No.291 パーパスをプレゼンで語るのは、意味がある

先週のメルマガで、パーパスについて書きました。その続きです。

会見でパーパスを語る企業が増えてきました。
パーパスは、企業の本質を表すものです。
新商品や新サービスの発表会見で、会社のパーパスもあわせて語ることで、その企業が何をしたいのか、そしてなぜその新商品・新サービスなのかが、メディアにストレートに伝わります。

そして良いパーパスは、トップだけではなく一般社員さんが語ることでも大きな効果を発揮します。

パタゴニアのメディア会見を取材したときのことです。
試食会でオーガニック食品が提供されました。しかし価格は一般的な商品よりも高額です。
スタッフにその理由を尋ねると「はい。高いんです。私たちは環境を再生する農業や漁業をサポートしていますからね」と、自信を持って説明してくれたのが印象に残っています。

パタゴニアは「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」と宣言しています。
社員さん一人一人がパーパスの内容に腹落ちしているので、何を聞かれてもぶれることがないのです。

しかし実際には、せっかく良いパーパスを作ってもトップだけが語っている企業が多いように感じます。

パーパスは、トップが語るためのものではありません。
企業の関係者全員のものです。

ぜひあなたも、御社のパーパスをプレゼンの内容に入れ込んで語ってみてはいかがでしょうか?

2023/05/25 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.290 額縁パーパスにならないために

「会社のパーパス」を語るリーダーが増えています。
パーパスとは、会社の存在意義のこと。会社の本質を一言で表現したものです。

最近、さかんにパーパスが語られるようになった背景には、働く会社を決めるときにパーパス重視の人々が増えてきているためです。
入社時や転職時に「パーパスを年収よりも重要視する」という方が半分以上いる、という調査もあります。

「ウォンテッドリー、企業のパーパスと採用に関する調査結果を発表」2022年7月11日)

いまやより良い人材に選んでもらうためには、パーパスは不可欠。
パーパスを掲げるトレンドが生まれているのです。

しかしパーパスを作っても、数ヶ月も経つと経営幹部でも「ウチのパーパスなんだっけ」となってしまうケースは少なくありません。本来パーパスは自分の言葉で語るべきなのに、プレゼンでパーパスを読み上げているトップもいたりします。

一橋大学ビジネススクールの名和高司客員教授は、このようなパーパスを「額縁パーパス」と名付けています。
額縁に入れて飾っているだけで、身についていない…。
リーダーが、台本のように額縁パーパスを棒読みしていたら、嘘くささを感じてしまいますよね。

パーパスは会社の本質です。
リーダーが自然に出てくる自分の言葉で語って、伝えていくものです。

パーパスを伝えるときに単なる綺麗ごとではなく、より説得力を高めるには、具体的な言葉を入れると話しやすくなります。

サイバーエージェントは2021年に「新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」というパーパスを制定しました。藤田社長は、パーパスを次のように語っています。

インターネット産業は成長を続け、新しい仕事も増えて、若い人が活躍している。しかし自分達の外に目を向けると多くの先送り世代が居座り、若い人の閉塞感につながっている。既得権益も存在する。
ビジネスも日本の閉塞感はこれからも続く。現状の延長線にある限りそれを打破する動きは進みそうにない。しかし民間企業としてやれることはある。情熱を持って、熱狂しながら変えていきたいと思える問題があれば、その状況を打破するのは自分達の役割の一つだ。
(ハーバード・ビジネスレビュー 2022年6月号)

パーパスは飾っておくものではありません。
ましてや暗記するものでもありません。
ぜひ、ご自身が腹の底から信じることを、具体的で力強い言葉で語っていただきたいものです。

2023/05/18 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.289 嗄れをなくす発声法

人前で話すとすぐ声が嗄れてしまう方、結構多くおられます。
それに話している途中で声が嗄れるのは話しにくくて困りますよね。
一方で声が嗄れない人もいます。

声が嗄れる原因は、喉に余分な力みがあるからです。
ただ「つい力が入ってしまう」ということは、醒めていたり、感受性が弱かったりする人よりは何倍も感動する話になって相手に伝わる可能性も高いので、必ずしも悪いことではありません。

ただ、声嗄れを繰り返しすぎるとガラガラ声に移行して定着してしまうことがあるので、要注意です。長時間大声で話す政治家や八百屋さんなどに声が嗄れている方が多いのは、限界を超えて無理に声を出し続けた結果です。

声嗄れは力みが原因なので、声嗄れを防止するには、声帯をリラックスさせるトレーニングをすると良いでしょう。
ポイントは、声帯を緩めるための「息を使う」ことです。方法は以下です。

