読み上げは事務方だけでいい

新型コロナウイルス拡大防止会見での安倍首相を見て、「プロンプターを読み上げている」「会見する意味がない」との批判が多くありました。質疑応答もカンペを読み上げ、1回目の会見では質問を打ち切って終了。ジャーナリストの江川紹子さんは、「『質問がつきるまで答えましょう』と言えば、国民はどれだけ政府を心強く感じただろうか」と述べています。

また、2020年3月1日の日本経済新聞「【迫真】日産 見えぬ「ゴーン」後」の記事に下記の内容が書かれていました。

「1月30日、日産本社で開かれた首脳会議後の報道陣の取材。冒頭、スナールが『アライアンスの進展について伝えたい』とあいさつ。続いて内田が合意内容を読み上げた。事務方のような役回りに日産社員は言う。『一体、誰がトップなんだ』」

読み上げをする行為は、「私は事務方です」ということを言っているようなものです。

プレゼンの目的は、聞き手の心が動き良い方向へ行動を変えることです。

リーダーが読み上げをすれば、「部下が書いた文章を読んでいるのでは」と聞き手は感じます。自分の言葉で訴えかけていないのに、聞き手の心が動かされることはありません。

もしリーダーシップを発揮したいなら、自分の言葉で語ることです。言い忘れが心配なら、ポイントだけを書いたメモを確認しながら話せば間違いありません。

台本を見ないだけでも、言葉に力が宿り、聞いた人が動くようになるのです。