聞きにくいプレゼンの原因の2割は、聴き手以外にある

「『プレゼンが聞きとりにくい』と言われました。発声が良くないせいでしょうか」
このようなご相談を良く受けます。
頑張ったプレゼンの後に「聞き取り難かった」なんて言われたら、がっかりしてしまいますよね。

もちろん発声や滑舌が良くないケースもあります。しかし、これまでたくさんのプレゼンを聞いてきましたが、聞き取り難い原因の20%くらいが話し手以外にあるのです。

それは残響です。
特に天井が高く広い会場では、残響が長くなる場合が多いものです。
残響が長ければ、話し声に残響が被ってしまい、聞き取り難くなります。

「最近はマイクの性能も良いし、大丈夫なんじゃない?」と思いがちですが、残響はマイクの性能とは関係ありません。

会場自体の残響は長くなくても、マイクやスピーカーのせいで残響が多くなり、聞き取り難くなっていることがよくあります。とくにマイクの感度が良すぎると、声の残響が増えたり、生々しい息づかいや唾の音が強調されて聞き辛いものです。

せっかくプレゼンが上手くいってちゃんと話せても、会場の残響のために、声が聞きとり難くて内容が伝わらなかったとしたら、とても残念ですね。

そこで対策をお伝えします。

まず会場に到着したら、リハーサルでステージに立って手を「パン!」とたたいてみましょう。残響が長ければ「パアァァン!」と響きます。こういう会場では、早口は厳禁。前の響きが消えないうちに次の言葉が発声されるため声が被ってしまい、聴衆にとって大変聞き難くなってしまいます。

しかし人は緊張したりあがったりすると呼吸が浅くなり、ついつい早口になってしまうもの。
残響の多いところで早口になると、更に聞き取り難くなります。
本番では、いつもより3割増しにゆっくり話すつもりでちょうど良くなります。
「こんなにゆっくりでいいの?」と感じるくらいで初めて普通に聞こえます。

そして、マイクテストは必ず行って下さい。
ただ「アーアーアー」だけではダメ。
本番と同じように実際に話すことです。
実際に話さないと、残響を含めた声の聞こえ方はわかりません。

声は、スマホで録画して確認してもチェックできます。ただ、声は場所によって聞こえ方が違います。スタッフに客席のいろいろな場所に立ってもらい、実際にしゃべる様子をチェックしてもらうとベストです。もしマイクの感度が良すぎる場合は音量を調整するか、マイクと口の距離を離しましょう。

プレゼンを成功させるためには、残響まで気を配ることが必要になるのです。

なぜその服を着るか、説明できますか?

 

「どんなファッションでプレゼンしたらいいのでしょうか?最近、ジーンズで出るトップも多いようですが…」

広報担当者さんから、こんな質問をいただきました。

確かに、最近、カジュアルファッションでプレゼンする方が増えてきました。しかし、プレゼンは公式な場です。どんなファッションでも自由に出て良いわけではありません。ファッションにはあるお約束があるのです。

先日、会計ソフト会社Freee・佐々木大輔社長のプレゼンを取材しました。
佐々木社長は、いつでもどこでも会社のロゴ「freee」が入ったコーポレートTシャツを着ています。この日も、やはりTシャツ姿でした。

またイベント会場では社員全員もコーポーレートTシャツを着ていました。しかも、色や形もそれぞれが違ってバリエーション豊かなのです。女性は細身で首の部分が広めに開いた形だったり、髪の色に合わせたTシャツを選んでいる男性もいました。各自が自分に合ったTシャツを選んで着ているのが伝わってきました。

佐々木社長がTシャツを選ぶのは理由があります。「合理的で、分かりやすく、無駄がない」という自身の経営理念を体現しているからです。

トップがメディアの前で話すことは、すべてのステークホルダーが注目しています。
「あなたはどうしてこんな格好で出ているのですか?」と聞かれたとき、説明できることが必要なのです。
納得できる説明ができれば、繰り返し着てもらっても大丈夫。トップファッションには、説明責任が伴うのです。
私は、これを「ファッションのアカウンタビリティー」と名付けています。

佐々木社長は、このファッションのアカウンタビリティーが明確。だからTシャツでOKなのです。

佐々木社長の「プレゼン力診断」にご興味ある方は、下記記事をご覧下さい。

freee佐々木大輔社長のプレゼン分析「一貫した経営哲学を体現」

プレゼンの笑顔は、ふざけて見えるか?

 

「プレゼンでは笑顔を心がけています。でも、『ニヤニヤしてふざけている』って言われないでしょうか…」

講演で、「笑顔が大事ですよ」とお話しすると、こんな質問を受けることがあります。

笑顔は、すべてを癒やします。

ただ、普通のビジネスパーソンは、自分では笑っていると思っていても、笑って見えないことがほとんどです。
だから笑顔を出せるということはとても凄いことです。

 

最近拝見したプレゼンの中で好感度が高かったのは、スタバの水口社長と、KDDIの高橋社長です。お二人とも笑顔が素晴らしく、もし「笑顔選手権」というものがあったとしたら確実に上位入賞できそうです。

特に高橋社長は、基本の顔の作りがいつも笑っているようなお顔をしています。この顔は、黙っていても周囲が和みますので、とても得をしていると思います。

そして高橋社長の場合、笑ったような顔をしていても、決してユルんだ空気になりません。囲み取材で高橋社長を至近距離で見ていましたら、目の奥がまったく笑っていないことに気がつきました。目の奥底に湛えた厳しさに、怖ささえ感じたほどです。これは、あらゆる修羅場をくぐり抜けて来た人だけが持つまなざしです。このまなざしが、ニコニコと記者との敷居を外しながらも、程よい緊張感がある理由なのだと思いました。

