、実力の何倍もの力を発揮することができます。

ただ、「緊張で何が何だか分からなくなってしまう」、「真っ白になって何も話せなくなってしまう」、というのはちょっと問題です。

緊張が激しい人ほど、リハーサル回数を重ねておけば心配ありません。
どうしても忙しいというのであれば、前の日に一回でも良いので通してスマホで録画し、自分で見て確認しましょう。約束しますが、本番でガタガタになることはありません。

ただ、リハーサルをしていても、やはり怖いものです。

成功する最大のコツがあります。

本番で、最初の3分を確実に乗り切ることです。

だから、他が出来なくとも、最初の3分だけは、何度も何度も練習しておきましょう。10回続けて完璧に話せるまで練習しておくことです。

この3分を失敗すると、取り戻すのは最後まで困難を極めます。

逆に言うと、この3分さえ成功させれば、全体はほぼ成功すると言っても良いと思います。

最初の3分を何とか乗り越えれば、その後は少しずつ極度な緊張からは解放され、緊張が心地よい集中力に変わっていくことが感じられることでしょう。

2015/04/02 | カテゴリー : スピーチ | 投稿者 : nagaichika

話に心がこもって聞こえる簡単な2つのポイント

「心がこもってないと言われる」「話し方に抑揚がつかない」

良く受ける相談です。

以下2点のことを守れば誰でも話に抑揚をつけることができます。

【1】本番で台本を置かない

人に用意してもらった原稿を読むときは要注意。
ほとんどの人が読み上げることに精一杯で、抑揚をつける余裕などありません。

また、原稿をほぼ覚えたとしても、本番で原稿を置いておけばつい見てしまうのが人情です。
せっかく覚えて練習したのに、やはり棒読みになってしまいます。

もし、内容をほぼ覚えたとしたらば、本番で原稿の台本は置かず、話のポイントと全体の流れだけが分かるものを置いておくと良いでしょう。

自分の言葉で話すということです。

自分の言葉ではなしたほうが、より感情がのせやすく抑揚がついて聞こえるようになります。

特に経営者の方々は、他の人に資料を作ってもらうケースが多いので、棒読みになりやすく、内容が伝わりません。
忙しいかもしれませんが、出来れば、基本的に話す内容は自分で用意すると、より会社の理念が皆さんに伝わりやすくなります。

【2】声に息を混ぜる

「抑揚をつける」というと、声に高低差をつけることだと勘違いなさっている方が意外に多いのです。

実は,抑揚は、「声帯をきつく閉じるか、ゆるく閉じるか」によって決まります。

声を高くしたり低くしたりする必要はありません。

声帯をきつく閉じれば、強い声になり、緩く閉じれば弱く柔らかい声になります。
弱い声を出そうとして息を少なく出す方が多いのですが、実は、より弱い声を出したければ、声帯をよりゆるく閉じて息を混ぜれば良いのです。
この方法が良いのは、声帯をゆるく閉じて、息の流れを減らさなければ、どんなに弱い声でも遠くまで聞こえるようになることです。

そして、強い表現や、激情を表現したいときは、声帯をほどほどに閉じて、よりたくさんの息を流すと、熱いパッションを感じさせるような声になります。

例えば、小泉純一郎さんは、パッションが伝わりやすい政治家でした。
小泉さんは、言葉に息をたくさん混ぜて発声していることから、感情が伝わり、抑揚がついて聞こえたのです。

それでは、声帯をゆるく閉じて、声に息を混ぜて話すにはどうすればよいでしょうか?

まずは、一番簡単な方法をお伝えしましょう。

内緒話のときの声。
ヒソヒソとした声を出すとき、声帯はゆるく閉じられて、息が流れています。

この声で台詞を練習します。
息の量を減らさずに、何度か繰り返しながら、少しずつ声をしっかりさせていくと、息混じりの声で感情を表現できるようになります。

このとき注意すべきは、声を「少しずつ」しっかりさせていくということです。

一気に強くしてしまうと、またいつもの一本調子に戻ってしまいます。
イチロー選手も、練習するときは、ほんの少しずつ動きを調整していくそうですよ。一気に変えてしまうと、どこで良くなかったか分かり難くなるからです。少しずつ変えていけば「ここが良くなかったのか」とか「今ここで丁度良い」という場所がみつかります。

