これからのリーダーにとって大事なこと

 

昨日まで2日間「第21回 日経フォーラム世界経営者会議」に参加していました。

第一日目には、日本からはファーストリテイリングの柳井会長、キリンHDの磯崎社長、DeNAの南場社長、マクドナルドのカサノバ会長、タニタの谷田社長などが登壇し、経営者が今何を考えているのかが、言葉だけでなく空気を共にすることで肌感覚でも感じられた貴重な機会でした。

そういえば、柳井会長、カサノバ会長、谷田社長は、すでに「プレゼン力診断」で取材させていただいた方々です。取材から数年たって彼らが今どのような状況に立っているのか興味深く拝見しました。

とくにカサノバ会長は、約4年前にバッシングの真っ只中で取材させていただき、毅然とした見事なプレゼンが印象に残っています。

一昨日、長身のカサノバ会長が大きな舞台を存分に有効利用し、歩き回りながら話す姿はまさに立派なリーダーの姿。円熟味の増した堂々たるプレゼンでした

プレゼンも良かったのですが、カサノバ会長の言葉には、この数年間蓄積された重みが増し、言霊が宿っていました。

「なぜ日本マクドナルドはV字回復をとげることができたのか」という日本経済新聞社記者からの質問に対して、「2つある」と話していました。

一つ目は「お客様のロイヤルティ、社員の士気を高めること」

二つ目は「そのために、お客さんや社員の声を聞くこと」

リーダーとして大切なのは、やはり「聞くこと」なのだそうです。

しかも「広く、深く聞き、注意深く反映させること」。

そうしないとご自身もチームの多様性も活かせないと話していました。

プレゼンは、どちらかというと自分が話すことばかりに気を取られがちです。しかし、舞台に立つ前にどれだけお客さんや従業員さんの声を聞いているか、それはプレゼンの言葉の隅々にまで表れるものです。

同じように、タニタの谷田社長も、「経営者としてここはどうしても譲れないという領域はあるが、それ以外は社員の意見を尊重している」と話していました。

リーダーは、インターナルコミュニケーションによって聞くという経験を積み重ね、それを実践することが大切だということがよく分かりました。

 

プレゼンに演技力は必要か?

「私、演技力ないからプレゼンに自信ないです」
よくあるお悩み相談ですが、プレゼンに高度な演技力は必要ありません。

ビジネスプレゼンと役者の違いは2つあります。

(1)現実か?

ビジネスプレゼンは、現実に基づいています。多額のお金も動きす。トップの場合、従業員もいて責任が伴います。
役者の演技は、虚構の世界であり、非現実。アートの世界が舞台です。

(2)人を行動させるか?

ビジネスプレゼンの目的は、聞いた人が実際に行動することです。
一方、役者の演技の目的は、人の心が動き感動すること。行動は目的ではありません。

現実の世界で、人を行動させることが目的のビジネスプレゼンは、「話す内容」が何よりも大切。技術は二の次です。役者のような演技力をつけるのは時間のムダ。逆に役者のように話すと、言い方は悪いですが「うさんくさく」「イタい」ので人が動きません。演技力を磨く時間があるのならば、内容を考え抜くことです。

まずは現実に基づいて、しっかり内容を吟味し、どのようにプレゼンしたら「人が動くか」、戦略を考え抜くことが必要なのです。

 

 

非公開数字の質問を乗り切る方法

 

プレゼンの質疑応答で、「言ってはいけないこと」があります。

その代表的なものが、「まだ非公開の数字」です。

サービス精神旺盛な方だったり、記者の上手な質問に乗せられてついつい言ってしまうケースなど、過去有名な経営者でもたくさんありました。

ただ、いつ如何なる時も通り一遍に「言えません」では、杓子定規でよろしくありません。質問者とのリレーションを大切にすることも、ビジネスパーソンとして大事なことです。

まだ非公開の数字について質問された時、ヒントをあげたい場合もあります。そんなときは、この一言で乗り切るといいでしょう。

「ちょっと幅が広くて申し訳ないですが…」

三井不動産株式会社の「日本橋再生計画第3ステージ 記者発表会」にて菰田正信社長を取材したときのことです。「非公表の事業投資額は?」と記者から質問をうけたとき、「数千億から1兆円の間ってことでしょうね。ちょっと幅が広くて申し訳ないですが…」と笑顔で答えていました。

このときは、何度も投資額の質問を受けており、最後は記者に寄り切られる格好でしたが、詳細は言わずになんとか上手く乗り切りました。結果としては、菰田社長が一枚上手だったと思います。

詳しい状況はこちらの記事にもありますので、ご興味ある方はぜひご覧下さい。

「日本橋に青空を甦らせる」三井不、中長期を見据える強い意志

なぜあの人は目上の人に引き立てられるのか

 

目上の人や上司に好かれる人がいらっしゃいます。
目上の人に好かれることは、仕事が上手くいく秘訣でもあり、人生にとっても大きな意味があります。

好かれるということは、出世のためや、仕事をいただくためだけに媚を売ることとは違います。
また、上の人に好かれるような感じの良さとは、生まれつきだと思い込み、「自分は不器用だから」と諦めてしまいがちです。

実は、本当に好かれ、引き立てられる人というのは、仕事が出来るだけではだめで、相手に「どんな自分を覚えてもらいたいか」をまず設定して、考えて話しているのです。

最近、新浪剛史さんが日産自動車の次期CEO候補の一人として同社指名委員会で検討されている、と報じられました。

新浪さんが、ローソン会長からサントリーの社長に就任されたときの会見を見たことがあります。サントリー・佐治信忠会長とご一緒に会見しているときの新浪さんは、ローソンのトップ時代とはニュアンスを変え「人にお仕えする」態度をとっていて、大変参考になりました。

