早口は損

人前に出るとどうしても早口になってしまう方が多くおられます。
実は早口は損をします。伝える内容に自信がないと思われてしまうからです。

さらに早口は、滑舌悪く聞こえてしまいます。聴き手が内容が聞き取れずに大事なことが伝わらず、何度も聞き返さすことになり、聴き手に迷惑をかけます。

私自身、経験があります。伝統あるお店で買い物をしたのですが、対応してくださった店員さんがあまりに小さい声で早口で、聞き取りにくかったのです。この時も何回か聞き直しました。

有能な秘書が見抜く『信用してはいけない人』の特徴」という記事で「早口の人は信用できない」という内容があります。

不自然に早口な人は、伝える内容に自信がないといえる。アメリカの心理学者ポール・エクマンによると、人間は恐れると早口になるとされている。それに加え、あわてると声が高くなる。自分の魂胆を隠して、企業トップや政治家を利用しようと思っている人は、嘘がばれることをひそかに恐れているため、無意識に早口になるのだ。

確かに自信がないと無意識に早口になります。

しかし人間は、自信があっても、人前に出るとテンションが上がり、どうしてもいつもより声が甲高くなり、早口になってしまうものです。人前で頻繁に話していて慣れている方であっても、いつもよりは声が高くなり、スピードも早くなります。

早口だから、その人が「信用できない」「自信がない」とひとくくりに決めつけるのは、ちょっと難しいかもしれません。
しかし、上記の記事の通り、甲高い声で早口は、「信用できない」と一般的に受け取られてしまいがちのようです。
ゆっくりと良く響く低い声で話す方が、「安心感があり信頼されやすい」ということなのでしょう。

人前で緊張している状態で、ゆっくり話すことは簡単なことではありません。しかし意識して自分ではあり得ないくらいゆっくり話してみてください。そのスピードがちょうどよいのです。そして聴衆の反応が良くなってくることが実感できると思います。

 

リーダーの甲高い声は、失望させる

ワールドカップ、残念でしたね。
ところで活躍されているカッコいいスポーツ選手の声を聴いて、「あれっ?」と違和感を覚えたことがありませんか?

特に印象に残っているのは、サッカーのベッカム選手。
選手としての見事なプレー、チームのリーダーとしての圧倒的な存在感。
私の脳内イメージでは、ベッカム選手の声は、「なめらかに響く低い声」でした。

あるときテレビのインタビューでベッカム選手が話していました。
なんと、意外に「甲高かった」のです。
ちょっとがっかりしてしまい、私の脳内にあったイメージとのギャップをうめるのに時間がかかってしまいました。

甲高い声のリーダーは、成果を発揮しにくいとも言われています。チームメンバーがリーダーに無意識に期待していることと少しズレがあるからかもしれません。逆に、名伯楽と言われるような監督や、素晴らしいリーダーは、大抵が良く響く低い声の持ち主であることが多いものです。

日経ビジネス No.1772「遺言 日本の未来へ」にて印象的な記事がありました。

戦後のリーダーたちが日本の未来へ贈る言葉を特集しています。
稲盛和夫さんが、玉音放送で初めて天皇の声を聴いたときのの一言がありました。

「甲高い声やなとおもったけど、くやしかった」

当時、一般国民は天皇陛下の声を聴いたことがありませんでした。
稲盛さんにとって、天皇の声がイメージしていたものより甲高かったのでしょう。

人は無意識にリーダーに期待するものがあるのです。

オペラでも、国民から信頼の厚い王様や裁判官の役は、必ず低い声の歌手が担当します。
また映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」で、英国の首相を目指すサッチャーが低い声を獲得しようとトレーニングしている様子が描かれています。

やはりリーダーとは、低い声がもとめられるものなのです。
これからはリーダーは、否が応でもメディアに露出していく時代。
自分の話し声や見た目にも気を配るべきなのです。

 

プレゼン本番では、ボイトレは全部忘れた方がいい

 

こんなことで、心配される方がいらっしゃいます。

「ボイストレーニングができないと、声が上手くでないし、上手にプレゼンできないのでは?」

私はお客様に、「プレゼンをするときは、ボイトレのことは忘れてくださいね」とお伝えしています。
ボイトレとは、ボイトレを忘れるために行っているからです。
トレーニング不足では、表現したいことがあっても思い通りに表現できず、もどかしい思いをします。
そうならないようにトレーニングをしているのです。

でもボイトレが上手くいかないからダメだということはありません。

しかししっかりストレッチを行っているにも関わらず、アスリートでも身体の硬い人もいます。
でも身体が硬いアスリートでも、成績が悪くない選手もいます。
ストレッチは身体を柔らかくして柔らかさを表現するために行うのではありません。
故障を減らして、身体を守るために行っているのです。
イチロー選手はとても身体が柔らかいと言われています。だから故障しません。

一昨年、ゴルファーの青木功さんの講演を聞いたことがあります。
「私は、身体を守るために毎日のストレッチは欠かしません。自分の身体を守るのは自分しかいませんから」とおっしゃっていました。そして毎日「神様、今日もゴルフをさせてくださってありがとうございます」と祈るのだそうです。
ストレッチをしっかり行い、後は天に任せてゴルフを楽しんでいるのです。

ボイトレも同じです。
「ボイトレのためのボイトレ」では残念です。
ボイトレは、あくまでボイトレ。
プレゼン本番では、そのときに盛っている実力で発声して表現を楽しみましょう。

プレゼン本番で、一つだけ意識していただきたいのが「横隔膜」です。
横隔膜が使えれば、喉のストレスが減り、発声が楽になり、聴き手に声が届くようになります。

横隔膜を使えるようにするには、ポイントは一つ。
へそ下9センチの場所にある「丹田」を張ること。つまり、下腹をしっかり張ることです。

本番では、声帯や喉などのことはすっかり忘れましょう。
下腹をしっかり張って、横隔膜だけに意識を持っていってください。
そうすれば、言葉が力に満ちて、聴衆の心に届きます。
あなたが今持っている実力を、必ず発揮できるようになります。

 

