トップの強みを、いかにトップ広報で活かすか?

広報担当者さんから、こんなお話しをうかがいました。

「社長が地味で、プレゼンも真面目すぎてつまらないんです。プレゼンが始まると寝始める人が続出なんです」

真面目なことは、いいことですね。
でも「真面目だけれど、まったく印象に残らないプレゼン」になってしまうと話は別。トップ広報も上手くいきません。

ここで思い出したのが、「一度見たら忘れられない」というくらいの強烈なプレゼン。
9月26日に行われたアデランス「スカルプビューティドライヤー N-LED Sonic 記者発表会」で、津村佳宏社のプレゼンを取材したときのことです。

発表会冒頭のプレゼンは、メガネをかけ、台本を確認しながらトツトツと話すという、やや印象が薄いものでした。

しかしその後場面が変わり、舞台に真っ赤なドレスシャツを着た男性が立っていました。
よく見ると、先ほどまでトツトツとプレゼンをしていた津村社長。

すぐに状況が理解できませんでした。
会場の聴衆も同じだったようで、全体が水を打ったようにシーンとなっていました。

そこからが凄かったのです。

舞台上の紙に向かい、墨をたっぷり含んだ筆を豪快に走らせ、書道の腕を披露。その次、新製品のドライヤーを使いモデルさんに鮮やかな腕前でスタイリング。実は津村社長、社内の技術コンテストで優勝経験もある凄腕の理美容師です。

会見修了後、津村社長の別の一面を見ました。

この日は、Winkの相田翔子さんがゲストで登場していました。会見後、当時話題になっていた「Wink再結成か?」について、芸能レポーターの囲みが行われていました。それを遠目に見ていた津村社長は、担当者さんに「(私は)いいの?」と聞き、「社長は個別取材です」と言われると「私、芸能人じゃないから…」と、残念そうにつぶやいているのです。もう一度担当者さんから「個別取材です」と言われ、また「私、芸能人じゃないから…」と繰り返したとき、津村社長のお人柄が感じられて、思わず笑みがこぼれてしまいました。

自分の「強みの土俵」である一芸を披露したことを契機に、奥底に秘めた自信の扉が開け放たれ、心も前向きに「変身」したのかもしれません。

トップの強みを、トップ広報で、どのように活かすか?
皆さんも、もしプレゼン内容と紐付けできるようなトップの強みがあったら、ぜひ活かしてみてはいかがでしょうか。

 

今回、津村さんのプレゼンについては「広報会議 1月号」の『プレゼン力診断』に詳しく書きました。
もしご興味ある方はご覧ください。

 

 

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