水島新司のマンガ「ドカベン」で微笑三太郎という三塁手がいます。微笑は、「笑ったような顔をしていて優しそうだが実は気が強い」というギャップのあるキャラクターが際立っていました。高橋社長は、まさに経済界の微笑三太郎だと思います。

「高橋社長は別格だ」と思われるかもしれませんね。でも、どんな人でもユルんだ空気にならないポイントがあります。

それは「緊張感」です。
皆さんは、プレゼンのとき緊張しますよね。
緊張感さえ持っていれば、雑談をしているときの笑顔とはまったく違ったものになります。

緊張感は悪いもののようにばかり言われますが、じつは本番ではなくてはならないものなのです。

ぜひ、笑顔を出して、素晴らしいプレゼンをしてください。

 

 

 

早口で話すと、戦う前から負ける

 

国会中継の生放送を何気なく見ていたときのことです。

質疑者に女性議員さんが立っていたのですが、猛烈な早口に驚きました。さらにその女性議員さんは、とても甲高い声なのです。

早口過ぎて言葉が処理し切れず、言葉をはしょって話しているところも多く見られました。早口は、下り坂を下るように加速がつくものです。話す速度はますます速くなっていきました。国会はあらかじめ質問の内容が決まっていますので、もし言葉が聞き取れなくてもある程度内容が予想できるので良いのですが、そうでなかったら何を話しているのか理解できなかったでしょう。

また、ご本人も自信がないのか、資料から目を離せずに読んでいるので、相手の大臣とのアイコンタクトがとれていません。質問の様子を見ていた大臣は、口元にニッとした笑みを含みながら、「勝ったな」とばかりに自信に満ちて立ち上がりました。

国会の質疑は、国民を代表して質問する場。説得力を持って話をすることが問われます。「舌鋒鋭く」という言葉もあるくらいで、攻撃力も必要とされます。真剣勝負の戦いの場でもあるのです。

しかし早口では内容を聞き取りにくくなりますし、聞いている方は話を理解するのに頭がついていけません。加えて、戦う相手とアイコンタクトをせず、文章を読み上げているようでは、自信がないという印象を与えてしまいます。

早口では説得力が失われてしまうと言うことです。

早口で話すことで、戦う前から負けているのです。

この女性議員さんは、猛烈な早口でも話しはできていたので、本来滑舌は悪くないと思います。興奮していたせいか、息を吸うときに「ヒィッ」という音がしていました。十分に息が吸えていない状態です。女性議員さんの改善点は、落ち着いて息を吸うことです。深く息を吸って、ゆっくりと落ち着いた良く響く低い声で質疑をお願いしたいと思いました。

現在の国際状況を見ても、日本は大事な場面に立たされていると感じています。国会議員の皆さんには、自らの発言が国の将来を左右しているという覚悟を持って、戦いの場としての話し方を極めていただきたいと願っています。

 

困った質問を受けたときに、まず行うべきこと

質疑応答で、答え難い質問が出てしまったとき。
あるいは、予想してなかった質問を受けてしまったとき。

緊張して、不用意に答えてしまったり、ごまかそうとしてしまう場面をよく見かけます。
こういうときは、どうすればいいのでしょうか?

子供の頃、学園ドラマが好きでよく見ていました。
クラスで問題が起こり、女子生徒が先生に訴えます。

「先生!山田君がお掃除係りをサボって困ります!」

すると先生は、「それはいけませんね」…とはいいません。

「そうか。山田君はお掃除係りをサボるのか。」

と、ゆっくりと響く声で、質問そのものを繰り返すのです。
なぜ繰り返すのでしょうか?

3つ理由があります

一つ目は、「質問者を受け止めました」という意思表示にもなること。これで質問者が安心します。
二つ目は、すぐに結果を言ってしまうと質問者が考えなくなってしまいますので、これが避けられること。
三つめは、質問を繰り返すことで、先生側が質問について考える時間が取れるようになり、またゆっくり話すことで心も落ち着き、より良い回答ができることです。

ただし、相手に対してリスペクトがない場合、相手にムッとされてしまうことがありますので注意が必要です。

私自身、自分が質問したときに「これって、こういうことですよね?」と甲高い声で質問し返されたことがあります。これはマニュアル通りなのですが、ちょっと印象が良くなかった記憶があります。

困ったら、まずは「ゆっくりと、質問を繰り返す」。
また困った質問は緊張して息が止まりがちになります。
繰り返す前に大きく息を吸うのも効果がありますよ。

 

質疑応答を盛り上げるには、リズム感

 

「プレゼン後の質疑応答が盛り上がらない」
これはよくあることです。
質疑応答はお客様の意見を聞く貴重な機会。できれば良い感じで進めたいですよね。
質疑応答で、お客様の言葉を引き出すコツがあります。

2018年5月29日、KDDIの「au発表会2018 Summer」記者発表会で、新しくトップに就任した高橋誠社長のプレゼンを取材したときのこと。高橋社長の囲み取材は大盛況。記者から活発に本音の質問やコメントが数多く出ていました。

高橋社長のお人柄もあるのでは?と思いがちですが、理由はそれだけではありません。

記者から質問があると「ほう!」とか「おおお〜!」とか、特に辛口の質問には「えっ!?…えええっ!?」と3割増しくらいで大げさにリアクションしながら、リズミカルに掛け声をかけていました。
高橋社長の掛け声で、記者を乗せながら言いやすい流れにしていたのです。囲み取材の雰囲気が「祭り」のようになっていく不思議な感じでした。まさに盆踊りのノリなのです。