(1) ガラス磨きや眼鏡を拭くときガラスに「は~」と吹きか
けるような息をはく

(2) 息を吸って話す

(3) (1)(2)を繰り返す

「は~」と暖めの息をはくことで声帯の力みがとれてきます。
簡単ですのでお試しください。

本番中声が嗄れてしまった場合は、水を飲むことで応急処置ができます。
声が嗄れやすい方は、水を用意してプレゼンに臨みましょう。

2023/05/11 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.288 プレゼン苦手の克服法

「私、プレゼンが大の苦手。やったら絶対失敗しちゃいます。できれば一生やらないで済ませたいです…」

こんな方がいらっしゃいました。
でも社会人ならどんな人でもいつかはプレゼンする機会は訪れるものです。

本来は「これやりたい」「楽しそう」と思って取り組む方が成功しやすいと言われています。
では「仕方ないからやる」のは、やっぱり無駄なのでしょうか。

知人に誘われて、田んぼの草取りの手伝いに伺ったことがあります。当時の私は、「庭の草取りだって面倒なのに、なんで田んぼの草取りをしなくてはならないの?」と思いました。
なんとなく草取りを始めましたが、つまらない単純作業の連続です。

でもやっているうちに少しずつ雑草の抜き方や水田の動き方のコツがつかめて、気持ちに余裕が出てきました。そうすると、「どうするともっと効率が良くなるか」、「身体を上手く使うにはどうすればいいか」など、工夫しながら作業するようになります。ふと楽しんでいる自分に気がついたのです。その瞬間、自然への畏敬の念と共に、幸せな気持ちがわき上がってきました。

江戸時代初期の思想家・鈴木正三(すずきしょうさん)は、「何の事業も皆佛行なり」 と考え、「ただ無心に行動することで気づきが得られる」と言います。
正三の時代は、悟りを開こうと思えば寺院にこもって修行しなくてはいけないと考えられてきました。しかし正三は、日々の仕事こそ仏行であり、仕事をすれば自動的に世の中に貢献することになり、ただ仕事に感謝して働けば悟りが開けるということを言ったのです。

自分が見えている世界は、これまでの経験からくる前提や思い込みから出来ています。
新たな経験をしてみると何かしらの「気づき」があって、想像していた世界と違って見えてくるということがあるのです。

プレゼンも、ご縁があったらまずはやってみる。そこから自分が変わっていくということがあるのだと思います。
 

2023/04/27 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.287 プレゼンが上達する人は「頑固」である

コンサルティングで見違えるようにプレゼンが上達する人にはある共通の特徴があります。
それは「頑固な人」です。

これって意外ですよね。
一般的には「素直じゃないと、人は伸びない」と言われています。

でも「素直」とはそもそも何でしょう。ちなみに辞書にはこう書いています。
「飾り気がなくありのままである様子」
「従順で、人の言動を逆らわずに受け入れるさま」

「非を素直に認める」「忠告を素直に聞く」「行為を素直に受ける」とよく言います。
素直さは、どうやら「受け入れる」という要素があるようです。

でもちょっと考えてみて下さい。なんでも「受け入れる」人って、どうでしょうか?

「Aにしたらいいと、思いますよ」
「そうですね。確かに。Aにします」

「それ、ダメですよ」
「そうですか。早速やめるようにします」

(なんだか物足りない)という気がしませんか。
確かに素直です。でも他人の意見を右から左に受け入れ続ける「自分がない人」のようにも見えますよね。

こんな状況を、精神科医の土居健郎はこう表現しています。

「『自分がない』とは、『私は自分というものを持っていない』、『彼は自分というものを持っていない』など、自身の内面を反省的にとらえている自己意識のこと」

よく会議で「彼には、自分の意見がない」「彼は何をやりたいのか分からない」と言われる人がいます。
こんな人も「自分がない」状態に陥っています。

組織の中で「自分がある」状態にするには、勇気が必要です。
他人と対立したくない場合は尚更です。自分の意見を強く主張すると「あいつはKY」とか「あいつは頑固」と言われてしまいますよね。

人は様々な経験を蓄積しています。だから自分なりの持論や前提を持っています。
こう考えると、人は本来「頑固」なものなのです。
この頑固さが、その人の価値観を形作っています。

一方でこの頑固さという価値観は、何か大きな壁に直面して、価値観の限界に突き当たることがあります。
こんな時には、価値観そのものを大きく変えて行く必要もあります。

その時にこそ必要なのが「素直さ」です。
こう考えると人が成長するためには、頑固さを持ちつつ、相反する素直さも持ち続けることが、必要なのです。

最初の話しに戻りましょう。
コンサルティングで見違えるようにプレゼンが上達する人は、アドバイスを受け入れつつ、自分の意見を人前で通す頑固さを持つ人なのです。

2023/04/20 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.286 新しいことをすると成長する理由

「いままでずっとこのやり方でやってきた。だからこれでいいんだ」と言って、プレゼンのやり方を変えない人が多くおられます。

確かに、経験から確立したノウハウは安心感があります。でも、同じやり方ばかりでは成長が停滞してしまいます。

なぜなら、人の脳は新しいものを好む性質があるからです。脳科学者の茂木健一郎氏は「人の脳は100歳まで進化することができる」と言います。これが「オープンエンド」といわれるもので、脳は永遠に完成することがない構造になっているということです。

