ブログ「次世代トッププレゼン」

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知ったかぶりと、謙虚

 

「絵描きになりたかったんですよ。ゴッホの絵が好きです。特に売れる前の絵が好きですね。ゴッホは絵が売れるようになって堕落しましたね」

ある有名な経営者が、司会者から「引退したら何をしたいですか?」という質問にこう答えました。

しかし、文化人でもある司会者は、さすがの切り返しをしました。

「あの…。ゴッホは、生きている間は、絵は売れなかったんですよ」

一瞬の沈黙の後、その経営者はまったく違う話題に切り替えていました。
質疑応答やインタビューの場面で、知ったかぶりをしたり、知らないことを誤魔化すと、すぐにメッキがはがれます。

経営者の集まりで、ある経営者の質疑応答を聞いていて、「さすが」と感じたことがありました。
質問の際に、「私は勉強不足なので、この点について教えてください」と正直におっしゃっていたのです。
有名な方ですし、きっとそれなりに知識もお持ちの内容だったと思いますが、謙虚な姿勢に好感を持ちました。

虚勢をはらず、卑屈になったりせずに、素直に「勉強不足なのですが」という言葉を使えると、自分自身が楽になります。

ただ、いくら楽だからと言って、何回もこの言葉を使うと、本当に勉強不足の人に見られますので、ほどほどに。
ここぞというところで使いたいものです。

 

質問を受ける時は、首を動かすのを止めよう

 

インタビュアーの質問を受けるとき、何度も相づちをうちながら頻繁に首を上下させたり、ペコペコとお辞儀を繰り返す方をよく見かけます。

確かにこうすることで、謙虚さが伝わったり、「話しを聞いていますよ」という印象を伝えることができます。

反面、落ち着きがなかったり、自信がないように見えてしまうのが玉に瑕。
質問者から見ても、あまりに細かく「うん・・うん・・なるほど」と相づちをされると、話を促されているようで、自分のリズムが崩れてしまうこともあります。
相づちをうちながら、アイコンタクトはまったく違う方向を向いているのも印象がよくありません。私自身も「ちゃんと聞いてくれているのかしら?」と思ったことがあります。

質問を受けるときは、首で頷くよりも、アイコンタクトを重視したいところです。

ある会見で、質問の聴き方が素晴らしい、と思ったトップがいました。

その方は、首はほとんど動かさないのに、穏やかなまなざしできちんとアイコンタクトをとっているので、深く聞いていることが感じられました。頷かなくても声や表情で、きちんと相手に敬意を持って聞き届けていることが伝わるのです。そして、自分が答える番になったときに初めて、「そのとおりです」「なるほど」というように大きくうなずいてから話し始めるのが好印象でした。首を動かさずに人の質問に答えることで、自信のオーラにあふれ、堂々たる経営者としての姿を印象づけていました。

大事なプレゼンの質疑応答では、首を動かさないように意識しながら質問を聞き届けるようにすることで、自信と信頼感を与えることができます。たとえ困った質問を受けても、首をかしげたり、身体を細かく動してはいけません。

質問を受ける際に、必ずアイコンタクトをとりながら、要点だけをメモをとって聴くと、首をフラフラさせることななくなり、大きく改善することができます。ぜひお試し下さい。

 

早口は損

人前に出るとどうしても早口になってしまう方が多くおられます。
実は早口は損をします。伝える内容に自信がないと思われてしまうからです。

さらに早口は、滑舌悪く聞こえてしまいます。聴き手が内容が聞き取れずに大事なことが伝わらず、何度も聞き返さすことになり、聴き手に迷惑をかけます。

私自身、経験があります。伝統あるお店で買い物をしたのですが、対応してくださった店員さんがあまりに小さい声で早口で、聞き取りにくかったのです。この時も何回か聞き直しました。

有能な秘書が見抜く『信用してはいけない人』の特徴」という記事で「早口の人は信用できない」という内容があります。

不自然に早口な人は、伝える内容に自信がないといえる。アメリカの心理学者ポール・エクマンによると、人間は恐れると早口になるとされている。それに加え、あわてると声が高くなる。自分の魂胆を隠して、企業トップや政治家を利用しようと思っている人は、嘘がばれることをひそかに恐れているため、無意識に早口になるのだ。

確かに自信がないと無意識に早口になります。

しかし人間は、自信があっても、人前に出るとテンションが上がり、どうしてもいつもより声が甲高くなり、早口になってしまうものです。人前で頻繁に話していて慣れている方であっても、いつもよりは声が高くなり、スピードも早くなります。

