トップは会社の存在意義を情熱持って語れ…ソニーの場合

時々、広報担当者さんがもどかしそうにおっしゃいます。
「トップが社員の前で話したがりません。会社を盛り上げてほしいのに…」

人前で話すのが苦手なトップ、意外に多いですよね。
でも社員からすると、部長経由で間接的に「社長はこう言ってますから、皆さん頑張りましょうね」といわれるよりも、やはりトップ自身のやる気が出る言葉を聞きたいものです。

ただ、やる気といってもEXILEばりの「気合い」は不要。
強いメッセージがあれば、「気合い」や「パフォーマンス」はいりません。
強いメッセージを伝えて社員さんたちを動かすことを「インナーブランディング」と言います。

ソニーの前CEO・平井一夫さんが就任した時、ソニーは業績低迷の真っ直中。
そこで平井さんは徹底的に考え抜きました。
「ソニーの存在意義は、何だろう?」
そして出てきた答えが、これでした。
「ソニーは『感動』KANDOを実現する」

いまやソニー社員は海外の社員数が日本人社員数を上回っています。
たとえば映画「スパイダーマン」は、ソニー製作です。

平井さんは全世界を駆け回り、ソニー社員に「KANDO」という言葉を直接伝え続けました。
平井さんは大変プレゼンが上手な方ですが、もっと大切なことがあります。
それはプレゼン技術をはるかに上回る、ものすごく熱いパッションがあること。
2017年、銀座ソニービルで「ソニービルフィナーレイベント」が行われました。
私はこのイベントを現地で取材しましたが、平井さんが雨の中で放った熱いシャウトは、今でも鮮烈に覚えています。

現在、ソニーの業績は絶好調。利益は1兆円を超え、時価総額は一時期15兆円まで行きました。

インナーブランディングでは、トップの熱いメッセージ力が社員を動かします。
会社の存在意義を考え抜く。そして社員の前で情熱を持って、繰り返し語り続けることが会社を元気にしていくのです。