困った数字の質問に答える方法

「ウチの社長、サービス精神旺盛で、メディアの前でつい数字を言っちゃうんですよね…」

広報担当者さんのよくあるお悩みです。

メディア対応で困るのが「数字」に関する質問です。
とくに記者会見で、販売目標数値などの質問の回答は注意が必要です。
短期的成果が求められがちな現代において、数字を言う場合は慎重に検討し、覚悟を決めて言うべきなのです。

ただ、何でもかんでも「お答えできません」では印象がよろしくありません

そこで本日は、質疑応答で困った数字の質問を受けたときに、上手く乗り切る方法の一つをお伝えします。

2019年8月、三井不動産の「日本橋再生計画第3ステージ 記者発表会」にうかがったときのことです。

三井不動産は、首都高の高架橋を撤去し、日本橋に青空を甦らせる日本橋再生プロジェクトを進めていました。そのためには首都高速道路の地下化が不可欠なのですが、「(地下高速道路)わずか1キロで数千億円もかけるのはいかがなものか」と必要性を疑問視する声も一部ではあがっていました。

そのような社会的な背景もあったため、菰田社長が「非公開」と明言しているにも関わらず、記者から事業投資額に関する質問が繰り返されました。
緊迫感が高まり、ついに菰田社長は横に立つ広報担当者に「答えますよ」というような目線を送ると、「数千億から1兆円の間ってことでしょうね。ちょっと幅が広くて申し訳ないんですけど」と茶目っ気のある笑顔を向けたのです。

決定的な数字は言わず、許容範囲ギリギリのところで乗り切った絶妙な回答だったと思います。この「数千億から1兆円の間」は、後日メディアで多く露出していました。

非公開の数字を聞かれて答えるのが難しくても、ヒントをあげたいときがあります。

そのようなとき、「ちょっと幅が広くて申し訳ないんですけど」に、プラス「笑顔」

困った数字を聞かれたときに、ぜひお試しください。