リーダーの涙は隠さなくていい。でも嘘泣きは厳禁

運転免許停止中に人身事故を起こし書類送検され、7回にわたって無免許運転をしたとして在宅起訴された木下富美子都議の会見が話題になっています。
会見が火に油を注ぎ、SNSでも「反省してない」「不快」とネガティブな感想が多く見られました。
これで思い出されるのが、2014年、詐欺罪で有罪となった野々村元議員の号泣会見。こちらも大きく炎上していましたね。

脳科学的な知見によれば、人間の脳は、無意識の世界で他者のわずかな感情や行動の表現を読み取る「共鳴」という仕組みを持っています。作り笑いや嘘泣きを見ると無意識に不快に感じるのもこの仕組みのため。だからムリに演じて見せても、聴き手はどこか違和感を感じてしまうのです。

ハーバード・ビジネススクール教授のビル・ジョージが2003年に提唱した「オーセンティック・リーダーシップ」が注目されています。オーセンティックとは「本心に偽りがない」という意味です。

ウソ偽りのないリーダーに対して人は絆を感じるようになります。人間的な絆を感じながらの仕事は、高いお給料よりも社員の忠誠心を高めることも分かっています。

たとえば、トヨタの豊田章男社長は、リコール問題で米国公聴会の謝罪後、従業員の前で激励の声をかけられ涙ぐんでいました。これはトヨタ社員の結束を高めました。

1997年11月24日、倒産した山一證券・野澤正平社長の会見。「社員は悪くありませんから。どうか社員の皆さんを応援してやってください」と号泣しながらの謝罪会見を行いました。その後も、野澤社長を慕う社員はとても多いのです。

「経営者たるもの、人前で泣くなんて言語道断」と思われるかもしれませんが、真実なら感情を隠さなくても良いのです。だから泣くのもあり。でも本心を偽った嘘泣きは厳禁です。

ここ一番のプレゼンや会見でも、聴き手の心を動かすのは「自分らしさ」
自分自身を見つめ、自分らしさを貫くことがリーダーに求められているのです。