脳が進化するためには単純な条件があります。「新しいことをする」ことです。新しいことを好む脳に新しいことを提供し、新しいことを達成すれば、脳から「ドーパミン」という報酬物質が出ます。このドーパミンが脳の進化を促進するカギになるのです。

しかも、その「新しいこと」は結果が予測しにくい「不確実」なものほど良いのです。

2003年、ケンブリッジ大学のシュルツらのグループにより、不確実性とドーパミンの関係を調べた実験があります。猿に、スクリーンで様々な刺激を見せて、それぞれの刺激によって異なる確率でジュースがもらえるようにしたのです。刺激と確率は、

① 刺激Aが出ると100%確実にジュースがもらえる。

② 刺激Bが出ると50%の確率でジュースがもらえる。

としました。この実験でドーパミン細胞の活動を調べると、②50%の確率条件のほうが、刺激を見てから報酬がもらえるまで継続的な活動が続いたのです。

つまり、ジュースが確実にもらえると分かれば猿は安心し、ドーパミンの活動は下がります。一方、「ジュースがもらえるか、もらえないか分からない」という方が、より興奮して猿のドーパミンは活動的になったのです。

不確実なことにチャレンジするということは、そこから新しいことを学べるということです。特に経験を重ねた人は、体験や知識が多く蓄積されていて、「これをするとどうせ失敗する」「どうせ大したことはない」と決めつけてしまう傾向にあります。

ではどうすればよいでしょうか?

やり方をすぐに変えようとすると抵抗感があるかもしれません。まずは簡単にできることから始めると良いでしょう。

例えば、いつも演壇で話している人は、演壇から出て全身を見せて歩き回りながら話してみる。
いつもプレゼン資料を読み上げながら話している人は、内容を覚えて話してみる。
いつも質疑応答の時間をとらない人は質疑応答を行い、聴き手とコミュニケーションをとってみる。

知らないことや、気が進まないことでも、まずは行動してみることです。もしピンとこなければやめればよいのです。でも、行動してみれば意外に新しい発見があったりするものです。脳はもともと新しいものが好きですので、それをきっかけに新たな可能性が広がるかもしれません。

2023/04/13 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.285 プレゼンが成功する瞬間「ノウイング」

「しっかり準備しているのに思った通りのプレゼンができなくて失敗ばかり。どうしたらいいんでしょう」

こうして悩む方、多くおられます。
これは、自転車に乗るときと似ています。
私は、逆上がりもできず、跳び箱も跳べず、自転車にも乗れない、かなり鈍くさい子どもでした。

でも自転車の練習を続けているうちに、ある日突然乗れるようになったのです。
言葉にはならないけれども、「ああ、これだったんだ!」という不思議な体験。今でも鮮やかに思い出せます。

ひたすら実践して悩み、あるところで自分自身が新しくつかむ感覚。

これは知の「再創造」といわれます。「ノウイング」(knowing)とも言われます。
北海道大学大学院 経済学研究科教授・松尾睦氏はノウイングを以下のように説明しています。

私たちは結局、膝小僧をすりむきながら自分で自転車の乗り方を習得したのではなかったでしょうか。(中略)内省し、教訓を引き出すことが「ノウイング」にあたります。ノウイングをしていない人は、単に他者の知識を鵜呑みにしているだけで、「内省」や「教訓を引き出す」ステップをスキップしてしまっている人、つまり自分の頭で考えていない人です。
(松尾陸『職場が生きる 人が育つ「経験学習」入門』ダイヤモンド社2011年より)

このノウイングは、プレゼンでもあります。

たとえば、自分の声が自信を持って鳴り響きだしたとき。
あるいは、聴き手の反応が手に取るように感じられたとき。

ノウイングとは、何度も教えられて分からず、悩んだ末、しばらくたってから何かの拍子にその意味がわかるものです。

今分からなくても、出来なくても、1分後に分かるかもしれません。
明日分かるものかもしれません。
もしかしたら1ヶ月後かもしれません。

ですから諦めてはいけません。
淡々と学び続けていることで、ある瞬間に会得できるものなのです。

2023/04/05 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.284 良い資料を作るコツは、まず始めること

「発表資料が上手く作れない」
「内容の台本が書けない」

こうお悩みの方は多いかと思います。

世の中には上手なプレゼン資料が作れるようになるハウツー本が溢れています。

「メッセージは短くシンプルに」
「図表やグラフを入れすぎない」
「文字は大きく」
「結論から始める」

「なるほど」と思うものばかりです。
でも、これでいい資料が作れるかというと、それは全く別問題。
以前は、私もこれらの本を読みましたがなかなか上達しませんでした。

ではどうすれば良いのでしょうか。

それは、まず作業し始めることです。
多くの人は「時間がないし、速くパワポ資料を作らないと」と思いがちです。
でもこれではまずうまくいきません。

まずは始めるべきは、手書きのラフから。
必ずしも順番通り考える必要はありません。
冒頭のアイデアが出なければ、やりやすいところから始めれば良いのです。

これは文章を書く方法と同じです。
文章を書く究極のコツを、英語学者で評論家の渡部昇一氏はこう言います。

とにかく書き始めることだ。構想しているようなことは一枚目を書いたとたん飛び散ってしまうこともよくある

渡部氏は「書き始めるだけ」とおっしゃいます。
あれこれ構想している段階と、書き始める段階は、別次元というわけです。

作業を始める前に、考えを巡らせるばかりで時間が経ってしまう方、多いのではないでしょうか?
資料の一枚目を書き始めるまでが最も難しいのではないかと思います。

資料づくりが上手くなる究極のコツは、「まず思い切って、手書きで始めてしまうこと」。
最難関を乗り越えて手書きのラフで1枚目が書ければ半分以上は書けたようなものです。

