失敗体験を語れる組織文化は、成長する組織文化

今、組織行動学者エドモンドソンが提唱した「心理的安全性」が注目されています。

エドモンドソンは「『心理的安全性』の高い組織は不正が起こりにくく、成長や進化をもたらす」と述べた上で、心理的安全性の高い組織を作るためのポイントとして、リーダーが「格好つけずに正直に話し、失敗を恐れないこと」を挙げています。

しかし失敗は恥ずかしいですし、隠したくなるものです。誰にとっても失敗を語るのは、気持ちの良いものではありません。そして失敗をネガティブに捉えると、間違いは報告されず、不正隠蔽が起こりやすくなります。

『失敗の科学』の著者、マシュー・サイドによれば、人は失敗について2つのタイプがいると言います。

・「固定型マインドセット」の人…失敗をネガティブに捉えてスルーします
・「成長型マインドセット」の人…失敗をポジティブに捉えて強い興味を示します

ある2人の心理学者が「フォーチュン1000」にランクインした7社の社員を対象に広範なアンケートを行い、各企業のマインドセットを調査したところ、大成功を収めた企業は「成長型マインドセット」の組織文化を持っていることが分かりました。

「固定型マインドセット」の企業は失敗を恐れ、ミスが報告されにくい一方、「成長型マインドセット」の企業では、誠実で協力的な組織文化が浸透していて、ミスに対する反応もはるかに前向きだったのです。

そして組織文化に最も大きな影響力があるのは、リーダーの本気の行動です。社員はリーダーの一挙手一投足をしっかり見ています。

そこで必要なことが、まずはリーダーが率先して派手な失敗談を語ること。これが失敗から学ぶ「成長型マインドセット」の企業文化へ徐々に変革するきっかけとなることです。

この際に大事なことは、失敗を認めること。認めるだけではなく失敗から学んだ経験を語ることです。

これから4月の新年度にかけて、皆さんの前でお話することも増えてくると思います。
つい自分の成功談を話したくなるものですが、多くの社員は、上司の自慢話には本音では飽き飽きしています。しかし失敗談は興味を持って聞くものです。

この機会に「失敗体験の棚卸し」をしてみるのもいいかもしれませんね。