話に豊かな表現力をもって抑揚をつけるには、

【1】本番で台本を置かない

【2】声に息を混ぜる

という2つの方法を行うことです。

2015/03/02 | カテゴリー : スピーチ | 投稿者 : nagaichika

エネルギー量と好印象度は正比例する

「プレゼンで好印象を与えるコツは何ですか?」と聞かれます。
これって、じつはそんなに難しいことではありません。

過去、仕事場に行ってご挨拶をすると、まず「元気ですか!?」と聞いてくる先生がいらっしゃいました。

「私は風邪をひているわけでもなく、疲れているわけでもないのに、なぜ『元気か?』なんておたずねになるのだろう?」といつも思っていました。
しかし最近は、先生が「元気ですか?」とおっしゃる意味がだんだん分かってきたのです。

よく、アントニオ猪木さんが「ダァーッ!元気ですかー!?」とおっしゃいますね。

先日も、国会での質問者として立ったときもコレをなさったので、この方は相変わらず凄いなあと思いました。

質問内容は別として、猪木さんがいるだけで、周囲が元気になり明るい雰囲気になるのを感じます。
こういう方がいると、ポジティブな空気感になり、前向きな議論を展開しやすくなるような気がします。

元気とは、つまり「エネルギー量」のことです。

以前の仕事で、仕事自体は有り難かったのですが、当時の私は思い通りにいかない自分自身の人生を悩んでいました。
たぶん、動画で録ったら、うつむきかげんで、笑顔もなかったでしょう。
エネルギー量が落ちて、マイナスの空気感を出していたのです
それは、周囲にも影響します。

「自分は元気だ」と思っていても、「元気かどうかは周囲の印象で決まるものなのです。」

猪木さんは、体調を崩されていることもあったとのことですが、頑張って精一杯元気を出されていましたので、病気がちにはとても見えません。

これはスピーチやプレゼンなど、人前で話すときにも大いに関係すると思いました。

「なんでこんな仕事をしなくてはならないんだろう」と思っている人が、暗い気持ちで人前に立てば、全体もネガティブな空気になって前向きになれませんね。

しかし、リーダーともなれば、人の人生の時間をおあずかりする立場。
まずはエネルギー量を増やして元気を出し、相手に対してアイコンタクトをとって笑顔にすることが、好印象につながり、組織も明るくなり、仕事も上手くいく秘訣ではないかと思います。

2015/02/24 | カテゴリー : スピーチ | 投稿者 : nagaichika

上手なスピーチかどうかは息を吸ったときに決まる

スピーチが上手な人には共通点があります。

それは「息が吸えている」ということです。

「プレゼンの名人」といわれる方々の動画を良く見ますと、話す前に必ず口から息を吸っています

「良い呼吸をするためにはまず息をはき切ること」という考えもありますし、それも正しいと思います。
しかし、今までの経験からすると、息を吸うほうが意識しなければなかなか出来るものではありません。そして、きちんと息を吸うという運動は、エネルギーを使います。
車がガソリンがないと走らないように、息をすうことは発声するためのエネルギーを補給するようなものです。

「息を吸うなんていつも出来ている。簡単だよ。」と思われるかもしれませんね。

簡単なようでいて、じつは、きちんと「息の吸い方」が出来ている人は少ないと思います。

息の吸い方は内容にも大きく影響します。
息の吸い方を見れば、次に「どんな声が来るか」「どんな内容の話をするか」予測がつきます。

だから、私はスピーチをするにあたっては、息の吸い方に細心の注意を払っています。
つまり、思い浮かんだことをを行き当たりばったりで話すのではなく、あらかじめ「何を話すか」決めて、その内容に合わせて息を吸っているということです。

声が響かず、良くないスピーチになっている場合のほとんどは息が吸えていません。

「息が吸えていない」というのは、「息の吸い方がよくない」ということです。

「良い息の吸い方」とは、息を吸うときに「横隔膜がしっかり下がっているか」「下腹が張り出しているか」も同時に行います。
そうすることで、良い息が吸えて、呼吸とともに言葉も流れて響くようになります。

