「本番になると滑舌が悪くシドロモドロになる」というお悩み

 

「ほんでぃつやごへえ・・ごへえとう・・・ん?・・・ごせいとう・・あ・・?」

プレゼンの大事な締めくくりの場面、「本日はご清聴、ありがとうございました」と言おうと、何度も言い直している方を見て、本当に気の毒と思いました。その方はプレゼン途中でも、簡単な言葉で何度もつっかえていました。

普段はスラスラと話せるものまで言えなくなると、「あれ?私おかしくなっちゃったのかな?」と焦り、「またしゃべれなくなるのでは?」と不安になるもの。こうなると、さらにつっかえるという悪循環に陥ります。

オリンピックの柔道代表を発表する方が、「〇〇キログラム級」と言えなくなってしまっています。

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こういうことってよくあることですよね。

こんな様子を見ていると、「今日は滑舌の調子が悪いのかな?」と思ったりしますが、実際には、滑舌に調子が良い・悪いはありません。
原因は滑舌のせいではないのです。

ほとんどの原因は、話すスピードが速いこと。
人は、緊張したりあがったりすると、話すスピードが速くなります

緊張しているときは、意識をしなくても自然にスピードが上がり、早口になってしまいます。こうなると、普段はスムーズに話せている言葉でも、口が回らなくなって言えなくなるのは当然です。

「では本番前に、『いつも通りに話そう』と心がけよう」
こう考えても、やはり失敗します。プレゼン本番では、普段とは心と身体の状態が違うのですから、普段通りにはならないのです。だから当人は「普段通り」に話しているつもりでも、第三者から見るととても早口になっていることも多いのです。

周防正行監督の代表作「シャル・ウィ・ダンス?」で、主人公演じる役所広司さんがダンスコンクールの本番で踊る時、先生役の草刈民代さんが「落ち着いて。落ち着いて。」と祈るように言っていました。これが大きなヒントになります。

本番で成功するコツは、「落ち着くこと」。

「普段通り」に動かすと身体が速くなってしまいますから、筋肉が追いつかなくなり、ミスしてしまうのです。

緊張は悪いことばかりではありません。神経が研ぎすまされ、身体が危機に対して迅速に対応する準備が出来るようになります。だから、いつもより「落ち着いて」臨むようにすれば、自ずと結果はいつもより良くなります。

プレゼンで話す場合も同じです。
いつもより意識して、とてもゆっくり話すこと。
こうすれば、ほとんどの滑舌の問題は解決します。
もともと速くなっているので、これでちょうど良い速さになり、聞いている人も聞きやすくなります。

コツは、三つあります。

(1)まず、息を吸う

息が足りないと子音を言うときに、舌で口の中をこすったり、はじいたりすることがしにくくなります。しっかり呼吸して息をたくさん使いましょう。

(2)言葉を区切る

どんなに難しい言葉でも、少し区切って言うと、確実に言えるようになります。
ちょっと危ないなあと思ったらば、人に分からない程度に少し区切ってアクセントをつけると安定感が増します。

例えば、冒頭の文章だと、息をしっかり吸って、ゆっくり話しなが

「本日は(間)ご(微妙な間)静聴(間)ありがとう(間)ございました」

というようにします。区切ることでブレーキが効いて、早口防止にもなります。

(3)水を飲む

水が手元にあれば水を飲むことをおすすめします。舌やのどの筋肉が緊張で硬直しているのがリラックスすることができます。

本人はとてもゆっくり話しているつもりでも、第三者からは普通のスピードに聞こえます。
ぜひお試し下さい。