ブログ「次世代トッププレゼン」

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No.280 人前で声が震える人の対処法

「人前で話すと緊張で声が震えてしまって困ってます」

と、こういうご相談を受けることがあります。

極度な緊張で声が震えることはよくあります。

しかしほとんどの人は話し手の声が震えているのは気にしていません。

話し手は骨伝導で自分の声を聞いています。
骨伝導とは骨を通して内耳に直接振動を送り、脳に音を届けること。
声の震えが脳に直接届き、より強調して聞こえるため気になってしまうのです。

逆に、空気の振動で聞いている聴き手は、話し手ほど震えは聞き取れません。

それに声を美しく響かせるために、わざわざ声を震わせる「ビブラート」という発声方法があるくらいです。
声を震わせながらでも、言うべきことをきちんと伝えれば問題ありません。

ただ、声が震えていると話し手自身が気になって話しにくいものですよね。

声が震えるのは緊張で横隔膜が硬くなっているためです。
事前に横隔膜を鍛える発声法を行っておくと震えにくくなります。
下記の悪代官発声法は、誰でも簡単に横隔膜が使えるようになる発声トレーニングです。

【悪代官発声法】
ステップ1:口を開けてゆっくり息を吸い、口を閉じ、あごを下げ口の中に空間を取ります。

ステップ2:口は閉じながら、手をお腹に当てて「フッフッフッフッ……」と悪代官の気持ちで笑う。お腹が動くのを確認します。

ステップ3:ステップ2の笑顔のまま、越後屋と目配せするつもりで、ゆっくりと「越後屋、(間合い)おぬしも(間合い)悪(ワル)よのぅ~~」と言う。

また本番で声が震えたとしても、途中で呼吸しながら話すように意識すれば極度な震えはなくなっていきます。
ぜひお試しください。

2023/03/01 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.279 オンラインでの印象が良くなる目線の使い方

最近こんな質問を受けました。
「オンラインプレゼンで、カメラを見続けていないと印象が悪いでしょうか?」

今や、オンラインでのプレゼンは当たり前ですね。
オンラインプレゼンでよく見かけるのが、手元のメモを見て視線が下向きのまま話していたり、カメラを真横に置いて話しているので画面上でそっぽを向いて話している人です。

「目は心の窓」と言われます。
カメラ方向に目を向けないと、聴き手と視線が合わず気持ちが伝わりません。
だから確実に印象は悪くなります。

対策は、画面上で見える一番熱心な聴き手のビデオをクリックして、画面上でカメラのそばにドラッグして置くことです。
パソコン上のカメラの近くに、熱心な聴き手がいる状態を作ってしまうのです。

こうすれば、その人とアイコンタクトを取ることで話しやすくなり、リアルさながらのプレゼンになります。話し手がカメラに視線を向けているので、オンラインプレゼンの視聴者全員が、まるで一対一で話をされているように感じます。

ぜひ話す内容は覚えて、カメラの方向を見てお話ししてみてください。
印象は格段によくなりますよ。

2023/02/22 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.278 一流のプレゼンを真似ると、三流になる理由

ある企業の社長交代後に、新社長のプレゼンを見たときのこと。

ハキハキした話し方、派手な身振り手振り、イキイキした表情。
全て先代トップとそっくりのスタイル。
猛練習の跡が感じられます。

しかし、その後の質疑応答では先ほどのエネルギッシュなプレゼンとは別人。
素に戻っていました。

「部下は上司に似る」と言われます。
元上司である社長の影響を受けてしまうことは、仕方ないことかもしれません。
そして「学ぶ」ことは、「真似る」ことでもあります。
「まなび」は、模範となる人を見つけて「まねる」ことから始まります。
「真似る」こと自体は、必ずしも悪いことではありません。

しかし、真似には怖い罠が仕掛けられています。
それは”猿真似”。

プレゼンの達人は、長い年月の試行錯誤と葛藤を経た末に、自分に合ったスタイルを確立しています。
そのスタイルを、資質や生き方・体格も違う人が真似しても、違和感があるのは当然。
「聴き手に刺さるプレゼンをしたい」と思ったら、本来学ぶべきことは単なるスタイルではなく、達人たちの背後にある思想を理解し、身体と心でつかむことです。
それを理解せず、模倣しているだけの人は猿真似の罠にはまってしまうのです。

TEDでは、プレゼンを鍛え抜いた達人たちが、見事なプレゼンをします。
TEDプレゼンのストーリーは、必ず(1)Why I、(2)Why we、(3)Why nowの順番になっています。
TEDにはプレゼンをサポートする事務局がいて、必ずこの流れで語るように指導しているようです。
つまりこれは、TED流の「鉄板プレゼン構成術」ですね。