後日分かったのですが、高橋社長は和太鼓をやっていたとのこと。
和太鼓はテンポ感、リズム感、間合いが命。
メロディや歌詞がありませんから、テンポとリズムだけで情緒を表現します。また、和太鼓は掛け声も大事です。「セイヤ!」 「ソイヤ!」といった様々な掛け声を、ここぞという間合いでかけながら音楽に魂を入れていきます。記者にへの掛け声は、まさに和太鼓の掛け声を彷彿とさせるものでした。

質疑応答は、お客さんとの対話。
相手が気持ちよく話せるように、掛け声をかけてのせてあげることも質疑応答を盛り上げるコツなのです。

質疑応答がなんとなく盛り上がらないなあと感じたら、思い切って質問に対して「ほう!」と掛け声をかけてみましょう。

月刊広報会議2018年9月号「プレゼン力診断」で、KDDI高橋社長のプレゼンを診断しました。
この日は、悪女キャラでブレイク中の菜々緒さんも登壇しました。高橋社長の、菜々緒さんに対する怖い物知らずのコメントもリズム感抜群でした。

下記リンク先からも読むことができますので、もしご興味ありましたらご覧下さい。

「微笑みながら空気は緩めず 卓越したコミュニケーション術」

 

 

「プレゼンで緊張して声が震える」というお悩み

 

「私は人前で話すときに緊張しやすく、声が震えてしまいます。ずっと声の震えが悩みで、トレーニングで自分を変えていきたいです。声の震えをおさえる良いトレーニングはありますでしょうか?」

このようなご質問をいただきました。

緊張のために人前で震えるのは大変に辛いことです。

緊張する方は大勢いらっしゃり、講演で毎回一度は必ず質問を受けます。

まず聞きたいことがあります。ご自身のプレゼンを録画、または録音したことはありますか?
ご自身の目で、「本番で自分がどのような状態になっているか」必ず確認してください。
客観的に聞いてみると、自分自身が感じているほど震えていないケースが結構あります。

なぜなら、緊張していると人は神経が研ぎ澄まされている状態となっており、実際よりすべての物事を過敏に感じすぎてしまうからです。
もし、少々声が震えていたとしても、聴き手は話し手が感じているほど気にしていませんし、ほとんどの場合気がついていません。

もう一点、録画を見て、声が十分なボリュームを保っているか、確認してください。

声が震えるのは、息が足りなくて声が小さい場合に多く見られます。

話す前に、息を吸って大きな声を出してみてください。大きな声を出せば、声楽のビブラートのように意図的に振るわせない限り、声は震えにくいものです。

普段話しているとき、声は震えていないはずですよね。
ここからが大事な点ですので録画をよく確認してください。

本番が始まって、何分以内に震えはおさまりますか?
または、震えは少なくなりますか?
震える時間を測ってください。

ずーっと震えているということはないはずです。
緊張で震えるのはとても体力がいるからです。

もし、10分激しく震えるならば、その10分は得意な話しをしてつなぎましょう。そして,震えが楽になってくるタイミングで、本題に入りましょう。
慣れている話しですと、緊張度も高くなりませんので、かなり楽に話せるはずです。

 

同時に、緊張に慣れていく方法も行ってください。

本番を積極的に企画し、事前に必ず「何を話すか」構成を決め、その通り話せるように準備してください。
そして、前々日までに一回はリハーサルをして、録画してください。本番の日も録画をしましょう。録画は、必ず確認してください。

今までの経験からすると、この工程を10回ほど繰り返せば、緊張はかなり改善できると思います。

その上で、ボイストレーニングを行えば、さらに自信がついてくるでしょう。

 

 

 

知ったかぶりと、謙虚

 

「絵描きになりたかったんですよ。ゴッホの絵が好きです。特に売れる前の絵が好きですね。ゴッホは絵が売れるようになって堕落しましたね」

ある有名な経営者が、司会者から「引退したら何をしたいですか?」という質問にこう答えました。

しかし、文化人でもある司会者は、さすがの切り返しをしました。

「あの…。ゴッホは、生きている間は、絵は売れなかったんですよ」

一瞬の沈黙の後、その経営者はまったく違う話題に切り替えていました。
質疑応答やインタビューの場面で、知ったかぶりをしたり、知らないことを誤魔化すと、すぐにメッキがはがれます。

経営者の集まりで、ある経営者の質疑応答を聞いていて、「さすが」と感じたことがありました。
質問の際に、「私は勉強不足なので、この点について教えてください」と正直におっしゃっていたのです。
有名な方ですし、きっとそれなりに知識もお持ちの内容だったと思いますが、謙虚な姿勢に好感を持ちました。

虚勢をはらず、卑屈になったりせずに、素直に「勉強不足なのですが」という言葉を使えると、自分自身が楽になります。

ただ、いくら楽だからと言って、何回もこの言葉を使うと、本当に勉強不足の人に見られますので、ほどほどに。
ここぞというところで使いたいものです。

 

質問を受ける時は、首を動かすのを止めよう

 

インタビュアーの質問を受けるとき、何度も相づちをうちながら頻繁に首を上下させたり、ペコペコとお辞儀を繰り返す方をよく見かけます。

確かにこうすることで、謙虚さが伝わったり、「話しを聞いていますよ」という印象を伝えることができます。

反面、落ち着きがなかったり、自信がないように見えてしまうのが玉に瑕。
質問者から見ても、あまりに細かく「うん・・うん・・なるほど」と相づちをされると、話を促されているようで、自分のリズムが崩れてしまうこともあります。
相づちをうちながら、アイコンタクトはまったく違う方向を向いているのも印象がよくありません。私自身も「ちゃんと聞いてくれているのかしら?」と思ったことがあります。

