ウチのダジャレ社長に困っています

 

「社長がダジャレやオヤジギャグの連発で困っています。正直やめてほしいんです。これっていいんでしょうか?」

広報担当者さんからご相談をいただきました。

ダジャレ好きな方は、呼吸するようにダジャレをおっしゃるので、なかなか止められないものですよね。

ダジャレのマイナス点は…
・ウケないと場が冷え切ってしまう
・ウケるまで繰り返す人が多い。さらに場が凍ってしまう
・ダジャレが一人歩きして、本来伝えるべきメッセージが伝わらない

広報さんは頭が痛いですね。

一方で本来、ダジャレは良いことも多いのです。

まずトップの楽しい人柄がにじみ出て、共感が高まります。

以前、「ダジャレ知事」として有名な平井伸治・鳥取県知事のプレゼンを取材したときのこと。

「鳥取にはスタバはないけど、日本一のスナバがある」

何となく覚えている方もおられるのではないでしょうか?
平井知事就任後、鳥取県の知名度はかなり上がっています。

取材したプレゼンでは、
「鳥取県はほっこり県です」
「鳥取の女性はおっとりジェンヌ」

ゲストで元タカラジェンヌの遼河はるひさんに鳥取移住を勧めながら、

「はるひさんが鳥取に”はいる日”」

…など、平井知事がダジャレやジョークを言うたびに会場は笑いで包ました。こんな笑いの多い会見は見たことがありません。

「らっきょうを一日に4つ食べると病気にならないんです。私が言うとウソに聞こえますが、みのもんたさんが言ったので間違いないです」

と自虐的とも言えるジョークで一歩引きながら特産品を売り込むスタイルも板についていました。

注目は囲み取材。メディアがさかんに知事に「ダジャレを言わせよう」「ダジャレを引きだそう」と質問していたのが印象に残りました。残念だったのは、囲みでは調子がいまひとつだったようで、ありきたりの答えしかできず、ダジャレが出なかったのです。平井知事は、相当準備してダジャレを言うタイプのようです。

いまやメディアは、知事の面白いダジャレを待っています。その『お約束』を果たすから、記事になるのです

「平井知事=ダジャレ」というパーソナルブランドが確立しているのです。

「ブランドは、鍾乳洞である」という言葉をご存じでしょうか。石灰を含んだ地下水が、数千年から数万年という長い年月をかけて一滴ずつ滴り、鍾乳石が作られ、大きな鍾乳洞になります。ブランドもこの鍾乳洞と同じです。一滴一滴の石灰水の積み重ねで鍾乳石が出来るように、一つ一つの顧客満足の積み重ねでブランドが出来上がります。

「お約束を果たす」という顧客満足を時間をかけて蓄積することで、強いブランドが作られて、広まっていきます。「鳥取県の平井知事=ダジャレ知事」という強いブランドは、ダジャレを通じて、一つ一つの顧客満足を地道に積み重ねていった結果なのです。

センスの良いダジャレは、強烈な印象を植え付け、人に記憶されます。たとえば、受験で覚えにくい言葉をダジャレで記憶した経験はありませんか?メッセージとダジャレを上手く組み合わせると、市場に記憶され、爆発的な訴求力を発揮するのです。

ダジャレを言うのはとても良いことです。ただ、一過性で終わらせないこと。そしてダジャレのセンスを磨くこと。徹底的にダジャレという「お約束」を蓄積していくことで、トップのメッセージも高まります。

ですので広報は、ダジャレ好きのトップを止める必要はありません。むしろもっとセンスの良いダジャレを言ってお客様に人柄を印象づけるように、トップを鍛えてあげることが必要なのです。

 

 

 

 

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