ブログ「次世代トッププレゼン」

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新入社員の前でのお話し。内容だけでなく姿勢も考えましょう

4月、新入社員さんたちが入社される季節です。人前でお話しする機会が増える方も多いと思います。

特に新入社員の前で話す時は、気を配る必要があります。新入社員の皆さんにとって、今月は初めて経験することばかり。ずっと記憶に残ります。人の第一印象は変えられません。新入社員の皆さんのお手本となるためにも、しっかりとお話ししたいものです。

こんな時、ともすると話す内容に気を取られがちですが、気をつけていただきたいことがあります。姿勢が悪いと声の質も落ちてしまい、暗い印象を与えます。そこで姿勢に少し気を配るだけで、声も滑舌も良くなり、内容も良く聞こえるようになります。

良い姿勢というと、「リラックスして立ち、あごを引いて、お腹を引っ込める」などとよく言われますが、これは間違い。あごを引いたり、お腹を引っ込めると、逆に良い声が出なくなります。正しい姿勢は、ひざから下に力を入れて立ち、下あごをやや出し気味にし、お腹は前に出すことです

下あごをほんの少し出すことで声帯や気道をリラックスさせ、足に力を入れてお腹を張るように前に出すことで横隔膜が使えるようになり、安定して良い声が出るようになります。お腹を出すことで「丹田」というおへその下に力が入るため、緊張しすぎずに気力を充実させることが出来ます。

宮本武蔵が書いた「五輪書」に、これと同じ方法が書かれています。

「ややおとがい(下アゴ)を出す気持ちで、首はうしろの筋をまっすぐにして、うなじに力を入れて、肩から全身は同じものと考える。両肩を下げ、背筋をまっすぐにし、尻を出さず、ひざから足先まで力を入れて、腰がかがまぬように腹を出す」

お腹を出すときには、

「帯がゆるまないようにくさびをしめる」。

ちょうど腰骨のあたりにエプロンをギュッと巻くような感覚と同じです。

武蔵は兵法で、心を平静に保って力を出し切るための姿勢を追求したのでしょう。これはビジネスでも応用できます。

人前でお話する機会も多い4月。ぜひ一度、姿勢を見直してみてはいかがでしょうか。

LINE記者会見に見る、トップの危機対応

ユーザーの個人情報が開発業務の委託先である中国企業からアクセスできる状態だったことが発覚したLINE。3月23日、出澤剛社長が「個人情報管理などの方針を説明する記者会見」を行いました。

出澤社長の会見を見るのは4度目。
これまでの中で一番厳しい会見だったと思いますが、出澤社長の説明後、メディアでの炎上は鎮火しました。
まずは成功、といえるのではないでしょうか。

質疑応答では、記者の論調が厳しく、かなり攻め込まれていました。しかし出澤社長は非のあるところは認め、誠実に謝罪し、落ち着きをもって説明をして、ユーザーの不安を取り除くことに注力していました。

さらに丁寧な説明に加え、資料も分かりやすく作られていました。このような会見では、速報を出したい記者も多くいる中、短い時間で誤解なく理解してもらうことは、とても大事なことです。ちょっとした解釈の行き違いで火に油を注いでしまう可能性も高まってしまいます。
人の記憶はあいまいで、最初に耳で聞いたことは忘れてしまうこともあります。そこで内容の区切り部分で何度かサマリーチャートを用意し、迅速かつ正確に理解できるようにしていました。

人の印象は、なかなか変えられません。同じ内容を話していても、不祥事ではよりネガティブに解釈されがちです。こういうときほど、落ち着いて丁寧に説明し、誤解のないように伝わるコミュニケーションを工夫することが大事です。

厳しい質問の時こそ、トップの誠実さが問われる

プレゼンの発言には公共性があります。
職位が上がれば上がるほど、公共性は強くなります。
そこで悩ましいのが、質疑応答での困った質問。

鋭い質問者は、自分の欲しい答えを引き出そうとして、巧みに質問を投げかけてきます。
特に記者会見での質疑応答は、ちょっとした一言が思わぬ記事になってしまいます。ですので注意が必要です。

