4月、新入社員さんたちが入社される季節です。人前でお話しする機会が増える方も多いと思います。
特に新入社員の前で話す時は、気を配る必要があります。新入社員の皆さんにとって、今月は初めて経験することばかり。ずっと記憶に残ります。人の第一印象は変えられません。新入社員の皆さんのお手本となるためにも、しっかりとお話ししたいものです。
こんな時、ともすると話す内容に気を取られがちですが、気をつけていただきたいことがあります。姿勢が悪いと声の質も落ちてしまい、暗い印象を与えます。そこで姿勢に少し気を配るだけで、声も滑舌も良くなり、内容も良く聞こえるようになります。
良い姿勢というと、「リラックスして立ち、あごを引いて、お腹を引っ込める」などとよく言われますが、これは間違い。あごを引いたり、お腹を引っ込めると、逆に良い声が出なくなります。正しい姿勢は、ひざから下に力を入れて立ち、下あごをやや出し気味にし、お腹は前に出すことです。
下あごをほんの少し出すことで声帯や気道をリラックスさせ、足に力を入れてお腹を張るように前に出すことで横隔膜が使えるようになり、安定して良い声が出るようになります。お腹を出すことで「丹田」というおへその下に力が入るため、緊張しすぎずに気力を充実させることが出来ます。
宮本武蔵が書いた「五輪書」に、これと同じ方法が書かれています。
「ややおとがい(下アゴ)を出す気持ちで、首はうしろの筋をまっすぐにして、うなじに力を入れて、肩から全身は同じものと考える。両肩を下げ、背筋をまっすぐにし、尻を出さず、ひざから足先まで力を入れて、腰がかがまぬように腹を出す」
お腹を出すときには、
「帯がゆるまないようにくさびをしめる」。
ちょうど腰骨のあたりにエプロンをギュッと巻くような感覚と同じです。
武蔵は兵法で、心を平静に保って力を出し切るための姿勢を追求したのでしょう。これはビジネスでも応用できます。
人前でお話する機会も多い4月。ぜひ一度、姿勢を見直してみてはいかがでしょうか。