企業発表会や会見で、トップが会社のスタッフや記者に対してリスペクトが不足しているのではと感じるふるまいを見かけることがあります。
「会社でもいつもこうなのでは?」と感じてしまう瞬間です。
誰でも人前のプレゼンでは緊張し、話すことに精一杯だったり、忙しくて疲れていることも多いもの。余裕がなくなり、つい相手に対するリスペクトにまで気が回らなかったりするものですよね。
そんな中、最近、素晴らしいリスペクトを感じたトッププレゼンがありました。
2017年9月19日、銀座マロニエ通り店で行われた、スターバックスコーヒージャパン社長、水口貴文さんのプレゼンです。
最も印象に残ったシーンがありました。
それは、水口さんご自身のプレゼン直後、次のプレゼンを緊張して待つデジタル戦略本部本部長の濱野努さんを気遣い、入れ替わる際に肩をポンと叩いて送り出すシーンでした。さらに濱野さんとの質疑応答では、自分が話し終わってもマイクをすぐ手渡せるよう、濱野さん側に準備して待っている姿も印象に残りました。この日、水口さんは常にニコニコと笑顔を絶やさず、ちょっとした動作も丁寧で、周りに対する配慮から優しい人柄が伝わってきました。
「人前に出たからやっている」というようなわざとらしさがなく、すべて自然なのです。
この会見を見て、思い出したことがあります。
私は、クラシックの演奏家出身です。音楽会の舞台に立つときに厳しく教えられたことがあります。
「舞台は怖い。ちょっとした動作が目立ってしまう。普段の姿が増幅されて見えてしまう。だから、足の先、指の先まで心を行き渡らせなさい」
いくら直前に「プレゼンの立ち居振る舞いのトレーニング」など行ったとしても、それは付け焼き刃でしかありません。舞台に立てば、聴き手には内面がすぐに伝わってしまいます。
これはトップに留まりません。外から見ればトップだけではなく、社員一人一人がその会社を代表しています。
どんな立場でも、プレゼンの舞台では、会社の代表なのです。
その自覚を持ち、想いを発信していただければ、とプレゼンを見る度に願っています。
今回、水口さんのプレゼンについては「広報会議 12月号」の『プレゼン力診断』に詳しく書きました。
もしご興味ある方はご覧ください。
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