まず、アウトプット。
これが大事なのです。

クックパッドで美味しい餃子の作り方を眺めているだけでは、美味しい餃子が作れませんよね。
まず実際に餃子を作ってみることです。これとまったく同じです。

資料作りのハウツー本を見ても、なかなか上手くなりません。
まずは、作業し始めましょう。

2023/03/30 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.283 時間をかけても良いプレゼン資料にならない理由

プレゼン資料を拝見して「いま一つだな」と感じる時があります。
一方で「これはいいプレゼン資料だ!」と思うこともあります。そんな資料は、話し手自身が時間をかけて作っていると
いうことが分かります。
ただ単に時間をかければよいわけではないので、注意が必要です。

英語学者で評論家の渡部昇一氏は、「知的時間で押さえておきたいことは、脳の働きと時間の関係です」と言います。
渡部氏は、英国の詩人・コールリッジの名詩「クラブ・カーン」が未完に終わっている理由を事例にあげて説明しています。
未完に終わっている理由は、コールリッジが作詞を始めて50行目にさしかかった時に突然の訪問者があったためです。客の対応をした後、コールリッジは机に戻りましたが、二度と詩のイメージが戻らず、51行目以降が書かれることはありませんでした。

渡部氏は「脳の働きと時間の関係は溶鉱炉と同じだ」と言います。

溶鉱炉は一度火を消すと大変なので火を消さないようにするといいますが、知的作業も同じで、頭のエンジンが暖まるのに約一、二時間、それからもう二、三時間中断されることなくその仕事を続けると、頭はますます冴えてきて、その仕事にとりかかった時には予想もしなかった展開や思いがけぬ閃きが次から次へと生まれてきます。このフィニッシュの頃が知的作業の最高の時間なのですが、その時間を引き連れてくるためには、絶対に途中で中断しないことなのです。

最も知的生産性が上がりやすい時間は、開始してから2時間以降です。
身体を使うような作業であれば、確かに休憩も良いでしょう。しかし頭のエンジンが暖まる前に知的作業をやめては、知的生産性は上がりません。本当の実力が発揮できるゴールデンタイムは1~2時間後。そこまで待てるか否かがカギです。

まとまった時間をとるのは難しいかもしれませんね。でも中断が入りにくい朝の時間帯であれば、ある程度の時間を確保することは可能です。こうして知的生産性を上げることができます。

つまり単に集中力が高くても、あるいは時間をかけるだけでも、知的生産性は高まりません。まずまとまった時間を確保し、中断せずに作業を続けることで、知的作業効率が上がって良いアウトプットにつながるのです。

よいプレゼン資料づくりに必要なのは、このような時間を創出することです。
これは話す練習をする以上にプレゼンの成功につながります。
プレゼンを控えている方はぜひ「中断しないまとまり時間」を確保して作成されることをおすすめします。

2023/03/23 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.282 良いホラは、命を救うこともある

イーロン・マスクはこんなミッションを掲げてスペースXという会社を創業して挑戦を続ける経営者です。

「火星に人類を送り込み、人類を救う」

このミッションを聞いたとき、私は「とんでもない大ボラを吹く人が現れた」と思いました。
しかしイーロン・マスクはこのミッションを真剣に追求し続けています。
いまやスペースX社は、NASAの宇宙ミッションには欠かせない会社になりました。

まったくやる気もないのに、ウソをつくのはもちろん論外です。
でも時と場合によっては、本気で信じるのであれば「ホラ」を吹くことは大事なことなのです。
人が動くか動かないか、更に言うと、ビジネスで生き残れるか生き残れないかは、ちょっとしたことで大きく差がつくからです。

ここからご紹介するのは、実際にあったお話しです。

ハンガリー軍の小部隊が、軍事機動演習中にアルプス山脈で猛吹雪にあい遭難してしまいました。隊員たちは死の恐怖に怯えて立ち往生してしまいました。すると1人の隊員が、ポケットから地図を見つけました。
「これで山を降りられる」全員が下山を決意し、行動を始めました。そして地図を見ながら帰り道を見つけ、無事下山に成功したのです。
しかし隊員たちの帰還を待っていた上官は、その地図を見て驚きました。
それは、アルプスの地図ではなく、ピレネー山脈の地図だったのです。

