「新しいトップは元プログラマーでエンジニア出身です。そのためかすごく地味。うちは営業が強い会社なので、なんとか盛り上げて欲しいのですが…」
確かにエンジニアの方は自分の世界をきちんと持っている人が多いのですが、一方で感情を表に出さない人も少なくありません。もどかしい思いをする広報さんも多いかもしれませんね。
じつは最近、別人のように変わったトップのプレゼンを見て、度肝を抜かれました。
2017年6月5日、ファミリーマート(以下ファミマ)の新戦略記者発表会で、ファミマの社長に就任してちょうど1年の澤田貴司さんのプレゼンを見たときのことです。
どんなプレゼンをするのかとても興味がありました。
プレゼンが始まるや、澤田さんは戦闘能力全開。見た目は以前とは別人でした。
十数年前、ユニクロにご在籍中、澤田さん・柳井さん・玉塚さんが写っている写真があります。この時はメガネをかけてふっくらされていました。前職の経営支援サービス会社・リヴァンプ代表のときは、やや今の雰囲気に近づいてましたが、現在のように首の後ろまで日焼けしていませんし、こんなに筋肉質にシェイプアップされていません。今は目つきも鋭く、プレゼンも完全なパッション型。気合いが漲り、一部のスキも感じられないないほどです。また、ランニングシャツ一枚になって「ファミチキ先輩」というキャラクターに仮装している写真も公開する大サービスぶり。
「演じている」などと言う言葉が生やさしく感じられるほどの「本気」でした。
肉体的な変化はトライアスロンを始めたこともあると思います。しかしこれだけの気迫は、ファミマのトップに就任して世間から脚光を浴び、人生初の「事業会社トップ」という大舞台に立ったことが主な理由かもしれません。
そしてもう一つの理由は、コンビニ業界出身ではなかったということです。
澤田さんはファミマ社長就任当初、「コンビニ業界はど素人です」と言っていたのが強く印象に残っています。コンビニは、社員、店舗オーナー、店舗スタッフを抱えています。さらにファミマだけではなく、会社の風土が違うサークルKとサンクスも買収して仲間になります。巨大な連合体なのでです。
コンビニのプロではない澤田さんが会社を盛り上げるには、「兄貴肌で面倒見よく、積極的な資質を前面に押し出して、社員の目線に立つ」という自分の強みを極限まで活かすことだ、と腹を括ったのではないでしょうか。
この日、澤田さんのなりふり構わない姿を見て、ヒリつくような命懸けの仕事に取り組んでいる姿が心に強く残りました。
人は、人生において何かを成し遂げようと覚悟して進化する瞬間があるのだ、ということを目の当たりにした体験でした。
詳しくは、月刊『広報会議10月号』に執筆記事が掲載されています。もしよろしければご覧ください。
■当コラムは、毎週メルマガでお届けしています。ご登録はこちらへ。
■Facebookページで「いいね」すると、さらに色々な情報がご覧になれます。