何度言っても意外と伝わらない。だから繰り返す

 

「『これは大事だ』と思っていることを、ミーティングでメンバーにいつも同じことばかり話している。でも退屈されてないだろうか。ちゃんと聞いてくれているだろうか。何か良い方法があれば教えてほしい」

こう心配するリーダーからの質問をいただくことがよくあります。

答えは「同じメッセージを繰り返して大丈夫です」。

特にリーダーが強い意志を持って組織を良い方向に変革しようとするならば、同じ内容を繰り返すことが必須です。
メッセージの内容を変えれば組織は混乱し、進むべき方向を見失ってしまいます。
そもそも人は、一回言っただけで内容を理解して行動に移すことはありません。

新しいことを始めようとする場合はなおさらです。古い習慣が身についてしまった組織の人たちは、リーダーの言う変革で目指す姿をなかなか頭でイメージできません。だから何度でも、しつこく繰り返すこと。そして、毎回心をこめて話すことです。

最近、「米海軍で屈指の潜水艦艦長による『最強組織』の作り方」(L・デビッド・マルケ
著)を読みました。
これは、アメリカ海軍でダメな艦として有名だった潜水艦「サンタフェ」の乗組員を、わずか1年で海軍トップのチームに生まれ変わらせたリーダーシップの話しです。

中でも、組織開発を行うために、艦長が同じメッセージを繰り返す場面が印象に残りました。

・・・・(以下、引用)・・・・

それからは、くる日もくる日も、ミーティングを開くたびに、何かを行うたびに、同じメッセージを繰り返した。
(中略)
艦での働き方をどう変えるかの説明を私がしているとき、乗員は耳で聞きながら心ではこう考えている。「はいはい。わかってますよ。前の艦のときと同じだろ」
聞きながら何の話しかわかっている気になっているが、じつは分かっていない。聞いた内容を自分の頭に思い描こうとはしない。わかったふりをして私を騙そうというわけではなく、私が思い描いていることを、自分で思い描こうとしないのだ。
(中略)
彼らが思い描いたリーダーシップや働き方は、「かつて乗っていた艦」で目にしたものだった。過去に見たものを思い描いただけだったから、この艦でわれわれが成し遂げようとしていることをうまくイメージできなかったのだ。

・・・・(以上、引用)・・・・

古い習慣をなくし、組織開発を行うことの難しさが理解できる名著だと思います。

ただ皆さんが、もし飽きずに話しを聞いてもらい、説得力を高めたければ、内容は変えずに、観点を変えて話すことが有効です。

例えば、「従業員から見た観点」「顧客から見た観点」「サプライヤーから見た観点」など、観点を変えながら話すことで、より共感してもらえるようになります。

朝礼やミーティングでメンバーに話す機会のある方、話しが繰り返しになって悩んでいる方は、ぜひお試しください。