「本番になると滑舌が悪くシドロモドロになる」というお悩み

 

「ほんでぃつやごへえ・・ごへえとう・・・ん?・・・ごせいとう・・あ・・?」

プレゼンの大事な締めくくりの場面、「本日はご清聴、ありがとうございました」と言おうと、何度も言い直している方を見て、本当に気の毒と思いました。その方はプレゼン途中でも、簡単な言葉で何度もつっかえていました。

普段はスラスラと話せるものまで言えなくなると、「あれ?私おかしくなっちゃったのかな?」と焦り、「またしゃべれなくなるのでは?」と不安になるもの。こうなると、さらにつっかえるという悪循環に陥ります。

オリンピックの柔道代表を発表する方が、「〇〇キログラム級」と言えなくなってしまっています。

リンク動画

こういうことってよくあることですよね。

こんな様子を見ていると、「今日は滑舌の調子が悪いのかな?」と思ったりしますが、実際には、滑舌に調子が良い・悪いはありません。
原因は滑舌のせいではないのです。

ほとんどの原因は、話すスピードが速いこと。
人は、緊張したりあがったりすると、話すスピードが速くなります

緊張しているときは、意識をしなくても自然にスピードが上がり、早口になってしまいます。こうなると、普段はスムーズに話せている言葉でも、口が回らなくなって言えなくなるのは当然です。

「では本番前に、『いつも通りに話そう』と心がけよう」
こう考えても、やはり失敗します。プレゼン本番では、普段とは心と身体の状態が違うのですから、普段通りにはならないのです。だから当人は「普段通り」に話しているつもりでも、第三者から見るととても早口になっていることも多いのです。

周防正行監督の代表作「シャル・ウィ・ダンス?」で、主人公演じる役所広司さんがダンスコンクールの本番で踊る時、先生役の草刈民代さんが「落ち着いて。落ち着いて。」と祈るように言っていました。これが大きなヒントになります。

本番で成功するコツは、「落ち着くこと」。

「普段通り」に動かすと身体が速くなってしまいますから、筋肉が追いつかなくなり、ミスしてしまうのです。

緊張は悪いことばかりではありません。神経が研ぎすまされ、身体が危機に対して迅速に対応する準備が出来るようになります。だから、いつもより「落ち着いて」臨むようにすれば、自ずと結果はいつもより良くなります。

プレゼンで話す場合も同じです。
いつもより意識して、とてもゆっくり話すこと。
こうすれば、ほとんどの滑舌の問題は解決します。
もともと速くなっているので、これでちょうど良い速さになり、聞いている人も聞きやすくなります。

コツは、三つあります。

(1)まず、息を吸う

息が足りないと子音を言うときに、舌で口の中をこすったり、はじいたりすることがしにくくなります。しっかり呼吸して息をたくさん使いましょう。

(2)言葉を区切る

どんなに難しい言葉でも、少し区切って言うと、確実に言えるようになります。
ちょっと危ないなあと思ったらば、人に分からない程度に少し区切ってアクセントをつけると安定感が増します。

例えば、冒頭の文章だと、息をしっかり吸って、ゆっくり話しなが

「本日は(間)ご(微妙な間)静聴(間)ありがとう(間)ございました」

というようにします。区切ることでブレーキが効いて、早口防止にもなります。

(3)水を飲む

水が手元にあれば水を飲むことをおすすめします。舌やのどの筋肉が緊張で硬直しているのがリラックスすることができます。

本人はとてもゆっくり話しているつもりでも、第三者からは普通のスピードに聞こえます。
ぜひお試し下さい。

身体を楽器と考えれば、プレゼンでよい声を使える

 

大きな声を出そうと思ったら「口を大きくハキハキとあけなさい」と良く言われていますね。
これは問題もあります。口の前を開けずぎると、響きが散ってしまい、かえって声が通らなくなってしまうこともあるのです。

また口を大きく開きすぎていると、唇を閉じて発音する「m」などの子音で時間ロスが生じるため子音の発音に舌が届かなくなり、軒後して滑舌が悪くなってしまいます。

そもそも口を開けすぎて口がパクパクしているのは、ビジネスのシーンやフォーマルな場では、見た目があまりエレガントではありません。

大切なのは、口が開いていることよりも「口の中」が開いていることです。
ただ日本人の場合、アゴの骨格が小さいという特徴があります。特に最近の人はあまりものを噛まなかったり、大きな声を出す機会もないので、さらに口の中が狭くなっています。

そこで必要なのは、口自体はあまり意識して開けずに、常に「顎を下げる」ようにすることです。
顎を少し前に出すように下げるのがコツ。発声のときだけは少し「受け口に」気味になります。

実際に声の良い人の顔を見ると、後ろに顎を引いている人はほとんどおられません。
今まで取材したトップで声が良かったトップは、必ず顎がしっかり下がっています。
加えて口腔内は、上歯と下歯の間は常に空間が開き、舌を下げて舌先を下の歯にさわっている状態を維持しておけば最高です。

ソニーの平井一夫会長(当時、社長)を取材したときも、平井さんの顎は大変良いポジションで開いていました。
会見で一緒だったジョン・カビラ氏顔負けの良く響く素晴らしい声でした。

ドイツの名歌手でシュバルツコプフという人がいました。小柄だったので声が小さく、当初はヨーロッパの歌手たちと差がついていました。そのため、口周辺の作り方を細かく工夫していました。口の開け方はもちろん、アヒルっぽく上唇をほんの少し前に突き出すことも行っており、おなじように骨格の小さい日本人の生徒さんにも勧めていました。こんな少し工夫でも、響きが劇的に変わるのです。

声も楽器ですので、自分の身体をうまく使うことが大切です。
どんな人でも、上手に身体を使いこなすことで必ず良い声になります。
楽器に合わせた体を作りこんでいくことも大事なことなのです。

トップを演じ続けるトップ

 