なぜまったく別の地図なのに、彼らは全員助かったのでしょうか。

命の危険が迫るパニック状態の中で地図を見つけて、まず全員がこう思ったのです。
「下山できる」→「よかった、命が助かるぞ」そしてこのストーリーを全員で共有しました。
その結果、下山する行動を開始できました。
こうして具体的な行動を開始した結果、一致団結して危機を脱したのです。
もし下山を決意せずに立ち往生したまま行動しなければ、全員遭難して命は助からなかったでしょう。

これは、社会心理学者カール・ワイクが著書「センスメーキ
ング インオーガニゼーションズ」で紹介したエピソードで
す。
ワイクはこの事例を「センスメーキング理論」で説明してい
ます。

センスメーキング理論は「意味をつくり、共有すれば、チームの方向性が与えられる」という考え方です。ここで必要なのは、皆が納得して共感できる、魅力的な「優れた物語」です。

ワイクはこう述べています。
「『優れた物語』には、正確性があればそれにこしたことはない。しかし正確性は必ずしも必要ではない」

人は感情で動きます。
自分が聞いた物語に共感することで、「単に聞いた話」が「自分ごと」となり、行動に変わるのです。

正確性は必ずしも必要ではないとはいえ「ウソ」は御法度です。
不祥事会見で、知っていても「知らなかった」というトップがいます。これは保身のためにごまかす大ウソですよね。

良いホラは、魅力的な物語で人を動かし、組織を成長させます。皆を幸せにするために、リーダーが自らを追い込み、腹を括らせるものでもあります。良いホラは、大きなビジョンなのです。だからホラは大きければ大きいほど良いのです。

イーロン・マスクほどのホラは難しいかもしれません。しかし「自分は仕事でこんなことを実現したい」という思いは、誰でも持っているはずです。
次のプレゼンではそんな大胆に高い目標を語ってみるのもいいかもしれません。

価値観や理念が「優れた物語」によって共有され、納得されれば、人は共感して行動し始めるのです。

2023/03/15 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.281 マスクをつけても表情豊かに伝わる方法

まだまだマスクが取りにくい状況ですよね。
そこで、こんなご質問をいただくことがよくあります。

「対面でマスクを付けたままで、表情豊かに伝えるにはどうしたら良いでしょうか?」

マスクはどうしても声がこもりがちになります。ですので、少し頑張って2割増しに声を前に飛ばすように意識してください。

また、マスクをしても相手の表情が伝わってくる経験をされたことはありませんでしょうか?
そういう方はたいてい表情が豊かです。
つまりマスクをしている時は、ややオーバーな位に表情を作らないと伝わらない、と言うことです。

ですので顔全体の表情筋を鍛えて笑顔のトレーニングをしておけば、マスクをしていても表情が伝わりやすくなります。
今日は直前にするだけでも効果があって誰でも笑顔になれるトレーニングをお伝えしましょう。

【口角アップスペシャル】(1分)

(1)唇をぴったりと閉じ、口角をあげるように笑う。

(2)左右の人差し指を立てて、口角をトントンと軽くたたく

(3)唇の両端に1本ずつストローをくわえ、出来たてのフラペチーノを圧をかけて吸い込むようなつもりで、口角が少し痛くなるくらいに緊張感を持たせる

(4)唇の両端に1センチくらい離して左右の人差し指を立て、口角を持ち上げるイメージで指をゆっくりとあげる。ゆっくり20数える。

これで口角が上がり笑顔が出やすくなります。

さらにマスクをしているときは、表情だけに頼らずに、手振りを加えた表現をするのもオススメです。

2023/03/09 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.280 人前で声が震える人の対処法

「人前で話すと緊張で声が震えてしまって困ってます」

と、こういうご相談を受けることがあります。

極度な緊張で声が震えることはよくあります。

しかしほとんどの人は話し手の声が震えているのは気にしていません。

話し手は骨伝導で自分の声を聞いています。
骨伝導とは骨を通して内耳に直接振動を送り、脳に音を届けること。
声の震えが脳に直接届き、より強調して聞こえるため気になってしまうのです。

逆に、空気の振動で聞いている聴き手は、話し手ほど震えは聞き取れません。

それに声を美しく響かせるために、わざわざ声を震わせる「ビブラート」という発声方法があるくらいです。
声を震わせながらでも、言うべきことをきちんと伝えれば問題ありません。

ただ、声が震えていると話し手自身が気になって話しにくいものですよね。

声が震えるのは緊張で横隔膜が硬くなっているためです。
事前に横隔膜を鍛える発声法を行っておくと震えにくくなります。
下記の悪代官発声法は、誰でも簡単に横隔膜が使えるようになる発声トレーニングです。

【悪代官発声法】
ステップ1:口を開けてゆっくり息を吸い、口を閉じ、あごを下げ口の中に空間を取ります。

ステップ2:口は閉じながら、手をお腹に当てて「フッフッフッフッ……」と悪代官の気持ちで笑う。お腹が動くのを確認します。

ステップ3:ステップ2の笑顔のまま、越後屋と目配せするつもりで、ゆっくりと「越後屋、(間合い)おぬしも(間合い)悪(ワル)よのぅ~~」と言う。

また本番で声が震えたとしても、途中で呼吸しながら話すように意識すれば極度な震えはなくなっていきます。
ぜひお試しください。

2023/03/01 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.279 オンラインでの印象が良くなる目線の使い方