質問を受けるときは、首で頷くよりも、アイコンタクトを重視したいところです。

ある会見で、質問の聴き方が素晴らしい、と思ったトップがいました。

その方は、首はほとんど動かさないのに、穏やかなまなざしできちんとアイコンタクトをとっているので、深く聞いていることが感じられました。頷かなくても声や表情で、きちんと相手に敬意を持って聞き届けていることが伝わるのです。そして、自分が答える番になったときに初めて、「そのとおりです」「なるほど」というように大きくうなずいてから話し始めるのが好印象でした。首を動かさずに人の質問に答えることで、自信のオーラにあふれ、堂々たる経営者としての姿を印象づけていました。

大事なプレゼンの質疑応答では、首を動かさないように意識しながら質問を聞き届けるようにすることで、自信と信頼感を与えることができます。たとえ困った質問を受けても、首をかしげたり、身体を細かく動してはいけません。

質問を受ける際に、必ずアイコンタクトをとりながら、要点だけをメモをとって聴くと、首をフラフラさせることななくなり、大きく改善することができます。ぜひお試し下さい。

 

早口は損

人前に出るとどうしても早口になってしまう方が多くおられます。
実は早口は損をします。伝える内容に自信がないと思われてしまうからです。

さらに早口は、滑舌悪く聞こえてしまいます。聴き手が内容が聞き取れずに大事なことが伝わらず、何度も聞き返さすことになり、聴き手に迷惑をかけます。

私自身、経験があります。伝統あるお店で買い物をしたのですが、対応してくださった店員さんがあまりに小さい声で早口で、聞き取りにくかったのです。この時も何回か聞き直しました。

有能な秘書が見抜く『信用してはいけない人』の特徴」という記事で「早口の人は信用できない」という内容があります。

不自然に早口な人は、伝える内容に自信がないといえる。アメリカの心理学者ポール・エクマンによると、人間は恐れると早口になるとされている。それに加え、あわてると声が高くなる。自分の魂胆を隠して、企業トップや政治家を利用しようと思っている人は、嘘がばれることをひそかに恐れているため、無意識に早口になるのだ。

確かに自信がないと無意識に早口になります。

しかし人間は、自信があっても、人前に出るとテンションが上がり、どうしてもいつもより声が甲高くなり、早口になってしまうものです。人前で頻繁に話していて慣れている方であっても、いつもよりは声が高くなり、スピードも早くなります。

早口だから、その人が「信用できない」「自信がない」とひとくくりに決めつけるのは、ちょっと難しいかもしれません。
しかし、上記の記事の通り、甲高い声で早口は、「信用できない」と一般的に受け取られてしまいがちのようです。
ゆっくりと良く響く低い声で話す方が、「安心感があり信頼されやすい」ということなのでしょう。

人前で緊張している状態で、ゆっくり話すことは簡単なことではありません。しかし意識して自分ではあり得ないくらいゆっくり話してみてください。そのスピードがちょうどよいのです。そして聴衆の反応が良くなってくることが実感できると思います。

 

リーダーの甲高い声は、失望させる

ワールドカップ、残念でしたね。
ところで活躍されているカッコいいスポーツ選手の声を聴いて、「あれっ?」と違和感を覚えたことがありませんか?

特に印象に残っているのは、サッカーのベッカム選手。
選手としての見事なプレー、チームのリーダーとしての圧倒的な存在感。
私の脳内イメージでは、ベッカム選手の声は、「なめらかに響く低い声」でした。

あるときテレビのインタビューでベッカム選手が話していました。
なんと、意外に「甲高かった」のです。
ちょっとがっかりしてしまい、私の脳内にあったイメージとのギャップをうめるのに時間がかかってしまいました。

甲高い声のリーダーは、成果を発揮しにくいとも言われています。チームメンバーがリーダーに無意識に期待していることと少しズレがあるからかもしれません。逆に、名伯楽と言われるような監督や、素晴らしいリーダーは、大抵が良く響く低い声の持ち主であることが多いものです。

日経ビジネス No.1772「遺言 日本の未来へ」にて印象的な記事がありました。

戦後のリーダーたちが日本の未来へ贈る言葉を特集しています。
稲盛和夫さんが、玉音放送で初めて天皇の声を聴いたときのの一言がありました。

「甲高い声やなとおもったけど、くやしかった」

当時、一般国民は天皇陛下の声を聴いたことがありませんでした。
稲盛さんにとって、天皇の声がイメージしていたものより甲高かったのでしょう。

人は無意識にリーダーに期待するものがあるのです。

オペラでも、国民から信頼の厚い王様や裁判官の役は、必ず低い声の歌手が担当します。
また映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」で、英国の首相を目指すサッチャーが低い声を獲得しようとトレーニングしている様子が描かれています。

やはりリーダーとは、低い声がもとめられるものなのです。
これからはリーダーは、否が応でもメディアに露出していく時代。
自分の話し声や見た目にも気を配るべきなのです。

 

プレゼン本番では、ボイトレは全部忘れた方がいい

 

こんなことで、心配される方がいらっしゃいます。

「ボイストレーニングができないと、声が上手くでないし、上手にプレゼンできないのでは?」

私はお客様に、「プレゼンをするときは、ボイトレのことは忘れてくださいね」とお伝えしています。
ボイトレとは、ボイトレを忘れるために行っているからです。
トレーニング不足では、表現したいことがあっても思い通りに表現できず、もどかしい思いをします。
そうならないようにトレーニングをしているのです。