2018年4月18日、マツモトキヨシHDトップ、松本清雄社長のプレゼンを取材したときのことです。

松本社長は創業家3代目トップ。マツモトキヨシでのキャリアは、20歳のとき。時給650円のアルバイトから始まった現場からのたたき上げです。

プレゼンは、極度な緊張からか硬さが目立ちました。加えて、人前に出ることにあまり積極的ではない印象を受けてしまったのです。

松本社長は、もともとまったく社長になるつもりはなかったそうです。ジャーナリスト財部誠一さんとの対談「経営者の輪」でのインタビューから引用します。

 

ある時期から昇進のスピードが少しずつ速くなっていたのです。これはおかしいぞと。昇進や昇格するたびに『私にはまだ早過ぎるので結構です』と断っていました。ところが『駄目だ。』と言われて、どんどやらされてしまった感じです。 最後はやるしかないのかと。38歳で(社長を)やれと言われ時には『もうやめて下さい』と思いました。

 

さらに松本社長は自称「引っ込み思案」とのこと。

「もうやめてください」という言葉と、人前で極度に緊張しながら「やるしかない」と一生懸命プロンプターを棒読みしている姿が重なり、胸が痛みました。

松本社長はトップになってすでに4年くらいたちますが、これまであまり会見に出てこなかったのも「できれば出たくない」という思いもあったのかな、と感じました。ただ、これだけ大きな会社のトップですから、ずっと出ないで済まされるわけにはいきません。今後、広報担当者さんが、プレゼンの苦手な松本社長にどのようにしてお話ししていただくか、そして、松本社長自身が「心から本当に話したいこと」を、目的意識を持って話してくださる時が来ることを祈るような気持ちでプレゼンを拝見し、記事を書かせていただきました。

世の中、社長になりたい人はたくさんいると思うのですが、なりたくない人もいるのですよね。創業家は大変だなあ、といつも感じています。

でも、トップは数多くの社員も抱えています。
だからこそ、トップを演じ続けることもまた、必要なのです。

広報はそんなトップをサポートしてあげたいですね。

 

詳しくは、「月刊 広報会議 7月号」をお読みください。

 

か細い声でも、母音を鍛えれば響くようになる

 

こんなご相談をよくいただきます。

「声がか細くて聞き取り難いって言われます。響く声を出したいんです」

声が響くかどうかは母音で決まります。
子音はどんなに頑張っても響きにくいからです。
だから響く声に必要なのは、「あいうえお」だけです。

ただ、単に「あいうえお」を練習すればいいわけではありません。
そこで「響く声を出すための母音のトレーニング」についてお伝えします。

実は母音は、「アエイ系」と「アオウ系」の二系統にわかれます。

■まず「アエイ系」の発声方法です。

「ア」は、意識しなくとも響きやすいですよね。
でも「エ」と「イ」が響かない人が多いもの。
これは「エ」と「イ」を発音する時に、口の中が狭くなっているからです。
そこで「ア」の母音を基本にして、「エ」と「イ」が響く口の中のポジションをトレーニングすればよいのです。
実際に発音しながらやってみてください。

(1)基本は「ア」の口です。顎が下りてほおが十分のびている状態。舌はのびて舌先は下唇の上に触れています。

(2)「ア~」と発声しながら、舌の両脇を少しずつ持ち上げて、上奥歯に当たるところまで上げていきます。徐々に「エ」に変化していきますよね。「エ」と聴こえたら、そこで舌の動きを止めてください。このときの「エ」が、響く「エ」の母音です。
(一つだけ注意。舌と一緒に下顎が上がらないこと。上がるのは舌だけですよ)

ここでのポイントは「ア」から「エ」に移行する間を意識すること。
徐々に動きながら「エ」の響きに到達することです。このときの筋肉の動きがとても大事です。
例えば、手のひらを開いた状態からモノを握るとき、「パー」がいきなり「グー」にはらなずに、ゆるく握っている段階もありますよね。ちょうど卵を割れないようにやわらかく持つという感覚です。

舌を上げていく途中で「ア」と「エ」の中間のような曖昧な母音が聴こえてくるはずです。よーく自分の声を聞いて、音を確認しながらやってみて下さい。

(3)次は「イ」です。「エ」が出来れば、「イ」は簡単にできます。
先ほどの「エ」のポジションで「エ〜」と長く伸ばして発声をしながら、今度は少しずつ下あごを上げいきます。上げていく途中で「イ」と聴こえたら止めます。舌が奥歯に挟まれる感じが強くなります。そこが、響く「イ」のポジションです。

響く「イ」の声を、試しに離れた場所にいる人に聞いてもらってください。離れていても聴こえるはずです。

この「アエイ」系は、口の中を出来るだけ解放しながら、舌だけを少しずつ調節することで、響く声を獲得する方法です。

 

■次は「アオウ系」です。

試しに鏡の前で、普通に「アーオーウー」と一つずつ伸ばしながら発音してみてください。
唇がだんだんすぼまってきて、口の中がせまくなってきますね。

ただここで、「ウ」の時に口を噛み合わせて発音していると、響きません。
コンサートホールや教会では、空間の天井が高いほど、音は豊かに響きます。
実は口の中も同じ。口の中の空間が広いほど、響くのです。
逆に口の中の空間がないと響きません。

だから口の中の空間を確保することが必要になります。
では、やってみましょう。

(1)あくびをするときの口で「アー」と伸ばして発音したまま、口の中を変化させずに、少しずつ唇だけをすぼめていってください。鼻の下やあごの皮膚を伸ばすような動きです。

(2)唇の開きが500円玉くらいになると、自然に「オ」の音が聞こえてきます。「オ」と聞こえたら唇の動きをストップしてください。ここが響く「オ」のポジションです。

(3)そして、さらにすぼめていき、親指をしゃぶる程度の開きになったところで「ウ」が聞こえてくるはずです。ここが響く「ウ」のポジションです。

上手な人は、口の中の容積を保ったまま、舌を軟口蓋(口内の上奥にある柔らかい部分)の方へ引き上げて発音されるので、通常の響かない「ウ」とは比較にならないほどの豊かな響きとなります。

「ウ」は倍音が少なく、響きが作りにくい母音でもあります。できる限り、「アオウ系」の口のポジションを探り、口の中を「オ」の母音に近いところで響かせるようにしましょう。