媚びずに、目上の相手を立て、「おかげさまで」という気持ちを言葉に表す。新浪さんの特徴は、声が大きくパワーがあり、目力を持つアイコンタクトを欠かさず、さらに、口角が上がるので笑顔がわかりやすいのもポイントです。男性で「笑っているつもりなのに笑って見えない」ということが良くありますが、これは不機嫌に見えたり、納得していないように見えたりする場合があるので損をします。素晴らしい経営者は大抵、「わかりやすい笑顔」が自然に出せる人が多いのです。

新浪さんは、実績・実力もあるのですが、若い頃から常に目上の人に引き立てられて、出世なさってきた人です。新浪さんを42歳という若さで東証一部上場企業のローソンの社長に引き立てたのは、三菱商事当時副社長で現在取締役会長の小島順彦さんです。

なぜ小島さんが新浪さんを抜擢したのか?

新浪さんの著書「個を動かす」に、小島さんのインタビューが書かれていました。

・・・(以下、引用)・・・

「そうでもなかったです。あれだけの勢いがあるヤツはそんなにいなかったですから。彼は私に平気で喧嘩を売ってくる」

――下からがんがんと言ってくるような人間じゃないと、一国一城の主は務まらないのでしょうね。

「そう思います。『この野郎、かわいくないヤツだ』と思うけど(笑)、冷静になって考えてみると、彼は自分の意見を持っているから立派なんです。上にモノを言う人間が大勢いると、経営がミスリードされなくていい」

 

・・・(以上、引用)・・・

私はこれを読んで、「普通の人がこのまま真似をしては嫌われる」、新浪さんが特別なのではないかと考えていました。しかし、佐治会長と一緒のサントリー会見の様子を見て、「なぜ新浪さんが好かれたのか」大いに納得したものです。

新浪さんは、相手にとって「どのような自分を覚えてもらいたいか」をきちんと設定して、考え抜いて接しているのです。
時には悩んだこともあったと思います。
これが長年継続されて身に付いているので、演じていたとしても、ほぼ「生まれつきではないか」と思えるほど自然に出
来ているのです。言うべきことをしっかり言っても嫌われない。それどころか「この人に任せたい」と思ってもらえる。

実力をつけることも大事です。
しかし、そういう人はたくさんいる。
それだけではダメなのです。

実力はあっても、ちょっとしたことで「気力が感じられない」「頼りない」「何を考えているのか分かりにくい」「素直さがない」と思われると好感度は下がってしまいます。

そこで、好感度を上げるための3か条をお伝えいたしましょう。

1、よく響く落ち着いた低い声

説得力や安心感、人間の温かみが感じられ、若くても「この人に任せてみよう」と思われます。チャンスを与えてもらえることは仕事の成長につながりますので大事なことです。

2、笑顔とアイコンタクト

常にニヤニヤしているということではありませんが、やる気や素直さは笑顔、考えていることは目で伝わります。上の人から見ると、笑顔で対応してくれる人は「可愛げ」があります。笑顔だと口角も上がり、口の中が広くなるので声も明るく響きます。

3、すぐにやる

何でもすぐにリアクションする。トップになるほど多忙になります。すぐに返してくれる人ほど有り難いものです。例えば、返事一つでも「はい。」(→「。」までしっかり)とすぐ返す。「はあ〜い」や「はァ・・・(語尾が落ちる)」「はいはい(2回言う)」はNG。

 

同じ力量であれば「どちらに頼もうか」と考えた場合、人間ならば、やはり好感度の高いほうを引き立てると思います。

3つとも、簡単にできるものばかりです。

とくに甲高い声や、アニメ声の人は、落ち着いて低い声で話すようにしてください。

より良い仕事をするために、「どんな自分を覚えてもらいたいか」。
ぜひ、設定してみてください。

 

※このコラムは2019年10月7日に書かれたものです。2019年10月8日に日産は内田誠専務執行役員が社長兼最高経営責任者(CEO)に昇格するトップ人事を発表しています

 

プレゼンでハスキーボイスを武器にする方法

「ハスキーボイスで声に自信が無いんです」

そんなご相談を受けることがよくあります。

「夕方になると声がしゃがれてしまって・・・」とおっしゃる方もいます。一日声を出すと声帯が疲労してしまい、声帯がしっかり閉じなくなって息が漏れやすくなり、ハスキーボイスになります。水分不足のこともあります。こういう方は、少し休めばすぐに元の声に戻ることが出来ます。

でも、常にハスキーボイスの方も多くいらっしゃいます。ハスキーボイスの原因は、喫煙をしていたり、アルコール度数の高いお酒を頻繁に飲んでその後にカラオケをやっていたり、幼い頃兄弟が多かったり、野球などの大声を出すスポーツをやっていた経験が長かった方など、また、八百屋さんのように一日中喉を締めて声を出していることが長い年月続いた場合などです。

ただ、ハスキーボイスの個性的な声はプレゼンにおいては大きな武器になります。一概にコンプレックスを感じる必要はありません。

ハスキーボイスは、情緒的な感情が伝わりやすいのが強みです。例えば森進一さん、桑田佳祐さんなどが典型的なハスキーボイスとなります。

ただ、使い方が難しいのです。声が響かないためカリスマ性が出しにくいですし、普通に話すと声に芯が無く、弱々しい印象になり、大事な内容が素通りして聴き手が聞き逃してしまうこともあります。

使いこなすポイントは、息のスピードや量です。息を多めに吸って横隔膜を使って声を出せば、独特の情緒と迫力が出て、他の人は真似できない高い次元のカリスマ性が発揮されるようになります。