でもボイトレが上手くいかないからダメだということはありません。

しかししっかりストレッチを行っているにも関わらず、アスリートでも身体の硬い人もいます。
でも身体が硬いアスリートでも、成績が悪くない選手もいます。
ストレッチは身体を柔らかくして柔らかさを表現するために行うのではありません。
故障を減らして、身体を守るために行っているのです。
イチロー選手はとても身体が柔らかいと言われています。だから故障しません。

一昨年、ゴルファーの青木功さんの講演を聞いたことがあります。
「私は、身体を守るために毎日のストレッチは欠かしません。自分の身体を守るのは自分しかいませんから」とおっしゃっていました。そして毎日「神様、今日もゴルフをさせてくださってありがとうございます」と祈るのだそうです。
ストレッチをしっかり行い、後は天に任せてゴルフを楽しんでいるのです。

ボイトレも同じです。
「ボイトレのためのボイトレ」では残念です。
ボイトレは、あくまでボイトレ。
プレゼン本番では、そのときに盛っている実力で発声して表現を楽しみましょう。

プレゼン本番で、一つだけ意識していただきたいのが「横隔膜」です。
横隔膜が使えれば、喉のストレスが減り、発声が楽になり、聴き手に声が届くようになります。

横隔膜を使えるようにするには、ポイントは一つ。
へそ下9センチの場所にある「丹田」を張ること。つまり、下腹をしっかり張ることです。

本番では、声帯や喉などのことはすっかり忘れましょう。
下腹をしっかり張って、横隔膜だけに意識を持っていってください。
そうすれば、言葉が力に満ちて、聴衆の心に届きます。
あなたが今持っている実力を、必ず発揮できるようになります。

 

「本番になると滑舌が悪くシドロモドロになる」というお悩み

 

「ほんでぃつやごへえ・・ごへえとう・・・ん?・・・ごせいとう・・あ・・?」

プレゼンの大事な締めくくりの場面、「本日はご清聴、ありがとうございました」と言おうと、何度も言い直している方を見て、本当に気の毒と思いました。その方はプレゼン途中でも、簡単な言葉で何度もつっかえていました。

普段はスラスラと話せるものまで言えなくなると、「あれ?私おかしくなっちゃったのかな?」と焦り、「またしゃべれなくなるのでは?」と不安になるもの。こうなると、さらにつっかえるという悪循環に陥ります。

オリンピックの柔道代表を発表する方が、「〇〇キログラム級」と言えなくなってしまっています。

リンク動画

こういうことってよくあることですよね。

こんな様子を見ていると、「今日は滑舌の調子が悪いのかな?」と思ったりしますが、実際には、滑舌に調子が良い・悪いはありません。
原因は滑舌のせいではないのです。

ほとんどの原因は、話すスピードが速いこと。
人は、緊張したりあがったりすると、話すスピードが速くなります

緊張しているときは、意識をしなくても自然にスピードが上がり、早口になってしまいます。こうなると、普段はスムーズに話せている言葉でも、口が回らなくなって言えなくなるのは当然です。

「では本番前に、『いつも通りに話そう』と心がけよう」
こう考えても、やはり失敗します。プレゼン本番では、普段とは心と身体の状態が違うのですから、普段通りにはならないのです。だから当人は「普段通り」に話しているつもりでも、第三者から見るととても早口になっていることも多いのです。

周防正行監督の代表作「シャル・ウィ・ダンス?」で、主人公演じる役所広司さんがダンスコンクールの本番で踊る時、先生役の草刈民代さんが「落ち着いて。落ち着いて。」と祈るように言っていました。これが大きなヒントになります。

本番で成功するコツは、「落ち着くこと」。

「普段通り」に動かすと身体が速くなってしまいますから、筋肉が追いつかなくなり、ミスしてしまうのです。

緊張は悪いことばかりではありません。神経が研ぎすまされ、身体が危機に対して迅速に対応する準備が出来るようになります。だから、いつもより「落ち着いて」臨むようにすれば、自ずと結果はいつもより良くなります。

プレゼンで話す場合も同じです。
いつもより意識して、とてもゆっくり話すこと。
こうすれば、ほとんどの滑舌の問題は解決します。
もともと速くなっているので、これでちょうど良い速さになり、聞いている人も聞きやすくなります。

コツは、三つあります。

(1)まず、息を吸う

息が足りないと子音を言うときに、舌で口の中をこすったり、はじいたりすることがしにくくなります。しっかり呼吸して息をたくさん使いましょう。

(2)言葉を区切る

どんなに難しい言葉でも、少し区切って言うと、確実に言えるようになります。
ちょっと危ないなあと思ったらば、人に分からない程度に少し区切ってアクセントをつけると安定感が増します。

例えば、冒頭の文章だと、息をしっかり吸って、ゆっくり話しなが

「本日は(間)ご(微妙な間)静聴(間)ありがとう(間)ございました」

というようにします。区切ることでブレーキが効いて、早口防止にもなります。

(3)水を飲む

水が手元にあれば水を飲むことをおすすめします。舌やのどの筋肉が緊張で硬直しているのがリラックスすることができます。

本人はとてもゆっくり話しているつもりでも、第三者からは普通のスピードに聞こえます。
ぜひお試し下さい。

身体を楽器と考えれば、プレゼンでよい声を使える

 

大きな声を出そうと思ったら「口を大きくハキハキとあけなさい」と良く言われていますね。
これは問題もあります。口の前を開けずぎると、響きが散ってしまい、かえって声が通らなくなってしまうこともあるのです。

また口を大きく開きすぎていると、唇を閉じて発音する「m」などの子音で時間ロスが生じるため子音の発音に舌が届かなくなり、軒後して滑舌が悪くなってしまいます。

そもそも口を開けすぎて口がパクパクしているのは、ビジネスのシーンやフォーマルな場では、見た目があまりエレガントではありません。

大切なのは、口が開いていることよりも「口の中」が開いていることです。
ただ日本人の場合、アゴの骨格が小さいという特徴があります。特に最近の人はあまりものを噛まなかったり、大きな声を出す機会もないので、さらに口の中が狭くなっています。