 

「アエイ系」と「アオウ系」をマスターして響く声を獲得すると、驚くほど言葉が伝わるようになります。
ぜひお試し下さい。

 

 

 

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みんな意外と息が吸えていない

声が良い人には共通点があります。
それは、「息が吸えている」こと。

「息を吸う?いつもやっているし、簡単だよ」と思われるかもしれませんね。

でも実際には、プレゼンできちんとした「息の吸い方」が出来ている人は少ないのです。声が響かないときは、ほとんどの場合、原因は息が吸えていないことです。特に緊張していると、体が硬くなり、十分に息が吸えなくなっているので、声がか細くなったり、震えたりしてしまいがちです。

話す前にしっかり息を吸うのを意識すれば、声は良くなります。

息の吸い方は内容にも大きく影響します。
話している人の息の吸い方を見れば、次に「どんな声が来るか」「どんな内容の話をするか」予測がつきます。

例えば、美しい景色を見たとき。

「(はぁ〜!←息を吸う)なんて美しいんだ!」

となります。「はぁ〜!」と息を吸ったときに、何を表現するかすでに予感できると思います。このように息の吸い方が熟練してくると、息を使って話す前に聴き手へ感情表現で内容を伝えることができるようになります。そのためには、思い浮かんだことをを行き当たりばったりで話すのではなく、あらかじめ「何を話すか」決めて、その内容に合わせて息を吸うことです。

「良い息の吸い方」の簡単なコツを一つお伝えしましょう。

話すとき、息は鼻ではなく、口から吸いましょう。
良い声のためには口の中の空間を出来るだけ広くとる必要があります。試しに鼻から吸ってみてください。舌の根元が上がって上顎にくっつきます。この状態だと、口の中が狭くなって声は響かなくなります。必ず口から息を吸い、舌をしっかりと下げて口の中の空間を維持しましょう。

良い声で話すためには、

口から息を吸う→話す(息をはく)→口から息を吸う→話す→・・・・

この繰り返しが良い声で話すことにつながります。

次回のプレゼンでは、ぜひ「息を吸う」。この一点に集中してみてください。

ほんじつわ〜りがとうございました

 

「ほんじつわ〜りがとうございました」

これって何を言っているか分かりますか?

「本日は、ありがとうございました」が、きちんと言えていないのです。

話し方が、メリハリのない、だらしない印象に聞こえてしまう方は、大抵このような発音方法になっています。

日本人同士であれば、不明瞭で「なんかはっきりしないな」と感じながらでも、想像で補いながら聞くことはできます。しかし、「言葉を察しながら聞いている状態」というのは、聴き手にストレスを与えますので、内容がダイレクトに伝わりません。

それは、日本語特有の現象です。日本語は、言葉の頭に母音が来る場合、冒頭の例のように前の母音とつながりやすいのです。こうなると何を言っているのか分からなくなります。

では、どうすれば明瞭に話すことができるのでしょうか。

息を十分に吸って、母音の頭の前で一瞬間合いを取ると、スッキリと印象よく、内容もダイレクトに伝わります。

「(息を吸う)本日は(一瞬間合い)ありがとうございました」

となります。

今日は、上級者向けの方法もお伝えしましょう。

「声帯のアタック」という方法です。

分かりやすい例ですと、歌手の平井堅さんが頻繁に用いています。「『お”』おきな、のっぽの古時計、『お”』じいさんの時計〜」と歌うとき、『』の部分で母音の頭に声帯のアタックを使っています。母音に小さな濁点がついているような感じです。

声帯のアタックの方法は、言葉の頭に母音が来るとき、ほんの少し声帯をギュッと閉じます。

話し方の場合は、「本日は、『あ”』りがとうございました」と、「あ」で一瞬声帯をギュッと閉じるのです。

この方法は、話し方で用いることにより、明瞭且つエレガントに聞こえます。

ただ、常に声帯のゆるい方はギュッと閉じにくいので、母音がだらしなく響いてしまいがちです。かすれ声の方も声帯がきちんと閉じられていません。

どうしても声帯が閉じられない方向けのトレーニングも紹介しましょう。

やり方は、「あ」というように口を開けて、舌先は下唇か下の歯に触れているよう状態で舌を伸ばしリラックスしながら、「声を出すのをちょっと我慢するように」して、息を流し、「あ”〜〜〜〜」と発声していきます。音のイメージは、映画の「呪怨」のような声です。コツは、少しの息で行い、大きな音を出さず、息を止めないことです。また、「あ”っ、あ”っ、あ”っ・・・」というように途切れやすいので注意してください。常に平均して息が流れているようにコントロールすると上手くいきます。

 

 

 

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トップのちゃぶ台返し

 

「記者の質問に対して担当者が答えていたのに、トップがひっくり返すことがありますよね。これってどうなんでしょうか?」

ある会社の広報担当者さんのご質問です。担当者さんからするとストレスがかかる場面でもあります。

私も記者発表会の質疑応答で、そういう場面に何度か遭遇しました。

最近では、タニタの谷田千里社長です。今年3月8日に行われた会見で、記者から値段について突っ込んだ質問を受けたときのこと。担当者さんは「〇〇〇円位を考えています」と回答し、記者が「その値段は、ターゲットのお客さんを考えると、高すぎるのでは」と質問した時、谷田社長は「本当はまだ決まっていません」とあっさりひっくり返してしまったのです。

また昨年3月、ファストリテイリングの柳井社長もそうでした。新しく出来たユニクロの有明物流センターでの記者会見。物流センター内部は公開されませんでした。記者の「物流センターはいつ公開するのか?どんな整備をするのか?」という質問に対して、担当者さんが「具体的には答えられない」と回答したところ、突然マイクを手に取った柳井社長は「現状、人海戦術でやっている。上手くテクノロジーを使っていない。見せられる状況ではない」と言い切ってしまったのです。

スタッフの方は、ご自身が与えられた責任範囲の中でしか答えることはできません。一方でトップは会社の全責任を持っています。トップしか答えられないことも多いのです。そして場合によっては、全体のバランスを見て前言撤回・ちゃぶ台返しも必要になるのです。

 

 

 

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お洒落じゃないトップでも、ココさえ押さえればイケてるトップに!

