ブログ「次世代トッププレゼン」
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プレゼンが伝わらないのは、原因がある

「トップが何度も大事な話をしているのに、社員がぜんぜん覚えてくれない」
「会見をしても、こちらのメッセージをメディアが記事にしてくれない」
こんな広報さんのお悩みをよくうかがいます。
これは理由があります。
人は自分が見たいもの、聞きたいものしか覚えてくれません。
覚えられる許容量が限られているからです。
人が同時に覚えられるのは最大7つまで。
しかもたった20秒で忘れると言われています。
経営学者・野田稔氏の著書「組織論再入門」にて、人の特性に関する論述があったのでご紹介します。
・・・・以下、引用・・・・
人間はいらない情報をカットして、自分が大切だと思った情報だけを意図的に入れることができる。ただ、逆に言うと本当に大切なものもカットしてしまう可能性があるということになる。
(中略)
作業記憶はフィルタリングされた情報が入ってくるだけでなく、許容量が限られている。記憶の単位はチャンクと言う。これはひとかたまりの意味のある文字列のようなものである。ハーバート・サイモンは、人の作業記憶は7プラス・マイナス2チャンクしかないと言う。5つから9つ覚えておくと、作業台が一杯になる状態である。
(中略)
保持能力は20秒、あまり褒められたレベルの話しではない。
(中略)
インタビュアーは、ゲストの答えを聞きながら、次の質問を考えている。相手の言っていることの中で、どうせこんなものは聞かなくてもいいという時に考える。相手の話を予測し、「この話は聞かなくてもいける」と選択的な記憶を使っているのだ。ひっかかる単語以外は聞き流し、もっとひどいと、今日行くレストランのことまで考えている。
・・・・以上、引用・・・・
しかし多くの人が「ちゃんと覚えてもらおう」と考えて、大量の情報を伝えようとします。
これはまったく逆効果。
もしプレゼンで確実に覚えて帰ってもらいたければ、やるべきことは1つだけ。
「自分が伝えたくて、自分しか話せない、聴き手が欲しがっている情報」
これをできるだけ早く伝えることです。
情報が多いほど、かえって伝わらないということです。
ビジネスプレゼンでは、資料は勇気をもって徹底的に絞りこむこと。
そうすれば、より確実にメッセージが伝わるようになるのです。
プレゼンを爆速で上達させる方法

「プレゼンが出来るだけ速く上達する方法はありますか?」
こんな質問を受けることがあります。
人前で自信を持って話せるようになるまでは、ある程度の時間が必要ですが、もしも爆速で上達したければ、1つだけ方法があります。
それは、本番の場数を踏むこと。
厳しい聴衆の前で話せば、さらに加速します。
「厳しい聴衆を前に、本番に臨んだ回数がどれだけ多いか」で、上達スピードに差がつくのです。
厳しい聴き手を相手に本番の数をこなすので、当然、失敗する回数も多くなります。できれば恥をかきたくないというのが人情というもの。加えて人から厳しい評価を下され、落ち込むこともあります。
しかし、一人で部屋にこもって長時間マジメに練習するだけでは、上達のスピードはなかなか上がりません。
最近、企業のマネジャーさんとお話した時、「部下がなかなかお客さんのところに行きたがらない」とぼやいておられました。自信が出るまで作りこみ、じっくりと完璧なものが出来てからお客さんのところに行きたいのだとか。しかし、他人はこちらの想像とは全く違う考えをしていることも多いものです。せっかく時間をかけて作り込んだものが的外れということも少なくありません。
もちろん、まったくダメなものを披露するのは論外ですが、ある程度まで出来たら、思い切って「人の目に晒してしまう」ことが大切なのです。
批評され、お客さんがどう感じたか知り、「どうすればもっと良くなるか」を考えながら改善していくことが欠かせません。
「ハーバード・ビジネス・レビュー 2015年5月号」にピアニスト・作曲家の松永貴志さんの記事が掲載されていました。松永さんは、音大にも行かず独学でピアノを勉強した方です。
・・・・(以下、引用)・・・・
ほとんど独学だ。派閥もない。楽しいという思いだけを原動力に、自由な気持ちで、ただひたすら鍵盤と向き合い続けた。
独学だからこそ練習にはさまざまな工夫を施した。道場破りのようにライブハウスに飛び込んでは、「1曲だけ弾かせてください」とお願いして回った時期もあった。数え切れないほどの門前払いも受けたが、常に誰かの視線を感じる環境で演奏したことで、圧倒的なスピードで上達しているのを実感した。
・・・・(以上、引用)・・・・
プレゼンも同じです。
より厳しい聴衆の洗礼を受けて磨かれるからこそ、上達していくものなのです。
ボイストレーニングをやっても声が良くならない理由