そこで必要なのは、口自体はあまり意識して開けずに、常に「顎を下げる」ようにすることです。
顎を少し前に出すように下げるのがコツ。発声のときだけは少し「受け口に」気味になります。

実際に声の良い人の顔を見ると、後ろに顎を引いている人はほとんどおられません。
今まで取材したトップで声が良かったトップは、必ず顎がしっかり下がっています。
加えて口腔内は、上歯と下歯の間は常に空間が開き、舌を下げて舌先を下の歯にさわっている状態を維持しておけば最高です。

ソニーの平井一夫会長(当時、社長)を取材したときも、平井さんの顎は大変良いポジションで開いていました。
会見で一緒だったジョン・カビラ氏顔負けの良く響く素晴らしい声でした。

ドイツの名歌手でシュバルツコプフという人がいました。小柄だったので声が小さく、当初はヨーロッパの歌手たちと差がついていました。そのため、口周辺の作り方を細かく工夫していました。口の開け方はもちろん、アヒルっぽく上唇をほんの少し前に突き出すことも行っており、おなじように骨格の小さい日本人の生徒さんにも勧めていました。こんな少し工夫でも、響きが劇的に変わるのです。

声も楽器ですので、自分の身体をうまく使うことが大切です。
どんな人でも、上手に身体を使いこなすことで必ず良い声になります。
楽器に合わせた体を作りこんでいくことも大事なことなのです。

トップを演じ続けるトップ

 

2018年4月18日、マツモトキヨシHDトップ、松本清雄社長のプレゼンを取材したときのことです。

松本社長は創業家3代目トップ。マツモトキヨシでのキャリアは、20歳のとき。時給650円のアルバイトから始まった現場からのたたき上げです。

プレゼンは、極度な緊張からか硬さが目立ちました。加えて、人前に出ることにあまり積極的ではない印象を受けてしまったのです。

松本社長は、もともとまったく社長になるつもりはなかったそうです。ジャーナリスト財部誠一さんとの対談「経営者の輪」でのインタビューから引用します。

 

ある時期から昇進のスピードが少しずつ速くなっていたのです。これはおかしいぞと。昇進や昇格するたびに『私にはまだ早過ぎるので結構です』と断っていました。ところが『駄目だ。』と言われて、どんどやらされてしまった感じです。 最後はやるしかないのかと。38歳で(社長を)やれと言われ時には『もうやめて下さい』と思いました。

 

さらに松本社長は自称「引っ込み思案」とのこと。

「もうやめてください」という言葉と、人前で極度に緊張しながら「やるしかない」と一生懸命プロンプターを棒読みしている姿が重なり、胸が痛みました。

松本社長はトップになってすでに4年くらいたちますが、これまであまり会見に出てこなかったのも「できれば出たくない」という思いもあったのかな、と感じました。ただ、これだけ大きな会社のトップですから、ずっと出ないで済まされるわけにはいきません。今後、広報担当者さんが、プレゼンの苦手な松本社長にどのようにしてお話ししていただくか、そして、松本社長自身が「心から本当に話したいこと」を、目的意識を持って話してくださる時が来ることを祈るような気持ちでプレゼンを拝見し、記事を書かせていただきました。

世の中、社長になりたい人はたくさんいると思うのですが、なりたくない人もいるのですよね。創業家は大変だなあ、といつも感じています。

でも、トップは数多くの社員も抱えています。
だからこそ、トップを演じ続けることもまた、必要なのです。

広報はそんなトップをサポートしてあげたいですね。

 

詳しくは、「月刊 広報会議 7月号」をお読みください。

 

か細い声でも、母音を鍛えれば響くようになる

 

こんなご相談をよくいただきます。

「声がか細くて聞き取り難いって言われます。響く声を出したいんです」

声が響くかどうかは母音で決まります。
子音はどんなに頑張っても響きにくいからです。
だから響く声に必要なのは、「あいうえお」だけです。

ただ、単に「あいうえお」を練習すればいいわけではありません。
そこで「響く声を出すための母音のトレーニング」についてお伝えします。

実は母音は、「アエイ系」と「アオウ系」の二系統にわかれます。

■まず「アエイ系」の発声方法です。

「ア」は、意識しなくとも響きやすいですよね。
でも「エ」と「イ」が響かない人が多いもの。
これは「エ」と「イ」を発音する時に、口の中が狭くなっているからです。
そこで「ア」の母音を基本にして、「エ」と「イ」が響く口の中のポジションをトレーニングすればよいのです。
実際に発音しながらやってみてください。

(1)基本は「ア」の口です。顎が下りてほおが十分のびている状態。舌はのびて舌先は下唇の上に触れています。

(2)「ア~」と発声しながら、舌の両脇を少しずつ持ち上げて、上奥歯に当たるところまで上げていきます。徐々に「エ」に変化していきますよね。「エ」と聴こえたら、そこで舌の動きを止めてください。このときの「エ」が、響く「エ」の母音です。
(一つだけ注意。舌と一緒に下顎が上がらないこと。上がるのは舌だけですよ)

ここでのポイントは「ア」から「エ」に移行する間を意識すること。
徐々に動きながら「エ」の響きに到達することです。このときの筋肉の動きがとても大事です。
例えば、手のひらを開いた状態からモノを握るとき、「パー」がいきなり「グー」にはらなずに、ゆるく握っている段階もありますよね。ちょうど卵を割れないようにやわらかく持つという感覚です。