先日、三井不動産・菰田正信社長の会見を取材してきました。

菰田社長は、典型的なハスキーボイスの方です。ハスキーボイスが柔らかい雰囲気を演出していて、質疑応答でも鋭い質問を上手にかわしていたのが印象的でした。
もしご興味ありましたら、広報会議11月号をご覧下さい。

 

「広報会議 11月号」
日本橋に青空を蘇らせる 中長期を見据える強い意志

2019/10/02 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

大声を出さなくても話が伝わる方法

「『さっきのお話、もう一回お願いします』とか、『は?』と耳に手を当てられることがよくあって…。声が小さいんでしょうか?」

こんなご相談を受けました。
聴き手は「もう一回言ってください」とは言い出しにくいもの。これを言われるのは余程のときです。

話す内容が明瞭に伝わるためには、「大きな声を出せばいい」と思いがちです。
これは間違いです。

ポイントは「子音」です。

子音の中でも、音程のつくものがあります。たとえば[n]。「n〜♪」と鼻歌みたいにメロディがつきますよね?「第六の母音」とも言われています。[m]、[r]、[L]も、メロディがつけられます。

とくに日本語の場合、[n]の発音「ん」がとても多いのが特徴です。話すときに「ん」が空振りしていまうために、何を言っているのか分かりにくくなることが多くあります。

「ん」は[m]のときもあります。[n]は口を開けますが[m]は口を閉じる、という違いがあります。

[m]の場合、「新聞紙」「先輩」など、「ん」の次に[b]や[p]などの破裂する音がくるときに用います。破裂させるときに一度口びるをしっかり閉じなくてはなりませんから、[m]を使って、口の動きを一度ですませたいのです。

[n]「ん」の発声の場合、口を少しあけて、舌が上がって上アゴに舌がべったりとつきます。舌の筋肉が弱いと、舌先しか上アゴにつかず、[L]に聴こえてしまうか、空振りして母音しか聞こえないこともあります。「バナナ」が「バララ」とか「バアラ」と聴こえてしまったりするのです。

だから、音程のつく母音がしっかり発音できるようにしましょう。
大きな声を出さなくても言葉が良く聞こえるようになります。
今日は簡単なトレーニングの方法をご紹介します。

これらの「音程のつく子音」を長く伸ばす練習です。

好きな曲を聞きを[n]や[m]だけで歌ってみるなどすると、楽しみながらの良い訓練になります。
[r]は、「rrrrrrrr〜」というように巻き舌で伸ばします。

伸ばしているうちに、舌の筋肉がついて、子音が口の中でしっかり鳴るようになります。

お試し下さい。

 

集中力は成長しないが、高められる

「プレゼンで集中できない」
「集中力のある人がうらやましい」
このようなお悩みをよく聞きます。

集中力は人ぞれぞれです。
自分の集中のタイプを見極め、自分にあった集中の方法を見つけることが、高い集中領域に持って行くために必要となります。

「左ききのエレン」というコミックで集中力について書かれています。とても参考になりましたのでご紹介します。

・・・以下、引用・・・

1)集中力の長さ・・・集中力の継続可能時間。
2)集中力の深さ・・・集中力の深度、耐久度。
3)集中力の早さ・・・集中深度が深まる速度。

この3つを掛け合わせたものが、集中力の質です。

(強度+深度+速度)×練度=集中力の質

・例えば、「速度」と「強度」は概ね反比例する。早い人ほど持続は短く、遅い人ほど持続は長くなる
・例えば、「強度」と「深度」は概ね反比例する。長い人ほど集中は浅く、短い人ほど集中は深くなる

・大人になってから集中力が成長することは、ほぼ無い。
・大事なのは、使い倒すこと。
・努力で100が120になる事はないが、努力不足で100が90や80にはなってしまう。
・だから限りなく100に近づけるために必要なのが、「集中練度」
・集中練度とは人生で何回・何時間集中したかという経験値。
・才能ではなく努力。いかに向き合ってきたかという情熱。
・「集中練度」をたゆまぬ努力で積み重ねてきた人間に神のみが教えるギフト。
・集中力の質を限りなく万全に近づけるスイッチは、ルーテインである。

・・・以上、引用・・・

確かに集中力のある人は、これでもかと同じことを繰り返し、圧倒的な数をこなしています。

あえて一つ付け加えるとしたら、その繰り返しの中に、小さな仮説検証を必ず付け加えることだと思います。

私は集中するまで時間がかかるタイプです。それが分かってから、プレゼンで試行錯誤をしながら、いろいろな工夫をしています。
集中力を万全に近づけるために、「自分がどの集中のタイプなのか」を見極め、ルーティンと仮説検証を繰り返していくことなのです。

「失敗こそ財産」と信じているキングジム宮本社長のトッププレゼン

「失敗したらどうしよう」
「失敗したら責任をとらされるかもしれない」

そう考えると、仕事でもプレゼンでも萎縮してしまいそうです。でも人間ですから常に完璧にはいきません。特に、新しいことにチャレンジしようとすれば失敗はつきものです。

最近、デモで失敗しても堂々と乗り切ったプレゼンを取材してきました。

キングジムの宮本彰社長です。キングジムは、「キングファイル」「テプラ」「ポメラ」のように、ニッチな「やってそうでやってない」市場でのシェアをとるのがうまい会社です。

この日は、対話型翻訳機「ワールドスピーク」の発表会でした。プレゼンのデモでは、翻訳機の誤訳や発音ミスが続いたのですが、宮本社長はまったく動じません。それどころか質疑応答で突っ込まれると、満面の笑みで「まだまだ完成されていません」「これからです!」「お客さんの声を聞きながらやっていくんです!」と、腹の底から言い切り自信満々でした。