そこで新任課長になったスズキさんは、新たに部下になったチームメンバーにTED流プレゼンで抱負を語りました。
結果は…、部下たちから「なんか新しい課長、言ってることが抽象的で、よく分からない」とウケが悪かったそうです。

TEDのように不特定多数の場で大きな夢を語る場合、この話し方は訴求力抜群です。
でもTED流は、必ずしも万能ではありません。
本来、新任課長のスズキさんが新メンバーの前で語るべきことは、(1)会社は何を目指しているか、(2)自分たちのチームがやるべきことは何か、(3)自分はメンバーにどんな貢献ができるか、を、自分の持ち味を活かして、誠実に語ることなのです。

一流のプレゼンを真似るだけでは、単なる猿まねになって相手に「何か嘘くさい」と思われて伝わりません。必要なことはTPOにあわせて、自分らしさを活かし、誠実に聴き手が求めていることを語ることなのです。

2023/02/15 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.277 リーダーのメッセージでメンバーのやる気が変わる理由

このように悩んでいるリーダーの方は多くおられます。

「私が話すと、なんかみんな退屈そうにしているんです。メンバーがやる気になってくれるようなメッセージを届けて、もっと盛り上げたいんですけどね。どうすればいいんでしょうか」

「人の行動は、環境で80%決まる」と言われています。多くの人は、他者の影響を受けながら生きています。そもそも人は、組織や社会的なルールに同調して動きやすいものなのです。

不祥事が起こるのも、このためです。
もし会社組織の行動が悪い方へ向かうと、社員はその行動に同調してしまうのです。

視点を変えると、この同調的行動を上手く使えば組織を良くしていくことができます。
人が同調的に行動しやすいのならば、誰かが良い行動をしたり、良い環境を整えれば、組織は良くなっていきます。

「割れ窓理論」をご存じでしょうか?

家屋の割れた窓ガラスを放置する地域では「誰もこの地域に関心を払っていない」というサインになり、やがて他の窓も壊され、犯罪が多発しやすなる、という理論です。

1980年代に犯罪多発地域だったニューヨーク市はこの理論を応用して、落書きや違法駐車などを徹底的に取締り、治安を回復しました。
街が整えられていることで、「ニューヨーク市は犯罪に関心を払っている」というメッセージになり、悪い行動をする人は減り、犯罪も減ったのです。

また人は「威光模倣」を行います。

尊敬する上司に、いつの間にか部下が話し方や行動、服装まで似てきてしまうということがありませんか。
人は、信頼し、自分に対して権威を持つ人が成功した行動を模倣するのです。

「組織がなかなか良くならない」と嘆くリーダーは少なくありません。

まずはリーダーが率先して理想的な態度を示すことです。
そしてそのような態度を伝える上で、プレゼンは最適です。
リーダーが態度や考えを伝えるための強い影響力を持っているからです。

次回のメンバーの前でのプレゼンは、手を抜かずに、「皆にこうあってほしい」という姿を考え、自らきっちりと語ってみてはいかがでしょうか?
メッセージに影響されてメンバーのやる気が変わっていくはずです。

2023/02/08 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.276 プレゼンが、型どおりでは相手に伝わらない理由

プレゼンには様々な「型」があります。
古くはプレゼンテーションZen。最近はTEDなどです。でも、本当に型どおりやっていれば上手くいくのでしょうか?

私が、ある企業のインナーコミュニケーション向上のためにコンサルティングで入ったときのこと。
広報担当者さんは「トップのメッセージで社員のやる気が上がらなくて困ってます」とおっしゃいます。
そこで過去に収録したトップのプレゼンを見ると、社員の前で部下の書いた台本を正確に読み上げています。

コンサルティングで、トップに聞きました。
「そもそも、なんでこのやり方でやっているのですか?」

トップはこうお答えになりました。
「うちの会社は今までずっとこのやり方でやってきたから…」

代々受け継がれてきた型に対してまったく違和感を持たずやっていたのです。
でも、これで社員のやる気はなかなか出ませんよね。

そこで、やり方を見直しました。
コンサルティングではトップと話し合いながら、「社員にどんなメッセージを伝えたいのか」をシンプルに構成。
そして本番では台本は見ず、トップ自身の言葉で話すことにしました。

すると地味ではありますが、トツトツとした語り口からトップの実直な人柄が醸し出されて、じんわりと伝わってきます。
話しを聞いた社員の方々から「社長の言葉を聞いてやる気になった」という感想がたくさん届きました。

トップは型を破ることができたのです。

「守破離」という言葉があります。
「型どおりこなす」ということは、大事なことかもしれません。
でも、もしその型が自分のタイプとミスマッチであれば、うまくいかないのは当たり前のことですよね。
その型が本当に正しいのか、一度疑問を持ってみることが、さらなるご自身の成長につながるのです。

2023/02/01 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika