No.299 まず結論ではなく、まず強い想い。吉村洋文大阪府知事のプレゼン力

(写真:吉村洋文公式サイト)

昨日の7月26日、大阪府定例記者会見で吉村洋文大阪府知事が登壇しました。
2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の準備が遅れつつあり、問題になっていることが注目されています。

吉村知事は、2019年に大阪府知事に就任してからすでに二期目。大阪で多くの支持を得ている知事です。
コロナ渦で強いリーダーシップを発揮していた知事の姿が印象に残っている方も多いのではないでしょうか。

大阪・関西万博の施設は、全部で3タイプあります。
「タイプA」 参加国や地域が、自由にデザインするパビリオン。
「タイプB」 日本が作って渡すパビリオン
「タイプC」 パビリオンの一部を共同利用するタイプ

「万博の華」は「タイプA」です。吉村知事もタイプAでの建設を強く希望していました。
しかし7月26日時点で、大阪市への許可申請の数はゼロ。万博まで工期が間に合わない可能性が発生しているのです。

さらに開催時期「延期論」がささやかれ始めている背景もあり、1時間の質疑応答では万博パビリオン施設への質問が大半を占めましたが、吉村知事は辛抱強く丁寧な説明を展開していました。

多くの政治家は「我々(政党)は」「国では」と組織主語で話しますが、公の前で「私の考えは」と言える政治家は、多くいません。
吉村知事の良い点は、自分自身の想いを明確に表明することです。

記者から「タイプB」「タイプC」への変更の可能性を聞かれると、吉村知事は「僕の考えでは」と前置きした上で、「僕はAタイプでやると言っているので、できる限りAタイプでやりたいと思ってます。今もそう思ってます。2025年4月に必ず開催する。絶対に遅らせることはない」と強い想いを明確に口にしました。

その上で、「ただAタイプに固執しすぎるとできない国も出てくる。無理矢理推し進めるというのは、ちょっとやめたほうがいいと思う。想いはあるけれど、できないところに固執して結局できませんでしたと言うよりかは、できるところに行ったほうがいい」と、冷静に一歩引いた見解を述べたのです。

「プレゼンは、先に結論を述べよ」と言う人がよくいます。
しかし、万博の華であるAタイプを期待している人たちは多くいます。
そんな人に「Aタイプに固執しない」と結論を先に語ると、その人たちを大きく失望させることになります。

一方で、リーダーの強い想いは人々に届きます。
最初に結論を語らず、まずは強い想いを表明することで、相手に「この人は真剣だ。ちゃんと話を聞こう」と聞く姿勢ができます。
同じ結論でも、最初に想いを語ることで、聴き手の受取方は大きく違ってくるのです。

かつて吉村知事が日本経済新聞のインタビューで「首相を目指しますか」と聞かれ、きっぱり「目指しません」と言い切ったコメントを拝見したことがあります。
吉村知事はその理由を以下のように述べています。

知事や市長は選挙で直接選ばれる。腹をくくれば公約を実行できる。首相は国会議員に選ばれる。派閥などに配慮しないとならず、スピードと決定力が圧倒的に欠ける。僕自身は向いているとは思わない。性格上、まとめられない。
(『国会議員は3割減らせる 大阪知事が唱える国政改革 吉村洋文・日本維新の会共同代表』2023年7月15日 日本経済新聞より)

最近、鳥取県の平井伸治知事や、北海道の鈴木直道知事など、人口の少ない都道府県で活躍する知事が目立っています。
今後、吉村知事のように自分の想いを自分主語で語り、日本を地方から変革していく政治家のリーダーが増えていけば、日本ももっと元気になると思います。

2023/07/27 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika