ブログ「次世代トッププレゼン」

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これからのリーダーにとって大事なこと

 

昨日まで2日間「第21回 日経フォーラム世界経営者会議」に参加していました。

第一日目には、日本からはファーストリテイリングの柳井会長、キリンHDの磯崎社長、DeNAの南場社長、マクドナルドのカサノバ会長、タニタの谷田社長などが登壇し、経営者が今何を考えているのかが、言葉だけでなく空気を共にすることで肌感覚でも感じられた貴重な機会でした。

そういえば、柳井会長、カサノバ会長、谷田社長は、すでに「プレゼン力診断」で取材させていただいた方々です。取材から数年たって彼らが今どのような状況に立っているのか興味深く拝見しました。

とくにカサノバ会長は、約4年前にバッシングの真っ只中で取材させていただき、毅然とした見事なプレゼンが印象に残っています。

一昨日、長身のカサノバ会長が大きな舞台を存分に有効利用し、歩き回りながら話す姿はまさに立派なリーダーの姿。円熟味の増した堂々たるプレゼンでした

プレゼンも良かったのですが、カサノバ会長の言葉には、この数年間蓄積された重みが増し、言霊が宿っていました。

「なぜ日本マクドナルドはV字回復をとげることができたのか」という日本経済新聞社記者からの質問に対して、「2つある」と話していました。

一つ目は「お客様のロイヤルティ、社員の士気を高めること」

二つ目は「そのために、お客さんや社員の声を聞くこと」

リーダーとして大切なのは、やはり「聞くこと」なのだそうです。

しかも「広く、深く聞き、注意深く反映させること」。

そうしないとご自身もチームの多様性も活かせないと話していました。

プレゼンは、どちらかというと自分が話すことばかりに気を取られがちです。しかし、舞台に立つ前にどれだけお客さんや従業員さんの声を聞いているか、それはプレゼンの言葉の隅々にまで表れるものです。

同じように、タニタの谷田社長も、「経営者としてここはどうしても譲れないという領域はあるが、それ以外は社員の意見を尊重している」と話していました。

リーダーは、インターナルコミュニケーションによって聞くという経験を積み重ね、それを実践することが大切だということがよく分かりました。

 

プレゼンに演技力は必要か?

「私、演技力ないからプレゼンに自信ないです」
よくあるお悩み相談ですが、プレゼンに高度な演技力は必要ありません。

ビジネスプレゼンと役者の違いは2つあります。

(1)現実か?

ビジネスプレゼンは、現実に基づいています。多額のお金も動きす。トップの場合、従業員もいて責任が伴います。
役者の演技は、虚構の世界であり、非現実。アートの世界が舞台です。

(2)人を行動させるか?

ビジネスプレゼンの目的は、聞いた人が実際に行動することです。
一方、役者の演技の目的は、人の心が動き感動すること。行動は目的ではありません。

現実の世界で、人を行動させることが目的のビジネスプレゼンは、「話す内容」が何よりも大切。技術は二の次です。役者のような演技力をつけるのは時間のムダ。逆に役者のように話すと、言い方は悪いですが「うさんくさく」「イタい」ので人が動きません。演技力を磨く時間があるのならば、内容を考え抜くことです。

まずは現実に基づいて、しっかり内容を吟味し、どのようにプレゼンしたら「人が動くか」、戦略を考え抜くことが必要なのです。

 

 

非公開数字の質問を乗り切る方法

 

プレゼンの質疑応答で、「言ってはいけないこと」があります。

その代表的なものが、「まだ非公開の数字」です。

サービス精神旺盛な方だったり、記者の上手な質問に乗せられてついつい言ってしまうケースなど、過去有名な経営者でもたくさんありました。

ただ、いつ如何なる時も通り一遍に「言えません」では、杓子定規でよろしくありません。質問者とのリレーションを大切にすることも、ビジネスパーソンとして大事なことです。