 

「今度の記者会見、どんな服で出てもらったらいいのか…。ウチのトップおしゃれにまったく興味がなくて困っています」

ある広報担当者さんがおっしゃっていました。

それでは今回、とても素晴らしいトップファッションの社長さんをご紹介しましょう。

それは、タニタの谷田千里社長です。谷田社長は、ヒット映画「体脂肪計タニタの社員食堂」でも有名になった、ちょっと気弱な副社長役のモデルにもなった方。

2018年3月8日、「『タニタカフェ』の事業展開に関する記者発表会」で谷田社長のプレゼンを取材したときのことです。谷田社長は、タニタの「カロリズム」身につけて登場しました。カロリズムとは、身につけるだけで1日の消費カロリーなどを知ることができる活動量計です。

谷田社長は、雑誌の取材であろうと、会見であとろうと、どんなときでもカロリズムをつけています。谷田社長といえば、「ネクタイの横にカロリズムを付けている姿」がトレードマークになっているほどです。もしカロリズムと知らなかったとしても、ネクタイの横という目立つところにつけているので、「一体何をつけているんだろう」と、とても気になります。

谷田社長は、カロリズムを身につけることで「常に改善点を探っている」のだそうです。これは、トップの製品に対する真摯な姿勢を感じさせてとても素晴らしいことですが、もっと良いことがあります。

それは、メディアに出る機会が格段に多いトップ自ら身につけることで、強力なトップセールスになるということです。

この究極の姿が、自社製品の仮装です。

ヤッホーブルーイングの井手直行社長は、自社製品「よなよなエール」のTシャツをいつも着用していますが、会見ではよなよなエールの仮装をして登場します。3年前に取材したときなどは、「月面画報」という新製品のユニークなキャラクターに扮しての登場で、聴衆の度肝を抜きました。

井手社長のプレゼンは、派手な仮装をして一見自己主張が強いように見えますが、違います。体を張って、命懸けで純粋に製品のPRをしているのです。プレゼンの全てが「ワンテーマ」であるということが素晴らしいのです。

例えば、「ジャジャジャジャーン!」で有名な、ベートーヴェンの「運命」をフリフリのフリルのついたブラウスで指揮したらおかしいですよね?基本的に黒のタキシードであるのは、作品を活かすためなのです。舞台に出てお客さんに伝えるということは、究極、主役は「コンテンツ」「作品」であるべきなのです。

プレゼンも同じです。

もちろん、最新ファッションで登場することも良いのですが、まず最初に「会見で何を伝えたいか」を考え抜いてから、内容を活かすためのファッションを決めるのがベストです。

谷田社長の会見記事詳細は「月刊 広報会議 6月号」の4〜5ページにも掲載されています。もしご興味ありましたらご覧ください。

 

 

 

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声が響かずお悩みの方へ

 

企業の発表会にうかがうと、声の響かない方が結構いらっしゃいます。

響かない声は、元気がなかったり、聞こえにくかったりして、説得力がありません。

響く声とは、ただ大きな声を出せば良いということではありません。声の響かない原因は、「横隔膜が使えていない」その1点にあります。

横隔膜とは、肺の下にある呼吸をつかさどるための筋肉です。この横隔膜をしっかり使うことにより、のどに負担をかけることなく、響く説得力のある声が出るようになります。

では、横隔膜はどのようにして使えばいいのでしょうか?

記事でも何度か書いたことがありますが、「ヘソ下9㎝の場所にある『丹田』という場所を張る」ことです。声を出している間は、この場所を常に張り続けると、とたんに声のトーンが充実して響くようになります。

「息をすって〜お腹をふくらまして〜、はい、息をはいて〜お腹をへこませて〜」という一般的な腹式呼吸のトレーニングに影響されてしまい、ほとんどの人が声を出すときにも腹式呼吸のトレーニングで教わったとおり「お腹をへこましても良い」と思われています。

しかし、発声しているときに「お腹をへこまして〜」とやってしまうと、とたんに良い声が出なくなります。

良い声を出している人のお腹を良くみると、大きくへこんだりしていません。常に、張った状態を維持しています。良い声のためには、息をすってお腹が張ったら、息をはいているときでもお腹が出来るだけへこまないように頑張って張り返すことが基本です。

では、本日は皆さんに、「横隔膜を張り、響く声を出すための呼吸法」のトレーニングをお伝えします。

 

1 口を開けて「ハアッ!」と大きく思い切り限界まで息をすう。(ヘソ下9㎝の場所を頑張って張る)

2 口を開けた状態で10秒間、我慢して息を止める。(ヘソ下9㎝の場所を頑張って張り続ける)

3 「ハアーッ!」と一瞬ですべての息をはききる。(息をはくときもできるだけお腹をへこまさない)

【チェックポイント】

息をはくとき、のどで「クッ…」とか、「あ”っ…」という雑音がしませんでしたか?
この場合は、喉で息を止めています。喉に負担をかけていて、横隔膜が使えていません。
横隔膜で頑張ることができれば、自然と喉はリラックスできるようになり、横隔膜が使えるようになっていきます。
(普段、どうしても喉にストレスがかかってしまい声帯がリラックスのできない方も、まずは横隔膜をつかって止められるかチェックしてください)

 

簡単なトレーニングですが、このトレーニングを続けることで、のどではなく横隔膜で頑張る発声するコツがつかめていきます。

また、緊張して声が甲高くなったり早口になったりしがちな本番でも、この丹田を張るコツをつかんでいれば、のどがリラックスしてスムーズに発声できますので、落ち着いた響く声を出すことができます。

 

「低い声で話せ」。でも高田明さん、甲高いですよ?

