天才経営者として騒がれていた、あるトップのプレゼンを取材してきたときのことです。
コワモテで、映画俳優としても十分通用しそうな存在感。顔だけでなく経営もすべてロジカルに判断し、冷徹に大胆な改革を行うことでも有名でしたので、「怖そうだな」という印象でした。
プレゼンは低く響く迫力のある声で、資料をまったく見なくてもコンピューターのように正確な数字がスラスラ出てくるあたり、やはり評判通りと感じました。しかし、実際プレゼンを見ているうちに、予想を裏切るようなことが起こりました。
一見、無表情のコワモテにも関わらず、時折「ニコーッ」と良い笑顔がこぼれるのです。
会社は必ずしも経営状況はよくありませんでした。しかしその笑顔は、「こんな時にニヤニヤして不謹慎だ」と感じないものでした。逆に、ピンチの状況で出た笑顔を見て、私は「この方、凄いな」と感じ、思わず引き込まれてしまったのです。
透明感のある笑顔に、そのトップの人格が出ていたからです。
笑顔を見ると、人はなぜか安心します。
そして、笑顔になった本人も、笑うことで心も明るくなり、前向きになります。
「笑顔はすべてを癒やす」のです。
プレゼンは緊張するので、どうしても無表情になりがちです。そんなとき、無理にでもいいので、頑張って笑顔を出してみることです。「心が入ってない笑顔なんて不自然だ」「緊張して笑えるわけない」と思うかもしれませんね。でもそうではありません。笑顔になることで、心もついてくるのです。
「心が先か」、「行動が先か」、と言われれば、躊躇無く「行動が先」です。最初は、心が足りなくとも、行動しているうちに心が後からついてくるのです。笑顔を出しているうちに、聴衆も安心し、自分自身も過度な緊張が和らぎ、リラックスした気持ちになってくるのです。
もしこれからプレゼンがある方は、ぜひ勇気を持って最初の挨拶から笑顔を出してみてください。きっと話しやすい雰囲気でプレゼンが出来ると思います。