まだ非公開の数字について質問された時、ヒントをあげたい場合もあります。そんなときは、この一言で乗り切るといいでしょう。

「ちょっと幅が広くて申し訳ないですが…」

三井不動産株式会社の「日本橋再生計画第3ステージ 記者発表会」にて菰田正信社長を取材したときのことです。「非公表の事業投資額は?」と記者から質問をうけたとき、「数千億から1兆円の間ってことでしょうね。ちょっと幅が広くて申し訳ないですが…」と笑顔で答えていました。

このときは、何度も投資額の質問を受けており、最後は記者に寄り切られる格好でしたが、詳細は言わずになんとか上手く乗り切りました。結果としては、菰田社長が一枚上手だったと思います。

詳しい状況はこちらの記事にもありますので、ご興味ある方はぜひご覧下さい。

「日本橋に青空を甦らせる」三井不、中長期を見据える強い意志

なぜあの人は目上の人に引き立てられるのか

 

目上の人や上司に好かれる人がいらっしゃいます。
目上の人に好かれることは、仕事が上手くいく秘訣でもあり、人生にとっても大きな意味があります。

好かれるということは、出世のためや、仕事をいただくためだけに媚を売ることとは違います。
また、上の人に好かれるような感じの良さとは、生まれつきだと思い込み、「自分は不器用だから」と諦めてしまいがちです。

実は、本当に好かれ、引き立てられる人というのは、仕事が出来るだけではだめで、相手に「どんな自分を覚えてもらいたいか」をまず設定して、考えて話しているのです。

最近、新浪剛史さんが日産自動車の次期CEO候補の一人として同社指名委員会で検討されている、と報じられました。

新浪さんが、ローソン会長からサントリーの社長に就任されたときの会見を見たことがあります。サントリー・佐治信忠会長とご一緒に会見しているときの新浪さんは、ローソンのトップ時代とはニュアンスを変え「人にお仕えする」態度をとっていて、大変参考になりました。

媚びずに、目上の相手を立て、「おかげさまで」という気持ちを言葉に表す。新浪さんの特徴は、声が大きくパワーがあり、目力を持つアイコンタクトを欠かさず、さらに、口角が上がるので笑顔がわかりやすいのもポイントです。男性で「笑っているつもりなのに笑って見えない」ということが良くありますが、これは不機嫌に見えたり、納得していないように見えたりする場合があるので損をします。素晴らしい経営者は大抵、「わかりやすい笑顔」が自然に出せる人が多いのです。

新浪さんは、実績・実力もあるのですが、若い頃から常に目上の人に引き立てられて、出世なさってきた人です。新浪さんを42歳という若さで東証一部上場企業のローソンの社長に引き立てたのは、三菱商事当時副社長で現在取締役会長の小島順彦さんです。

なぜ小島さんが新浪さんを抜擢したのか?

新浪さんの著書「個を動かす」に、小島さんのインタビューが書かれていました。

・・・(以下、引用)・・・

「そうでもなかったです。あれだけの勢いがあるヤツはそんなにいなかったですから。彼は私に平気で喧嘩を売ってくる」

――下からがんがんと言ってくるような人間じゃないと、一国一城の主は務まらないのでしょうね。

「そう思います。『この野郎、かわいくないヤツだ』と思うけど(笑)、冷静になって考えてみると、彼は自分の意見を持っているから立派なんです。上にモノを言う人間が大勢いると、経営がミスリードされなくていい」

 

・・・(以上、引用)・・・

私はこれを読んで、「普通の人がこのまま真似をしては嫌われる」、新浪さんが特別なのではないかと考えていました。しかし、佐治会長と一緒のサントリー会見の様子を見て、「なぜ新浪さんが好かれたのか」大いに納得したものです。

新浪さんは、相手にとって「どのような自分を覚えてもらいたいか」をきちんと設定して、考え抜いて接しているのです。
時には悩んだこともあったと思います。
これが長年継続されて身に付いているので、演じていたとしても、ほぼ「生まれつきではないか」と思えるほど自然に出
来ているのです。言うべきことをしっかり言っても嫌われない。それどころか「この人に任せたい」と思ってもらえる。

