今、メルカリは絶好調。
2023年6月期決算では、純利益135億円。これまでの最高益の2倍以上です。
私はこれまでメルカリ・山田社長のプレゼンを2回取材しています。
一度目は2020年2月、ドコモとの提携記者会見。
二度目はその半月後、コロナ渦で行われた事業戦略に関する会見でした。
当時のメルカリは米国事業が赤字で、業績も思わしくありませんでした。
会見でも記者から「現在のメルカリは優位な立場にない」「将来はドコモと統合するつもりなのか」など、厳しめの質問が飛んでいました。
プレゼンでは山田社長から元気が感じられませんでした。
(ビジネスが厳しい状態だからだろう)と思っていました。
先月8月10日、ワールドビジネスサテライトで放送された山田社長のインタビューを拝見しました。
今回は前回と違って業績は過去最高です。
しかし、山田社長のテンションは3年前とまったく同じだったのです。
そして気がつきました。
「3年前の山田社長は、元気がなかったのではなく「自然体」だったのだ」
会社が良いときも悪いときも、一喜一憂せず、虚勢もはらない。
だから態度も変わらなかった、ということなのででしょう。
今、ハーバード・ビジネススクール教授のビル・ジョージが2003年に提唱した「オーセンティック・リーダーシップ」が注目されています。
オーセンティックとは「本心に偽りがない」という意味です。
無理に演じてるのって、私たちは違和感を感じて、なんとなく「何か演じているな」と分かりますよね。
演じることは、逆効果なことが多いのです。むしろ自分らしく誠実に振る舞うことで「このリーダーはウソがない」と感じて信頼感が高まります。これがオーセンティック(本心を偽らない)・リーダーシップです。
3年前、会見の質疑応答で、山田社長は記者から「楽天のような『個人経済圏』を目指してますか?」と聞かれて、こう答えていました。
「『個人経済圏』というのはなんでしょうか?不勉強でよくわかりません。すみません」。
分からないことは「分からない」と正直に言う。まさに嘘偽りのないオーセンティックな態度を首尾一貫していたと思います。
先日のインタビューでも「楽天のような経済圏を作りたいと思ってない。より開かれたような循環型社会になっていく。(メルカリが)必要不可欠な存在になるイメージでいる」と語っていた山田社長
次世代にも共感されるようなサステナビリティーなありかたを目指しているということなのでしょう。
今後も自然体でオーセンティックなリーダーシップを発揮し続けていただきたいと思っています。