「リップロール」というボイトレ。
たった4年前ですが、私がクラシック業界でこのボイトレ方法をお伝えすると、その場がざわめきました。特に40代以上ベテランの方々には拒絶反応に近いものがありました。
それは・・・
「何これ?」
「子供の遊び?」
「馬鹿にしているのか?」
「アハハハ・・・(呆れ笑い)」
というものでした。
しかしこの頃、少しずつですが、30代前くらいの方から「それ、聞いたことあります」と言われます。最近に至っては、「あなた(永井)のブログで知りました」とおっしゃっていただけるようになり、やっと広まってきたのかな、という思いです。
私は、今まで様々なボイトレをお伝えしたきましたが、やはり一番最強だと思うのはこの「リップロール」に他なりません。
皆さん、喉を押して「頑張って」発声しておられる方が大変多く、これはなかなか治すことができません。発声とは、喉に余計なストレスがかかっていると、なかなか上達しないのです。しかしこのリップロールは、自然な形で喉を絞めずにリラックスした正しい発声を覚えるには最適です。
また、深い声を出すためには、ある程度は喉頭が下がった状態が望ましいのですが(下がりすぎもよくありませんがそういうケースはあまり多くありません)、リップロールでの発声は、喉頭があまり上がらない状態で発声することができます。
また、この方法は声帯のマッサージになり、声帯周辺の血流がよくなりますので、声を出す前に行うと大変なめらかに発声することができます。
◆◇◆ リップロールの方法 ◆◇◆
1、軽く口を閉じる(上下の歯は離れている)。基本のポジション。
2、口を開けて息を吸う
3、口を閉じ、唇をほんの少し突き出し、閉じた唇の間から息を出して唇を「ブルブル」と振動させる。
ポイント:振動は緩やかに細かくならないように。良い状態のときは「プルプル」とゆったりと軽やかに回転して聞こえます。振動が細かい場合は 力が入っています。そして、できるだけ長い時間続けられること。もし途中で切れてしまう場合は上手くできていません。上手くできない方は、口 周りをリラックスさせて、左右の人差し指で少しずつ口角を寄せたり上げたりしてみてください。
4、3が続くようになったら、「う~」と歌うように、声帯を反応させながらリップロールを行う。息が続かなくなったらブレスは必ず口を開けて吸うこと。横隔膜呼吸を同時に行う。
ポイント:音を付けたリップロールのときは、なるべく口の中を広くとりたいので、上手になった方は出来る限り顎を下げるように。
5、さらに発声トレーニングしたい方は、4の状態に、ド~、シ~、シ♭~・・・と音程をつけて長くのばしながら各音でリップロールを行ってみる。
ポイント:リップロールではリラックスしているので実際に歌うより高い音まで出ます。本来はそこまで出るのです。さらにリラックスのために低い音も行うこと。
人前で話す前、歌う前、どんなに時間がなくとも「リップロール」を行ってください。声の出方が違います。ぜひ上手にリップロールできるようになって良い声を手に入れてくださいね。