「私、人前で話し慣れていないので、自信がありません」
こう悩まれている方は多くいらっしゃいます。
最近、ある大手メディア主催の講演会を見る機会がありました。
講演会では、名前の良く知られた数名の方々が登壇されてお話していました。
皆さん舞台慣れしていて、流暢に話しています。でも意外なことに、ほとんどの方が言いたいことが伝わり難く、記憶に残りませんでした。
実は、人前で話し慣れていることと、内容が伝わることは、全く別の話なのです。
今回の講演会で感じたことは、『話し手の「WHY」が不明確なこと』です。
WHYとは「なぜそれをやりたいのか? 伝えたいのか?」という話し手側の動機のこと。
「なぜそれをやりたいか?話したいのか?」を、聴き手が最も集中している冒頭で語れば、聴き手は自分ごととして聞くようになります。
リーダーであれば「自社がなぜそれをやりたいか?」を、自社の強みとつなげて語ると説得力が上がります。
一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏はこうおっしゃっています。
生き方を示すWHYも入れて、「我が社は、なぜ存在するのか」という存在目的を示せば、関係性が広がり、かつ、人の記憶にも残る。経営戦略の実行では、科学的手法も必要ですが、最初に「何のために」という生き方やロマンがないと、元気が出てこないんです。
(ハーバードビジネスレビュー 2023年8月号)
話し慣れていても、WHYの無い話に人の心は動きません。
話し慣れていなくても、その人なりのWHYがあれば人は元気になります。
ちなみに、冒頭で紹介した講演会で、一番記憶に残ったのは、最後に登壇した無名の若手の方でした。決して話し上手とは言えませんでしたが、「この新しいトレンドを、ぜひ皆さんに伝えたい」というWHYが明確で、お話になったコンテンツにもその気持ちが見事に反映されていました。
ぜひ、今度のプレゼンや年末年始の挨拶では堂々とWHYから開始してみてください。
きっと伝わる話になります。