オンラインのコミュニケーションで好感度を上げるコツ

「オンラインの話し方がどうも慣れない。うまくいかずに悩んでます。

このようなご相談をいただくことがよくあります。

最近は会議やプレゼンなどはオンラインでのコミュニケーションが当たり前になりつつあります。これまでオンラインでのコミュニケーションを行ってこなかった人が大多数ですし、慣れないのは当然のことです。

ただ、このようなご相談をいただく方の背景を見ますと、あまり整理されていないことがよくあります。

もし話し方などのコミュニケーションが上手でも、部屋の背景が散らかっているようでは、説得力はないも同然です。

また、散らかっている部屋を見せまいとして、カメラを天上に向ける方がいます。そうすると、話し手の顔が下方向からのズームアップになってしまい不自然なアングルで顔を見なくてはなりませんし、アイコンタクトもとれません。顔が上半分だけになってしまう方もよくいます。これではコミュニケーションが上手くいきません。

できれば、カメラは顔を真正面から映して、背景は白い壁などにしておくと自然に見えます。

背景に映像を使う方もいますが、注意が必要です。
割と多いのが、背景に人物が溶け込んでしまい、どこにいるのか分からなくなってしまうこと。これでは、コミュニケーション以前の問題です。
映像を使う場合は、あらかじめリハーサルで確認しておくと良いでしょう。

オンラインでは話し方も大事ですが、その前に背景にも注意することが必要です。

 

 

オンラインの会議やプレゼンで聴き手にストレスを与える原因

オンラインの会議やプレゼンでは,対面よりも空気が伝わり難く、コミュニケーションが難しくなりがちです。

しかし、コミュニケーションがとりにくい状況でも、ちょっとしことに気を配るだけで好感度が上がる方法あがります。

それは、顔に照明を当てることです。

これは意外に出来ていない人がとても多くいます。10人中9人は顔がたいへん暗く表情が分かりにいうえ、不機嫌に見えてしまったりします。

聴き手の情報との乖離を生む原因は、視覚的に伝わっていないことです。なぜなら、人間は平均して9割以上を視覚と聴覚から情報を得ているからです。顔の表情が分かりにくければ、相手に大きなストレスを与えてしまいます。

部屋を明るくしても、顔は暗く映ってしまうことが多いものです。ぜひ、照明を使いましょう。

ただ、デスクスタンドを使うと、顔に不自然な陰影ができますし、話し手もまぶしいのであまりおすすめできません。できれば、専門の照明を使うとよりしっかりと顔が映り、好感度も高まります。

オンラインで話しが聞き取りにくい理由

オンラインで会議をしていると、言葉が聞き取りにくいのはストレスになります。

聞き取り難いのは、滑舌の問題ではなく、「言葉が流れてしまっている」の大きな原因です。
オンラインは響きの質に広がりがなく、実際よりも粘って聞こえやすいので、言葉が流れているととても聞き取り難いのです。

「言葉が流れる」とは、言葉と言葉がくっつきすぎているということです。
とくに問題になるのは母音同士が結合してしまうことです。

たとえば、「本日はありがとうございました」が、「本日は〜りがとうございました」のように、「本日は」の最後の母音と「ありがとうございました」の最初の母音がくっついて流れてしまうことです。これがあらゆるところで頻繁に起こると、想像で補うことがストレスとなりたいへん聞き難い話し方になります。

日本語は、このような状態になってしまいやすい言語です。
では解決するために「母音の頭をしっかり言い直しましょう」といっても、話している瞬間に母音にフォーカスしながら母音の頭の言い直しができるようになるには、かなりの訓練が必要です。

そこで言葉の粒を立てるように区切って話すことをおすすめします。

最初の例だと「本日は、ありがとうございました」のように、「、」の部分を作ることです。ほとんどの方が「、」を意識して話していないために、言葉が流れやすくなり、聞き取り難くなっています。

これは、あわてていると難しいので、できるだけ落ち着いて臨むようにしてください。

 

オンラインでNGの声

あるオンラインプレゼンを見ていて、ぐったり疲れてしまったことがありました。

話し手の声が甲高かったのです。

プレゼンでは、緊張してテンションも上がりますので、声は高くなりやすいものです。

対面では響きが空間に散るためなんとか我慢できた甲高い声も、パソコンやスマホのスピーカーを通すと金属音のように響きます。
キンキンと響く金属音は聞いているだけで聴き手にストレスを与えてしまうのです。