息を吸った→話した(息をはく)→息を吸った→話した→・・・・
この繰り返しがスピーチになります。

そして、この循環が上手くいくことが、名人のようなスピーチにつながります。

やはり、スピーチ(発声)は呼吸ありきですね。

2015/02/24 | カテゴリー : スピーチ | 投稿者 : nagaichika

数字やスペックをスルーされないようにするには

企業の方々のプレゼンを拝聴していますと、特にIT企業の方は数字やスペックの話が多いものですね。

私はもともと数字があまり得意ではないので、プロジェクターの資料に細かい数字や数式が映し出されると、とたんに思考がストップしてしまいます。

数字やスペックの話は、お話しているご本人は良くご存知なので、サーッと流してしまいがちです。

じつはこれ、自分自身もそうなってしまいがちだったのです。皆さんのお顔を見ると、こういうときの聴衆の方々は一気に退屈そうな表情をしています。「きっと退屈なさってるだろうなあ」と察して、「話さないわけにはいかないけれど、退屈なさっているからサッサと話してしまおう」と思って、早口になってしまいがちです。

しかし、あるときから、数字やスペック、または理論の話をしなくてはならないとき、工夫するようになりました。

スルーされないようにするには、3点のポイントがあります。

(1)ゆっくり話す・指で示す

ただでさえ分かり難いものを早口にするとスルーされる。しっかりアイコンタクトをとって、念を押すくらいにゆっくり話すこと。と同時に、数字を指で示すジェスチャーをすると印象に残りやすい。

(2)見せる資料の要点をしぼる

できるだけ簡潔に、資料はぎっしり書かず、覚えてもらいたい文字や数字だけ大きく写しだし、あとは口頭で説明する。

(3)例えを用いたり質問形式にする

何か身近な物に例えると頭に入りやすい。
例:スピード感があるものと遅いものを比較したいときは「うさぎ」と「亀」の絵を入れるなど。

質問してみると思考ストップせずに考えてもらえる。
例:「一年間で何種類の製品が発売されていると思いますか?」と聴衆に質問。正解に意外な数字が出てくると驚きとともに記憶に残る。

「最後に」と言ったら本当に最後にする

プレゼンを聞いていてちょっと気になることがあります。

本当によくある事なのですが、「最後に」と言ってからたくさんお話されたあと、もう一度「それでは最後に」とおっしゃられたときです。人前で話すことに相当慣れている方でもよくあることなので、本日はこのことをお伝えしようと思います。

聴き手は「最後に」という言葉が出ると、「よし、最後だ。大事なまとめに入るぞ」と姿勢を正すものです。

逆に、話し手からすると「最後に」と言うとスイッチが入り、言い残しがないようにと、ついつい言葉が溢れてくるものです。特にトップなど、情熱的な人ほどそうなりやすい傾向にあります。
結果、時間オーバーになってしまうこともしばしばあります。

しかし、「最後に」という言葉は、気をつけないとお客さんを疲れさせてしまうことになります。

「最後に」の後、長々と話し、しかも「それでは最後に」ともう一度「最後に」と言われると、「いつまで『最後』が続くんだろう」と思い、気持ちがなえてしまい聞いてもらえなくなってしまいます。こういうときは会場全体の「気」ががっくり落ちるのが感じられるのでよく分かります。こうなっては、せっかく「皆さんに元気になって帰ってもらおう」と思って話しているのに残念ですよね。
聞いている方は、たくさんの話を聞かされたあと、「最後に」で、一度気力を奮い起こしています。そういうときの集中力はそれほど続きません。5分以内と思ったほうが良いでしょう。

「最後に」

この言葉を言ったなら、手短にまとめ、本当に最後にするようにすることが、印象を良くし、話を覚えて帰ってもらえるコツです。

2015/02/19 | カテゴリー : スピーチ | 投稿者 : nagaichika

聞いている人には何の意味もない話の合間に出る余分な「あー」「えー」を止める方法

言葉の合間に出る余分な「えー」「あー」「あのー」などを多用すると聞きづらく、気になるのものです。

大抵は、「えー」と語尾を伸ばすことから、話が引き締まらず、間延びして聞こえます。
また、のらりくらりとしてはっきり言いたくないのか、それとも迷っているように感じます。これでは、話の内容が明確に伝わりません。
そして、余分な言葉が多いとそれだけ時間を使いますから、聞いている人の貴重な時間を無駄に奪います。

そして、私が聞くほとんどのスピーチはこの「あー」とか「えー」を多用しています。
どうしても直らない方は、癖になっています。
録音を聞いていただくと「言っているなんて思わなかった」と自覚がない方もいらっしゃいます。

