話し方の教科書は、トッププレゼンで役立つか?

トップの方々からお話しを伺うと、お悩みのトップはこの二つです。

「プレゼンで声が高くなって、どんどん早口になってしまう」
「たたみかけるように話してしまい、間合いがなく余裕がなくなってしまう」

しかし一般的な話し方の本などでは、「少し高めの声で話しなさい」「滑舌を良くしなさい」と書かれています。
実は、トッププレゼンで求められる話し方は、一般の話し方の教科書とは正反対なのです。

先日お伺いしたある経営者のプレゼンが、まさにそうでした。最初はとても気をつけてゆっくりと丁寧に話していました。しかし時間が経過すると、次第に早口になり、声も甲高くなっていったのです。

あまりに早口でスピードが速すぎるので、何を伝えようとしているのか、理解がついていきません。
さらに声が高いために落ち着きがなく感じられ、説得力も落ちてしまいました。
内容も専門的な内容なので、ふと客席を見ると寝ている人が何名かいました。

なぜ最初はよかったのに、こうなるのでしょうか?

たとえば、あなたの知り合いで、気に入らないことがあって声を張り上げているうちに、興奮して声がもっと大きくなり、次第にその人の怒りが増幅していく、というのを見た経験はありませんでしょうか?

あるいはあなた自身、最初はそれほど悲しくもなかったのに、悲しい声で話しているうちに、なんだかものすごく悲しくなってしまうという経験はありませんか?場合によっては泣いてしまいたくなることさえあります。

声というものは、想像以上に出している本人に、加速する方向で影響を与えます。

早口や、声の高さも、「加速化」しやすいのです。

では、どうすればよいのでしょうか?

数年前に聞いたあるベテラン経営者のプレゼンが、まさにそのお手本でした。

ゆっくりと落ち着いた低い声で話されるのです。そして大事なところは、かんで含めるように更にゆっくりになります。
素晴らしく説得力のあるプレゼンで、聴衆全員が、話しの内容を理解しながら、集中していました。

その方と個人的に話しをしても、やはり同じように落ち着いて低い声で話し、こちらが理解できていないところは、さらにゆっくりと何度でも話してくださるのです。

低い声、ゆっくりした声は、加速することがありません。
逆に落ち着きや説得力がさらに強化され、話し手がより自信を持って話せるようになってきます。

トッププレゼンでは、早口や高い声はむしろ大敵。ゆっくりと、低い声で話すことが必要なのです。

 

 

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