甲高い声を避けるためには、コツがあります。

(1)話す前に呼吸をする
話し始める前に、深呼吸しておきます。
気持ちが落ち着いて、声が甲高くなるのを抑えることができます。
また、プレゼン中も意識をして息を吸うようにしてください。

(2)水を飲む
話しの途中でテンションがあがって声が高くなってきたなと思ってもなかなか止められないものです。
そこで、途中で水を飲みます。
声が甲高く薄っぺらくなるときは、大抵は喉にある「喉頭」が上がってきています。
ゴクッと水を飲むことで、喉頭という場所が下がり、声が低くなります。
オンラインプレゼンでは、手元にコップに入れた水か、ペットボトルを置いておくことを忘れないでください。

オンラインプレゼンを聞いていて甲高い声は特に気になるものです。
ぜひ低い声を意識してお話ししてみてください。

オンラインと対面のプレゼンが大きく違う理由

対面とオンラインには大きな違いがあります。

コミュニケーションが一方向ということです。

対面だと、聞いてくれる人の反応が伝わってきます。エネルギーのやり取りが発生し話し手も更に良い話しができるようになるものです。
しかし、オンラインは聴き手がどのような反応をしているのか感じることができません。そのため、対面よりも話すエネルギーが必要になるのです。

2020年6月7日の日本経済新聞「なやみのとびら」にて湯山玲子さんがオンラインコミュニケーションについて書いていましたのでご紹介します。

…(以下、引用)…

リモートは決して現実の代替にはならないということ。リモート会議ではコミュニケーションの双方向性が強調されていますが、実際は単一方向のモードが強い。私の感覚では1.5倍、いやそれ以上のパワーが必要であり、多数相手の講演会に近い。
リアル会議では、話者の目は自然に聴き手の態度から情報を得ています。意見に同調するうなずき、表情などの肯定的なフィードバックの追い風を得てこそ、気持ち良く話し続けられるのですが、オンラインではそこが断絶。

…(以上、引用)…

最近、「オンライン疲れ」をしている方が多いといわれています。オンラインは、対面の2倍近いパワーを出さないとなかなか伝わらないことや、伝わったかどうか手応えが感じられないストレスなどもあり、どうしても疲れがたまってしまうのです。

とはいえ今後の社会は、オンラインに気持ちを切り替えていく必要があります。オンラインのプレゼンは、パワーの出し惜しみをせず、伝えきっていきたいものですね。

 

オンラインプレゼンにおける時間設定のコツ

 

「オンライン会見のプレゼン時間の長さは、対面と変えたほうがよいのでしょうか」
というご質問をいただくことがあります。

オンライン会見の場合、多くのメディアの記者は速報性を重視しています。
私は60回以上の会見を取材してきましたが、90分の会見でも記事になる内容は実質15分程度です。
聴き手は多忙です。原稿を書きながら耳だけ傾けていることも多いのです。

そこで、オンライン会見は伝えるべき内容を絞り込み、最短時間で行うことです。リアルの会見では「わざわざ足を運んだのに?」と不満も出そうですがオンラインなら離脱するのも簡単です。

セミナーや講演会の場合は短い時間で終えるわけにはいきませんが、聴き手に何をアピールするのか考え抜き、シンプルな言葉で力強く「伝え切る」ことです。

複数人が登壇する場合も注意が必要です。人は、話しが長くなりがちです。

ある会見を取材したときのことです。登壇者がそれぞれ長めに話した上に、登壇者の交代に手間取ってしまいました。結果予定終了時間を大幅に超過してしまったのです。

登壇者には、バッファを見込んで短めの時間で依頼しておくと良いでしょう。可能なら録画をして編集し、入れ替え数秒で行えればベストです。

また、入れ替えが手間取りそうなら、BGMを流しておくと自然です。また、事前に切り替えのリハーサルをするなど、工夫をしておくこともおすすめします。

 

ノイズがオンラインプレゼンの質を下げる理由

先日、あるオンライン会見を視聴していました。

トップが話している最中に、内容とは関係のないBGMが流れてきたのです。
宣伝カーのBGMをマイクが拾ってしまったようです。

BGMの明るい音楽が気になってしまい、内容に集中できなくなってしまいました。

また、話しているトップも音楽が流れてきたことで動揺したのでしょうか。何度も固まってしまっていました。

対面の会場では気にならないノイズも、オンラインだと状況がイメージできないため、聴き手は不安になります。
話し手の方も、敏感な方であれば、不安に感じる聴き手の気持ちを察してしまい、話しに集中できなくなるものです。

