プレゼンの立ち位置もメッセージ

 

小売業界会でも有名な、ある社長さんのプレゼンを見に行ったときのことです。

その会場は、高くて大きな舞台が設置されていました。プレゼンが始まると、社長さんはなんと舞台の角に立って話し始めたのです。しかも、ご自身はプロジェクターの文字を一生懸命に読んでいるため、客席に背中を向けています。私は何か嫌な予感がして、話しの内容が頭に入ってきませんでした。

一瞬の出来事でした。

なんと社長さんは、舞台の角から右足を踏み外してしまったのです。客席から「アアッ!」と小さく悲鳴があがりました。しかし間一髪、社長さんは持ちこたえ、滑落という最悪の事態は免れたのです。

ただその後も、なぜか社長さんは何事もなかったように舞台端に立ち続けていました。もしかしたら、極度の緊張で自らの危険に気がついていなかったのかもしれませんね。

他の方のプレゼンを見ていても、舞台端に立つ方がよくいらっしゃいます。これは危険です。万が一のことがあれば、プレゼンどころではありません。

他に良くない立ち位置で多いのが、舞台後方です。舞台後方の壁に近づき過ぎるのは不自然です。積極的に話したいという気持ちが伝わらず、お客さんが物足りなく感じてしまいます。できるだけ舞台空間の真ん中に立ち、大きな舞台なら真ん中より前寄りの方に立つと見栄えがします。私の場合、舞台前後を3等分にし、前三分の一くらいの位置を目安にして立っています。

とくにサービス業界の方に多いのですが、良くも悪くも「私はお客様より目立ちません」という謙虚な考えで、舞台真ん中に立つことを躊躇される方もいらっしゃるようです。ただ、プレゼンに限っては話し手が主役。お客さんも、主役が真ん中に立って堂々とプレゼンすることを期待します。

プロジェクターを使う場合は、プロジェクター画面と話し手が客席から見て同一線上にあるようにすると、お客さんとアイコンタクトがとれて満足度が上がります

これは会議室のようなフラットな場所でも同じです。

ただ、意外と舞台に立っている話し手は、自分が客席からどう見えているか分からないものです。ぜひリハーサルを行い、「客席からどのように見えているか」、他の方に立ち位置をチェックしてもらうと良いと思います。