しかしどんな厳しい場面においても、リーダーはこの一点を忘れないでいただきたいと考えます。それは、

「誠実さ」。

「誠実さ」こそが、リーダーへの信頼感の源泉。「誠実さ」を忘れて、その場しのぎのためにごまかしたり、器用に逃げ切ろうとすれば、それは聴き手に伝わり、リーダーへの信頼感が大きく落ちてしまうのです。

そこでリーダーが語るときの王道の方法は、ウソをつかず淡々と事実を伝えることです。

誠実さにおいて、西武HD後藤会長の応答が強く印象に残っています。
遊園地オープン記者会見にてある記者より、その5ヶ月前に起こったとしまえん女児プール死亡事故に関連づけて、こういう質問がありました。

「もう一区切りついたということなのか?幸福感より安全性についてどう考えているのか?」

当日会場にいた私には、全体の空気が一気に固まっていくのが肌で伝わってきました。

しかし後藤会長は表情一つ変えません。

「痛ましい事故であった」と述べた後、「警察関係の捜査進行しながら協力してやっている。ハード面の安全についてはアプローチがあり、スタッフの安全教育含めた取り組みを同時並行的に行っている」と、事実を述べて淡々と回答したのです。

質疑応答であらゆる質問を予測することは不可能です。
しかし想定外の質問をされても、逃げることなく誠実に淡々と事実を述べることです。
厳しい質問が出たときこそ、その人の誠実さが問われるのです。

信頼されるプレゼンには、真摯さがある

「人に信頼されるプレゼンをしたい」

このようにおっしゃる方はとても多くいらっしゃいます。

信頼されるために何よりも大切なのは「真摯さ」を言葉に出して表現することです。

真摯さとは「真面目さを出すこと?」と思われる方が多いのですが、これは少し違います。
他の人では代替がきかない、心からこみ上げてくるメッセージを話すことです。

サイゼリアの堀埜社長は会見で「ランチがどうのこうのと言われて。ふざけんなよと」とコメントし、共感の声が巻き起こりました。
政府首脳の「ランチでも(コロナの)感染リスクが高い」との発言に対して放った言葉です。

一見、社長としてふさわしくない言葉使いですが、会社を存続させようとする真摯な姿勢が人びとの心を動かしました。
常日頃からの堀埜社長の想いや行動が蓄積し、このきっかけでそのまま一気に溢れてきたかのように感じられます。

ドラッカーは「マネジメントに必要なのは、真摯さだ」と言っています。

プレゼンも、より多くの方々に真摯さを感じてもらう機会です。
ぜひ日頃からの想いを短い言葉に凝縮してお話ししてみてください。

オンラインで感動を伝える簡単な発声方法

「最近はオンラインでのプレゼンテーションがほとんどだ」という方、多いのではないでしょうか。

対面でのプレゼンと比べて、オンラインプレゼンでは、相手に語りかけるような話し方の方が伝わりやすくなります。
オンラインでは聴き手との距離感が短いからです。

対面の場合、声が空間で響きます。聴き手は声で空気が振動するのを感じながら聞いています。
空気を振動させるような声だと、聴き手の心にダイレクトに届きやすくなります。距離感があるからこそ強みを発揮する発声方法です。
たとえば歌手が声を震わせる「ビブラート」という技術があります。これは広いホールで人工的に振動を増幅して聴き手に強い感動を与えるためです。

オンラインプレゼンでは、マイクを通してスピーカーから声が届きます。だから対面と違って空間で声を響かせることができません。そこで近くにいる人に語りかけるような繊細な表現が必要になります。

ここで効果的なのが、声に息を混ぜて感情表現をしながら話すこと。内容に合わせて強弱をつけながら息を多く混ぜたり少なく混ぜたりしていきます。
たとえば「大変でした」というのを、「いや(ぁぁ〜)、大変でした(ぁ〜)」というように表現します。
(ぁぁ〜)や(ぁ〜)で、息を混ぜて感情表現するわけですね。

ここで難しいのが、混ぜ方のさじ加減。普通の話し方では息を混ぜて話せないことが多いので、声帯が硬くなり平べったい響きの一本調子の声しか出なくなっています。そこで、まずは固くなった声帯をリラックスさせることをおすすめします。

声帯をリラックスさせる一番簡単な方法は、上を向いて話してみることです。
もし無理な発声をしていれば、発声しにくく、話しにくくなるはずです。

30秒くらいでもよいので、上を向いて話す練習をしてみてください。声帯がリラックスできるようになります。