オンライン会見は、社内のオフィスや外部の会議室で行うことが多いかと思います。
そのようなときはできるだけノイズが入らないような配慮が必要です。
しかし、不可抗力でノイズが入ってしまう場合もあるかと思いますので、「本日は〇〇のA会場よりお送りしております」のように、あらかじめ会場のロケーションを説明しておくといいかもしれません。

心構えをしておけば、聴き手も話しても安心して会見に臨めるはずです。

オンラインで目立つ語尾落ちしなくなる方法

 

オンライン会議では、語尾の不明瞭が目立ちます。

例えば、「これはこういうことで良ムニャムニャ・・・」と文章の終わりまでしっかり話さないと、「良いのです」なのか「良くないのです」なのか、肯定と否定の区別がつかないこともよくあります。

聴き手の聞こえ方によっては、全く正反対の解釈をされてしまうリスクもあります。

また、語尾を不明瞭に話すと、聴き手は話しの意味を一生懸命聞き取ろうとするのでストレスがかかります。
特にオンラインのプレゼンでそうなってしまうと、離脱してしまう人も増えますので気をつけなくてはなりません。

もし一対一だったら、聞こえにくくて意味が分からない場合、また想像力で補えないほどの場合は、「今のところ、もう一度おっしゃっていただけますか?」とたずねることもできます。しかし、複数人の会議だと聞き直しにくいものです。

どうしても語尾が落ちてしまう方に、録音して聞いてもらうと、大抵の方は驚かれます。つまり、気がついていないのです。

語尾落ちは、頭の回転が早く、次にしゃべることや次のチャートが気になってしまう方の場合によく起こります。
そういうときは、たいてい前のめりで、リズム感が早く間がとれていないので、聴き手が内容についてこれていません。

また、十分に息が吸えていないため、語尾で息が足りなくなってしまうこともあります。
優しい性格ではっきりしたものの言い方をしない人にも多いようです。

改善方法は、次にしゃべるチャートを気にするのはほどほどに留めて、今話していることに集中して言い切ること。

言い切った後に、きちんと息を吸うこと。息をしっかり吸っておけば、語尾に息が足りなくなることはありません。

オンラインでは細かい話し方が目立ちますので、ぜひ語尾落ちしないように気をつけてください。

 

メルカリの山田社長がプレゼンにマネジメントスタイルを活かす理由

 

「堂々とプレゼンできるようになりたい」

誰しも持つ理想です。

しかし、マネジメントスタイルとプレゼンは一致させることが大切です。

例えば、「堂々と」「太く響く声で」「アイコンタクトをとり」「ダイナミックな身振り手振り」でプレゼンしたとします。この要素を見ただけでカリスマ性が感じられますね。
一方で、このようなプレゼンは、威圧感が感じられてしまうことも確かなのです。

組織によっては、話し手が地味にプレゼンしたほうが、メンバーが主体的に動きやすくなります。

最近、メルカリの山田進太郎社長のプレゼンを取材してきました。

山田社長のプレゼンは、スター経営者とは思えないほど淡々としている自己主張のない「地味プレゼン」でした。質疑応答でも右隣の社員さんを気にしてチラ見しながら回答しています。

しかし、メルカリは「人材のブラックホール」といわれるほど優秀な人材が集まっています。
しかし現実には、リーダーが自分より優れた人材を部下に迎え入れることは簡単ではありません。リーダーは「自分が一番」と思いがちだからです。スタートアップならば「乗っ取り」の心配もあるでしょう。しかし自らを「凡人」と呼ぶ山田社長は、自分の力だけでは組織を成長させられないこと、そして他人の力が必要なことがよくわかっているのです。山田社長の地味プレゼンからは私心のなさが伝わってくるようでした。

プレゼンは、あくまで話し手のマネジメントスタイルを活かすことが成功のカギなのです。

 

オンライン・プレゼンを話しやすくするコツ

 

オンラインでプレゼンで話しにくいという方はとても多いかと思います。

原因があります。
それは、聴き手の反応が見えないからです。
人は、聴き手の反応を無意識に感じながら話しをしています。
オンラインでは、話し手が聴き手の反応を感じられないため、話しのリズムをつかめません。
そのため、対面のプレゼンと比較して、話しにくくなってしまうのです。

