プレゼンで声が良くなる水の飲み方

ある大手自動車業界のトップがプレゼンをするというのでうかがったときのことです。

冒頭は滑舌良く話せていたのですが、しばらくすると、口の中が乾いたような音がして、声もかすれて聞き難くなってきました。ご本人もしゃべりにくいのか、声のトーンが落ちてきています。結局、20分のプレゼンをそのまま最後まで乗り切ってしまいました。

口が乾いた音をさせてしまうのは聞いていてあまり印象がよくありません。ネチャネチャとした音がしていて「あ、喉が渇いているんだな」「話しづらそうだな」と気になってしまうのです。せっかく良い感じで話されていたのに、もったいないと思いました。

プレゼンで口が乾きやすい原因の一つは緊張です。緊張して普段より汗もかきますし、かなりの水分が失われます。

もう一つ、意外に気がついていない点があります。発声をすることで呼気と共に水分が蒸発しているのです。最近は、季節を問わず空調のため室内が乾燥していますので、余計に喉が渇きやすくなっています。

かなり多くの方のプレゼンは、口の中が乾いているせいで声が悪くなっています。今まで拝見したトッププレゼンでも、平均10人中7人の方々は水分不足のまましゃべっていました。

「口の中が乾いてきた」と思ったら、早めに水を飲むことです。

もし1時間の講演であれば、水500mlのペットボトル1本は用意しておくと良いですね。知人のビジネスコンサルタントは、一日研修のとき、水1リットルのペットボトル2本用意して全部飲みきっていました。
30分くらいのプレゼンなら、本番前に水をしっかり飲んでおくと、口の中が乾く問題はほぼ解決できると思います。私の経験では、講演直前にごくごく大量に水を飲んでも、呼気で水分がドンドン出るためか、トイレが近くなることはほとんどありませんでした。だから「講演30分前ではなく、直前5分くらいで沢山飲むこと」です。

■■ 飲み方が大事 ■■

そして、ほとんどの方が知らないことなのですが、プレゼンで水を飲むとき、ほんの少し飲み方を意識するだけで声が格段に良くなります。

緊張すると喉周辺の筋肉が硬くなり、声が出しにくくなります。そして、声が硬かったり、喉が疲労してきたときというのは、大抵は喉頭(喉仏)を下げる筋肉が硬くなって上がりすぎている状態になっています。喉頭の上下は声の音色に影響します。喉頭が上がりすぎていると声が薄っぺらな響きになりやすいのです。では、喉頭を下げるにはどうしたらよいのでしょうか?それは、喉頭を下げる筋肉をリラックスさせることです。そのためには、あくびをしたり、水を飲んだりすれば良いのです。

喉頭を下げる筋肉をリラックスさせるためには、水を飲むとき、静かにすするように飲むのではなく、はしたなくならない程度に「ごっくん」と飲み込む動作が有効です。「ごっくん」と飲み込むと、喉頭はいったん上がって下がる運動を行います。この動きが喉のリラックスにつながるのです。

プレゼンのときは、遠慮せずに舞台上に水を用意するか、短めのプレゼンなら直前にしっかり水分補給しておくと、声の質を落とさずに話すことができます。