先日、コンサルティングを受けているお客様のTさんが、2日連続してプレゼンされたのですが、その時のお話しが、とても興味深いものでした。
「一日目は、薄暗い会場でお客さんの顔がよく見えませんでした。しかも会場は横長でプロジェクターも左右に2台。私はその真ん中で話しました。左右のお客さんは正面の画面を見ているので、私からはアイコンタクトできません。とてもプレゼンが難しい会場でした」
「そこで二日目、レイアウトを変えました。まず客席に照明をつけて、お客さんの顔が見えるようにしました。そして会場を縦長にして、お客さんのプロジェクターへの目線と、私への目線を同一線上にしました」
「講演後のアンケートを見たら、同じ内容を話したのに、一日目より二日目の方が満足度が格段に高かったんですよね。”アイコンタクトをとった方が、説得力が格段に上がるし、話しやすい”ということが良く分かりました」
Tさんがおっしゃるように、同じ内容でもアイコンタクトをとるだけで、聞き手の満足度は確実に上がります。しかし一方で、「プレゼンでお客さんとアイコンタクトをとっていますか?」と聞くと、
「お客さんの顔を見たら、あがって頭が真っ白になっちゃいます」
「資料を読むのに手一杯、じっくりお客さんの顔を見たことがない」
とおっしゃる方もとても多いのが現実です。プレゼンで人前に出れば緊張しますし、お客さんと視線を合わせることを意識するのはなかなか難しいかもしれませんね。
そこで、ぜひ憶えていただきたいのが、アイコンタクトを取るコツです。実は意外と簡単ですからぜひ憶えて下さい。
まず話しに入ったら、ターゲットを決めて、その人と目線を合わせることです。必ず熱心に聴いてくださっている人がいるはずなので、その人をターゲットに選びましょう。ターゲットは数分ごとに変えていきますが、あまり短い時間で常に目を動かし続けるのは落ち着きがなく見えてしまうので、避けたほうが良いと考えています。目を据えることを目標にしてください。そしてアイコンタクトをとったら、大勢に話しているという感覚ではなく、ぜひ、その人一人に語りかけているつもりで話してください。
そうすると良いことがあります。まず話し手に落ち着きが感じられるようになります。そして、一人に話しかけるつもりで話すことで話し手に目力が宿り、説得力が上がります。また、聞き手は目線が合うことで、一対一で話しを聴いているように感じるのです。
目は心の窓と言われます。アイコンタクトを行って心を伝えることで、コミュニケーションがとれて、お客さんは自分を受け入れてもらえていると感じるのです。話し手がお客さんとアイコンタクトをとりながら話せば、お客さんは共感し、「ほう!そうなのか!」「もっと聞きたい」と必ず無言のメッセージを返してくれます。話し手と聞き手が真剣勝負のコミュニケーションを行い、その場を創り上げていくのが理想のプレゼンなのです。
ぜひ、勇気を持ってお客さんの顔を見て、アイコンタクトをとってください。そうすることで、お客さんがプレゼンを磨いてくださり、自分自身のプレゼンも必ずレベルアップしていきます。