「会議などで、相手に勝たなくてはいけないとき…つまり、”ケンカに勝つため”の声のトーンやコツはありますか?」
と何回かお尋ねいただいたことがあります。
私は、基本的に「相手を負かしてしまう」という状態に持って行かないほうが良いと思っています。
なぜなら、相手を負かしても自分にとって結果は良いかもしれませんが、負けた相手はそのことがずっと残ってしまっています。
それは、いつかは何かの形で自分に返ってくるからです。
ただ、ビジネスにおいては真剣勝負が必要な場面も多いですし、できれば良い結果を出したいものです。
この場合、相手を「完膚なきまでにやっつけてしまう」のではない方向に持って行くように考えます。
最終的には「ああ、この人に言われたら仕方ない」というような、その方の「人間力」になってしまうのですが、すべての人が出来るわけではありませんので、まずは声やコツをお伝え致しましょう。
(1)低く落ち着いた良く響く声
声がか細かったり、小さな声だったりすれば、頼りなく見えてしまいます。また、甲高い声でキャンキャン怒鳴るだけでは、浅く見られて話しを聞いてもらえません。
もし、あなたが相手より若くても、じっくりと息を吸って、低く落ち着いた良く響く声でゆっくり話し、ある程度の「ベテラン感」を出しましょう。
ケンカになると、興奮して声が高くなったり、ついつい怒鳴ってしまったりする人の方が多数ですから、落ち着いて、腹がすわっていると感じられることだけでも、相当な優位に立てます。
電話会議でなければ、アイコンタクトを外さないことも大事です。
目線はできるだけ外さないように。相手の心の状態は目で分かります。
(2)「あなたの話しを聞きたい」
困った質問をしてくる相手には、自分の主張をするばかりではなく、相手の話しを聞くことです。
これは、相手が何を考えているか知らなくては、ベストの対応が出来ないからです。
よくある困った質問で、「皆(世間)が、あなたのことを批判していますよ」とか、「皆(世間)は、こう言ってますよ」と言われる場合。
「皆」に責任を着せて、「世間」という隠れ蓑を利用し、個人の意見を出さず、自分が優位に立とうという方法です。
そういうときでも、「ぜひ、あなた(個人)の話しを聞きたい」と丁寧に低い声で聞きましょう。
相手に対してリスペクトの気持ちを持ちながら、落ち着いて話しを聞きます。相手の話に矛盾点が無いか判断し、考えながら聞くのです。その後、自分の考えを述べるのが良いでしょう。後攻必勝の手で行きます。
ただ、パブリックで厳しい場面、言質をとられてはいけない場面では、基本的に圧倒的な知識量が必要ですが、守るために毅然と攻め込むことも必要です。
ただ、そこでも、「あなたの話しを聞きたい」という気持ちを忘れずに。
「あなたの話しを聞きたい」
ぜひ覚えておいて使ってみてください。