「『リーダーは低い声が良い』というのは分かりました。ジャパネットたかたの高田明さんは大丈夫なんですか?」

私が、「リーダーは低い声で話すことで、安心感、信頼感、説得力が格段に上がる」と話した講演後によくいただく質問です。

独特の甲高い声で話す、テレビショッピング名物MCと言えば、ジャパネットたかたの高田明さんです。

じつは高田さん、経営者として、社内では物静かで低い声で話しています。2015年1月16日の社長引退記者会見でも、テレビショッピングとは別人のような低く落ち着いた声で話していたのが印象的でした。

 

今、日本経済新聞「私の履歴書」で、高田明さんが連載しています。4月16日掲載の第16回で高田さんはこう書いています。

甲高い声でしゃべる私のスタイルは、ラジオのころから兆候があったらしいが、テレビではさらにキーが上がった。『この商品を伝えたい』と思うと、自然にあのテンションになる。普段の私の話し声は低い方だから、いつも初対面の人に『テレビのときと全然違う』と驚かれる

 

高田さんは迫力のある激しい口調で怒ったりもするそうです。

高田社長の本「社長、辞めます!ジャパネットたかた激闘365日の舞台裏」(日経BP社)の中で印象深い事が書いてありました。

現社長でもある息子さんの旭人さんが、

「高田社長と何度も激しくぶつかりあった。社員の前でも平気でやった」

という言葉に対して、インタビュアーが「高田社長が激しく言う姿が想像できません」と言うと、

「社員はみんな想像できますよ(笑)」

と答えます。

物静かな語り口調と、社員の前で激しく言う姿。そして、テレビショッピングの甲高い声。どれも同じ高田明さんです。

高田さんは、テレビのバラエティ向けとトップとしての声を自然に使い分けていました。それは、ビジネスの修羅場や、厳しい交渉、マネージメントの経験を積んで、自己の様々な可能性を探求した結果なのです。

 

 

 

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「全員会見」でワンチームにまとまった、セールスオンデマンドの発表会

 

「ウチの社長、存在感がないんです。いるのかいないのかわからないし…。ハッキリしないし…。社長らしく、強いリーダーシップをもって話してほしいのですが…」

広報担当者さんから、こんなご相談がありました。

「サラリーマン金太郎」のように強烈なカリスマタイプのリーダーならば、確かに強いリーダーシップを発揮します。外資系企業トップにはそんな方が多いですよね。しかし、リーダーシップは、それだけではないのです。

2018年1月24日、セールス・オンデマンド株式会社の「窓掃除ロボット 新製品発表会」で、室﨑 肇社長のプレゼンを取材してまいりました。

これほど自然体の社長はなかなか見たことがありません。身振り手振りもなく、まっすぐに脱力した立ち姿。それで淡々と語ります。まったくインパクトがないのです。

しかし「凄い」と思ったことがありました。

一切資料を見ず、すべて自分の言葉で語っているのです。当たり前のように思えますが、世の中では原稿がないと話せないトップはとても多いのが現実。商品に関するテクニカルな言葉も、完全に自分の中で消化して話しているのが伝わってきます。

実は室﨑社長は、一見地味な、本格派なのです。

そしてこの日、最も印象深かったことがありました。

小野寺英幸事業本部本部長が、エネルギッシュなプレゼンを行い大活躍。質疑応答でも社長を横にしてほとんどの質問に答えていました。室崎社長は、「俺を差し置いて」などとは微塵も感じさせず、むしろ自然体でそれを見ているのです。また、司会も社員が上手に担当、パートナーである韓国RF社のリ・スンボク社長も心のこもった見事な日本語で挨拶を行いました。

会場にいた社員とパートナー全員がイキイキと活躍する「全員会見」でした。

日本型と欧米型のリーダーの違いはエゴマネジメントなのかもしれません。強力なリーダーシップで組織を統轄する欧米型リーダーは、「自分はこういう考えだ」という強い自我(=エゴ)が求められます。しかしエゴが強すぎると、部下の良さを殺してしまうこともあります。こうなると組織の力は引き出せません。

しかし、室﨑社長のようなリーダーは、そのような強い自我はあまり感じられません。そのかわり自分の存在感を消して社員の積極性を引き出す「引き立て力」を持っています。

反面、このようなリーダーシップは物足りなさも残ります。それは明確なビジョンが見えにくいこと。会社のビジョンはトップしか語れないことです。

引き立て力によりチームの力を引き出し、そのスタイルは残しつつ、明確なビジョンも語れるようになれば、更に会社は成長していくのではないか、と感じた会見でした。

 

 

 

 

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トップの大ボラと大ウソは、正反対

 

「うちのトップ、取材のとき気持ち良くなってついつい大ボラを吹いてしまうんです。いくら”オフレコ”と断っても、言ったことは記事に出てしまいます。どうすればいいのか…」

ある企業の広報担当者さんが困り顔でご相談に来られました。
「大ボラ」と「大ウソ」…。一見似ているようで、実は違います。

3月27日に、カルビーの松本晃会長が突然の退任を発表しました。

昨年5月、その松本会長がアリババと提携して越境EC事業の発表会を実施。発表会を取材させていただいたときのことです。

「(中国でフルグラを)1000億(売る)ってやつ。もともとホラ吹きですから、ホラ吹いてまして」

と、”松本節”が炸裂していました。

質疑応答でも、

「今、国内500億、海外1000億、まだホラの段階でして。『ホラは2〜3年すると夢に変わってそのうち現実になる』」

と発言したときは、隣に座っていたアリババ株式会社のCEOが苦笑い。また、

「ついでにホラを吹いてしまうと、究極のフルグラ販売地域は北米だと思ってます」

と言い、アリババのCEOもさすがに「えっ?」という目線で松本会長のほうを思わず見ていました。カルビーのフルグラ事業本部本部長さんは、急にご自分の肩を揉み始め、辛そうなお気持ちが伝わってきました。

後日、メディア各社の記事を確認。案の定、「ホラ」の部分はカット。「目標1000億円」という見出しのオンパレード。メディアとの会見では「オフレコ」はありません。たとえ「ホラ」と断っても、事実として報道されます。メディアはニュースバリューが大きい話題をいつも探しているのです。