早口だから、その人が「信用できない」「自信がない」とひとくくりに決めつけるのは、ちょっと難しいかもしれません。
しかし、上記の記事の通り、甲高い声で早口は、「信用できない」と一般的に受け取られてしまいがちのようです。
ゆっくりと良く響く低い声で話す方が、「安心感があり信頼されやすい」ということなのでしょう。

人前で緊張している状態で、ゆっくり話すことは簡単なことではありません。しかし意識して自分ではあり得ないくらいゆっくり話してみてください。そのスピードがちょうどよいのです。そして聴衆の反応が良くなってくることが実感できると思います。

 

リーダーの甲高い声は、失望させる

ワールドカップ、残念でしたね。
ところで活躍されているカッコいいスポーツ選手の声を聴いて、「あれっ?」と違和感を覚えたことがありませんか?

特に印象に残っているのは、サッカーのベッカム選手。
選手としての見事なプレー、チームのリーダーとしての圧倒的な存在感。
私の脳内イメージでは、ベッカム選手の声は、「なめらかに響く低い声」でした。

あるときテレビのインタビューでベッカム選手が話していました。
なんと、意外に「甲高かった」のです。
ちょっとがっかりしてしまい、私の脳内にあったイメージとのギャップをうめるのに時間がかかってしまいました。

甲高い声のリーダーは、成果を発揮しにくいとも言われています。チームメンバーがリーダーに無意識に期待していることと少しズレがあるからかもしれません。逆に、名伯楽と言われるような監督や、素晴らしいリーダーは、大抵が良く響く低い声の持ち主であることが多いものです。

日経ビジネス No.1772「遺言 日本の未来へ」にて印象的な記事がありました。

戦後のリーダーたちが日本の未来へ贈る言葉を特集しています。
稲盛和夫さんが、玉音放送で初めて天皇の声を聴いたときのの一言がありました。

「甲高い声やなとおもったけど、くやしかった」

当時、一般国民は天皇陛下の声を聴いたことがありませんでした。
稲盛さんにとって、天皇の声がイメージしていたものより甲高かったのでしょう。

人は無意識にリーダーに期待するものがあるのです。

オペラでも、国民から信頼の厚い王様や裁判官の役は、必ず低い声の歌手が担当します。
また映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」で、英国の首相を目指すサッチャーが低い声を獲得しようとトレーニングしている様子が描かれています。

やはりリーダーとは、低い声がもとめられるものなのです。
これからはリーダーは、否が応でもメディアに露出していく時代。
自分の話し声や見た目にも気を配るべきなのです。

 

プレゼン本番では、ボイトレは全部忘れた方がいい

 

こんなことで、心配される方がいらっしゃいます。

「ボイストレーニングができないと、声が上手くでないし、上手にプレゼンできないのでは?」

私はお客様に、「プレゼンをするときは、ボイトレのことは忘れてくださいね」とお伝えしています。
ボイトレとは、ボイトレを忘れるために行っているからです。
トレーニング不足では、表現したいことがあっても思い通りに表現できず、もどかしい思いをします。
そうならないようにトレーニングをしているのです。

でもボイトレが上手くいかないからダメだということはありません。

しかししっかりストレッチを行っているにも関わらず、アスリートでも身体の硬い人もいます。
でも身体が硬いアスリートでも、成績が悪くない選手もいます。
ストレッチは身体を柔らかくして柔らかさを表現するために行うのではありません。
故障を減らして、身体を守るために行っているのです。
イチロー選手はとても身体が柔らかいと言われています。だから故障しません。

一昨年、ゴルファーの青木功さんの講演を聞いたことがあります。
「私は、身体を守るために毎日のストレッチは欠かしません。自分の身体を守るのは自分しかいませんから」とおっしゃっていました。そして毎日「神様、今日もゴルフをさせてくださってありがとうございます」と祈るのだそうです。
ストレッチをしっかり行い、後は天に任せてゴルフを楽しんでいるのです。

ボイトレも同じです。
「ボイトレのためのボイトレ」では残念です。
ボイトレは、あくまでボイトレ。
プレゼン本番では、そのときに盛っている実力で発声して表現を楽しみましょう。

プレゼン本番で、一つだけ意識していただきたいのが「横隔膜」です。
横隔膜が使えれば、喉のストレスが減り、発声が楽になり、聴き手に声が届くようになります。

横隔膜を使えるようにするには、ポイントは一つ。
へそ下9センチの場所にある「丹田」を張ること。つまり、下腹をしっかり張ることです。

本番では、声帯や喉などのことはすっかり忘れましょう。
下腹をしっかり張って、横隔膜だけに意識を持っていってください。
そうすれば、言葉が力に満ちて、聴衆の心に届きます。
あなたが今持っている実力を、必ず発揮できるようになります。