早口で話すと、戦う前から負ける

 

国会中継の生放送を何気なく見ていたときのことです。

質疑者に女性議員さんが立っていたのですが、猛烈な早口に驚きました。さらにその女性議員さんは、とても甲高い声なのです。

早口過ぎて言葉が処理し切れず、言葉をはしょって話しているところも多く見られました。早口は、下り坂を下るように加速がつくものです。話す速度はますます速くなっていきました。国会はあらかじめ質問の内容が決まっていますので、もし言葉が聞き取れなくてもある程度内容が予想できるので良いのですが、そうでなかったら何を話しているのか理解できなかったでしょう。

また、ご本人も自信がないのか、資料から目を離せずに読んでいるので、相手の大臣とのアイコンタクトがとれていません。質問の様子を見ていた大臣は、口元にニッとした笑みを含みながら、「勝ったな」とばかりに自信に満ちて立ち上がりました。

国会の質疑は、国民を代表して質問する場。説得力を持って話をすることが問われます。「舌鋒鋭く」という言葉もあるくらいで、攻撃力も必要とされます。真剣勝負の戦いの場でもあるのです。

しかし早口では内容を聞き取りにくくなりますし、聞いている方は話を理解するのに頭がついていけません。加えて、戦う相手とアイコンタクトをせず、文章を読み上げているようでは、自信がないという印象を与えてしまいます。

早口では説得力が失われてしまうと言うことです。

早口で話すことで、戦う前から負けているのです。

この女性議員さんは、猛烈な早口でも話しはできていたので、本来滑舌は悪くないと思います。興奮していたせいか、息を吸うときに「ヒィッ」という音がしていました。十分に息が吸えていない状態です。女性議員さんの改善点は、落ち着いて息を吸うことです。深く息を吸って、ゆっくりと落ち着いた良く響く低い声で質疑をお願いしたいと思いました。

現在の国際状況を見ても、日本は大事な場面に立たされていると感じています。国会議員の皆さんには、自らの発言が国の将来を左右しているという覚悟を持って、戦いの場としての話し方を極めていただきたいと願っています。