実は松本会長は、確信犯。取り上げられるのを狙ってホラを吹いていたのです。

悟りをひらいた僧侶のような表情で、両腕をブランと脱力して立ちながら、「のしっ、のしっ」とゴルフのスタンスをとるようなポーズで話す松本会長。その姿は、「あしたのジョー」の主人公、矢吹ジョーが試合中にとる”ノーガード”を彷彿とさせ、リラックスしながらも、まったくスキのないプレゼン姿でした。

松本会長は、プロ経営者です。カルビー会長兼CEOに就任。カルビーを一気に成長させました。 だから結果がすべて。結果を出すことを最重要視する現実主義です。

松本会長は、「なんでもあり」の人でした。

ちなみに『ホラを吹く』で有名なのが、『ホラ吹き三兄弟』と呼ばれている日本電産の永守重信会長、ファーストリテイリングの柳井正社長、そしてソフトバンクグループの孫正義社長です。

もちろんウソはダメです。不祥事の際に、実は自分は知っていたのに「知らなかった」というトップがいます。これは誤魔化すための大ウソ。目的は自分の保身です。

しかし大ボラは違います。誤魔化しではありません。自分の保身ではなく、自分を追い込むために、大ボラを吹いているのです。

言い換えれば、大ボラとは「大きなビジョン」。
だからホラは、大きければ大きいほど良いのです。

 

 

 

 

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ウチのダジャレ社長に困っています

 

「社長がダジャレやオヤジギャグの連発で困っています。正直やめてほしいんです。これっていいんでしょうか?」

広報担当者さんからご相談をいただきました。

ダジャレ好きな方は、呼吸するようにダジャレをおっしゃるので、なかなか止められないものですよね。

ダジャレのマイナス点は…
・ウケないと場が冷え切ってしまう
・ウケるまで繰り返す人が多い。さらに場が凍ってしまう
・ダジャレが一人歩きして、本来伝えるべきメッセージが伝わらない

広報さんは頭が痛いですね。

一方で本来、ダジャレは良いことも多いのです。

まずトップの楽しい人柄がにじみ出て、共感が高まります。

以前、「ダジャレ知事」として有名な平井伸治・鳥取県知事のプレゼンを取材したときのこと。

「鳥取にはスタバはないけど、日本一のスナバがある」

何となく覚えている方もおられるのではないでしょうか?
平井知事就任後、鳥取県の知名度はかなり上がっています。

取材したプレゼンでは、
「鳥取県はほっこり県です」
「鳥取の女性はおっとりジェンヌ」

ゲストで元タカラジェンヌの遼河はるひさんに鳥取移住を勧めながら、

「はるひさんが鳥取に”はいる日”」

…など、平井知事がダジャレやジョークを言うたびに会場は笑いで包ました。こんな笑いの多い会見は見たことがありません。

「らっきょうを一日に4つ食べると病気にならないんです。私が言うとウソに聞こえますが、みのもんたさんが言ったので間違いないです」

と自虐的とも言えるジョークで一歩引きながら特産品を売り込むスタイルも板についていました。

注目は囲み取材。メディアがさかんに知事に「ダジャレを言わせよう」「ダジャレを引きだそう」と質問していたのが印象に残りました。残念だったのは、囲みでは調子がいまひとつだったようで、ありきたりの答えしかできず、ダジャレが出なかったのです。平井知事は、相当準備してダジャレを言うタイプのようです。

いまやメディアは、知事の面白いダジャレを待っています。その『お約束』を果たすから、記事になるのです

「平井知事=ダジャレ」というパーソナルブランドが確立しているのです。

「ブランドは、鍾乳洞である」という言葉をご存じでしょうか。石灰を含んだ地下水が、数千年から数万年という長い年月をかけて一滴ずつ滴り、鍾乳石が作られ、大きな鍾乳洞になります。ブランドもこの鍾乳洞と同じです。一滴一滴の石灰水の積み重ねで鍾乳石が出来るように、一つ一つの顧客満足の積み重ねでブランドが出来上がります。

「お約束を果たす」という顧客満足を時間をかけて蓄積することで、強いブランドが作られて、広まっていきます。「鳥取県の平井知事=ダジャレ知事」という強いブランドは、ダジャレを通じて、一つ一つの顧客満足を地道に積み重ねていった結果なのです。

センスの良いダジャレは、強烈な印象を植え付け、人に記憶されます。たとえば、受験で覚えにくい言葉をダジャレで記憶した経験はありませんか?メッセージとダジャレを上手く組み合わせると、市場に記憶され、爆発的な訴求力を発揮するのです。

ダジャレを言うのはとても良いことです。ただ、一過性で終わらせないこと。そしてダジャレのセンスを磨くこと。徹底的にダジャレという「お約束」を蓄積していくことで、トップのメッセージも高まります。

ですので広報は、ダジャレ好きのトップを止める必要はありません。むしろもっとセンスの良いダジャレを言ってお客様に人柄を印象づけるように、トップを鍛えてあげることが必要なのです。

 

 

 

 

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「トップはカッコつける必要はない」と実感した、ファミマ澤田社長の会見

 

「社長が社員の前で話しても、いまひとつ盛り上がらないんですよね」

広報さんからこんなご相談をよく受けます。社内コミュニケーションも広報の大事なお仕事ですね。

トップのプレゼンが、周囲の行動も変えていくことに気がついた会見がありました。ファミリーマート澤田社長のプレゼンです。

昨年、ファミリーマート新戦略発表会を取材をしたときのこと。「月刊 広報会議」の記事でも書きましたが、澤田社長のものすごい熱量の高さに圧倒されました。

会見で印象的だったのが、社員さんたちの明るさです。緊張しがちな会見場ですが、皆さんの表情がイキイキとしていました。
もう一つ、他の会見とは大きく違う点がありました。

囲み取材です。

通常のトップ囲み取材では、あらゆる事態に備えて隣に担当者がつきます。しかし澤田社長は、一人だけ。記者の質問に、しっかりとした声で、自分の言葉で答えていました。自分が分からない質問には、周囲の担当者を大きな声で「おーい!分かる?」と呼びます。その勢いに記者が大勢集まって囲み取材は大盛況。囲み後も、名刺交換に長蛇の列でした。澤田社長と同じ空気を吸っているだけで、元気になるような会見でした。