そこで、会議や商談でもちょっとしたコツで話しやすくなる方法があります。

メンバーの顔を自分のwebカメラの真下に配置することです。同僚でも後輩でも構いません。

話を笑顔で聞いてくれたり、頷いてくれたりする人がいれば、心強く感じて、話しやすくなるものです。

メンバーには「話しに反応してくださいね」とあらかじめお願いしておくといいでしょう。

方法は簡単です。

顔を出してもらうメンバーは、Zoomをビデオ・オンにしておきます。
そして、話し手はメンバーの顔をドラッグして自分のwebカメラの真下に配置するのです。

画面の右端にメンバーの顔が配置されてしまうと、真ん中にあるカメラに目線が合わなくなります。ですので、メンバーの顔はカメラの真下に配置すれば、他のお客さんとも目線が合うようになり、説得力も高まります。

これだけで、話しにくいオンラインプレゼンもぐっと楽になります。

 

TV会議で残念なカメラの使い方

最近、Zoomのウェビナーやオンライン会議が増えています。

一方で、一般的にはまだ慣れない部分も多く、残念なケースもよく見られます。
とくに顔の映り方を気にしていない方が結構多いですね。

対面で話していれば雰囲気で相手の言いたいことを察することもできますが、オンラインの場合、コミュニケーションの頼りはスマホやパソコンの小さな画面だけです。
顔の映り方一つで、相手にコミュニケーション・ストレスを与えてしまいます。

今日は、簡単にできるカメラの使い方をお伝えしましょう。

よくある残念な映り方は、目線が横目になっていることです。
聴き手は、目線が正面を向いていないとコミュニケーションがとれていないように感じて不安になります。

横目になる原因は、自分が見ているパソコン画面の横に、相手の顔が映し出されていることです。
人間は無意識に相手の顔を見て話そうとするので、カメラには横目で写ってしまいます。
相手の顔が映っている画面をドラッグして、自分のWebカメラの真下に置けば、目は真正面を向くようになります。

もう一つの理由は、説明資料を画面の横に置いていること。資料もできるだけカメラの真下に移動させれば直ります。

他に意外に多いのが、顔半分が切れているケース。
事前にカメラテストをしておけば、問題は解消します。カメラの位置を調節しつつ、高さを調節できる椅子があると便利です。

コミュニケーション・ストレスがかかるオンライン上では、カメラの使い方に一工夫することで説得力を高めることができるのです。

 

 

オンライン会議の終わる瞬間に気をつけるべきこと

オンラインでの会議や会見が増えてきました。

オンラインでのコミュニケーションは、直接会っての空気感を感じにくいものです。
とくに日本人が得意とする「空気を読む」ということが難しくなります。
そのため、意思疎通に時間がかかったり、すれ違いが生じたりということが増えてしまうのです。
とくに、会議やプレゼンが終わったときのような、気が緩んだ瞬間には気をつけたいものです。

リアルの会議や会見では、話しが終わってからもその人の気配を感じることができるのですが、オンラインはそうはいきません。画面からパッと消えてしまったり、そそくさと立ち去ってしまうと、見ている人は空気を感じることができないので不安になってしまいます。オンラインの場合はカメラに向かっていつもより3割増しの笑顔で終わるようにしましょう。

「なぜそこまでしなくてはならないのか?」と思うかもしれませんね。

日本の武道や茶道などの世界では、「残心(ざんしん)」が大切であるとされています。

残心は、技を終えたあと、くつろいでいながらも注意を払っている状態です。余韻を残すという日本の美学や禅とも通じる考え方でもあります。

じつは残心があるかないかで、結果が変わってしまうのです。

例えば弓道では、矢を射ったあと、的に当たるまでは「残心」です。
日本だけではなく、西洋でも同じような考え方があります。例えば砲丸投げ。投げた後にも気合が入り、フォームは続いています。
普通に考えたならば、矢や丸が手元から放たれたのですから、結果は変わらないはずですが、最後まで気を抜かないのです。

