No.286 新しいことをすると成長する理由

「いままでずっとこのやり方でやってきた。だからこれでいいんだ」と言って、プレゼンのやり方を変えない人が多くおられます。

確かに、経験から確立したノウハウは安心感があります。でも、同じやり方ばかりでは成長が停滞してしまいます。

なぜなら、人の脳は新しいものを好む性質があるからです。脳科学者の茂木健一郎氏は「人の脳は100歳まで進化することができる」と言います。これが「オープンエンド」といわれるもので、脳は永遠に完成することがない構造になっているということです。

脳が進化するためには単純な条件があります。「新しいことをする」ことです。新しいことを好む脳に新しいことを提供し、新しいことを達成すれば、脳から「ドーパミン」という報酬物質が出ます。このドーパミンが脳の進化を促進するカギになるのです。

しかも、その「新しいこと」は結果が予測しにくい「不確実」なものほど良いのです。

2003年、ケンブリッジ大学のシュルツらのグループにより、不確実性とドーパミンの関係を調べた実験があります。猿に、スクリーンで様々な刺激を見せて、それぞれの刺激によって異なる確率でジュースがもらえるようにしたのです。刺激と確率は、

① 刺激Aが出ると100%確実にジュースがもらえる。

② 刺激Bが出ると50%の確率でジュースがもらえる。

としました。この実験でドーパミン細胞の活動を調べると、②50%の確率条件のほうが、刺激を見てから報酬がもらえるまで継続的な活動が続いたのです。

つまり、ジュースが確実にもらえると分かれば猿は安心し、ドーパミンの活動は下がります。一方、「ジュースがもらえるか、もらえないか分からない」という方が、より興奮して猿のドーパミンは活動的になったのです。

不確実なことにチャレンジするということは、そこから新しいことを学べるということです。特に経験を重ねた人は、体験や知識が多く蓄積されていて、「これをするとどうせ失敗する」「どうせ大したことはない」と決めつけてしまう傾向にあります。

ではどうすればよいでしょうか?

やり方をすぐに変えようとすると抵抗感があるかもしれません。まずは簡単にできることから始めると良いでしょう。

例えば、いつも演壇で話している人は、演壇から出て全身を見せて歩き回りながら話してみる。
いつもプレゼン資料を読み上げながら話している人は、内容を覚えて話してみる。
いつも質疑応答の時間をとらない人は質疑応答を行い、聴き手とコミュニケーションをとってみる。

知らないことや、気が進まないことでも、まずは行動してみることです。もしピンとこなければやめればよいのです。でも、行動してみれば意外に新しい発見があったりするものです。脳はもともと新しいものが好きですので、それをきっかけに新たな可能性が広がるかもしれません。

2023/04/13 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika