ブログ「次世代トッププレゼン」
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No.314 パーパスを、借り物の言葉でなく、自分の言葉で語るために

プレゼンで自社のパーパスを語るリーダーが増えました。
「全社員にパーパスを深く理解してもらいたい」と言うトップもいます。
入社や転職時に「パーパスを年収よりも重要視する」という人はこの5年間で倍増し、いまや半分以上いるという調査もあります。
このためパーパスを語るのはちょっとしたブームです。
パーパスとは「自社の存在意義」のこと。
こうしてパーパスを語ることは良いことだと思います。
一方でパーパスを金言のごとく「間違えてはいけない」と考えて、読み上げてしまうケースもよく見かけます。
しかし紙を読み上げても、リーダーの本気度は伝わりません。
ぜひ自分の言葉で語っていただきたいところです。
「自分の言葉でパーパスを語る」
これは、どうすれば良いのでしょうか。
2019年にパタゴニアの新商品発表を取材したときのこと。
記者会見では、前社長の辻井氏が自社のパーパスを以下のように語っていました。
「私たちは気候変動を解決できる最初で最後の世代。
しかし現在の限られたリソースの中で、どの人に手を差し伸べて、どの人を見捨てるのかというのは、政策の優先順位の問題になってくるという現実を知って、ショックを受けた。そこでパタゴニアも昨年12月、パーパスを『私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む』に変更した」
現代は人類が地球そのものを地質学的に影響を与えると言われる
「人新生」の時代。
辻井前社長は、社会の分配の問題にまで思考を巡らせて話されていました。
本当に自分の言葉でパーパスを語るために必要なことは、
このような抽象的な思考です。
「何のために自社があるのか?」
「地球のために、人類のために、社会のために、
どんな存在価値があるのか?」
抽象的な問いですが、こんな問いを問い続けることです。
「忙しいのに、こんな抽象的なことを考える時間がない」
そう思われるかもしれません。
しかし、時間をかけて練りに練った「思考のコア」を持つリーダーは、
言動にブレがなく首尾一貫しています。
パタゴニアも、全ての行動が「地球を救う」ことで首尾一貫し、
パーパス実現のために行動に移すことで、
他社が真似できないような圧倒的な強いブランドがつくられています。
本当にパーパスを語るなら、抽象的な思考を止めず、
自分自身の信念を語り、行動を首尾一貫させることが大事なのです。
No.313 思いつきで話すと喜ばれる理由

「宴会の場でスピーチをお願いされたときって断れないんですよ。話下手なので困っています。どうすればいいでしょうか」
これから年末にかけて宴会も増えてくる時期、このようなご質問を受けることがあります。
もしご自分で話し下手かも、とお思いでしたら、こういうときに備えてネタを用意しておくことが大事です。
1分くらいで良いので、「指名されたときに、まずは何を話すか」を決めておくと上手くいきます。
冒頭1分が成功すれば緊張もほぐれて、その後は話しやすくなります。
ここで注意したいのが、最初から最後までを詳細な内容を用意して話す必要はないということ。
以前ある研修講師の話を何回か聞いたことがあったのですが、どんなときでも一字一句全く同じように話していて、とても驚きました。
でも最初に聞いた時から、その人の話を聞いてなぜか冷めてしまった経験があります。
この人は話すテクニックもあり、抑揚や感情も込めてお話になる方です。
不思議なことなのですが、何度も話してきた話というのは、無意識に聞けば伝わってしまうものなのです。
宴会でも、いかにも練習してきたとばかりに、スラスラと原稿を読み上げるように完璧に話されたら、あまり感動しませんよね。
じつは、人間の脳は新しいものを好む性質があります。
新しいことを好む脳に新しいことを提供して、新しいことを達成すれば、脳から「ドーパミン」という報酬物質が出ます。
そして結果が予測しにくい「不確実」なものほど脳は喜ぶようになります。
ドーパミンが出た話し手の脳はますます活性化し、話の内容も予測しにくい話になります。
この結果、聴き手も喜ぶようになるのです。
今年の年末の宴会は、冒頭1分のつかみだけ準備し、あとはひらめきで話してみてはいかがでしょうか?
ちょっと勇気が必要ですが、意外と受けるかもしませんよ。
No.312 プレゼン冒頭の自己紹介は、御法度