プレゼンでも残心があるのとないのとでは、印象がまったく違います。
空気が感じられないオンラインだからこそ、余計に心を込めて終わりたいものです。

「エビデンス」を活かした4月7日の安倍首相記者会見

昨晩(4月7日)、安倍晋三首相が新型コロナウイルスの感染拡大を伴う緊急事態宣言の記者会見を首相官邸で開きました。

この会見では学ぶべき事がありました。「エビデンスの見える化」です。

今回の「生きたエビデンス」は、医師で諮問委員会・尾身茂会長です。

今まで安倍総理は「専門家の分析・提言を踏まえている」と重ねて話していましたが、今回専門家としてを尾身会長と並んで会見を行い、エビデンスを目に見える形にしたことで、安心感を向上させていました。

プレゼンテーションは「聞き手に対するサービス」です。

しかしプレゼンテーションによるサービスは無形ですので、その価値を伝えるのは難しいですよね。
ですから、具体的なエビデンスが必要です。

「専門家」の尾身会長ご本人に、目に見える形で「エビデンス」として登壇したもらうことで、安倍総理が言葉で話しているよりも、価値をわかりやすく表現して国民に伝えていました。

また、尾身会長が資料を見ずに自分の言葉で話していたことも説得力を向上させていました。

今回のように聞き手の危機感が強い会見では、とくに安心感、信頼感・説得力を格段に向上させる必要があります。
このようなプレゼンテーションでは「エビデンス」は、最も注力すべき要素です。

こういう時こそ重いトップの言葉。対応策は?

新型コロナの流行により、安倍総理を始め各トップの会見が続いています。

つい先日も東京での不要不急の集まりは自粛を、との発表がありました。

パンデミックの瀬戸際となっている中、なかなか終わりが見えません。
人はイライラが募り情報に対して過敏になっています。トップのちょっとした一言が原因でパニックや炎上が起こりやすくなります。

このような状況では、トップが発する一言の重みはさらに増していきます。

『貞観政要』では、リーダーが言葉と人徳の二つを立てることと書かれています。上に立つ人の言葉は、本人が思っているよりはるかに重いのです。

・・・(以下、引用)・・・

上に立つ人の言葉はとても重く、一度口にしたことは、簡単に取り消すことができません。
上の人が何気なくいった言葉であっても、下の者は深刻に受け止めます。
皇帝のように絶対的な権力を持つ人の場合、その言葉は法律とほぼ同じになるので、言葉を選び、よく考え、慎重に発言しなければなりません。
またいくら口がうまくても、人格が備わっていなければ、部下の信頼は得られません。
常に言行一致を心がけていないと、部下はついてきてくれないということです。

(「座右の書『貞観政要』」出口治明著より)

・・・(以上、引用)・・・

これは、国のトップだけでなく、企業のマネジャーも同じです。
いま、メッセージは十分に注意しなくてはならない最も厳しい状況と言えるでしょう。

とはいえ、慎重になりすぎて台本を棒読みしているようでは、自分ごとで話していると感じられず、聞き手のモチベーションを下げてしまい逆効果です

リーダーは、聞き手が「何を知りたいか」「どうしてもらいらいか」というニーズを考え抜き、「自分だからこそ話せる内容」を吟味することです。
内容を考えたら一度メモにまとめます。言葉に起こすことで、行き当たりばったりにならず、大事な内容を伝えきるためです。
そして、本番ではメモを見ずに話すことです。
十分に間合いをとって、腹の底からわき上がる言葉を待ち、「私は」と自分主語で話すことです。

こういうときだからこそリーダーのメッセージが大切です。たった一言で、聞き手が前向きな気持ちになってもらうことも可能なのです。

 

読み上げは事務方だけでいい

新型コロナウイルス拡大防止会見での安倍首相を見て、「プロンプターを読み上げている」「会見する意味がない」との批判が多くありました。質疑応答もカンペを読み上げ、1回目の会見では質問を打ち切って終了。ジャーナリストの江川紹子さんは、「『質問がつきるまで答えましょう』と言えば、国民はどれだけ政府を心強く感じただろうか」と述べています。

また、2020年3月1日の日本経済新聞「【迫真】日産 見えぬ「ゴーン」後」の記事に下記の内容が書かれていました。

「1月30日、日産本社で開かれた首脳会議後の報道陣の取材。冒頭、スナールが『アライアンスの進展について伝えたい』とあいさつ。続いて内田が合意内容を読み上げた。事務方のような役回りに日産社員は言う。『一体、誰がトップなんだ』」

