日本人トップが英語でプレゼンしているのを見かけることがあります。
英語で話す努力をすることは立派なのですが、大抵の方は読み上げるのに必死。まったく気持ちが伝わってきません。
最近、 LINEがバイクシェアサービス「モバイク」との業務提携を発表した会見に取材に行ってまいりました。モバイクは、たった2年でユーザー2億人に成長している世界でも注目の中国企業です。
会見では、モバイク本社のCEO胡瑋煒(フー・ウェイウェイ)さんも来日し、母国語である中国語でプレゼンを行いました。プレゼンが始まるとするどい目つきに一変。脇を締めてまるでボクサーのようなファイティングポーズをとりながら、ポインターを持つ手を振り回して話す姿は洗練されていませんが、得体の知れない迫力です。中国での激烈な競争を勝ち抜いてきた気性の激しさがほとばしっていました。胡さんの、腹の底から信じる強い想いが言葉を超越して響いてきたプレゼンでした。この心の響きこそが「世界共通語」なのです。
日本電産の永守社長は海外のM&A後、現地の会社に行くと社員全員を集めて日本語で話しをします。一生懸命本気で話すと、言葉が分からなくても現地の社員は熱心に耳を傾け、最後は皆で盛り上がるのだそうです。
現代は同時通訳レシーバーが用意されているので、中国語が分からなくても意味は通じます。胡さんのプレゼンを聞いて、無理に英語で話す努力をするよりも、トップしかできない中身を磨くことに時間を使うべきだと改めて感じました。
トッププレゼンとは、トップのパッションとビジョンを伝えることなのです。
LINEの会見については「広報会議 3月号」『プレゼン力診断』に詳しく書きました。
もしご興味ある方はご覧ください。