最近こんな質問を受けました。
「オンラインプレゼンで、カメラを見続けていないと印象が悪いでしょうか?」

今や、オンラインでのプレゼンは当たり前ですね。
オンラインプレゼンでよく見かけるのが、手元のメモを見て視線が下向きのまま話していたり、カメラを真横に置いて話しているので画面上でそっぽを向いて話している人です。

「目は心の窓」と言われます。
カメラ方向に目を向けないと、聴き手と視線が合わず気持ちが伝わりません。
だから確実に印象は悪くなります。

対策は、画面上で見える一番熱心な聴き手のビデオをクリックして、画面上でカメラのそばにドラッグして置くことです。
パソコン上のカメラの近くに、熱心な聴き手がいる状態を作ってしまうのです。

こうすれば、その人とアイコンタクトを取ることで話しやすくなり、リアルさながらのプレゼンになります。話し手がカメラに視線を向けているので、オンラインプレゼンの視聴者全員が、まるで一対一で話をされているように感じます。

ぜひ話す内容は覚えて、カメラの方向を見てお話ししてみてください。
印象は格段によくなりますよ。

2023/02/22 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.278 一流のプレゼンを真似ると、三流になる理由

ある企業の社長交代後に、新社長のプレゼンを見たときのこと。

ハキハキした話し方、派手な身振り手振り、イキイキした表情。
全て先代トップとそっくりのスタイル。
猛練習の跡が感じられます。

しかし、その後の質疑応答では先ほどのエネルギッシュなプレゼンとは別人。
素に戻っていました。

「部下は上司に似る」と言われます。
元上司である社長の影響を受けてしまうことは、仕方ないことかもしれません。
そして「学ぶ」ことは、「真似る」ことでもあります。
「まなび」は、模範となる人を見つけて「まねる」ことから始まります。
「真似る」こと自体は、必ずしも悪いことではありません。

しかし、真似には怖い罠が仕掛けられています。
それは”猿真似”。

プレゼンの達人は、長い年月の試行錯誤と葛藤を経た末に、自分に合ったスタイルを確立しています。
そのスタイルを、資質や生き方・体格も違う人が真似しても、違和感があるのは当然。
「聴き手に刺さるプレゼンをしたい」と思ったら、本来学ぶべきことは単なるスタイルではなく、達人たちの背後にある思想を理解し、身体と心でつかむことです。
それを理解せず、模倣しているだけの人は猿真似の罠にはまってしまうのです。

TEDでは、プレゼンを鍛え抜いた達人たちが、見事なプレゼンをします。
TEDプレゼンのストーリーは、必ず(1)Why I、(2)Why we、(3)Why nowの順番になっています。
TEDにはプレゼンをサポートする事務局がいて、必ずこの流れで語るように指導しているようです。
つまりこれは、TED流の「鉄板プレゼン構成術」ですね。

そこで新任課長になったスズキさんは、新たに部下になったチームメンバーにTED流プレゼンで抱負を語りました。
結果は…、部下たちから「なんか新しい課長、言ってることが抽象的で、よく分からない」とウケが悪かったそうです。

TEDのように不特定多数の場で大きな夢を語る場合、この話し方は訴求力抜群です。
でもTED流は、必ずしも万能ではありません。
本来、新任課長のスズキさんが新メンバーの前で語るべきことは、(1)会社は何を目指しているか、(2)自分たちのチームがやるべきことは何か、(3)自分はメンバーにどんな貢献ができるか、を、自分の持ち味を活かして、誠実に語ることなのです。

一流のプレゼンを真似るだけでは、単なる猿まねになって相手に「何か嘘くさい」と思われて伝わりません。必要なことはTPOにあわせて、自分らしさを活かし、誠実に聴き手が求めていることを語ることなのです。

2023/02/15 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.277 リーダーのメッセージでメンバーのやる気が変わる理由

このように悩んでいるリーダーの方は多くおられます。

「私が話すと、なんかみんな退屈そうにしているんです。メンバーがやる気になってくれるようなメッセージを届けて、もっと盛り上げたいんですけどね。どうすればいいんでしょうか」

「人の行動は、環境で80%決まる」と言われています。多くの人は、他者の影響を受けながら生きています。そもそも人は、組織や社会的なルールに同調して動きやすいものなのです。

不祥事が起こるのも、このためです。
もし会社組織の行動が悪い方へ向かうと、社員はその行動に同調してしまうのです。

視点を変えると、この同調的行動を上手く使えば組織を良くしていくことができます。
人が同調的に行動しやすいのならば、誰かが良い行動をしたり、良い環境を整えれば、組織は良くなっていきます。

「割れ窓理論」をご存じでしょうか?