宮本社長は、「10個に1個成功すればいい。ある意味失敗するのは当たり前、売れないことに慣れている。売れないことは恥ずかしくない。良い勉強をしたということ」と言い続ける真のイノベーターです。

イノベーターは「未熟な技術にこそ可能性がある」と考えます。未熟な技術は、大きく成長していく可能性があるからです。スマホカメラは登場した頃は未熟な技術で、「誰もがオモチャだ」と思っていました。しかし急速に技術が成長して、いつのまにかコンパクトデジカメを駆逐してしたったのは、その典型的な例です。

ここで大切なのは、市場が立ち上がろうとしている時にいち早く参入すること。なぜなら誰も勝者がいない成長期に参入して、未熟な技術を高めていけば、市場の勝者になる可能性が大きくなります。逆に市場が立ち上がってから参入すると、なかなか勝てません。

今回発表されたワールドスピークは、すでに競合の「ポケトーク」がヒットしている中での参入でした。しかし、宮本社長は「翻訳機市場への参入という形ではあるが、先行するポケットタイプとはだいぶ違う。本格的な法人向けのサービスとして差別化できている」と言い切ったのです。

だから宮本社長は、プレゼンのデモで失敗しても全く気にしません。そして社員さんたちは、失敗しても嬉しそうに笑っているのです。これは数々の失敗を乗り越えてきたからこそ培われてきたキングジムの企業文化でもあります。

それでは、宮本社長の「どんな失敗も乗り切るコツ3点」をお伝えしましょう。

その1:常にワクワクしている目
目は心の窓と言われます。いつも新しい発明・発見に興奮し高揚している目。それが周囲にも伝わり、やる気になるのです。

その2:会心の笑顔
まるで打者がホームラン打ったときのような笑顔です。この笑顔で空気が明るくなります。

その3:「これからです」
イノベーターの真骨頂。どんなときでも、自信を持って「これからです」「お客様の声を聞いてやっていくんです」と言い切ることで、乗り切れます。

宮本社長の記事はこちらに詳細が掲載されています。

広報会議10月号 キングジム宮本彰社長のプレゼン分析「企業文化を育むイノベーター」

もしご興味ありましたら、ぜひその豪快な失敗っぷりをご覧下さい。

 

良い声を出そうとすると、良い声が出せない理由

人は、良い声を求めようとすればするほど、良い声とはかけ離れていきます。

それは「声は喉で出すもの」という常識から逃れられないからだと思います。

人の心を揺り動かすような良い声、つまり、話し手の心を伝えるような声は、喉ではなく、横隔膜を使うことが重要ポイントとなります。

横隔膜がしっかり使える条件として、発声しているときに「へそ下9センチの場所にある『丹田』を張っていること」があげられます。

通常、発声して息をはけば、丹田は緩んでいきます。しかし、そこをなんとか抵抗して、張ったまま発声するのです。

よく「この人は胆力がある」と言われます。この丹田が張っているときこそ、胆力は発揮できるのです。

声も同じです。丹田が張って、横隔膜が使いやすくなっているときこそ、どんな人でも声は自然に充実してくるものなのです。横隔膜によって、誰でも潜在的に眠っている良い声を呼び覚ますことができます。

しかし、気を抜いていると、丹田がから意識が外れてしまい喉を求め始め、ポイントが喉に向かって上に上がって行ってしまいます。それほど、人にとって「声は喉で出すもの」という呪縛から逃れにくいものだということを念頭においてください。

そこで本日は、喉から意識を外し、一発でポイントを下げて発声できるようになるスペシャルな方法をご紹介しましょう。
(この方法は、私自身が発声ポイントを下げたいときに必ず用いるトレーニング法です)

 

(1)「犬の呼吸」(ドギーブレス)→(2)「吠える」という方法が大変有効です。

(1)犬の呼吸を行う
【方法】犬が舌を出してハアハアしているときの呼吸をする。肋骨下あたりのお腹がぺこぺこ動いているのを確認する。

(2)動いている場所が分かったら、その場所で大型犬が吠えるように「ワン!」と吠える
【コツ】身体全体で吠えるようにすると上手にできます。上手くできない場合は「ウ〜、ウ〜(唸る)ウワン!」と吠えると横隔膜に入りやすい。人間であることを忘れるくらい、本物そっくりに吠えることができるようになるまで何回でも練習してください。

何度か吠えてから発声に戻ると、声の充実度が違うことに気が付くと思います。「ポイントが上がって喉で話していた」ということがすぐに確認できます。

 

2019/09/04 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

山本太郎は、非顧客層を狙ってプレゼンを行い、成功させた

戦略とプレゼンは一心同体です。
戦略を実行するには、人々に動いていただく必要があります。
プレゼンは人々に動いていただくための大きな手段です。
しかしいい戦略を立てても、プレゼンがダメだと、戦略は上手く実行できません。

れいわ新選組代表山本太郎氏は、2019年7月、第25回参議院議員通常選挙において、その卓越したプレゼン力から「れいわフィーバー」「れいわ旋風」を巻き起こし、一気に注目される存在となりました。

しかし、山本氏が注目された理由はプレゼン力だけではありません。したたかな戦略を持ち、戦略とプレゼンがガッチリかみ合っているのです。
(※なお、本日のコラムはあくまでプレゼンの観点での分析であり、筆者の政治的な信条とはまったく関係がありません)

実は山本氏の戦略は、政界の「ブルーオーシャン」を狙っています。
激しく競争する市場を、サメがお互いに食い合い海が真っ赤な血で染まる様子を例えてレッドオーシャンと言います。
一方、競合のいない新しい市場は、食い合うサメもいないため真っ青な海。これをブルーオーシャンと言います。

