No.285 プレゼンが成功する瞬間「ノウイング」

「しっかり準備しているのに思った通りのプレゼンができなくて失敗ばかり。どうしたらいいんでしょう」

こうして悩む方、多くおられます。
これは、自転車に乗るときと似ています。
私は、逆上がりもできず、跳び箱も跳べず、自転車にも乗れない、かなり鈍くさい子どもでした。

でも自転車の練習を続けているうちに、ある日突然乗れるようになったのです。
言葉にはならないけれども、「ああ、これだったんだ!」という不思議な体験。今でも鮮やかに思い出せます。

ひたすら実践して悩み、あるところで自分自身が新しくつかむ感覚。

これは知の「再創造」といわれます。「ノウイング」(knowing)とも言われます。
北海道大学大学院 経済学研究科教授・松尾睦氏はノウイングを以下のように説明しています。

私たちは結局、膝小僧をすりむきながら自分で自転車の乗り方を習得したのではなかったでしょうか。(中略)内省し、教訓を引き出すことが「ノウイング」にあたります。ノウイングをしていない人は、単に他者の知識を鵜呑みにしているだけで、「内省」や「教訓を引き出す」ステップをスキップしてしまっている人、つまり自分の頭で考えていない人です。
(松尾陸『職場が生きる 人が育つ「経験学習」入門』ダイヤモンド社2011年より)

このノウイングは、プレゼンでもあります。

たとえば、自分の声が自信を持って鳴り響きだしたとき。
あるいは、聴き手の反応が手に取るように感じられたとき。

ノウイングとは、何度も教えられて分からず、悩んだ末、しばらくたってから何かの拍子にその意味がわかるものです。

今分からなくても、出来なくても、1分後に分かるかもしれません。
明日分かるものかもしれません。
もしかしたら1ヶ月後かもしれません。

ですから諦めてはいけません。
淡々と学び続けていることで、ある瞬間に会得できるものなのです。

2023/04/05 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : nagaichika