「高めのカワイイ声だと、失敗も許してもらえる」という女性

私が講演で「落ち着いた低い声で話しましょう」とお話したところ、30代の女性から質問がありました。

「周囲は男性が多いんですよね。だから高めのカワイイ声で話すと、失敗しても許してもらいやすいんですよね」

このようにおっしゃる女性の方、意外と多いのです。

確かに現実には、多くの日本企業でまだまだ男性社員の比率が高いのが現実。女性は少数派。ある意味「男社会」です。

ご質問の裏にあるのは、「男社会だから、女性らしさを演じた方が男性ウケがいいのでは?」ということなのです。

もし「自分は職場の華でいい」というのなら、そのような考え方もあるでしょう。しかし「自分は仕事をちゃんとして評価されたい」とお考えであれば、少し考え方を変える必要があります。

ここでぜひ考えて頂きたいのは、「高めのカワイイ声で話すのは、本当に自分らしい話し方か?」ということです。

人間は誰でも、不思議な能力を持っています。
たとえば、不祥事会見をしている有名人をテレビなどで見ていて、こう思ったことはありませんか?

「これって、自分は悪いと本気で思っていないよね。とりあえず形だけ謝れば良いと思っているんじゃないの?」

自分の本心を偽って無理に演じると、相手は無意識に演じていることがわかるのです。これは人間の脳が、無意識の世界で他者のわずかな感情や行動の表現を読み取る「共鳴」という仕組みを持っているからです。このためにムリに演じて見せようとすると、聴き手はどこか違和感を感じてしまうのです。

「ごめんなさぁ〜い。間違っちゃいましたぁ」

と高い声で誤魔化すのと…、

「申し訳ありませんでした。私の責任でした。今後気をつけます」

と落ち着いた声で言うのとでは、どちらが信頼されるか、という話しですね。

確かに高いカワイイ声で話せば、大抵の男性はその場では大目に見てくれるでしょう。でも「仕事でちゃんと評価されたい」と思っているのに、相手が「カワイイ感じで謝っているけど、誤魔化している感じがする。本当に悪いと思っているのかな」と思ったとしたら、とても残念ですよね。高い声ではなく、むしろ低い落ち着いた声で話した方が、人は「この人は本音で話しているし、信頼できる」と感じます。そして安心感を覚えます。

仕事で評価されたいとお考えでしたら、高めの声で自分を偽るのはやめて、落ち着いた低い声で信頼される話し方をすることをお勧めします。