読み上げをする行為は、「私は事務方です」ということを言っているようなものです。

プレゼンの目的は、聞き手の心が動き良い方向へ行動を変えることです。

リーダーが読み上げをすれば、「部下が書いた文章を読んでいるのでは」と聞き手は感じます。自分の言葉で訴えかけていないのに、聞き手の心が動かされることはありません。

もしリーダーシップを発揮したいなら、自分の言葉で語ることです。言い忘れが心配なら、ポイントだけを書いたメモを確認しながら話せば間違いありません。

台本を見ないだけでも、言葉に力が宿り、聞いた人が動くようになるのです。

 

オンラインの質疑応答で困ったときにはこの言葉

最近、新型コロナウイルス感染症の流行によりオンラインでの会見が増えていますね。

オンライン会見ではライブで質疑応答を行う際に動画が残ってしまうので、不用意な発言には要注意です。
一方でどんな質問にも「詳細はお答えできません」では、印象は悪くなります。

質問する方の中には、残念ながらこちらが知らないような自分の専門知識を多用してマウンティングしたり、明らかにつぶしにかかる相手もいます。
そういう相手に対して、とても良い答え方をしているトップがいましたのでご紹介したいと思います。

「勉強不足なのですが」

有名なトップでもあったので、業界の知識はそれなりにお持ちだと思うのですが、知ったかぶりをしない謙虚な姿勢に好感を持ちました。
「勉強不足なのですが」は、質疑応答で困ったときに使える、好感度を高める良いフレーズです。ぜひ覚えておいてください。

 

「プレゼンが時間超過しても聞きたくなってしまう理由」

 

「プレゼンが時間超過しても聞きたくなってしまう理由」

プレゼンで時間超過すると、ほぼ確実に満足度が下がるものです。

しかし先日、時間超過しても「もっと聞きたい」と思ってしまったプレゼンを見てきました。

2020年1月21日に行われた、くら寿司「グローバル事業戦略発表会」での田中邦彦社長のプレゼンです。

冒頭、プレゼンの調子はいま一つだったのですが、開始3分後に「明治維新が成功したのは『この国は滅びる』というコンセプトがあったから。企業経営も同じ」と語った瞬間にスイッチが入りました。幕末志士たちの魂が乗り移ったかのように熱く語り始めたのです。

「ホラを吹く経営者は多い。私はホラが大嫌いだ。言ったことは必ずやる」
「2020年中国進出、2030年に売上高3千億円、全世界で1千店舗を目指す」

と宣言した後は、日本経済界を憂い、喝破しながら、話しが止まらなくなりました。

昨年、念願のナスダック上場を果たしたくら寿司。

「ここまで来るのに涙を流すことがたくさんあった」と話しながらも、その目線の先にあるのは「世界」。田中社長の大きな夢に共感した会見でした。

もし、話し手が熱い想いを持っていたならば、その想いを語り尽くすことが強い説得力につながるのです。

 

質疑応答こそ、説得力の差が出る

こんなご質問をいただきました。
「質疑応答で、質問を打ち切るタイミングはいつでしょうか」

質問が尽きないということは、会見が盛り上がっているということですし、聞き手の問題意識や当事者意識が高い好ましい状況です。

私の経験では、問題意識の高い記者たちは彼らは良い質問を重ねながら問題の核心に迫っていきます。そして話し手が真剣に質問に答えることで聞き手の問題意識が刺激され、さらに良い質問が出る、という良い循環が生まれます。このような「知的コンバット」とも言えるような場になることこそ、記者会見における質疑応答の神髄でしょう。

話し手と聞き手の高い問題意識と良い質問による議論は、より良き世の中にするためにも重要です。

ただせっかく質問が尽きない状況となっても、どこで打ち切ったらよいのか判断に迷うところです。

会場の時間制限もあるかもしれません。
時間が長引けばトップの不用意な発言を心配する人もいるでしょう。
しかしそれでも、もし質疑応答が「議論すべき良い場」となったと判断したならば、時間の許す限り質問に答えることが大切だと考えます。

私が今まで取材してきた記者会見の質疑応答や囲みで、司会者や広報担当者が質問を打ち切ろうとするのを制して「質問が尽きるまで、全て答えます」と言ったトップは数えるほどしかいません。

最近では、ストライプインターナショナルの石川康晴社長とZHDの川邊健太郎社長です。このお二人は、会見が「良い場」となっていると判断した上で、担当者を制して質問に答え続けると意思決定を行いました。ご自身のビジネスに対して強い責任感を持ち、何を聞かれても明快でした。また良い質問を受け続けることで、彼らの答えも相対して深まっていくことも感じられました。

