語尾落ちすると伝わらない。どう直すか?

こんなお悩みをよくいただきます。

「どうしても語尾が不明瞭になります。語尾までしっかり話せるようにしたいのですが…」

実は声が良くて滑舌が良い方でも、語尾が不明瞭な人は意外と多いのです。
そういう方は、ご本人では意外なほど「自分が語尾落ちしている」ことに気がついていません。

そして自分の録画や録音を聞くと大変驚かれます。

「え?これ、自分?最後まで聞こえていない…。何言っているかわからないよ…」

私が会見でプレゼン取材していても、語尾不明瞭な方は意外と多く見受けられます。たとえば、

「当社はこの戦略を実現すべく、この施策がむにゃむにゃむにゃ…」
「このようなことは、当社としては絶対にむにゃむにゃむにゃ…」

場合によっては、肯定と否定の区別もわからないこともあります。聴き手の解釈次第で、全く正反対に受け取られてしまう可能性すらあります。
さらに語尾が不明瞭だと、聴き手は何を言っているのかを一生懸命聞き取ろうとしてストレスがかかり、内容理解が浅くなります。
一対一の会話なら相手も「もう一度おっしゃっていただけますか?」と尋ねてくれますが、トッププレゼンでは誰も聞き直しません。

せっかく大切なプレゼンなのに、伝えたいことが伝わらないのは、とてももったいないことです。

語尾落ちが厄介なのは、気がついても、すぐには直らないこと。
「語尾までしっかり話さなければ!」と意識しすぎると、なにをしゃべっていいのか分からなくなり、口が止まってしまう方もいます。

語尾落ちするのは、滑舌の問題ではありません。滑舌が悪ければ最初から最後まで聞こえ難いものです。
語尾落ちには、原因がいくつかあります。

【原因1】頭の回転が早く、次にしゃべることや次のチャートが気になってしまう人。話し方が前のめりで、言葉のリズム感が早く、間合いがとれていないので、聴衆は話についてこられなくなります。
【原因2】優しい性格で、日頃からはっきりとしたものの言い方をしない人。
【原因3】意外と多いのが、言葉の最後で口や鼻に手をやってしまう身振り手振りのクセがある方。これをすると声の響きがストップされてしまい、大変聞こえ難いものです。

上記で共通するのは、語尾の最後で息を抜いてしまうことで起こります。息の流れをつかさどる「横隔膜」の筋肉を緩めてしまうと、呼吸が流れなくなり、とたんに声の響きが落ちてしまい、滑舌の良い人でも聞こえなくなってしまうのです。

語尾落ちをなおす対策があります。
・まずゆっくり話すように心がけること。
・そして言葉の間合いで息をしっかり吸い、横隔膜をしっかり使い、最後まで息を流すこと

「語尾落ちしないように!」と考えると、かえって話しにくいものです。
意識してゆっくり話し、息を吸って無意識に横隔膜が使えていれば、話しの内容に集中出来ますし、自然に語尾落ちしないようになります。

 

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