ブルーオーシャン戦略で大事なポイントは、「非顧客層」の苦痛を解決することがポイントです。
この非顧客層には、3種類あります。
(1)潜在的非顧客層→ 仕方なく今の商品やサービスを使っている
(2)断固たる非顧客層→ 今の商品やサービスを、あえて「使わない」と決めている
(3)未開拓の非顧客層→ 今の商品やサービスを使うなんて考えたこともない

山本氏の場合、「選挙には必ず行く」という顧客層は捨て、非顧客層にターゲットを定めました。

山本氏が狙った非顧客層
(1)潜在的非顧客層→ 選挙に行くのは面倒だけど、行く
(2)断固たる非顧客層→ 選挙に行ってもどうせ変わらない。だから選挙には行かない
(3)未開拓の非顧客層→ 選挙に行くの?考えたこともない。

そしてこの非顧客層を徹底的にプレゼンで攻めました。

ここでプレゼンの大事なメッセージとなるのが、次の三点です。

①非顧客層の苦痛を解決するメッセージを訴求すること
徹底的に弱者の立場に立って、「あなたたちは搾取されている」「力を持てばできる」ということを叫び続けました。

②本気を示すこと
「このままでは国が壊れていく。自分のキャリアを捨てて、自由党を出た。ここに来るのも数百万円の借金を負っている」と訴えました。

③自分の勝てる土俵で戦う
山本氏の恐るべしはその計算の高さ。誰と勝負すれば確実に勝てるか計算して場を作っています。
街頭演説では、意見する「ネット右翼」と言われる人たちを次々と論破し、聴衆が拍手喝采している様子がネット動画で拡散しました。世の中に味方を増やせるような相手を狙って議論を行っています。

周到に考え抜かれた戦略と、それを実現する手段としてプレゼンを駆使している様子を見ると、今後も力を得ていく可能性は高いと思います。

山本氏が話している内容が「良い・悪い」に関わらず、その戦略とプレゼンの方法論は、ビジネスパーソンが学ぶべきところは多いと思います。

プレゼンが伝わらないのは、原因がある

「トップが何度も大事な話をしているのに、社員がぜんぜん覚えてくれない」
「会見をしても、こちらのメッセージをメディアが記事にしてくれない」

こんな広報さんのお悩みをよくうかがいます。

これは理由があります。
人は自分が見たいもの、聞きたいものしか覚えてくれません。
覚えられる許容量が限られているからです。

人が同時に覚えられるのは最大7つまで。
しかもたった20秒で忘れると言われています。

経営学者・野田稔氏の著書「組織論再入門」にて、人の特性に関する論述があったのでご紹介します。

・・・・以下、引用・・・・

人間はいらない情報をカットして、自分が大切だと思った情報だけを意図的に入れることができる。ただ、逆に言うと本当に大切なものもカットしてしまう可能性があるということになる。
(中略)
作業記憶はフィルタリングされた情報が入ってくるだけでなく、許容量が限られている。記憶の単位はチャンクと言う。これはひとかたまりの意味のある文字列のようなものである。ハーバート・サイモンは、人の作業記憶は7プラス・マイナス2チャンクしかないと言う。5つから9つ覚えておくと、作業台が一杯になる状態である。
(中略)
保持能力は20秒、あまり褒められたレベルの話しではない。
(中略)
インタビュアーは、ゲストの答えを聞きながら、次の質問を考えている。相手の言っていることの中で、どうせこんなものは聞かなくてもいいという時に考える。相手の話を予測し、「この話は聞かなくてもいける」と選択的な記憶を使っているのだ。ひっかかる単語以外は聞き流し、もっとひどいと、今日行くレストランのことまで考えている。

・・・・以上、引用・・・・

しかし多くの人が「ちゃんと覚えてもらおう」と考えて、大量の情報を伝えようとします。
これはまったく逆効果。

もしプレゼンで確実に覚えて帰ってもらいたければ、やるべきことは1つだけ。

「自分が伝えたくて、自分しか話せない、聴き手が欲しがっている情報」

これをできるだけ早く伝えることです。

情報が多いほど、かえって伝わらないということです。
ビジネスプレゼンでは、資料は勇気をもって徹底的に絞りこむこと。
そうすれば、より確実にメッセージが伝わるようになるのです。

 

プレゼンを爆速で上達させる方法

「プレゼンが出来るだけ速く上達する方法はありますか?」
こんな質問を受けることがあります。

人前で自信を持って話せるようになるまでは、ある程度の時間が必要ですが、もしも爆速で上達したければ、1つだけ方法があります。
それは、本番の場数を踏むこと。
厳しい聴衆の前で話せば、さらに加速します。

「厳しい聴衆を前に、本番に臨んだ回数がどれだけ多いか」で、上達スピードに差がつくのです。

厳しい聴き手を相手に本番の数をこなすので、当然、失敗する回数も多くなります。できれば恥をかきたくないというのが人情というもの。加えて人から厳しい評価を下され、落ち込むこともあります。

しかし、一人で部屋にこもって長時間マジメに練習するだけでは、上達のスピードはなかなか上がりません。

最近、企業のマネジャーさんとお話した時、「部下がなかなかお客さんのところに行きたがらない」とぼやいておられました。自信が出るまで作りこみ、じっくりと完璧なものが出来てからお客さんのところに行きたいのだとか。しかし、他人はこちらの想像とは全く違う考えをしていることも多いものです。せっかく時間をかけて作り込んだものが的外れということも少なくありません。
もちろん、まったくダメなものを披露するのは論外ですが、ある程度まで出来たら、思い切って「人の目に晒してしまう」ことが大切なのです。
批評され、お客さんがどう感じたか知り、「どうすればもっと良くなるか」を考えながら改善していくことが欠かせません。