一方で予め質問を打ち合わせておいたり、質問を想定して回答を用意しているトップもいます。想定問答を用意するは良いことですが、「想定問答集」を読みながら回答するトップもよく見受けられます。質疑応答までカンペを見るようでは、説得力は格段に下がってしまいます。想定問答は確認にとどめて、ぜひ自身の言葉で語っていただきたいものです。

 

プレゼンでは腹を据えて何でもやるのがリーダー

「人前に出ると恥ずかしくて、どうしてもぎごちないプレゼンになってしまう」

そうおっしゃる方が多くいらっしゃいます。

プレゼンの目的は、話し手がリーダーシップを発揮し、聴き手の考えが良い方向に変わり行動することです。
ぎごちないプレゼンをしてしまうことで本来の意図が伝わらず、聴き手の行動が変わらないのであれば、そのプレゼンは失敗です。

村井嘉浩宮城県知事の会見を取材したときのこと。村井知事のプレゼンは「MC村井」に扮してラップを披露したり、ゆるキャラに抱きついたりとサービス精神を発揮していました。しかし村井知事は陸上自衛隊出身の硬派。「チャラチャラは苦手」とのこと。

ただ、「宮城の観光ためなら、何でもやる」と腹決めし、「還暦近いが、歯を食いしばって頑張った」「笑ってください」と話していました。

リーダーシップとは、変革を成し遂げるために、率先してバカになって踊るものであることを良く知っている人の言葉です。

私はここに「伝えきる」リーダーシップの源泉があると考えます。

宮城県を良き方向に変革するという大義名分のためなら自分を捨ててどんなことでもやるのが村井知事のリーダーシップが伝わってきました。
伝えきる気持ちが恥ずかしさを上回ったとき、聴き手の心が動き、良い方向に行動に変わるのだと思います。

 

音を立てて息を吸う残念なプレゼンへの対処方法

プレゼンで、息を吸うとき「シーッ」と音を立ててしまう方がよくいらっしゃいます。

具体的には、「虫歯かな?」と気にして確認するときとか、男性に多いのですが、ラーメンのような食べ物を食べたあとの息を吸うときの音に似ています。

これは、話し手が不安を感じて話しているような印象を与えますし、何より聞いていてあまり爽やかではありません。

出来れば、息を吸うときは音が立てない方が良いと思います。

加えて、音を立てて息をすうことをおすすめしない理由はもう一つあります。

それは、口の中が狭くなってしまうことです。

口の中が狭くなるとなぜいけないのでしょうか。それは、良い声が出なくなるからです。良い声で話すための条件は、「口の中」が広いことなのです。
(詳しくはこちらのコラムをご参照ください。→ http://nagaichika.jp/20200108-2)

話すときに「シーッ」と音をたてることが癖になっている方は、口の中が狭くなり良い声が出ていない可能性が高いので、意識して音をたてないようにすることをおすすめします。

また、癖になっていなくても、話すときにストレスを感じたり、強く緊張すると、アゴが固くなったり歯をかみしめてしまうため、口の中が狭くなりがちです。

記者会見の質疑応答で、記者から厳しい質問を受けると「シーッ」と音をたてて息を吸うトップを見かけることがよくあります。こういうときに「シーッ」という息の吸い方をすると、声も小さくなり、余計に悪い印象を与えてしまいます。加えて「シーッ」と息を吸っている人に対して、聴き手は「自信がないのだろうか」と不安を感じやすくなります。

対策方法は、落ち着いてアゴを下げながら息を吸うことです。
アゴを下げるだけで、口の中の空間を確保することができ、「シーッ」という音はしなくなります。

必ずできるコツは、「冷たくなった手を暖めるときの息」で「はあ〜」と息をはき、そのままの状態を変えずに息を吸ってください。

【呼吸のやり方】
プレゼン中に行ってください。
(1)アゴを下げて「手を温めるように」ふわーっと息をはく。
(2)アゴを下げたまま、ふわーっと息を吸う
(3)アゴをゆるめながらそのまま話す
※緊張で硬くなっていると一回では上手くいきません。2〜3度意識して繰り返すと上手くいきます。

この呼吸方法を身につけると、良い声がでやすくなります。
アゴを下げて、よく息を吸ってお話してください。安心感、信頼感、説得力が上がります。