いろいろなトレーニングをやっているけれどなかなか思うような良い声が出ないのは、根本的な呼吸のところで間違っているケースが多くあります。
良い声の条件は呼吸です。
「呼吸?そんなのやっているよ」と思われる方多いかもしれません。
それでは質問です。
発声して言葉の最後に息が切れたことを意識していますか?
ほとんどの人は、声を切るときに「なんとなく」切りすぎています。
だんだん声がなくなる自然消滅型になっています。
つまり、語尾がモニャモニャと不明瞭になる「語尾落ち」していることがほとんどです。
原因は、横隔膜が使えていないせいです。
「良い声にする」ためには、「息を横隔膜でコントロールしている」ことが大前提となります。
それでは、息を横隔膜でコントロールするためにはどうすればいいでしょうか?
まず第一段階として、「息を横隔膜で意識して止められる」といいのです。
ただし、こう言うと息を喉でとめてしまう人のほうが圧倒的に多いのです。
喉でとめていると、喉に余計な力が入ってしまったり、喉声になったりする原因になります。これが続くと喉に負担もかかります。
まずは、横隔膜で息を止められるようにすることです。
それでは、本日は横隔膜で息をとめるための簡単なトレーニングをご紹介します。
まず、横隔膜はどこかを確認するためと、横隔膜を鍛えるために「ドギーブレス」をします。
背中を壁につけて行ってください。
★★ドギーブレス★★
1、「あ」と言うつもりで口を開け、舌の力を抜いて舌先を下の歯の裏につける。
2、暑いとき犬がするように「ハッハッハッハッ・・・」と呼吸し、休まず5秒続ける。
チェック1:手をお腹に当てて、へこんだり出たり均一に動いているのを確認
チェック2:吸う息と吐く息が同じ量になるように
こんどは、横隔膜でとめる「横隔膜の呼吸トレーニング」です。
ドギーブレスをした直後に継続して行ってください。
★★横隔膜の呼吸トレーニング★★
1、ドギーブレスしてから、そのまま「はあっ」と大きく息を吸う。
そのとき、下腹の真中あたりを押し返すつもりで息を吸う。(もしわからなければ誰かに押してもらうとよい)
☆ポイント:下腹はしっかりと前に出て、さわるとパンと張っている。このとき、下腹を無理に出そうとして壁から背中が離れないように。
2、口あけたまま息を5秒とめる
☆ポイント:このときお腹は押し返したまま。ドギーブレスのときに動いていた場所あたりで息をとめる。これが「横隔膜止め」です
3、下腹はそのまま出来るだけ押し返しを維持しながら「はーっ」と一気に息をはく。
☆ポイント:息をはくとき喉で小さく「kっ・・・」という言う音がした場合、喉で息をとめているのでよくありません。「喉止め」しないコツは、お腹の頑張りに集中すること。喉周辺の力を抜くようにし、喉で音がしないようになるまで練習すること。
4、1~3を何回か繰り返す。慣れてくればお腹を押してもらわなくてもできるようになります。息を吸っているときもはいているときも、出来るだけ下腹は「パン」と張った状態を維持するようにします。
前置きが長いプレゼンは、やめよう

「え〜、私どもの事業でございますが、こちらのグラフを見ていただいても分かるとおり、北米、アジアでの売上を合わせますと、グループ総売上〇兆円、営業利益〇千億円と大変大きな成長をさせていただくことがおかげさまでできました。感謝申し上げます。さて、今日本国内では…」
新商品の記者発表会に伺ったときのことです。プレゼンテーションの冒頭で会社の業績説明が延々と続きました。
商品の紹介はいつまでたっても出てきません。商品についてやっと話し始めたのが10分後。ついしびれを切らしてしまいました。
企業にとっては業績が大事なことはよく分かります。しかし、聴き手は新商品発表があるという案内をもらって会場に来ています。速報を上げるために、プレゼンを聴きながらその場でパソコンで記事を書く記者も大勢います。
こちらのコラムでも書きましたが、人の集中力は、
1分…100%、3分…80%、5分…50%、10分…35%、20分…25%と下がっていきます。
会見の目的は、聴き手である記者に、出来る限り多くの記事を書いてもらうことです。聴き手が集中力が最も高い時間帯に、本題から話すべきです。良い内容の記事を数多く出してもらいたければ、単刀直入にテーマから入ることが最も効果的です。
結局、会見後の記事はプレスリリースのコピペのようなものが数件に留まりました。
しかしこの会見は例外ではありません。このように本テーマから入らないプレゼンは、世の中にはとても多いのです。
プレゼンをすると決まったら、最初に考えるべきは「プレゼンをする目的は何か」
これをまず考え抜いてみてください。
プレゼンは、テーマから最速で入ることで、最も高いアウトプットが出せるのです。
ぶれないミッションがプレゼンを骨太にする

「すごくプレゼンの練習したのに、スルーされてしまうんです」
プレゼン技術は努力して上手になったのに、説得力が向上しないというお悩みをよく聞きます。
じつは、ある大事なことがボヤけてしまっているために、プレゼンの説得力が上がらないことがとても多いのです。
それは「ミッション」です。
ビジネスのプレゼンは、必ず企業のミッションが土台にあります。そこを忘れてしまい、製品の機能性ばかりを強調しているプレゼンがとても多いのです。
ミッションが明確なプレゼンは、たとえ話し下手でも内容が骨太な印象になり、人の心を動かします。
先日、取材をさせていただいたパタゴニア・辻井隆行社長のプレゼンは、ミッションが明確な上、そのミッションをありとあらゆるシーンで首尾一貫しているものでした。
パタゴニアのミッションは「故郷である地球を救うためにビジネスを営む」というものです。プレゼン内容はもちろんのこと、会場は緑に囲まれた環境で、提供する商品はすべてオーガニック・再生可能なもので統一していました。
ミッションとは、いわばプレゼンに魂を入れるのと同じです。
プレゼンでは、技術を学んだ上で、ミッションが明確になっているか今一度内容構成を見直してみると、説得力が格段に高まると思います。
宣伝会議デジタルマガジン8月号にパタゴニア・辻井隆行社長の「プレゼン力診断」執筆記事掲載いただきました。
ご興味ある方はぜひご覧下さい。
パタゴニア日本支社長のプレゼン「首尾一貫したブランドミッションを体現」