「それでは『えー』をストップしてみましょう」と言うと、次の言葉が出なくなってしまう方も多いのです。

いつもこれで自分のリズムを作りながら話しているためです。

しかし、このリズムは自分のためだけであって、プレゼンを吟味して聞いているお客様には何の意味もありません。
ぜひ、「えー」なしでも、自分のリズムを作って話せるようになりたいものです。

この余分な言葉をなくすだけでも、すっきりと聞きやすくなりますし、内容が迷い無く伝わります。

そこで今日は「あー」「えー」をなくす方法をお伝えしましょう。

(1)自覚すること

無意識の方が多いので、話しているのを録音して聞いてみましょう。
または、誰かに聞いてもらい「えー」を言うたびに、ベルなど何か音を鳴らしてもらったり、声をかけてもらったりしてください。
一文の中に3〜4回言っている人も多いですよ。

(2)話の内容を整理しておく

「あー」とか「えー」とか言いながら話している人は、話の内容が整理されていません。「考えないでしゃべっているのだろうか」という印象がついてしまうと残念。ある程度話の内容を整理してから話しましょう。

(3)体で語尾を止める

体を使って語尾をしっかり止めます。横隔膜という場所を使って止めると、言葉にキレが出てきて「えー」が出にくくなります。

【方法】
お腹をおさえながら、「わっはっはっは!」と”役者笑い”したり、女王様のように「お~ほっほっほっ!」と笑ったとき動くところが横隔膜です。その場所をつかんだら今度は、「皆さん、こんにちわっはっはっは!(横隔膜で切る)」と練習し、そのあと「皆さん、こんにちは(横隔膜で切る)」と、語尾を笑ったとき動いた場所で切ってください。

間合いを取るときも、すぐにお腹をダラリと休めない。そうすれば間合いは辛くなくなります。大きなインターバル以外、横隔膜は休む暇はありません。

(4)良く響く低音で深い声で話す
 
文章の合間の「あー」「えー」は、浅い響きの場所で発声していて、息も流れていません。
発声は、浅い声から深い声に切り替える場合「声のギア・チェンジ」をしています。声のトーンを浅いところや深いところを行ったり来たりチェンジするには、運動が伴うのです。話し始めが肝心。いったん低い声の響きに思い切りギアを入れてしまってください。気を抜かない限り「あー」「えー」の浅い響きには戻りにくくなります。

 

(5)話す前に息を吸う

息を吸うことで声もよくなり、間合いがとれて、余分な言葉がでなくなります。

プレゼンで堂々として見えるたった一つの方法

プレゼンやスピーチで、自信がなさそうに見えるのは損をします。

「自信がなさそう」「オドオドしている」ということと、「謙虚さ」は別です。

謙虚であっても、自信がなさそうにしているのは、お客さんが不安になりますから、出来るだけ堂々とふるまいたいものです。

堂々として見える方法は一つです。

ゆっくりとよく響く低い声で話すこと。

良い声で発声できれば、姿勢も良くなりますし、自然と堂々して見えます。

これさえできれば、ほとんどの問題は解決します。

ただ、今まで見ている中でほぼ97%の方々はこれが出来ていません。

その中では、せっかくトレーニングしたのに、本番で緊張してしまい、また元の声に戻ってしまったという方も。

「ゆっくりとよく響く低い声で話すこと」
は、最初の第一声を成功させることがとても大事です。

例えば、「おはようございます。00株式会社の永井でございます。」

簡単な例ですが、まずこの部分だけを、自分の思い通りに話せるように練習しておくことです。

最初が上手くいくと、その後も同じように話せるものです。

逆に、最初を失敗してしまうと、なかなか取り戻すのは簡単ではありません。

発声の技術を練習したら、あとは自分なりの気分の盛り上げ方を工夫なさると良いですね。

私は、本番前は必ず1人になる時間を作ります。
目をつぶって心の無駄なものを取り除き、心が静かになったところで出てくるようにしています。
そうすると、心がざわつかず、落ち着いて本番に臨むことができるのです。

最近、サッカー選手の三浦知良選手をテレビで見る機会がありました。
ファンの期待を裏切らず、三浦選手らしく堂々とふるまっておられました。

三浦選手は、いつも映画「ゴッドファーザー」を観て気持ちを盛り上げるとのことですよ。
家庭での良きパパから、ゴッドファーザーの登場人物に自分の人格を切り替えるのでしょう。
だから、その人格のときは、近所のコンビニにもスーツで出かけるそうですから徹底しています。

技術をマスターしたら、自分なりの集中の仕方を工夫してみることをおすすめします。