「ハーバード・ビジネス・レビュー 2015年5月号」にピアニスト・作曲家の松永貴志さんの記事が掲載されていました。松永さんは、音大にも行かず独学でピアノを勉強した方です。

・・・・(以下、引用)・・・・

ほとんど独学だ。派閥もない。楽しいという思いだけを原動力に、自由な気持ちで、ただひたすら鍵盤と向き合い続けた。
独学だからこそ練習にはさまざまな工夫を施した。道場破りのようにライブハウスに飛び込んでは、「1曲だけ弾かせてください」とお願いして回った時期もあった。数え切れないほどの門前払いも受けたが、常に誰かの視線を感じる環境で演奏したことで、圧倒的なスピードで上達しているのを実感した。

・・・・(以上、引用)・・・・

プレゼンも同じです。
より厳しい聴衆の洗礼を受けて磨かれるからこそ、上達していくものなのです。

 

ボイストレーニングをやっても声が良くならない理由

 

いろいろなトレーニングをやっているけれどなかなか思うような良い声が出ないのは、根本的な呼吸のところで間違っているケースが多くあります。

良い声の条件は呼吸です。

「呼吸?そんなのやっているよ」と思われる方多いかもしれません。

それでは質問です。

発声して言葉の最後に息が切れたことを意識していますか?

ほとんどの人は、声を切るときに「なんとなく」切りすぎています。
だんだん声がなくなる自然消滅型になっています。
つまり、語尾がモニャモニャと不明瞭になる「語尾落ち」していることがほとんどです。

原因は、横隔膜が使えていないせいです。

「良い声にする」ためには、「息を横隔膜でコントロールしている」ことが大前提となります。

それでは、息を横隔膜でコントロールするためにはどうすればいいでしょうか?

まず第一段階として、「息を横隔膜で意識して止められる」といいのです。

ただし、こう言うと息を喉でとめてしまう人のほうが圧倒的に多いのです。

喉でとめていると、喉に余計な力が入ってしまったり、喉声になったりする原因になります。これが続くと喉に負担もかかります。

まずは、横隔膜で息を止められるようにすることです。

それでは、本日は横隔膜で息をとめるための簡単なトレーニングをご紹介します。

まず、横隔膜はどこかを確認するためと、横隔膜を鍛えるために「ドギーブレス」をします。
背中を壁につけて行ってください。

 

★★ドギーブレス★★

1、「あ」と言うつもりで口を開け、舌の力を抜いて舌先を下の歯の裏につける。

2、暑いとき犬がするように「ハッハッハッハッ・・・」と呼吸し、休まず5秒続ける。

チェック1:手をお腹に当てて、へこんだり出たり均一に動いているのを確認
チェック2:吸う息と吐く息が同じ量になるように

こんどは、横隔膜でとめる「横隔膜の呼吸トレーニング」です。
ドギーブレスをした直後に継続して行ってください。

★★横隔膜の呼吸トレーニング★★

1、ドギーブレスしてから、そのまま「はあっ」と大きく息を吸う。
そのとき、下腹の真中あたりを押し返すつもりで息を吸う。(もしわからなければ誰かに押してもらうとよい)

☆ポイント:下腹はしっかりと前に出て、さわるとパンと張っている。このとき、下腹を無理に出そうとして壁から背中が離れないように。

2、口あけたまま息を5秒とめる

☆ポイント:このときお腹は押し返したまま。ドギーブレスのときに動いていた場所あたりで息をとめる。これが「横隔膜止め」です

3、下腹はそのまま出来るだけ押し返しを維持しながら「はーっ」と一気に息をはく。

☆ポイント:息をはくとき喉で小さく「kっ・・・」という言う音がした場合、喉で息をとめているのでよくありません。「喉止め」しないコツは、お腹の頑張りに集中すること。喉周辺の力を抜くようにし、喉で音がしないようになるまで練習すること。

4、1~3を何回か繰り返す。慣れてくればお腹を押してもらわなくてもできるようになります。息を吸っているときもはいているときも、出来るだけ下腹は「パン」と張った状態を維持するようにします。

 

 

前置きが長いプレゼンは、やめよう

「え〜、私どもの事業でございますが、こちらのグラフを見ていただいても分かるとおり、北米、アジアでの売上を合わせますと、グループ総売上〇兆円、営業利益〇千億円と大変大きな成長をさせていただくことがおかげさまでできました。感謝申し上げます。さて、今日本国内では…」

新商品の記者発表会に伺ったときのことです。プレゼンテーションの冒頭で会社の業績説明が延々と続きました。
商品の紹介はいつまでたっても出てきません。商品についてやっと話し始めたのが10分後。ついしびれを切らしてしまいました。

企業にとっては業績が大事なことはよく分かります。しかし、聴き手は新商品発表があるという案内をもらって会場に来ています。速報を上げるために、プレゼンを聴きながらその場でパソコンで記事を書く記者も大勢います。

こちらのコラムでも書きましたが、人の集中力は、
1分…100%、3分…80%、5分…50%、10分…35%、20分…25%と下がっていきます。

会見の目的は、聴き手である記者に、出来る限り多くの記事を書いてもらうことです。聴き手が集中力が最も高い時間帯に、本題から話すべきです。良い内容の記事を数多く出してもらいたければ、単刀直入にテーマから入ることが最も効果的です。

結局、会見後の記事はプレスリリースのコピペのようなものが数件に留まりました。
しかしこの会見は例外ではありません。このように本テーマから入らないプレゼンは、世の中にはとても多いのです。

プレゼンをすると決まったら、最初に考えるべきは「プレゼンをする目的は何か」
これをまず考え抜いてみてください。
プレゼンは、テーマから最速で入ることで、最も高いアウトプットが出せるのです。

 

ぶれないミッションがプレゼンを骨太にする

 