舌を上げていく途中で「ア」と「エ」の中間のような曖昧な母音が聴こえてくるはずです。よーく自分の声を聞いて、音を確認しながらやってみて下さい。

(3)次は「イ」です。「エ」が出来れば、「イ」は簡単にできます。
先ほどの「エ」のポジションで「エ〜」と長く伸ばして発声をしながら、今度は少しずつ下あごを上げいきます。上げていく途中で「イ」と聴こえたら止めます。舌が奥歯に挟まれる感じが強くなります。そこが、響く「イ」のポジションです。

響く「イ」の声を、試しに離れた場所にいる人に聞いてもらってください。離れていても聴こえるはずです。

この「アエイ」系は、口の中を出来るだけ解放しながら、舌だけを少しずつ調節することで、響く声を獲得する方法です。

 

■次は「アオウ系」です。

試しに鏡の前で、普通に「アーオーウー」と一つずつ伸ばしながら発音してみてください。
唇がだんだんすぼまってきて、口の中がせまくなってきますね。

ただここで、「ウ」の時に口を噛み合わせて発音していると、響きません。
コンサートホールや教会では、空間の天井が高いほど、音は豊かに響きます。
実は口の中も同じ。口の中の空間が広いほど、響くのです。
逆に口の中の空間がないと響きません。

だから口の中の空間を確保することが必要になります。
では、やってみましょう。

(1)あくびをするときの口で「アー」と伸ばして発音したまま、口の中を変化させずに、少しずつ唇だけをすぼめていってください。鼻の下やあごの皮膚を伸ばすような動きです。

(2)唇の開きが500円玉くらいになると、自然に「オ」の音が聞こえてきます。「オ」と聞こえたら唇の動きをストップしてください。ここが響く「オ」のポジションです。

(3)そして、さらにすぼめていき、親指をしゃぶる程度の開きになったところで「ウ」が聞こえてくるはずです。ここが響く「ウ」のポジションです。

上手な人は、口の中の容積を保ったまま、舌を軟口蓋(口内の上奥にある柔らかい部分)の方へ引き上げて発音されるので、通常の響かない「ウ」とは比較にならないほどの豊かな響きとなります。

「ウ」は倍音が少なく、響きが作りにくい母音でもあります。できる限り、「アオウ系」の口のポジションを探り、口の中を「オ」の母音に近いところで響かせるようにしましょう。

 

「アエイ系」と「アオウ系」をマスターして響く声を獲得すると、驚くほど言葉が伝わるようになります。
ぜひお試し下さい。

 

 

 

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みんな意外と息が吸えていない

声が良い人には共通点があります。
それは、「息が吸えている」こと。

「息を吸う?いつもやっているし、簡単だよ」と思われるかもしれませんね。

でも実際には、プレゼンできちんとした「息の吸い方」が出来ている人は少ないのです。声が響かないときは、ほとんどの場合、原因は息が吸えていないことです。特に緊張していると、体が硬くなり、十分に息が吸えなくなっているので、声がか細くなったり、震えたりしてしまいがちです。

話す前にしっかり息を吸うのを意識すれば、声は良くなります。

息の吸い方は内容にも大きく影響します。
話している人の息の吸い方を見れば、次に「どんな声が来るか」「どんな内容の話をするか」予測がつきます。

例えば、美しい景色を見たとき。

「(はぁ〜!←息を吸う)なんて美しいんだ!」

となります。「はぁ〜!」と息を吸ったときに、何を表現するかすでに予感できると思います。このように息の吸い方が熟練してくると、息を使って話す前に聴き手へ感情表現で内容を伝えることができるようになります。そのためには、思い浮かんだことをを行き当たりばったりで話すのではなく、あらかじめ「何を話すか」決めて、その内容に合わせて息を吸うことです。

「良い息の吸い方」の簡単なコツを一つお伝えしましょう。

話すとき、息は鼻ではなく、口から吸いましょう。
良い声のためには口の中の空間を出来るだけ広くとる必要があります。試しに鼻から吸ってみてください。舌の根元が上がって上顎にくっつきます。この状態だと、口の中が狭くなって声は響かなくなります。必ず口から息を吸い、舌をしっかりと下げて口の中の空間を維持しましょう。

良い声で話すためには、

口から息を吸う→話す(息をはく)→口から息を吸う→話す→・・・・

この繰り返しが良い声で話すことにつながります。

次回のプレゼンでは、ぜひ「息を吸う」。この一点に集中してみてください。

ほんじつわ〜りがとうございました

 

「ほんじつわ〜りがとうございました」

これって何を言っているか分かりますか?

「本日は、ありがとうございました」が、きちんと言えていないのです。

話し方が、メリハリのない、だらしない印象に聞こえてしまう方は、大抵このような発音方法になっています。

日本人同士であれば、不明瞭で「なんかはっきりしないな」と感じながらでも、想像で補いながら聞くことはできます。しかし、「言葉を察しながら聞いている状態」というのは、聴き手にストレスを与えますので、内容がダイレクトに伝わりません。

それは、日本語特有の現象です。日本語は、言葉の頭に母音が来る場合、冒頭の例のように前の母音とつながりやすいのです。こうなると何を言っているのか分からなくなります。

では、どうすれば明瞭に話すことができるのでしょうか。

息を十分に吸って、母音の頭の前で一瞬間合いを取ると、スッキリと印象よく、内容もダイレクトに伝わります。

「(息を吸う)本日は(一瞬間合い)ありがとうございました」

となります。

今日は、上級者向けの方法もお伝えしましょう。

「声帯のアタック」という方法です。

分かりやすい例ですと、歌手の平井堅さんが頻繁に用いています。「『お”』おきな、のっぽの古時計、『お”』じいさんの時計〜」と歌うとき、『』の部分で母音の頭に声帯のアタックを使っています。母音に小さな濁点がついているような感じです。