家屋の割れた窓ガラスを放置する地域では「誰もこの地域に関心を払っていない」というサインになり、やがて他の窓も壊され、犯罪が多発しやすなる、という理論です。

1980年代に犯罪多発地域だったニューヨーク市はこの理論を応用して、落書きや違法駐車などを徹底的に取締り、治安を回復しました。
街が整えられていることで、「ニューヨーク市は犯罪に関心を払っている」というメッセージになり、悪い行動をする人は減り、犯罪も減ったのです。

また人は「威光模倣」を行います。

尊敬する上司に、いつの間にか部下が話し方や行動、服装まで似てきてしまうということがありませんか。
人は、信頼し、自分に対して権威を持つ人が成功した行動を模倣するのです。

「組織がなかなか良くならない」と嘆くリーダーは少なくありません。

まずはリーダーが率先して理想的な態度を示すことです。
そしてそのような態度を伝える上で、プレゼンは最適です。
リーダーが態度や考えを伝えるための強い影響力を持っているからです。

次回のメンバーの前でのプレゼンは、手を抜かずに、「皆にこうあってほしい」という姿を考え、自らきっちりと語ってみてはいかがでしょうか?
メッセージに影響されてメンバーのやる気が変わっていくはずです。

2023/02/08 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.276 プレゼンが、型どおりでは相手に伝わらない理由

プレゼンには様々な「型」があります。
古くはプレゼンテーションZen。最近はTEDなどです。でも、本当に型どおりやっていれば上手くいくのでしょうか?

私が、ある企業のインナーコミュニケーション向上のためにコンサルティングで入ったときのこと。
広報担当者さんは「トップのメッセージで社員のやる気が上がらなくて困ってます」とおっしゃいます。
そこで過去に収録したトップのプレゼンを見ると、社員の前で部下の書いた台本を正確に読み上げています。

コンサルティングで、トップに聞きました。
「そもそも、なんでこのやり方でやっているのですか?」

トップはこうお答えになりました。
「うちの会社は今までずっとこのやり方でやってきたから…」

代々受け継がれてきた型に対してまったく違和感を持たずやっていたのです。
でも、これで社員のやる気はなかなか出ませんよね。

そこで、やり方を見直しました。
コンサルティングではトップと話し合いながら、「社員にどんなメッセージを伝えたいのか」をシンプルに構成。
そして本番では台本は見ず、トップ自身の言葉で話すことにしました。

すると地味ではありますが、トツトツとした語り口からトップの実直な人柄が醸し出されて、じんわりと伝わってきます。
話しを聞いた社員の方々から「社長の言葉を聞いてやる気になった」という感想がたくさん届きました。

トップは型を破ることができたのです。

「守破離」という言葉があります。
「型どおりこなす」ということは、大事なことかもしれません。
でも、もしその型が自分のタイプとミスマッチであれば、うまくいかないのは当たり前のことですよね。
その型が本当に正しいのか、一度疑問を持ってみることが、さらなるご自身の成長につながるのです。

2023/02/01 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.275「伝える=人が動く」ために必要なこと

言葉やプレゼンで人に何かを「伝える」のは、人を動かすためです。

人は何かを伝えるときは必ず目的があります。
たとえば「聴き手に行動や考え方、気持ちを、良い方向に変えてほしい」
その思いを言葉や身振りに託して伝えます。

その結果、相手が動いてくれることが「伝える」ことです。
いくらジョブスばりの立派なプレゼンテクニックで話しても、相手がスルーされたら、「伝える」目的は達成されません。

では具体的にどうすれば伝えることができるのでしょうか?

大事なことは、話し手が「なぜそれをしなければならないのか」という大義名分を語ることです。
聴き手は「なぜ自分がそれをしなければならないのか」という大義名分を聞くと、自分ごとに置き換えて考えるようになり、動きます。

「日経ビジネス」2023年1月23号にパナソニックHD社長兼グループCEO楠見雄規氏のインタビューで、楠見さんが米テスラ社の社員さんの言葉を紹介していましたのでご紹介します。

社長就任後に(イーロン・マスク氏と)オンラインで2、3回やり取りしたときのことです。マスク氏が会議に入ってくる前に、社員と少し話す時があった。そのとき「私たちはお金も稼がないといけないが、地球を救うためにやっているのだ」と言うのです。素晴らしい。感動的でした。

社員さんはイーロン・マスク氏の言葉を受けて会社がなぜあるかを腹落ちしているのです。

その人の大義名分は、人の心を動かします。

マスク氏のような大きなスケールでなくともまったく構いません。
「困っているお客さんの力になろうよ」
「この地域の人たちを助けたいんだ」
こんな身の丈のことでもいいのです。

皆さんも、ご自身なりの大義名分を考えて言葉にしてみることをおすすめします。

2023/01/25 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.274 広報の言うことを聞かないトップ。どうする?