「プレゼンでやってはいけないネタってありますか?」
こういう質問をいただくことがあります。
こんなご質問に、私は「プレゼン冒頭で、3Jは絶対ダメです」とお応えしています。
「自己紹介(会社紹介)」「時事ネタ」「自慢話」です。
これまで多くのプレゼンを見てきました。確実に失敗して聴き手の心に響かないパターンが、この3Jなのです。
そもそもビジネスプレゼンの聴き手は、3Jにはほとんど興味がありません。
興味あるのは「テーマ」です。言葉には出しませんが、誰もが「今日、何を話すの? 早く教えてよ。こっちは忙しいんだから」と内心で思っています。
そして冒頭は、聴衆が一番興味と関心を持って見ています。
特に冒頭15秒はプレゼンの「ゴールデンタイム」。
絶対に失敗してはいけない時間帯です。
そんな聴き手に、しかも一番集中している冒頭で、ほとんど興味がない3Jを話すと、どうなるか。
まず、集中力が急速に減退します。そして3Jを長々と続ける話し手に、聴き手は「まだ始まらないのか」「今日は聞かないでいいか」と興味を失ってしまうのです。
そんな聴き手はオンラインプレゼンの場合は別画面で別の作業を始めたり、最悪離脱します。
特に、記者会見取材で多く見られるのが「会社紹介」です。
冒頭で会社紹介を長々とやってしまうプレゼンが実に多いのですが、訴求力が弱く、聴き手に響きません。
実際に取材し、その後のメディア記事を見ると、そのような会社は結果的にメディアに取り上げにくくなっていました。
勝負をかけるプレゼンでは、3Jは御法度。
冒頭から単刀直入にテーマに入れば、誰でもお客さんの期待に最大限に応えられ、満足度は確実にアップするのです。
No.311 大人数に届く声を出しても喉を痛めない方法

10月25日、東京ビッグサイトでジャパンモビリティショーが開催され、世界の各自動車メーカー・トップがプレゼンを行っていました。
改めて感じたのは、東京ビッグサイトのような広い会場でプレゼンするときは、ある程度の声量が必要だということ。
外国人トップを見ていると、会場に合わせた声量や声質で話していました。大勢の前で話す場数を踏んでいることが感じられ、良かったと思いました。
しかし彼らと比べると、多くの日本人は、このような大人数の前で話す経験が多くありません。
そんな日頃声量を意識したことのない人が、本番でいきなり声を張って話すと、喉を痛めてしまいます。
そこで今回は、簡単に出来る「通る声にするためのボイストレーニング」をお伝えしましょう。(実際にやってみてください)
①下腹のおへその下あたりに両手を当てる
②息を吸う。吸ったときに手を押し返すようにお腹を張る
③「も〜〜〜」と発声して、なるべく長くのばす
④③を、途中で息継ぎしながら1分間続ける
注意点は、発声しているときに出来るだけお腹がへこまないようにすることです。
お腹に手を当てるのは、へそ下9センチの場所にある「丹田」を意識するためです。
丹田をはることで余分な力がぬけて、喉を痛めずにパワーが発揮できます。
ちょっと工夫が必要ですが、会場に響く声量を出しても喉を痛めなくなります。
ぜひお試し下さい。
No.310 一緒に仕事をしては絶対ダメな人を見抜く方法

人事の専門家から、このようなアドバイスを受けたことがあります。
「永井さん、いい? 絶対一緒に仕事しちゃダメな人はね。
ウソをつく人だよ」
人を見ていると、「あー、ウソ言っちゃって言い逃れているなぁ」という人、いますよね。
なかには「そんな時は、ウソついちゃえばいいんですよ」と言ってくる人もいます。
しかしそういって他人にウソをつく人は、そのうち「自分もその人から同じことをされる」と覚悟しておくべきなのです。
アドバイスをくださった方は、「あなたもいつかこの人に足を引っ張られるから、そんな人とは一緒に仕事をしないほうがいいよ」ということを教えてくださったのですね。
実際に、自分の計画を有利に進めるために、一緒に仕事をしている人にウソの報告をしている人も見たことがあります。
厳しい状況に追い込まれたとき。あと一押しで夢がかないそうなとき。
ついつい情報を盛ったり改ざんしたくなってしまう気持ちも分からないではありません。
でも大抵のウソは、そのうちバレます。
そしてウソがばれると、計り知れない損失が生じます。
それは、仕事仲間の信頼を失うことです。
サミュエル・スマイルズは著書『自助論」で、「勤勉・実直な人はそれほど早く財を成すことはできないかもしれない。しかし何よりも守り通すのは誠実さである。品性はそれ自体がすぐれた財産。インチキせずに手に入れた成功こそ本物の成功である」と言っています。
不誠実な言動を重ねる人は、じつは本物の成功という大きな財産を失っているのです。
自分を必要以上に大きく見せようとするよりも、むしろ虚勢をはらず誠実な対応をする方が、相手に与える好感度が高いのです。