**** 本記事は、私個人の支持政党とは関係はありません****
先日の第48回衆議院選挙。
各党党首の演説で、話術にも注目していました。
まず安倍さん。
小池百合子さん率いる希望の党の勢いに押される厳しい状況からスタートしました。2014年の前回衆議院選のときの自信満々で気迫のこもった話し方とは一変、顔色も冴えず、言葉に力が感じられません。テレビ出演でも、無意識に手書きのパネルで顔半分を隠しながら話す場面もあり、自信のなさが表れていました。しかし後半戦に世論調査で自民優勢が伝えられるようになると、本来の落ち着きと自信を取り戻し、説得力のある演説をしていました。
しかし自信がついてくると、都合のよくない質問には、ついついヒステリックになり甲高い声になってしまうのは、安倍さんの悪い癖。今後、話術で相手に対するリスペクトの表現も課題ですね。
そして枝野さん。
この方は、自分がリーダーになるとイキイキする「パッション型」です。今回は自ら「立憲民主党」を立ち上げられ、よい面が出てきました。
枝野さんの良い点は、良く通る声です。選挙カーの上から話せば声は通りやすいのに、今回の枝野さんは道ばたに立ち、聴衆と同じ高さからの演説でも声が良く通っていました。よく通る声は、話に説得力を加える強力な武器です。選挙戦終盤で、他候補者が声が枯れてしまった中、枝野さんは身体全体を響かせて発声しているので、 最後まで声のクオリティを落とさずに選挙を乗り切りました。さらに間合いのリズム感も抜群。聴衆と呼吸を合わせながらタメを作り、次の言葉に重みを持たせていました。
枝野さんは、どこでこんな良い発声法やリズム感を身につけられたのでしょうか?
じつは、枝野さんは中学生の頃から合唱をやっていて、日本最難関と言われている「NHK合唱コンクール」に優勝するほどの筋金入り「合唱マン」なのです。道理で身体で身についた発声法をしているわけですね。
もう一人あげたいのは、共産党党首の志位さんです。
志位さんの良い点は、声が低く、声質に温かみがあること。実際の街頭演説を聴いたときは、低い声で、声を出していない間合いそのものに深い意味を持たせていて、思わず頷きながら聞き入ってしまいました。
多くの他の党首は、言葉の合間に「あー」とか「えー」とか「えーと」とか「そのう」といった余分な言葉が入りますが、志位さんは皆無。すっきりと聞きやすいのです。また、激しいことを言っていても、なぜか憎めない感じのするビジュアルも大変得をしていると思います。だてに長期間、党首をやってこられたわけではありませんね。
志位さんも実は、特技はピアノで奥様と連弾をするほどの腕前。本気で作曲家を目指していた時期もあったそうです。声質も良いバリトン歌手です。
人の心を引き付けるリーダーのプレゼンとは、「良い声」と「間合い」です。
「間合い」とは、音符で言うと「休符」です。
枝野さんも志位さんも、演奏から「休符」を学んだのではないでしょうか?
「でも私は音楽をやってないから無理…」と思われる方でも大丈夫です。
とにかく最初は慌てずゆっくりと話すことです。
そして役立つのが、当ブログではお約束の「悪代官スペシャル」です。本番前に「(息を吸う)フッフッフッフッ…(間合い)越後屋〜(間合い)おぬしも(小さい間合い)ワルよのう〜」とやってみてくださ い。腹が据わって、深い間合いがとれるようになりますよ。
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