「今度のプレゼン、色々な人たちが来るんです。皆さんに納得いく話をしたいんですよね」
先日お目にかかったトップが、このようにお話ししていました。
確かに大切なお時間を預かるプレゼン。「全員に満足して欲しい」というのはとても大切なことです。
しかし、ここで大きな落とし穴があります。その場にいる色々な人たちの関心を広くカバーする話をしてしまったりするのです。
でもこうなると、印象が薄いプレゼンになってしまうのです。
では、より強くメッセージを伝えるにはどうすれば良いでしょうか?
小泉進次郞議員が登壇している発表会に取材に行ったときのことです。有名な小泉さんが出るということで、700名以上の会場はメディア関係者も押しかけて満席。「東北のお土産を発信する」というテーマだったので、小売業のバイヤーや地方の生産者も集まっていました。
小泉さんの話しは、すべて東北での個人的に体験したお話しと、自分が得た気づきを話していました。このときの小泉さんが伝えようとした相手は、「生産者・バイヤー」。そこから1ミリもブレませんでした。自分自身の気づきを語ることで、借り物ではない強い想いがこもり、
「我々の強みは、必ずある」
「民間にしかできないことがある。頑張れ」
「国は 全力で応援する」
という声が、直接語らずとも、とても強く伝わってきました。
メッセージをより強く伝えるためには、伝える相手を明確に絞り込み、相手の関心事に直球を投げ込むことです。
しかし、話し手は逆に、「そこにいる全員に伝えたい」と思ってしまいがちなのです。
トッププレゼンでは大勢の人が集まりますし、メディア関係者も来ます。「せっかくだから、これも話そう、あれも話そう」、また周囲からは「この機会に、これも話してほしい、あれも話してほしい」となり、盛り沢山になってしまうものです。そうなると、逆に本来言うべきことが薄まり、帰り道「あれ?一体何の話しだったかな?」と思うことも多いのです。
どんな人でも、天才でなくとも、強くメッセージを伝えることは可能なのです。それは、ターゲットを絞り込むこと。
メッセージを絞り込めば絞り込むほど、逆により多くの人に想いが伝わります。
絞り込めば、メッセージは強くなるのです。
究極はその一人だけのことを深く想い、メッセージを考えることです。
小泉さんの頭の中は、国民全体ではなく、たった一人の生産者や、たった一人のバイヤーさんだったのではないでしょうか。だからこそメッセージが強く伝わったのです。
どんなにたくさんの人前で話していても、究極は「一対一」なのだと思います。
ぜひ勇気を持って伝える相手を絞りこんでみてください。