「すごくプレゼンの練習したのに、スルーされてしまうんです」

プレゼン技術は努力して上手になったのに、説得力が向上しないというお悩みをよく聞きます。

じつは、ある大事なことがボヤけてしまっているために、プレゼンの説得力が上がらないことがとても多いのです。

それは「ミッション」です。

ビジネスのプレゼンは、必ず企業のミッションが土台にあります。そこを忘れてしまい、製品の機能性ばかりを強調しているプレゼンがとても多いのです。

ミッションが明確なプレゼンは、たとえ話し下手でも内容が骨太な印象になり、人の心を動かします。

先日、取材をさせていただいたパタゴニア・辻井隆行社長のプレゼンは、ミッションが明確な上、そのミッションをありとあらゆるシーンで首尾一貫しているものでした。

パタゴニアのミッションは「故郷である地球を救うためにビジネスを営む」というものです。プレゼン内容はもちろんのこと、会場は緑に囲まれた環境で、提供する商品はすべてオーガニック・再生可能なもので統一していました。

ミッションとは、いわばプレゼンに魂を入れるのと同じです。

プレゼンでは、技術を学んだ上で、ミッションが明確になっているか今一度内容構成を見直してみると、説得力が格段に高まると思います。

宣伝会議デジタルマガジン8月号にパタゴニア・辻井隆行社長の「プレゼン力診断」執筆記事掲載いただきました。
ご興味ある方はぜひご覧下さい。

パタゴニア日本支社長のプレゼン「首尾一貫したブランドミッションを体現」

 

プレゼン舞台に歩いて出るための、3つのコツ

 

プレゼンの舞台に出てくる様子は意外に目立つものです。

なぜなら聴き手は「どんな話しになるのだろうか」「この人はどんな人なのだろうか」と、集中して見ているからです。

聴き手の集中力は、あくまで感覚的なものですが、

1分…100%、3分…80%、5分…50%、10分…35%、20分…25%と下がっていきます。

だから、舞台に現れる冒頭というのは、最も聴き手の集中力が高い時間帯なのです。

その大事な冒頭で、落ち着きなく出てきたり、猫背でやる気が感じられなかったり、変に虚勢を張りすぎていたりすると、聴き手に与える印象が悪くなり、聞いてもらえません。もちろん耳では聞いていると思いますが、心から聞いてみようという気持ちが下がってしまうのです。

ちょうどよい加減で歩いてでるには、コツがあります。

(1)心拍数と同じ速さで歩く

歩く速度が決められず、ノソノソ歩いてしまったり、逆に早足すぎたりすることがよくあります。直前に自分の心拍数を測ってその速さに合わせてでると丁度良い歩調で出られます。心拍数が遅い人も、はやい人も、その人らしく出られます。

(2)人混みを歩くときの感覚

意識し過ぎて不自然になってしまうケースです。硬くなってしまい左足と左手が同時に動いたりするケースも見られます。この原因は、自分に意識が向きすぎているためです。
こういうときは、駅の人混みを歩くときの感覚を思い出すとうまく行きます。
人混みでは向こうから歩いてくる人を避けながら歩きますよね。そのときは意識が前から歩いてくる人に向きます。
普段、駅を歩くときに、プレゼンのときはこう歩こうと考えながら試すと、本番でも自然に歩けるようになります。

(3)「どう話そうかな」と考えながら出る

ちょっと上級者向き。歩くことを意識するのではなく、話すことが決まっていたとしても「どうやって話そうかな」と思索しながら出る。もちろん「話す事はバッチリ決まっている」のが大前提です。これが出来ると、自然で、かつプレゼン慣れして見えます。

今日は、3つのコツをお伝えしました。

ぜひ普段から「今度のプレゼンはどうやって出ようかな」と考えながら行動してみてください。

 

「え」と「い」を変えれば、あなたの声は響く

 

「声が響かない」「声が良くない」

というお悩みを持つ方に共通するポイントがあります。
「え」と「い」の母音が響いていないことです。

ほとんどの人は、「え」と「い」を発音するとき口の中の空間が狭くなっています。こうなると音声の質が平べったく変化して聴き苦しくなり、加えて響きが浅くたるため幼稚っぽい声になりやすく、説得力も落ちてしまいます。

 

「え」と「い」が響かせることができれば、説得力が上がります。
さらに「え」と「い」を響かすことができれば、他の母音「あ」「う」「お」も響すことも簡単です。

そこで本日は、「え」と「い」を響かせる発声練習をお伝えしたいと思います。

■「え」の発声

1.基本は「あ」と発声する口の形。顎が下りてほおが十分のびている状態です。舌はのびて、舌先が下唇の上にさわっています。
2.「あ~」と発声しながら、舌を少しずつ持ち上げます。そうるすとだんだんと「え」に変化していきます。途中「え」と 聴こえたら舌の動きを止めてください。そのとき注意しなければならないのは、下あごが舌と一緒に上がってこないこと。上がるのは舌だけです。

「え」を響かすことが出来れば、「い」も簡単にできます。

 

■「い」の発音

1.先の「え〜〜」の発声をしながら、下あごを少し上げていきます。途中で「い」と聴こえたらあごを上げるのを止めてください。舌の両脇が奥歯に挟まれる感じになります。

この発声法が上手くいくと、声がマイクで話しているように離れたところで響いて聴こえます。
ぜひお試しください。

 

プレゼンが素晴らしく見える最後の決め手

 

プレゼンが素晴らしい女性は誰ですか?」

女性から、こういう質問を受けることがあります。

もし一人挙げるとすれば、それはIMF専務理事・クリスティーヌ・ラガルドさんです。
(※2019年7月3日加筆:このコラムを書いた翌日2019年7月2日、ラガルドさんは欧州中央銀行(ECB)総裁に就任しています)