声帯のアタックの方法は、言葉の頭に母音が来るとき、ほんの少し声帯をギュッと閉じます。

話し方の場合は、「本日は、『あ”』りがとうございました」と、「あ」で一瞬声帯をギュッと閉じるのです。

この方法は、話し方で用いることにより、明瞭且つエレガントに聞こえます。

ただ、常に声帯のゆるい方はギュッと閉じにくいので、母音がだらしなく響いてしまいがちです。かすれ声の方も声帯がきちんと閉じられていません。

どうしても声帯が閉じられない方向けのトレーニングも紹介しましょう。

やり方は、「あ」というように口を開けて、舌先は下唇か下の歯に触れているよう状態で舌を伸ばしリラックスしながら、「声を出すのをちょっと我慢するように」して、息を流し、「あ”〜〜〜〜」と発声していきます。音のイメージは、映画の「呪怨」のような声です。コツは、少しの息で行い、大きな音を出さず、息を止めないことです。また、「あ”っ、あ”っ、あ”っ・・・」というように途切れやすいので注意してください。常に平均して息が流れているようにコントロールすると上手くいきます。

 

 

 

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トップのちゃぶ台返し

 

「記者の質問に対して担当者が答えていたのに、トップがひっくり返すことがありますよね。これってどうなんでしょうか?」

ある会社の広報担当者さんのご質問です。担当者さんからするとストレスがかかる場面でもあります。

私も記者発表会の質疑応答で、そういう場面に何度か遭遇しました。

最近では、タニタの谷田千里社長です。今年3月8日に行われた会見で、記者から値段について突っ込んだ質問を受けたときのこと。担当者さんは「〇〇〇円位を考えています」と回答し、記者が「その値段は、ターゲットのお客さんを考えると、高すぎるのでは」と質問した時、谷田社長は「本当はまだ決まっていません」とあっさりひっくり返してしまったのです。

また昨年3月、ファストリテイリングの柳井社長もそうでした。新しく出来たユニクロの有明物流センターでの記者会見。物流センター内部は公開されませんでした。記者の「物流センターはいつ公開するのか?どんな整備をするのか?」という質問に対して、担当者さんが「具体的には答えられない」と回答したところ、突然マイクを手に取った柳井社長は「現状、人海戦術でやっている。上手くテクノロジーを使っていない。見せられる状況ではない」と言い切ってしまったのです。

スタッフの方は、ご自身が与えられた責任範囲の中でしか答えることはできません。一方でトップは会社の全責任を持っています。トップしか答えられないことも多いのです。そして場合によっては、全体のバランスを見て前言撤回・ちゃぶ台返しも必要になるのです。

 

 

 

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お洒落じゃないトップでも、ココさえ押さえればイケてるトップに!

 

「今度の記者会見、どんな服で出てもらったらいいのか…。ウチのトップおしゃれにまったく興味がなくて困っています」

ある広報担当者さんがおっしゃっていました。

それでは今回、とても素晴らしいトップファッションの社長さんをご紹介しましょう。

それは、タニタの谷田千里社長です。谷田社長は、ヒット映画「体脂肪計タニタの社員食堂」でも有名になった、ちょっと気弱な副社長役のモデルにもなった方。

2018年3月8日、「『タニタカフェ』の事業展開に関する記者発表会」で谷田社長のプレゼンを取材したときのことです。谷田社長は、タニタの「カロリズム」身につけて登場しました。カロリズムとは、身につけるだけで1日の消費カロリーなどを知ることができる活動量計です。

谷田社長は、雑誌の取材であろうと、会見であとろうと、どんなときでもカロリズムをつけています。谷田社長といえば、「ネクタイの横にカロリズムを付けている姿」がトレードマークになっているほどです。もしカロリズムと知らなかったとしても、ネクタイの横という目立つところにつけているので、「一体何をつけているんだろう」と、とても気になります。

谷田社長は、カロリズムを身につけることで「常に改善点を探っている」のだそうです。これは、トップの製品に対する真摯な姿勢を感じさせてとても素晴らしいことですが、もっと良いことがあります。

それは、メディアに出る機会が格段に多いトップ自ら身につけることで、強力なトップセールスになるということです。

この究極の姿が、自社製品の仮装です。

ヤッホーブルーイングの井手直行社長は、自社製品「よなよなエール」のTシャツをいつも着用していますが、会見ではよなよなエールの仮装をして登場します。3年前に取材したときなどは、「月面画報」という新製品のユニークなキャラクターに扮しての登場で、聴衆の度肝を抜きました。

井手社長のプレゼンは、派手な仮装をして一見自己主張が強いように見えますが、違います。体を張って、命懸けで純粋に製品のPRをしているのです。プレゼンの全てが「ワンテーマ」であるということが素晴らしいのです。

例えば、「ジャジャジャジャーン!」で有名な、ベートーヴェンの「運命」をフリフリのフリルのついたブラウスで指揮したらおかしいですよね?基本的に黒のタキシードであるのは、作品を活かすためなのです。舞台に出てお客さんに伝えるということは、究極、主役は「コンテンツ」「作品」であるべきなのです。

プレゼンも同じです。

もちろん、最新ファッションで登場することも良いのですが、まず最初に「会見で何を伝えたいか」を考え抜いてから、内容を活かすためのファッションを決めるのがベストです。

谷田社長の会見記事詳細は「月刊 広報会議 6月号」の4〜5ページにも掲載されています。もしご興味ありましたらご覧ください。

 

 

 

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