プレゼンで10人中8人が聴衆の満足度を簡単に下げてしまう理由

どんなに上手なプレゼンをしたとしても、10人中8人、ある一つのことをしてしまうがために、お客さんの満足度を一気に下げてしまっていることを、ほとんどの人が気がついていません。そして、プレゼンが上手いと言われているようなトップでも同じようなミスをしています。

ある食品業界のトップ会見にうかがったときのことです。そのトップは有名な外資系コンサルタント会社から社長に抜擢された、いわばプロ経営者。話しは上手なはずでした。確かに、笑みを浮かべながら、メモや台本も見ずに細かい数字や戦略をスラスラと述べ、ポケットに手を入れて話す姿は自信満々で、いかにも外資系の優秀な経営コンサルタントという雰囲気です。

しかし、終わってみると予定30分のプレゼンが、1時間かかっていたのです。

そのため、予定されていた質疑応答はカット。隣に座っていた記者は「なんだ〜」とがっかりしています。
その後の報道も思ったより少なめでした。

知人が講演会をしたときのことです。話しはそこそこ上手くいっていたのですが7分過ぎてしまいました。終わってからアンケートを見せてもらうと、いつもより評価が低く、あるお客さんの感想には「7分過ぎていた。時間は守るべきだ」と一言書いてあったのです。

お客さんの満足度を下げるのは簡単です。時間をオーバーすれば良いだけなのです。

しかし、話し手のほうは緊張していたり、ついつい熱が入ってしまったり、時間が押していても「準備していた内容を全て伝えなくては」と一生懸命で、悪気無く時間オーバーしているのがほとんど。
そして多くの人は、「お客さんの大事な人生の時間をお預かりしている」、という最も大切なことに気がついていないのです。

今年の1月に行われたバルミューダ株式会社寺尾玄社長の新型炊飯器のプレゼンでは、予定時間30分のところを20分で終了していました。
これは希に見る見事なプレゼンだったと思います。短いからといって内容が薄いわけではありません。寺尾社長自身の感情も十分表現し、内容もシンプルで分かりやすく、隣のお客さんは「あっという間でしたね!(笑)」と満足そうでした。

多くのプレゼンは予定時間を過ぎてしまいます。内容が良くても時間を超過すれば、聞き手の満足度は確実に下がるのです。余裕を持って短めに終わるだけで聞き手の満足度は上がります。

聴衆にとっては、90分の話しを60分にしても満足度は変わりません。メッセージは、勇気を持って削り、全体の構成をシンプルにすれば、格段に分かりやすくなります。
だから、プレゼンが長くなりがちな方は、あらかじめ短めに資料を準備しておくことです。話した後、お客さんの印象は何倍にもアップするはずです。