「社長がものすごく話しが下手。プレゼンの練習もしない。改善しましょうと提案しても変えてくれない。どうにかできないでしょうか?」

広報担当者さんのよくあるお悩みです。

特に難しいのは、トップご本人に自覚が全くない場合です。
恥ずかしいと思っているのは周囲だけ。
本人は「これでいい。そこそこイケてるよ」と思っている。変える気はサラサラありません。
結果、広報担当者が何を言おうが、全く聞く耳持たず、なのです。
部下の話を全く聞かないから、こうなってしまうのです。

こんな聞く耳持たずのトップを変えることなんて、できるのでしょうか?
一つだけ確実に変えられる方法があります。

実はこんなトップでも、必ず言うことを聞く相手がいます。
まずは大株主。次に社外取締役です。

なぜか社長が素直に彼らの話を聞くのかと言うと、大株主と社外取締役は、社長の人事権を持っているからです。
社長は毎年の決算のたびに、株主から会社の経営を任せてOKかを判断され、社長に指名されます。

でも大株主が細かいところまで経営の状態をいちいちチェックするのって、大変ですよね。
そこで株主から経営のチェックを任される(委託される)のが、社外取締役なのです。

どんなに威張っている部長さんでも、自分の人事権を持っている上司の役員さんに怒られたら、素直に言うことを聞きますよね。
社長と大株主や社外取締役の関係も、これとまったく同じです。

ただ広報担当者が大株主に直接お話しして相談するのは、あまり現実的ではありません。
そこで現実的なコンタクトは、社外取締役になります。

2021年改訂の東証「CGコード」によれば、独立社外取締役は「社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべき」「ステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させること」とありますし、会社の風土を変える機能も期待されています。

実際に私がご支援させていただいた企業様でも、社外取締役から『社長の話し方が良くないのでなんとかしてください』という意見が上がりコンサルティングをご依頼いただいたトップも何名かいらっしゃいます。

社長の行動を変えてほしければ、まず「トップが言うことを聞く人を使う」ことが大事なのです。

ただ広報担当者が社外取締役に相談したことを社長に気づかれると、相談した担当者はとても怒られるかもしれません。
ですのでこの手段は、絶体絶命な時に最後の手段としてとっておきましょう。

2023/01/18 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika

No.273 声が良くなり、二重あご、ほうれい線が消えるボイストレーニングの方法

ある日鏡を見たとき、ほうれい線や、二重あごに気がつくことってありませんか?
年齢が若くても、二重あごだと一気に老けた印象になってしまいます。
じつはボイストレーニングをすると、表情筋もしっかりと鍛えることができ、若々しい印象を与えることができます。

ボイストレーニングの中で特に筋力アップやマッサージ効果の高いものは、「リップロール」です。
リップロールは、声だけではなく、顔の血行や表情筋も鍛えてくれる最高のボイストレーニングです。

今日は、誰でも簡単にできる「リップロール」の方法をお伝えします。

【リップロールの方法】

(1)軽く口を閉じる(上下の歯は軽く離れています)。
 
(2)口を開けて息を吸う
 
(3)口を閉じ、唇をほんの少し突き出し、閉じた唇の間から息を出して唇を「ブルブル」と振動させる。

 
※ポイント:「ブルブル」はできるだけ長めに続けてください。上手く出来ない場合は口周りをリラックスさせて、左右の人差し指で少しずつ口角を寄せたり上げたりしてみてください。
 
(4)(3)が続くようになったら、「ウ~」と歌うように、声帯を反応させながらリップロールを行う。息が切れたら息継ぎしてください。

1日3分くらいでOK。継続すれば声が良くなるだけでなく、表情も若々しくなります。

No.272 手振りで説得力を高めるためのちょっとしたコツ

「人前で話すのが苦手なんですけど、プレゼンすることになっちゃいました。説得力を上げる方法はないですか?」

こんなご相談を受けることがあります。

内容は良く出来ていても、プレゼンでいかにも苦手な感じが出ると、説得力や安心感が大きく落ちてしまい、せっかくのいい内容が聴き手に伝わりません。これはもったいないですよね。

そこで時間をかけず簡単に説得力が上がる方法があります。
それは手振りを使うこと。

手振りの基本は、ろくろを回すような雰囲気で両手を広げて体の前に出すことです。
内容に合わせて手を動かすと良いでしょう。

ただここで多くの人が間違えるポイントがあります。
それは、手を速く動かしすぎないこと。

ほとんどの方は、本番になると話すことに精一杯。手振りにまで気が回りません。この結果、手振りしているのですが、セカセカと雑な動きになっています。

手振りは、ゆっくり動かすことで初めて落ち着きが感じられて、説得力が宿るのです。

参考になるのは歌舞伎や能の動きをイメージすること。でもこれは修練が必要です。
そこでプレゼンに余裕がなくても、ゆっくりと手振りができるようになるコツがあります。

それは、ある程度の重みを感じる容量のペットボトルを持ちながら手振りを練習しておくことです。
ペットボトルを持って手振りを行えば、重量感のある丁寧な動きを感覚的に覚えることができます。
そして今度はペットボトルを外して、その重量感がある手振りを再現して、身体で覚えればOK。

手振り一つで、言葉を超えた世界観が表現できるようになります。

ぜひ次回のプレゼンではお試しください。