なぜ、澤田社長がここまで人を元気にさせるのか。その答えが、澤田社長が出演した11月放映の「カンブリア宮殿」(テレビ東京)にありました。

村上龍さんが、澤田さんが伊藤忠からユニクロに転職した時のことを聞いたときのこと。澤田社長は、

「リクルートに登録し、ご紹介いただいてユニクロに転職した。ヘッドハンティングでも何でもない。一介のサラリーマンなので、どこに行ったらいいのか分からない。マンションを買ったばかりで、借金もあった」

と正直に答えました。

村上さんは、「リクルートですか…こんな経営者は初めて」と驚きを隠しませんでした。

澤田社長は、自分の足で地方の店舗を回り、スタッフ一人一人の手を握って声をかけていました。宮城県の端にある店舗オーナーさんは少し涙ぐみ、「感動した。社長がこんな北の果てまで来るなんて初めてのこと」と言っていました。

なんと澤田社長は、社長就任前の3ヶ月間、ご自身が店舗のスタッフ研修も受けています。

澤田社長の徹底した現場へのコミットメントと同時に、裃を脱ぎ、「自分はこれ以上でもこれ以下でもない」というありのままの姿を、率直に、格好をつけずにさらけだしているのです。

どんなに凄いトップであっても「私たちと同じビジネスパーソンなんだ」ということが強く感じられました。

こういうリーダーに人はついていくのではないでしょうか。

澤田社長を見ていて、プレゼンでは格好つける必要などない、と感じました。人生をかけてきたトップが、ありのままの姿を素直に表現すれば、人は感動し、良き方向に行動を変えていきます。これが格好つけないトップ広報の理想型なのだと確信しました。

ファミマ・澤田社長の「カンブリア宮殿」動画は、3/31まで無料視聴可能です。

 

 

 

 

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3月7日、「朝活広報会議〜関西の陣」で講演しました

 

3月7日、「朝活広報会議〜関西の陣」で講演しました。

「朝活広報」の講演はこれで2回目。1回目は東京、今回は大阪でした。早朝から40名がご参加。

「プレゼン力を鍛えよう」というテーマで、トップ会見を取材した実例から学び、すぐに使えるテクニックやボイストレーニングのワークショップなども行いました。「とても参考になった」「実務につながるヒントとなった」「理解しやすかった」等のご意見を多数いただきました。

関西の方々はコミュニケーションのフットワークが軽やかですね。ご意見や質問など、積極的に手があがりさすがと思いました。

とても話しやすく、素晴らしい時間でした。ありがとうございました。

 

 

 

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トップも人間だから、間違ってもいい

 

トップのフォローは広報の大切なお仕事。
広報にとって、会見でのトップの発言や一挙手一投足はとても気になるところですよね。

今年1月11日、「東京タワーリニューアル発表記者会見」で日本電波塔、前田伸社長のプレゼンを取材にしたときのこと。

スタッフの皆様の前田社長への気配りが際立っていました。責任者と思われる方は、社長プレゼンや質疑応答で一言一句に頷いていましたし、囲み取材ではフォローのコメントも入れていました。きっと常に近くにいる担当の方なのでしょう。

一方で、背後に立っている社員お二人も、目を見開き緊張感いっぱいの表情。緊張感が伝わったのか、記者の皆さんも徐々に静かになりました。

周囲がトップをサポートするのは良いことですが、一方で前田社長がとても慎重にお話ししたり、質疑応答で慎重に手元の答えを確認しながら読み上げている様子を見ていると、トップがもう少し自由に話せるような配慮をしても良かったのでは、と思いました。実際に囲み取材でご自身の言葉で話されているときは、とても良い表情で言葉もイキイキしていましたし、別の質問で何も見ないで答えた時は、やっと少し笑顔を見せてくれて、聞き手としてもホッとしました。前田社長は自然に話せば強みが出てくる方と感じました。

間違いを言うのはよくありませんが、トップに「間違ってはダメ」というプレッシャーをかけるのもよくありませんよね。「人間なんだから多少間違っても良いじゃないか」というくらいの余裕を持ったほうが、結果は上手くいくことが多いものです。

さらに詳しくは、「月刊 広報会議 4月号」プレゼン力診断に執筆した記事が掲載されています。もしよろしければご覧下さい。

 

メガネ選びは、トッププレゼンの一部です

 

最近、あるトップの写真撮影がありました。メガネをかけている方だったので、カメラマンより「メガネを何点か持って来るように」との指示があったのですが、最終的にはメタリック調でシャープなイメージの講演用メガネで撮影に臨みました。

「メガネは顔の一部です」というキャッチコピーがありましたが、トップのメガネ選びはとても大切です。メイクやヘアスタイルよりも、メガネは顔の印象を強く左右します。

メディア取材はもちろんのこと、人前に立つときは常に同じメガネをすることで、強い印象を与えることができます。

理想的なメガネの選び方をしている、と思ったのが、湖池屋の佐藤章社長です。
2016年に湖池屋の取材にうかがったとき、佐藤社長は「ポルシェデザイン」のメガネをかけていました。メタリックでフレームやテンプル(つる)の部分にスリットが入り、スタイリッシュで存在感のあるデザインです。佐藤さんはキリンビバレッジ社長時代からこのポルシェデザインのメガネを愛用しているようです。佐藤さんのようなに仕事でもブランドにこだわる人は、「これ」とブランドを決めたら変えないものなのでしょう。

星野リゾート・星野佳路社長は、10個のメガネを仮面のようにかけかえることで、モードを切り替えるといいます。仕事用メガネも毎年新しくするそうです。星野社長は2010年に「日本メガネベストドレッサー賞」も受賞しているほどメガネにこだわりをお持ちの方。星野社長は、メガネを変化させることがパーソナルブランドイメージにつながっています。

メガネで、相手に与える印象は大きく変わるのです。
「個人的に、このメガネが好き」も大事なこと。その上で、「そのメガネで相手にどのような印象を与えたいか?」も考えて、メガネ選びをしたいところです。

 

 

 

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