ラガルドさんの男性に媚びることがなく、だからといって女性らしさを失わないふるまいは、社会で活動していこうとする女性の良いお手本となる存在です。

凄いのは、低い声で、しっかりと迷い無く言葉を発するところ。ラガルドさんご自身が、腹の底から信じているので言葉に力が宿り、聴き手の不安が消え、「大丈夫だ、出来る」と思えてきます。

ただ、言葉だけではありません。

まず、ファッションセンスも見事です。黒やグレーのスーツでも色味のあるスカーフをあしらい、顔周りを華やかに演出をしています。さりげなくフランスのブランド、ルイ・ヴィトンやエルメスのバーキンを持っているのを見ると、こういう方こそふさわしいと思ってしまいます。

加えて、姿勢が良いのも、素敵に見えるポイントです。ラガルドさんは、1971年にシンクロナイズドスイミングのフランス選手権で二位を獲得した経歴の持ち主です。だから姿勢が良いのでしょう。

そして大きな強みになるのは、シンクロを高い領域まで究めた経験ではないでしょうか?これが彼女に黙っていても伝わる品格や教養を与えています。

高い技術を持つピアニストである米国の政治家、コンドリーザ・ライスさんも同様でしょう。

「日経ビジネス」2014.12.29 No.1772「遺言」にて元首相の細川護煕さんがが興味深いことをおっしゃっていましたのでご紹介します。

・・・・(以下、引用)・・・・

教養は数値でははかれませんが、重要なものです。トルーマンは原爆投下時の米大統領ですが、英国のチャーチルは当初、彼を軽蔑していて敬称に「ミスター」を使っていた。それがある晩餐会後にトルーマンは得意なピアノを披露し、それ以降「プレジデント」に変えたそうです。
トルーマンはピアニストを目指すほどの腕前。チャーチルもそれを解して、敬意を示したんですね。
ピアノでも本でも何だっていい。にじみ出る教養は人を引き付けます。日本では政治家も経営者もハウツーものばかり読んで、そこが不得意ですね。でもこれからはそういう人が
必要でしょう。

・・・・(以上、引用)・・・・

教養とは、長い経験と年月を経て蓄積され、内側からにじみ出るもの。それがプレゼンでは最後の決め手となるのです。

プレゼンで集中力を高める方法

 

こんなご相談を受けることがあります。

「集中力がないんです。プレゼン本番でいろいろなことが気になってしまって…」

プレゼン本番で緊張すると、周囲の雑多なことが気になり、なかなか1つのことを考えにくくなるものです。これは、緊張すると誰でも起こります。決して、集中力がないわけではありません。

しかし緊張していても状態でも、集中力を高めてプレゼンを成功させたいもの。
じつは緊張していても実力を発揮しやすくする方法があります。
それは「オノマトペ」という方法です。

オノマトペとは擬音で、物事が動く様子を、「だーん!」とか「ぽん!」とかで表現する方法です。

たとえば、けん玉で玉を一回転させていれる「飛行機」という技は、「ジッ、ブラーン」というオノマトペで行うと成功しやすくなります。

スポーツでも応用できます。
ゴルフのスイングでも声を出さなかったときと出したときでは飛距離が違うそうです。

オノマトペは、集中力を高めるだけではありません。商品をオノマトペを使って表現することで、より聞き手の期待値が高まり、商品の価値が伝わりやすくなっていたのです。

あのスティーブ・ジョブズも、デモの最中に「ブン」と言うなど、オノマトペを巧みに使って表現していました。

なかなか集中できず、失敗しやすい方は、ただ機能説明をするだけではなく、自分なりのオノマトペを使って表現してみることをお試し下さい。

 

2019/06/26 | カテゴリー : スピーチ | 投稿者 : nagaichika

環境がプレゼンの満足度を落とす理由

 

「会場が寒かった」「会場が暑苦しかった」

こんなコメントを聞くことがあります。

実は、プレゼン会場の環境は、満足度にダイレクトに関係します。

今日は、プレゼンでお客様をお招きするときの、環境についてお伝えいたします。

プレゼンは、聴き手の「知覚」でも判断されます。
知覚とは、人の主観的な判断によるものです。
つまり、寒すぎたり、暑すぎたりと環境が良くないと判断した場合、いくらプレゼンが良くても満足度も確実に下がってしまうのです。
他には、周囲条件である、温度、空気環境、騒音、音楽、匂いなども含まれますので注意が必要です。

私が、ある屋外イベントを取材したときのことです。

当日は2月半ば。最低気温1.8度となっており、特に寒さの厳しい日でした。加えて、場所が高架下で日陰。体感温度は1度くらいだったのではないでしょうか?屋外との情報も事前に知らされていなかったため、その場であわてて携帯用カイロを買いに走りました。
イベントでタレントさんが、こたつに入って熱燗を飲んでいるのを見ると余計に寒さが身に染みます。

取材では、寒さはもちろんですが、2月の極寒の時期に「なぜ屋外開催するのか?」という意図が明確に伝わってこなかったところも残念な点です。
これは想定ですが、屋外開催でタレントを呼ぶことで、見物客を集めようという狙いが主催側にあったかと思います。しかし日陰で寒いために、それほど足を止めて見る人は多くなかったような印象です。

タレントさんが、面白いネタをいくら話してもまったくウケず、しまいには「すみません、こんなにウケなくて…」と謝っていました。あまりに寒いと、人は笑う余裕がなくなるのだなということがよく分かった会見でした。

寒さというと、これからの季節は冷房の空調コントロールも難しい季節になってきますね。

ぜひ、プレゼンだけではなく、知覚される環境についても注力していただくことをおすすめします。