実力をつけることも大事です。
しかし、そういう人はたくさんいる。
それだけではダメなのです。

実力はあっても、ちょっとしたことで「気力が感じられない」「頼りない」「何を考えているのか分かりにくい」「素直さがない」と思われると好感度は下がってしまいます。

そこで、好感度を上げるための3か条をお伝えいたしましょう。

1、よく響く落ち着いた低い声

説得力や安心感、人間の温かみが感じられ、若くても「この人に任せてみよう」と思われます。チャンスを与えてもらえることは仕事の成長につながりますので大事なことです。

2、笑顔とアイコンタクト

常にニヤニヤしているということではありませんが、やる気や素直さは笑顔、考えていることは目で伝わります。上の人から見ると、笑顔で対応してくれる人は「可愛げ」があります。笑顔だと口角も上がり、口の中が広くなるので声も明るく響きます。

3、すぐにやる

何でもすぐにリアクションする。トップになるほど多忙になります。すぐに返してくれる人ほど有り難いものです。例えば、返事一つでも「はい。」(→「。」までしっかり)とすぐ返す。「はあ〜い」や「はァ・・・(語尾が落ちる)」「はいはい(2回言う)」はNG。

 

同じ力量であれば「どちらに頼もうか」と考えた場合、人間ならば、やはり好感度の高いほうを引き立てると思います。

3つとも、簡単にできるものばかりです。

とくに甲高い声や、アニメ声の人は、落ち着いて低い声で話すようにしてください。

より良い仕事をするために、「どんな自分を覚えてもらいたいか」。
ぜひ、設定してみてください。

 

※このコラムは2019年10月7日に書かれたものです。2019年10月8日に日産は内田誠専務執行役員が社長兼最高経営責任者(CEO)に昇格するトップ人事を発表しています

 

プレゼンでハスキーボイスを武器にする方法

「ハスキーボイスで声に自信が無いんです」

そんなご相談を受けることがよくあります。

「夕方になると声がしゃがれてしまって・・・」とおっしゃる方もいます。一日声を出すと声帯が疲労してしまい、声帯がしっかり閉じなくなって息が漏れやすくなり、ハスキーボイスになります。水分不足のこともあります。こういう方は、少し休めばすぐに元の声に戻ることが出来ます。

でも、常にハスキーボイスの方も多くいらっしゃいます。ハスキーボイスの原因は、喫煙をしていたり、アルコール度数の高いお酒を頻繁に飲んでその後にカラオケをやっていたり、幼い頃兄弟が多かったり、野球などの大声を出すスポーツをやっていた経験が長かった方など、また、八百屋さんのように一日中喉を締めて声を出していることが長い年月続いた場合などです。

ただ、ハスキーボイスの個性的な声はプレゼンにおいては大きな武器になります。一概にコンプレックスを感じる必要はありません。

ハスキーボイスは、情緒的な感情が伝わりやすいのが強みです。例えば森進一さん、桑田佳祐さんなどが典型的なハスキーボイスとなります。

ただ、使い方が難しいのです。声が響かないためカリスマ性が出しにくいですし、普通に話すと声に芯が無く、弱々しい印象になり、大事な内容が素通りして聴き手が聞き逃してしまうこともあります。

使いこなすポイントは、息のスピードや量です。息を多めに吸って横隔膜を使って声を出せば、独特の情緒と迫力が出て、他の人は真似できない高い次元のカリスマ性が発揮されるようになります。

先日、三井不動産・菰田正信社長の会見を取材してきました。

菰田社長は、典型的なハスキーボイスの方です。ハスキーボイスが柔らかい雰囲気を演出していて、質疑応答でも鋭い質問を上手にかわしていたのが印象的でした。
もしご興味ありましたら、広報会議11月号をご覧下さい。

 

「広報会議 11月号」
日本橋に青空を蘇らせる 中長期を見据える強い意志

2019/10/02 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika